生徒の「考えるきっかけ」を創出 『AI+Me(アイミー)』が目指す、教員とAIの協働

昨今、ビジネスシーンだけでなく教育現場においても急速に活用が広がる生成AI。その可能性に期待が集まる一方で、子供たちの思考力をどう育むか、教員の役割はどう変わるのかといった課題も浮き彫りになっています。今回は、アルサーガパートナーズ株式会社が開発した、教育現場向けAIチャットツール『AI+Me(アイミー)』について、開発を担当された中津さんにお話を伺いました。

現場の先生の声から生まれた、生徒一人ひとりに寄り添うAI

Q.まず、貴社の事業内容と中津さんの役割について教えてください。

中津さん: アルサーガパートナーズは、お客様である企業様の課題抽出からシステム開発、そして運用保守までを一気通貫でご支援している会社です。社内のコンサルティング部門がお客様の課題を明らかにし、開発部がシステムを形にし、その後のサポートまで含めてトータルで伴走させていただいています。その中で私は、『AI+Me』の開発を担当しております。

Q.教育現場向けの『AI+Me』は、どのような背景で開発されたのでしょうか?

中津さん: もともとの始まりは、ある特定の学校様向けに開発・導入していたシステムが母体となっています。そのシステムが「生成AI大賞2024」にて優秀賞を受賞しました。

それをきっかけに、実際に現場に立たれている先生から「このシステムを私たちの学校だけでなく、他のさまざまな学校でも展開してみてはどうか」というご相談を頂きました。そこで社内で「そのシステムをもとにした新しい自社サービスが実現可能ではないか」と話が上がりました。何度も検討を重ね、「では作ってみよう」とプロジェクトが走り出したのが『AI+Me』の始まりです。

AIリテラシーと探究学習を育む、独自の4つの機能

Q.『AI+Me』には具体的にどのような機能があるのでしょうか?

中津さん: 『AI+Me』でできることは、ユーザー体験の観点で大きく4つあります。

1つ目は、複数のLLMモデルを同時に使える機能です。例えば、あらかじめ教科書データを読み込ませておき、「この範囲で小テストを作ってください」と指示するだけでAIが問題を作成してくれます。これまで先生方が授業のたびに行っていた小テストの作成や印刷、配布といった作業を効率化できます。

2つ目は、作成したプロンプトを学校内で共有できる機能です。自分以外の生徒や先生が作成したプロンプトがカード形式で一覧表示され、お気に入り登録したり、他の先生や生徒が「使う」ボタンを押すだけで、同じ設定でAIとの対話を始められたりできます。

3つ目の比較機能は、その名の通り、複数のLLMモデルの回答を比べるためのものです。教育現場では最初に「AIは嘘をつくことがある」と教えますが、実際に体験しないと本当の意味での理解は難しいものです。この機能で、複数のLLMモデルへ質問をした際、例えばあるモデルは「A」と正しく答え、別のモデルは「B」と誤った回答をすることがあります。こうした差異を目の当たりにすることで、AIの回答を鵜呑みにせず、最終的には自分で判断する必要があるという、リテラシーを育むことを目的としています。

そして4つ目が、探究学習などで特に力を発揮するディスカッション機能です。これは、LINEのグループチャットのように、生徒や先生がいるチャットルームに、登場人物の一人としてAIを招待できる機能です。議論を進める中で「ちょっとAIにも意見を聞いてみたい」という時に、「どう思う?」と呼びかけるだけで、AIがそれまでの会話の流れをすべて理解した上で、議論の参加者として意見を述べてくれます。これにより、先生一人が全てのグループを回りきれない状況でも、AIが議論の活性化を手助けしたり、先生自身もチャットログから生徒たちの思考の過程を後から振り返ったりすることが可能になります。先生が担っていた役割の一部をAIが手助けすることで、より深い学びを支援する機能です。

機能名 概要
複数LLMモデルの活用 GPTモデルやClaudeモデルなど、複数のLLMモデルを切り替えることなく同時に利用できる。教科書データなどを読み込ませ、小テストの自動作成などが可能。
プロンプト共有機能 先生や生徒が作成した便利なプロンプト(AIへの指示)を、カード形式で学校内に共有できる。AI活用のノウハウを組織全体で蓄積・活用できる。
比較機能 1つの質問に対し、複数のLLMモデルから同時に回答を生成・比較できる。モデルごとの回答の差異を体験し、AIリテラシーを実践的に学べる。
ディスカッション機能 生徒同士や先生が参加するチャットルームに、AIを登場人物の一人として参加させられる。探究学習などで、議論の活性化や多角的な視点の提供を支援する。

AIは「答え」を教えない。主体的な学びを促す設計思想

Q.生徒向けのAIを開発する上で、回答の粒度、例えばどこまで答えを提示するかといった点で工夫されていることはありますか?

