AI検索最適化で市場をリード。社内ツール開発の取り組みで年間3,000時間の業務をAIに置き換えた株式会社CINCのAI活用戦略

「マーケティングソリューションで、日本を代表する企業へ。」というビジョンのもと、コンサルティングとテクノロジーを掛け合わせ、AIファーストで事業を展開する株式会社CINC。CINCは現在、生成AI時代の新たな潮流である「AI検索最適化(GEO/LLMO/AIO)」領域に注力し、市場をリードしています。今回は、その最前線で事業を推進するAI戦略部 部長の飯沼さんと、サクセスプロデュース部 シニアスペシャリストの市橋さんに、AI検索最適化サービスの全容から、コンサルタント自らがアプリのモックアップを作成するという先進的な社内AI活用、そしてAIがもたらした驚くべき効果について、詳しくお話を伺いました。

マーケティングのプロ集団が挑む新領域「AI検索最適化」とは

Q. まず、貴社の事業概要の紹介をお願いいたします。

飯沼さん: 株式会社CINCは2014年に創業し、2021年に東証グロース市場に上場しており、ツールやプロダクトを開発・提供するソリューション事業とコンサルティングを軸とするアナリティクス事業を主力としています。また、子会社ではM&A仲介事業も展開しています。私たちは「確信をもつ」「核心をつく」「革新をおこす」という3つの「カクシン」を経営理念とし、クライアントの利益最大化に貢献するプロフェッショナル集団です。

市橋さん: 現在は特に「AI検索最適化」というサービス領域を最優先事項として注力しています。私たちの強みは、コンサルティングという人的支援と、自社開発のツールというテクノロジーを掛け合わせてソリューションを提供している点にあります。

Q. その「AI検索最適化」について、詳しく教えていただけますか。

市橋さん: これまでのSEOは、「検索エンジンにキーワードを入力し、表示された結果の中からページを選択して情報収集を行う」というユーザー行動を踏まえた施策でした。しかし、生成AIの普及以降は、ユーザーがAIと対話しながら情報収集や比較検討を行います。そのため、これからの時代、ユーザーに自社の製品やサービスを知ってもらうには、AIにいかに推奨してもらえるかが極めて重要です。例えば、ユーザーが「安定性のあるランニングシューズは?」とAIに質問し、特定のブランド名だけが回答されたとします。しかし、他のメーカーからすれば「うちにも安定性に優れた製品があるのに」という機会損失が生まれてしまいます。私たちは、企業が本来持つ強みや製品情報をAIに正しく認識してもらうためのお手伝いをしています。具体的には、現状のAIの認識と、企業が望むあるべき姿をデータで可視化し、そのギャップを埋めるための戦略的なコンサルティングを提供しています。メーカー様に限らず、幅広い業界でこの対策の重要性が高まっています。

Q. AIに情報を正しく認識させるには、従来のSEOとは異なるアプローチが必要なのでしょうか。

市橋さん: 従来のSEOと本質的には近いものの、AI検索最適化ならではの考慮したほうが良い点はあります。わかりやすいところでいうと、Googleの検索ロボットは非常に高性能ですが、ChatGPTなどに使われているロボットは、それと比較すると一つ一つのページを熟読するというより、情報の「かたまり」を拾い集めるような動きをします。私のイメージでは、パン食い競走のように、ぶら下がっている情報を猛スピードでつまみ食いしていく感覚です。そのため、情報がテーマごとにひとかたまりに整理され、「このテーマについてはこれ」と明確に分かれていた方が、AIは内容を正確に読み取りやすくなります。AIを意識する場合、こうした情報構造の重要度がSEO以上に高まるのです。ただ、構造化を意識しすぎると人間には読みにくくなることもあるため、最終的にはAIにとっての分かりやすさと、人間にとっての読みやすさ、両方の良いとこ取りをしていくことが理想だと考えています。

また、AI検索最適化は「AIが自社や他社ブランドをどのように認識しているか」を把握し、それをどのように変えていくか検討する取り組みでもあります。PRやプロダクト開発なども含め、幅広い観点から見直す必要があるため、そうした点がマーケティング的に面白いと感じます。

