週間生成AIニュース【2026年1月26日-2月1日】

今週のAIニュースを読み解くキーワードは、「仕事の『パートナー』から、業務の中心を担う『OS』への進化」です。

これまでのように単に指示を待つアシスタントではなく、OpenAIの「Prism」は研究者のように文脈を理解して論文執筆を共同で行い、Claudeは多様な業務ツールを自身の上で直接操作可能にしました。ManusはAI自身が専門スキルを学習・実行する「Agent Skills」の統合を発表。
そして今週特に多くのアップデートを発表したGoogleは、Geminiによって面倒な日程調整やブラウザ作業の自動化を推し進めています。

これからは、人間がPCのOS上でアプリを切り替えるように、AIというプラットフォーム上でAIと相談しながら、あるいはAIに任せながら仕事を進めていく。AIが私たちの働き方に深く溶け込み、そのあり方を根底から変えていく、そんな新しい時代の到来を強く予感させる1週間でした。

OpenAI、GPT-5.2を統合した科学論文執筆ワークスペース「Prism」を発表

引用:OpenAI

ニュース概要

OpenAIが、科学論文の執筆と共同作業を効率化するために設計された、新しいAIツール「Prism」を発表しました。このワークスペースには、最新のAIモデルであるGPT-5.2が直接統合されています。
Prismの最大の特徴は、論文執筆に必要なあらゆる作業を一つの場所で完結できる統合ワークスペースであることです。クラウドベースのLaTeX環境を提供するため、利用者はソフトウェアのインストールや面倒な環境設定をすることなく、すぐに論文の下書きやコンパイル、共同作業を始められます。人数無制限でリアルタイムの共同編集が可能で、編集内容は即座にプレビューに反映されます。これにより、バージョンの衝突や手作業での修正といった手間がなくなります。

GPT-5.2を搭載。論文執筆に関するあらゆる作業をサポート

Prismの核となるのが、GPT-5.2による高度なAI支援です。AIは論文プロジェクトの全体像を、過去の下書きや修正履歴まで含めて文脈的に理解します。これに基づき、アイデアの明確化や論理展開の確認を手伝うだけでなく、数式、表、参考文献の更新といった作業を自動化します。さらに、AIによる校正、引用管理(Zoteroと連携可能)、文献検索、さらには画像や音声をコードに変換する多機能なツールも搭載しています。
Prismがもたらす価値は、研究の「効率化」と「アクセシビリティ」の向上にあります。手作業によるフォーマット調整などの時間を大幅に削減し、研究者が本来の研究活動、すなわちアイデアの創出や考察により多くの時間を費やせるよう支援します。加えて、プロジェクト数やコンパイル時間に制限なく、これら全ての機能が無料で提供されるため、研究のハードルが大きく下がり、より多くの人々が高品質な研究を行う機会を得られるようになります。

機能分類 具体的な内容
AIによる高度な執筆支援 GPT-5.2が論文全体の文脈を理解し、アイデアの明確化や論理構成のチェックをサポートします。
面倒な作業の自動化 数式、表、参考文献などをAIが自動で更新。手作業での修正や確認の手間を大幅に削減します。
校正・文献管理 AIによる文章校正、引用管理ツール「Zotero」との連携、関連文献の検索といった機能が組み込まれています。
多様な変換機能 画像や音声を分析し、LaTeXコードに変換することで、論文への挿入作業を効率化します。
研究への集中 フォーマット調整などの雑務から研究者を解放し、本来のアイデア創出や考察といった本質的な活動に集中できる環境を提供します。
完全無料・利用無制限 共同作業者の人数、プロジェクト数、コンパイル時間などに一切制限なし。

AIとの協働による”研究の質”の底上げ

Prismの登場は、研究開発のサイクルを劇的に加速させる可能性を秘めています。これまで論文執筆や体裁の調整に費やされていた膨大な時間が削減され、研究者はより多くの時間をアイデアの創出や実験、考察といった本質的な活動に充てられます。これにより、特にスピードが求められる分野において、イノベーションのペースが格段に向上することが期待されるでしょう。

Prismはこちらから試用することができます。

②Claude、外部ツールとの連携を強化する新インタラクティブ機能を発表

ニュース概要

2026年1月26日、AIアシスタント「Claude」は、外部の業務ツールをClaudeの対話画面内で直接、かつ対話的に操作できる画期的な新機能をリリースしましたこのアップデートにより、ユーザーは複数のアプリケーションタブを切り替える手間なく、AIとの会話の流れの中でシームレスに作業を進め、その内容をリアルタイムで確認しながら共同作業を行うことが可能になります

