本音を引き出すAI面談で、従業員のエンゲージメント向上を実現

AIの活用が企業の競争力を左右する時代。多くの企業がAI導入を推進する中で、改めて「組織」やそれを形作る「人材」の重要性を感じているかと思います。

従業員一人ひとりの「本音」に寄り添い、組織課題の早期発見とエンゲージメント向上を実現する「AI面談」を開発・提供するのが、アルサーガパートナーズ株式会社です。

今回は、同社のAI面談開発を担当する亀山さんにお話を伺い、そのコンセプトから具体的な活用効果、そして人とAIが共存する未来の展望まで、深く掘り下げていきます。

従業員の本音を引き出し、組織課題を可視化する「AI面談」

Q.まず、AI面談の概要やコンセプトについて教えていただけますでしょうか。

亀山さん: このサービスは、従業員の方々が普段はなかなか口に出せない「本音」を引き出すことをコンセプトに設計しています。AIを対話の相手とすることで、心理的な壁を取り払い、率直な意見を収集します。それによって、マネジメント層が気づきにくい現場の課題を早期に発見し、組織全体のエンゲージメント向上に繋げることを目的としてサービスを運営しています

例えば、株式会社トリドールホールディングス様(丸亀製麺様)で導入いただいている「ハピネススコアインタビュー」は、まさに現場で働く従業員の皆様を対象としたAI面談ツールです。

Q.従来の管理職やマネージャーが行う面談と比較した際の、差別化ポイントは何でしょうか?

亀山さん: 人が人に対して行う面談とは異なり、AI面談で収集したデータは、組織全体の傾向分析に非常に有効です。特定の個人だけでなく、全社や部署単位での課題を客観的に把握できます。また、今回の「ハピネススコアインタビュー」で特に強みとなっているのが、多言語対応です。日本で働く外国籍の方や留学生の中には、日本語でのコミュニケーションにまだ不慣れで、自分の思いを十分に伝えきれない方もいらっしゃいます。そうした場合でも、AI面談なら母国語で安心して話してもらうことが可能です。回答は自動で日本語に翻訳され、マネジメント層にフィードバックされるため、言語の壁を越えて本音を理解できる点は、AIならではの大きな差別化ポイントだと考えています。

▲多言語対応:ヒンディー語使用例

導入の決め手は課題解決への伴走と、特許技術「雑談によるラポール形成」

Q.丸亀製麺様の事例について、導入の背景や経緯を詳しく教えていただけますか?

亀山さん: これは丸亀製麺様に限った話ではありませんが、多くの企業にとって採用が難しくなっている現代において、今いる人材をいかに育成し、長く働き続けてもらうかという「人材定着」が経営の最重要課題の一つになっています。その中で、ハラスメントやメンタルヘルスの問題も深刻化しており、経営層は現場の従業員が何を思っているのかを吸い上げたいという強いニーズがありました。しかし、面談の時間が確保できない、立場上言いにくい、あるいは外国籍従業員との言語の壁など、本音の吸い上げには多くの障壁が存在していました

当初は弊社の議事録AIの分析ツールをご紹介したのですが、そこから「この分析機能を従業員のアンケートなどに活用できないか」というご提案をいただきました。議論を深める中で、既存のエンゲージメント向上サービスは評価して点数を出すだけで、その後の具体的なアクションにまで踏み込めていないという課題も見えてきました。そこで、単なる評価に留まらず、具体的なアクションやフィードバックまで提供できるサービスを作ろうという思いが合致し、現在の「ハピネススコアインタビュー」が誕生した、という経緯があります。

Q.AI面談で特許を取得されているそうですが、どのような技術なのでしょうか?

亀山さん: 「雑談によるラポール形成技術」という名称で特許を取得しています。これは、AIが本題に入る前に軽い雑談をすることで、相手との心理的な壁を下げ、信頼関係を築くための技術です。実際の面談や面接でも、いきなり本題から入る人はいませんよね。まずは天気の話や最近の話題などで場を和ませてから本題に入るのが自然なコミュニケーションです。しかし、既存のAI面接サービスの多くはいきなり質問から始まるため、どこか冷たく、回答者も心理的に話しにくいと感じていました。そこで、人間同士の自然なコミュニケーションをAIで再現し、よりアットホームな感覚で安心して本音を話してもらえるような仕組みを構築し、特許として認められました。これは今まであまり他では行われてこなかった、弊社独自の強みです。

多言語対応と柔軟な入力形式が、現場の「話しやすさ」を実現

Q.実際にAI面談を利用した従業員の方からは、どのような評価がありましたか?

