AIプロダクト開発を民主化するBaaS「miibo」課題の当事者が、自らAIで解決する世界へ

生成AIの実用化が加速する中、多くの企業がその活用方法を模索しています。単なる業務効率化に留まらず、AIを自社のサービスに組み込み、新たな価値を創出する動きも活発化してきました。

今回は、ノーコード会話型AI構築サービス「miibo(ミーボ)」を提供する株式会社miiboの代表取締役、功刀さんにお話を伺いました。誰でも思い通りの対話型AIを高速で開発できるという「miibo」は、AIプロダクト開発のあり方をどのように変えていくのでしょうか。学生時代の研究から続く開発の背景、具体的な活用事例、そして「AIプロダクト開発の民主化」という壮大なビジョンについて、詳しくお聞きしました。

SFへの憧れから生まれた「人に寄り添うAI」で、コミュニケーション課題を解決する

Q.まず、貴社の事業内容について教えてください。

功刀さん: 私は大学時代から10年以上対話型AIの研究を続け、その中で個人開発していたサービスを原型に、2023年に会社を設立しました。私たちが提供する「miibo」は、思い通りに動く対話型AIを自分で作り、高速で公開できる開発プラットフォームです。Webサイトのお問い合わせ対応や社内ボットなど、様々な用途でご活用いただいています。私たちは「Connect Everything」というスローガンを掲げ、あらゆるデータとAIをつなぐ「橋渡し役」となることを目指しています。現在では35,000以上のアカウントでご利用いただくなど、多くの方にAI開発の基盤としてお使いいただいています。

Q.miiboを開発された背景には、どのような思いがあったのでしょうか?

功刀さん: 根底にあるのは、学生時代から抱いていたAIパートナーへの憧れです。私たちの世代にとって象徴的なのが、映画『アイアンマン』に登場する「ジャービス」のようなAIアシスタントの存在でした。自分のそばにAIがいてくれれば、本当にやりたいことに集中するための様々な雑務を最適化してくれる。そんな未来が当たり前になったら素晴らしいなと考えていました。その思いから、学生時代に「おしゃべりアシスタント」というSiriのようなAIパートナーアプリを個人で開発し、ローンチしたのがすべての始まりです。

そのアプリを運営する中で、「AIパートナーを配るのではなく、誰もが自分で作れるようにすれば、もっと世の中に価値が広がるのではないか」という発想に至りました。この考えが、現在のmiibo事業の原点です。5~6年前にその原型となるプロダクトを作っていたところへ、ChatGPTの波が到来し、一気に世の中の関心が高まりました。

私が研究してきた対話システムは、「人に寄り添うAI」という側面を非常に重視しています。世の中の課題の多くは、コミュニケーションの問題に起因すると考えています。業務のボトルネックや、人海戦術に頼らざるを得ない部分のほとんどは、人手によるコミュニケーションが発生する領域です。miiboは、まさにそのコミュニケーション領域に、人に寄り添うAIを最適に配置することで、様々な課題を解決していくことを目指しています。学生時代からの憧れと、長年の研究が結実したのがこのプロダクトなんです。

自治体から大手まで。非エンジニアも活用する3つの導入パターン

Q.実際にmiiboはどのような企業で、どのように活用されているのでしょうか?

功刀さん: miiboはBaaSという特性上、様々な形でご活用いただいています。本日はその中から特徴的な3つの事例をご紹介します。

一つ目は、非エンジニアの方が自ら課題解決のために活用するケースです。先進的な自治体として知られる横須賀市様は、ChatGPTをいち早く導入したことで全国的に有名になりましたが、その結果、「自治体でAIを使うにはどうすればいいか」という相談が全国から殺到し、対応に追われるという新たな課題が生まれたそうです。そこで市の職員の方々が、「AIに関する質問はAIで応答しよう」と考え、miiboを使って問い合わせ対応のチャットボットを自ら作成し、運用を開始されました。このように、課題を最も強く感じている当事者が、エンジニアでなくてもすぐにソリューションを形にできる。この点を高く評価いただいています。

二つ目は、開発会社様がクライアントの課題解決のために活用するパートナー事例です。例えば、面白法人カヤック様は、愛媛県の「移住者を増やしたい」というニーズに対し、AIで移住相談をサポートするソリューションを開発されました。移住に関するサポートは人手が割きづらいという課題がありましたが、その解決策をスピーディーに提供するための開発ツールとして、裏側でmiiboを採用いただきました。

そして三つ目が、自社の課題解決から発展し、新たなAI事業を立ち上げたケースです。GMOペパボ株式会社様は、まず自社で運営する複数のWebサービスのお問い合わせ自動化のためにmiiboを導入されました。その結果、カスタマーサポートの業務時間が大幅に削減され、リソースに大きな余裕が生まれたそうです。そして、その浮いたリソースを活用し、「この仕組み自体をサービスとして提供しよう」と、新たに「GMO即レスAI」という事業を立ち上げられました。このサービスの裏側でもmiiboが活用されており、爆速での開発・納品を実現されています。このように、ユーザー自身が使う、パートナー企業様が開発に使う、そして自社事業として展開する、という3つのレイヤーでご活用いただいているのがmiiboの特長です。

1,000時間以上の業務削減と顧客満足度向上を両立

Q.miiboを導入することで、具体的にどのような効果が生まれていますか?