この機能の最大の特徴は、AIとの関わり方が根本的に変わる点にあります従来は、ユーザーがClaudeに指示を出し、Claudeが裏側でツールを操作する「代理実行」モデルでしたしかし新機能では、ツールの操作画面(インターフェース)がClaude内に直接表示され、ユーザーはAIと一緒に画面を見ながらリアルタイムで操作・編集できる「直接操作・共同作業」モデルへと進化しました

主要な業務ツールと続々連携。今後も連携ツールは増えていく見込み

▼動画はClaudeとCanvaの連携の様子

引用:Claude

この機能の基盤となっているのは「Model Context Protocol (MCP)」というオープンスタンダード(共通規格)です。これは特定の企業に閉じた技術ではなく、MCPの新しい拡張機能「MCP Apps」により、将来的には他の開発者が、Claude以外のAI製品にも同様のインタラクティブ機能を提供できる可能性を秘めています。

現在は全部で9つの外部ツールと連携しています。今後は「Salesforce」との連携も予定されており、対応ツールはさらに拡大していく見込みです

連携しているツール名 ユースケース例
Asana プロジェクトのタイムライン構築やタスク管理ができます。
Figma テキストや画像からフローチャートなどの図を生成できます。
Slack メッセージの下書き、編集、フォーマットされたプレビューの確認ができます。
Amplitude データ分析のチャートを構築し、対話的に操作しながら隠れたトレンドを発見できます。
Box ファイルの検索やドキュメントのプレビュー、その内容に関する質疑応答ができます。
Canva プレゼンテーションのアウトラインを作成し、リアルタイムでデザインを編集できます。
Clay 企業情報の調査や、メールアドレスなどの連絡先データを取得できます。
Hex データに関する質問をすると、対話的に操作できるチャートや表形式で回答を得られます。
monday.com プロジェクト管理、タスクの割り当て、進捗状況の可視化ができます。

働き方の「OS」としての可能性

今回の変更は、AIが単なる「便利な道具」から、PCのOSのようにあらゆる作業の「起点」となる可能性を示しています。これまではツールごとにアプリを切り替えるのが当然でしたが、今後はClaudeのようなAIの画面から動かずに、AIと相談しながら複数のツールを横断して作業を完結させるスタイルが主流になるかもしれません。AIが私たちの「同僚」や「パートナー」に近づいた、大きな一歩と言えるでしょう。

③Manus、AIの専門家化を加速させる機能「Agent Skills」の統合を発表

ニュース概要

Manus AIは、AIエージェントの能力を飛躍的に高めるオープンスタンダード「Agent Skills」を全面的に統合したことを発表しました。この統合により、これまで汎用的なアシスタントであったAIが、法律レビューや財務分析といった、より専門的なタスクを遂行できる「エキスパート」へと進化します。

「Agent Skills」とは、専門知識や定型的な作業手順(ワークフロー)、そして組織内の優れた実践方法(ベストプラクティス)を、再利用可能なファイル形式で保存・共有できる画期的な仕組みです。AIは必要に応じてこれらの「スキル」を自ら発見し、読み込むことで、特定のタスクに特化した能力を発揮できるようになります。このアプローチには、特定の業務にAIを「特化」させることや、一度作成したスキルを何度も「再利用」できること、さらに複数のスキルを組み合わせて複雑な業務を自動化する「構成可能性」といった利点があります。

参考:Manus

Manus AIにおける「Agent Skills」の主な特長

特にManus AIでは、このAgent Skillsを誰でも簡単に利用できる工夫が凝らされています例えば、AIとの対話で成功した一連の作業を、AIに「このワークフローをスキルとしてパッケージ化して」と指示するだけで、自動的にスキルとして保存できますまた、作成されたスキルは安全なクラウド上の仮想環境(サンドボックス)で実行されるため、開発者向けの「Claude Code」がローカルPCで実行されるのとは異なり、セキュリティリスクを心配する必要がありません

Claude CodeでもAgent Skillsを使用することができますが
Manusの特徴は「Web上で利用できる、誰でも簡単に使えるエージェントツール」であり、Claude Codeは「ローカル環境に構築できる、開発者向けの自由なカスタムが効くエージェントツール」である部分が大きな違いです。