中津さん: 教育現場で、AIが安易に答えを教えてしまうと、生徒が常に答えだけを求めるようになってしまう危険性があると考えています。ですので、『AI+Me』は百科事典のように100%正しい答えを提示する設計思想は持っていません。むしろ「こういう考え方もあるけれど、それを受け取ったあなた自身はどう考える?」という、思考のきっかけを与えられる存在でありたいです。AIからの多角的な意見を得て、それを元に主体的にどう考え、自分なりの回答を導き出すか。その判断のプロセスをサポートする位置づけを大切にし、子供たちに考えさせる「余白」を残すことを意識しています。

Q.生成AIが教育現場に導入される中で、教員とAIの役割分担はどのようになっていくとお考えですか?

中津さん: あくまで開発者である私の考えですが、『AI+Me』のようなシステムが「教科書の手引き」のようになればと考えています。生徒からの質問すべてに先生方が対応するのは時間的に難しい場面もあるかと思います。そういった時に、まずは気軽に聞ける相談相手としてAIが役立ちます。AIは感情を持たないので100%の理解は難しいかもしれませんが、物事を理解するための「足がかり」にはなれるはずです。

これは決して先生方の役割を奪うということではありません。むしろ、先生方の時間的なゆとりを生み出す手助けをしたいと思っています。そこで生まれた貴重な時間を使って、生徒一人ひとりが内心でどう考えているのかに向き合ったり、学校教育でしか教えられない人間的な関わりに注力したりできる。テスト問題の作成や採点といった作業をAIに任せ、先生方にはよりクリエイティブで、生徒に寄り添うための時間を作ってほしいと願っています。

自己肯定感を育む「マイプロフィール」へ。今後の展望

Q.今後、どのような機能追加や改善を予定されていますか?

中津さん: お客様からは、チャットだけでなく音声でのやり取りをしたいというご要望をいただいています。面接練習などで活用したいという声もあり、音声入力機能は近々リリースしたいと考えています。また、先生方の立場からはレポートなどのファイル生成機能への期待も高く、課題はありますが実現に向けて動いています。
そして、これは今までの機能とは少し軸が異なりますが、生徒自身が自分の特性を分析できる「マイプロフィール画面」のような機能も追加したいと考えています。これまでのチャット履歴などをAIが分析し、「あなたはこういうことが好きそうだね」といった形で、客観的な自己分析を手助けする機能です。私自身、若い世代と接する中で、彼らが自分の「できていないこと」にばかりフォーカスし、自信を失ってしまう傾向を感じることがあります。この機能で自分の「できていること」や「得意なこと」を可視化することで、そこに自信を持って社会と触れ合えるようになる、そんな手助けができればと考えています

教育現場をより良くしたい。少しでも興味があれば、まずはお声がけを

Q.最後に、現場の先生方や生徒さん、保護者の皆様へメッセージをお願いします。

中津さん: ありがとうございます。この『AI+Me』というシステムに少しでもご興味をお持ちいただけましたら、テスト導入から導入後の活用支援まで、私たちが全面的にご支援させていただきます。私自身の学生時代の経験を踏まえ、大人になった今、教育現場が少しでも良くなるためのきっかけや支援をしたいという強い想いがあります。教育現場でAIをもっと活用していきたいと思っている教育関係者の方は、ぜひアルサーガパートナーズにご相談いただければ幸いです。

AI+Meサービスサイト:https://www.arsaga.jp/ai-me/
お問い合わせはこちらから:https://www.arsaga.jp/contact/

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会社概要

社名 アルサーガパートナーズ株式会社
代表者 代表取締役会長兼CTO 小俣泰明、代表取締役CEO 渡邉純平
所在地 東京都渋谷区
設立 2016年1月
事業内容 ワンストップDXソリューション事業
ミッション 自由な発想と確かな論理で価値を届ける