功刀さん: 導入効果は、ユーザー様、開発パートナー様それぞれの視点から生まれています。まずユーザー様からは、精度の高さを評価するお声をよくいただきます。miiboの管理画面では、RAG(Retrieval-Augmented Generation)という技術でどのデータが参照されたか、その回答の信頼性がどの程度だったかをログで全て分析できます。これをご活用いただくことで、回答精度を継続的に改善でき、ある企業様では信頼度が99.5%を超えるという結果も出ています。

また、先ほどのGMOペパボ様の事例では、お問い合わせ対応の自動化によって「業務時間を1,000時間以上削減できた」とご報告いただいています。さらに、単なるコスト削減に留まらず、AIによる即時応答が可能になったことで「顧客満足度も10%以上向上した」とのことでした。このように、コスト削減とサービス品質向上を両立できるのが大きな価値です。

また、開発パートナー様の視点では、開発コストとスピードの面で大きなメリットを感じていただいています。通常、AIプロダクトを開発しようとすると、数名のエンジニアを確保する必要があり、年間で数百万から数千万円のコストがかかることも珍しくありません。しかしmiiboを使えば、非エンジニアの方を中心に企画を進め、一部の作業だけをエンジニアに依頼するといった体制が組めるため、コストを大幅に抑制し、納品スピードも格段に向上させることができます。

「Connect Everything」思想が支えるBaaSとしての価値

Q.あらゆるデータやサービスと連携できるのがmiiboの特長ですが、なぜこのような仕様になっているのでしょうか?

功刀さん: それには、私の経歴が大きく関係しています。新卒で入社したヤフー株式会社で、私はiPaaS(Integration Platform as a Service)という、異なるサービス同士を連携させるプラットフォームの事業に携わっていました。その部署のテーマが、まさに「Connect Everything」だったのです。サービスとサービスをつなぎ合わせることで生まれる価値の大きさを、当時から強く感じていました。

そして今、AIの登場によって、このiPaaSの領域が真価を発揮する時代が来たと考えています。かつてはサービス間の仕様の違いが連携の障壁となっていましたが、AIは自然言語を介してそれらの違いを吸収し、柔軟につなぐことを得意とします。このAIという技術を最大限に活かすには、あらゆるものと接続できるアーキテクチャが不可欠だと考え、miiboの開発思想の根幹に据えています。

また、BaaSという立ち位置もこの仕様と密接に関わっています。社内利用であれば特定のプラットフォームに乗る選択肢もありますが、AIをプロダクトとして外部に提供していく際には、様々なツールを組み合わせられる中立的な立場が極めて重要になります。私たちのようなBaaSがその役割を担うことで、より自由で強力なAIソリューションが生まれていくと考えています。

目指すは「AIプロダクト開発の民主化」

Q.今後、miiboをどのように発展させていきたいとお考えですか?

功刀さん: 私たちが一貫して目指しているのは、「AIプロダクト開発の民主化」です。その心は、開発を誰かに頼むのではなく、課題を一番よく知る当事者、事業に最も熱量を持っている当事者が、自分自身でAIプロダクトを作って使える世界を実現することです。そうすれば、課題の本質が薄まることなく、自分が最も痛みを感じていることに対して、直接的なソリューションを当てることができます。これこそが、個々人にとって最も幸せな状態だと信じています。

このビジョンを実現するためには、まだ乗り越えるべきハードルがあります。現状では、どんなに優れた開発ツールがあっても、要件定義をしたり、ROI(投資対効果)を計算したりといったコンサルティング領域が不可欠で、どうしても専門家によるハイタッチな支援が必要になります。これは提供者側にとっても、お客様側にとっても障壁となり得ます。

私たちの挑戦は、このハイタッチな領域を、AIの力で可能な限り自動化し、ロータッチにしていくことです。誰もが専門家の助けを借りずとも、安価にその価値を享受し、本当に良いものを自分で作れる状態に到達したい。その世界観を実現するための技術革新に、これからも全力で取り組んでいきます。

Q.最後に、この記事を読んでいる方々へメッセージをお願いします。

功刀さん: これからAIは本格的な実用フェーズに入り、業務効率化の枠を超えて、売上を創出したり、自社のプロダクトを進化させたりする上で不可欠な存在になっていきます。「自社のプロダクトにAIを組み込んでパワーアップさせたい」「新たにAI事業を立ち上げたい」、あるいは「もっと業務効率化を推し進めたい」。そういったご要望をお持ちでしたら、ぜひmiiboの活用をご検討ください。miiboは、社内にAIエンジニアをどんどん増やしていくような状態を作れるポテンシャルを持っています。ぜひお気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。