亀山さん: 良い評価を多数いただいています。「ハピネススコアインタビュー」では、面談を行うAIをキャラクター化し、お堅い敬語ではなく、もっとカジュアルに会話できるようなカスタマイズを施しました。従業員の皆様からは「こういったツールは堅苦しいイメージがあったが、柔らかい雰囲気で意外だったし、とても話しやすかった」というフィードバックをいただいています。

▲丸亀製麺様「ハピネススコアインタビュー」使用例

また、外国籍の従業員が多い現場ということもあり、やはり母国語で回答できる点が高く評価されています。同時に、本部の方々も翻訳された内容を日本語で正確に理解できるため、双方にとって大きなメリットとなっています。さらに、回答方法として音声入力とテキスト入力の両方を選べるようにした点も喜ばれています。店舗のような環境では、周囲が騒がしかったり、静かな場所を確保できなかったりすることも想定されます。そこで「話せる時は音声で、後から手入力で修正もできる」といった柔軟な使い方ができる点が、現場の状況に即しているとご評価いただいています。

Q.面談で得られた回答やスコアは、マネジメントの現場でどのように活用されているのでしょうか。

亀山さん: 収集した回答は、福利厚生への満足度といった約5つのロジックに基づいてスコアリングしています。このスコアは店長やエリアマネージャーが確認でき、店舗ごとの平均値や点数の偏りを比較することで、どの店舗に、あるいはどの従業員に課題があるのかを迅速に把握できます。さらに、トリドールホールディングス様には「AIレコメンド」という仕組みも提供しており、従業員のハピネススコアの情報を基にAIが店舗ごとの課題を自動で分析し、店長に具体的な改善策をフィードバックします。これにより、経営全体の改善だけでなく、店舗単位でのきめ細やかな改善活動にも繋がっています。

もちろん、個人へのフィードバックも重視しています。面談後すぐに対象者本人に「あなたは今こういう点に課題を感じていますね」「逆にこういうことに喜びを感じやすい傾向があります」といった個人分析レポートが返る仕組みになっており、従業員自身のモチベーションアップや自己成長を促すきっかけ作りにも貢献しています。

人事領域全体への展開と、グローバル化を見据えた技術の進化

Q.このAI面談の技術は、今後どのように進化・発展していくとお考えですか?

亀山さん: AI自体の進化と歩調を合わせながら、大きく3つの方向で進化させていきたいと考えています。一つは、音声対話のさらなる高度化です。より自然な会話の流れで、相手の発言を深く掘り下げるような対話を実現し、本音の奥にあるインサイトまで引き出せるようにします。

二つ目は、分析精度の向上です。収集したデータの分析をより高度化し、課題の特定や改善提案の質を高めていきます。

そして三つ目は、対応言語の拡張です。現在は一部の言語に対応していますが、これをさらに増やし、日本企業だけでなく、よりグローバルな環境で活用できるシステムへと発展させていきたいです。

Q.現在はエンゲージメント領域で活用されていますが、採用など、他の人事領域への拡張計画はありますでしょうか。

亀山さん: はい、もちろんです。すでにエンゲージメント領域と並行して、他の人事領域への展開も進めています。具体的には、採用候補者向けの「AI面接サービス」や、営業担当者だけでなく人事担当者の面談スキル向上にも活用できる「AIロールプレイング」などを開発・提供しています。また、弊社が開発した「議事録AI」も、面談や面接の会話を記録・分析し、客観的なフィードバックを生成するなど、人事領域での活用が可能です。これらの様々なサービスを連携させることで、人事領域全体の課題解決に貢献し、より大きな価値を生み出していきたいと考えています。

AIとの共存時代に不可欠な、倫理的配慮と透明性の確保

Q.AIが社会に浸透する中、この技術を社会実装していく上で、倫理的な配慮やガイドラインをどのように考えていますか?

亀山さん: 非常に重要な点だと認識しており、いくつかの原則を徹底しています。まず大前提として、分析の根拠は必ず本人が話した内容のみとします。AIが事実に基づかない情報を生成するハルシネーションの問題も考慮し、憶測を挟まないプロンプト設計を不可欠としています。次に、表現への配慮です。特にAI面談において、強い言葉やレッテルを貼るような断定的な表現は絶対にあってはなりません。受け取り方によっては人を傷つける可能性があるため、表現を柔らかくするなど、出力に厳しい制限をかけています

個人情報の保護も当然重要です。AIに渡す情報は必要最低限に留め、個人が特定できるような具体的すぎる表現は伏字にするなど、どのレベルの情報を渡すかを慎重に判断しています。そして最も重要だと考えているのが、評価軸の透明性です。AIの評価がブラックボックスにならないよう、利用者である企業様に対して「AIがこういう観点で判断するようにプロンプトを組んでいます」と明確に提示し、AIの判断基準について認識のずれが生じないように努めています。

人間の限界を補い、誰もが話しやすい環境を創出する

Q.最後に、このAI面談の技術の価値や魅力を伝えるメッセージをお願いします。

亀山さん: 面談や面接といった、誰かが誰かを判断・評価する場面において、その質を完全に均一に保つことは人間には非常に難しいことです。評価者の経験やその日の体調、あるいは無意識の偏見や先入観に評価が左右されてしまうことは避けられません。そうした人間の限界とも言える部分をAIが代替し、評価のプロセスに「一定の質と評価観点のもとで評価を行う」という客観的なフェーズを一つ挟むことができます。

これこそが、AI面談がもたらす大きな価値です。

また、立場上、人には言いにくい本音もあるかと思います。しかし、相手が人間ではなくAIであれば、そうした心理的な抵抗を感じずに話しやすい環境が作りやすくなります。時代の流れとともに、こうしたAIの価値は今後ますます高まっていくと確信しています。

アルサーガパートナーズについて

会社概要

社名 アルサーガパートナーズ株式会社
代表者 代表取締役会長兼CTO 小俣泰明、代表取締役CEO 渡邉純平
所在地 東京都渋谷区
設立 2016年1月
事業内容 ワンストップDXソリューション事業
ミッション 自由な発想と確かな論理で価値を届ける