コンサルタントが自らアプリのモックアップを作成。全社で推進する「AIネイティブ化」

Q. AI検索最適化サービスを提供する貴社では、社内でも積極的にAIを活用されているのではないかと思います。具体的な活用事例を教えてください。

市橋さん: いくつかの文脈で活用しています。基本的なチャットAIとの壁打ちに加え、私たちの大きな特徴は、現場のコンサルタントが分析用の社内アプリのモックアップまで作ってしまうことです。以前は、現場が「こんな分析がしたい」という要望をエンジニアに伝え、それをもとにツールを開発していましたが、今では私を含めたコンサルタントがAIで「こういう分析をしたい」という画面イメージまで含めたモックを作り、それを開発チームに渡すことができます。これにより開発効率が劇的に向上し、現場が本当に求めている分析機能を高い精度で実装できるようになりました。また、ドキュメント管理もAI活用を前提としています。案件で得たノウハウをマークダウン形式で蓄積し、他のコンサルタントがそのドキュメントをAIに読み込ませることで、即座にアウトプット作成に活かせるナレッジマネジメント体制を構築しています。

飯沼さん: 全社的な取り組みとしては「AI浸透」を推進しています。ほぼ全社員に高機能なAIの有償アカウントを付与し、活用研修を全社展開することで、社員が「AIネイティブ」に働ける環境を整えています。事業サイドでは、市橋が話したような「アプリ」開発をはじめ、with AIのプロダクト開発や業務実行、そして知見を共有する「ナレッジマネジメント」の2軸で進めています。また、エンジニアが環境構築やAPI開発でコンサルタントを支援する体制も作っています。

年間3,000時間の業務置き換えと品質向上。AI活用がもたらした事業インパクト

Q. こうした先進的なAI活用によって、定性的・定量的にどのような効果が生まれていますか?

飯沼さん: 定量・定性の両面で大きな効果が出ています。定量的な面では、市橋が作成に関わったアプリだけでも月間200時間規模、「CINSOC(シンソク)」と呼ばれる社内ツール開発の取り組みでは年間合計3,000時間程度の業務をAIに置き換えています。

定性的な効果は主に3つあります。1つ目は、業務の標準化と品質向上です。CINCのナレッジをAIで引き出してアウトプットを作成するプロセスができたことで、提案品質の水準がさらに向上しています。2つ目は、思考の深化です。AIとの壁打ちにより思考の精度や幅が広がり、施策の選択肢が増えました。そして3つ目は、これまで不可能だった分析の実現です。数千から数万件に及ぶ非構造化データからインサイトを導き出すような、従来は膨大なコストと専門知識が必要だった分析が、AIによって身近になりました。これにより、ソーシャルメディア上の膨大な投稿から生活者の本音を抽出するなど、提供できる価値が格段に向上しています。

市橋さん: これまで手間がかかってできなかった高度な分析を提案に盛り込めるようになったことで、営業面での受注率向上にも繋がっています。売上や営業利益にもダイレクトに貢献している実感があります。

「顧客の成果に繋がる時間」を最大化する。CINCが描くAI時代の未来

Q. 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

市橋さん: コンサルティングサービスにおいては、「お客様の成果を生むために使える時間を最大化する」ということに尽きます。AI活用を含め改善は進めているものの、お客様の成果に直結しない作業の中でまだ削れるものはあると考えています。これをAI活用によって徹底的に削減し、捻出した時間とエネルギーを「どうすればお客様の成果を出せるか」という本質的な思考にさらに集中させたいです。そのために、時間のかかるパワーポイント作成を半自動化する仕組みを試すなど、さらなる効率化を進めていきます。

飯沼さん: 会社としては、この「AI検索最適化」の領域で、クライアントへの支援をさらに拡大していきたいです。AIに関する情報が玉石混交な現在だからこそ、私たちが最前線で培った最先端のナレッジをもって市場をリードし、クライアントがAI時代に適切な活動を行えるよう伴走していきたいと考えています。そのためにも、市橋が話したようにコンサルタントがお客様の成果に集中できる環境を整え、サービスの高度化を追求し続けます。また、SEO・コンテンツマーケティングツールの「Keywordmap」では、AIライティング機能のほか、ChatGPTやGeminiといった主要な生成AIにおける自社ブランドの言及シェアを可視化する「AI検索結果レポート(β版)」など、AI検索最適化(GEO/LLMO/AIO)を支援する新機能の実装も進んでいます。そして組織としては、今取り組んでいる「AIネイティブ化」をさらに推し進め、このAI時代を勝ち抜く企業として成長していきたい。今の取り組みは、まだ序の口です。

Q. AI検索の重要性を感じつつも、何から手をつければよいか分からない企業も多いかと思います。

市橋さん: はい、そうした企業が非常に多いと感じています。私たちは、まずAIから自社がどう見えているのかを可視化するところからご支援が可能です。また、CINCの祖業であるSEOの専門性と掛け合わせることで、より複合的な対策をご提案することもできます。不安や課題を感じていらっしゃるステージの企業こそ、ぜひ一度ご相談いただければ、AI上で確かなプレゼンスを発揮するためのお手伝いをいたします。