ツール Manus Agent Skills Claude Code の Skills
一言でいうと 誰でも使える使いやすいエージェントツール 開発者向けの、自由度高くカスタムができるエージェントツール
思想・目的 業務プロセスの民主化
現場の誰もが業務を自動化できる世界
AI開発の高度化
開発者がAIの能力を自由に拡張できる世界
メインターゲット 非エンジニア エンジニア、開発者
必要な知識 なし
(日常業務の知識があればOK)
プログラミング、開発環境の知識
実行場所 クラウド環境 ローカル環境(PC)
強み 手軽さと安全性
チームでの業務ノウハウ共有
自由度と専門性
高度で複雑なカスタムツールの開発

参考:Manus

プラットフォーム戦略の視点:「オープン化」がもたらす長期的な価値

Manusが「オープンスタンダード」であるAgent Skillsを採用した点は、戦略的に極めて重要です。特定のプラットフォームにユーザーを囲い込むのではなく、誰もがスキルを開発・共有できる「開かれた生態系」の構築を目指しているからです。これにより、多様なサードパーティ製スキルが登場し、プラットフォーム自体の価値が雪だるま式に向上する可能性があります。短期的な利益よりも、長期的な市場全体の成長とそこでの主導権獲得を狙う、巧みな一手と評価できます。

④Googleカレンダー、AI「Gemini」で会議の日程調整を自動化

ニュース概要

Googleは、AIアシスタント「Gemini」をGoogleカレンダーに統合し、会議の日程調整を大幅に効率化する新機能を発表しました。
この機能により、新しい会議の作成時や既存の予定の変更時に、Geminiが参加者のカレンダーを自動で分析します。それぞれのタイムゾーンや勤務時間、すでに埋まっている予定などを考慮し、全員にとって最適な会議時間を複数提案してくれるため、ユーザーは候補から選ぶだけで簡単に日程調整を完了できます。

さらに、複数の出席者から会議への招待を辞退された場合には、Geminiが自動で代替の日時をイベント詳細画面にバナー形式で表示。主催者はワンクリックで予定を更新でき、面倒な再調整の手間を省くことが可能です。
この便利な機能は、Business Standard/Plus、Enterprise Standard/Plusプランの利用者、そしてGoogle AI Pro for Educationアドオンを契約している教育機関で利用できます。

リリースは、Rapid Releaseドメインでは2026年1月26日からすでに提供が開始されており、Scheduled Releaseドメインでは同年2月2日から最大15日間かけて順次展開される予定です。
なお、本機能は管理者とエンドユーザー双方のアカウントでデフォルトで有効になりますが、管理者はヘルプセンターを通じてGemini機能へのアクセスを管理することが可能です。

「日程調整」はAIにおまかせ。調整作業から解放され、より創造的な仕事へ

引用:Google

このアップデートは、多くのビジネスパーソンが日々直面している「日程調整」という時間のかかる作業をAIで解決する、非常に実用的な一歩です。参加者が多い部門横断の会議から、時差のある海外拠点との連携まで、日程調整の複雑さは増すばかりです。
本機能は、そうした国内外の垣根なく発生する調整業務をAIで一貫して解決します。AIが各参加者のタイムゾーンや勤務時間といった制約を客観的に分析し、全員にとって公平で最適な時間を提案してくれるため、担当者が手動で時差を計算したり、特定の誰かに負担が偏らないよう配慮したりする必要がなくなります。
これにより、国内業務では空いた時間をより創造的な活動に充てられ、グローバルな共同作業ではコミュニケーションの速度が向上します。場所を問わず組織全体の生産性を底上げする、まさに現代の多様な働き方に寄り添った機能と言えるでしょう。

⑤Google、ChromeのAIエージェント機能をアップデート。サイドパネルでGeminiへアクセス可能に。

ニュース概要

Googleは、Webブラウザ「Chrome」に、最新AIモデル「Gemini 3」を基盤とする新機能「Gemini in Chrome」を導入することを発表しました。このアップデートは、MacOS、Windows、Chromebook Plusを対象としており、日々のブラウジング体験をよりスマートで効率的なものへと変革することを目指しています。

主な新機能として、まず「サイドパネルでのマルチタスク」が可能になります。これにより、ユーザーは閲覧中のタブを離れることなく、画面の横に常に表示されるサイドパネルでGeminiを利用でき、情報収集や要約、アイデア出しなどを並行して行えるようになります。また、クリエイティブ機能として「Nano Bananaによる画像変換」も搭載。Web上の画像を直接、対話形式で編集・生成できます。

引用:Google

さらに、「Connected Apps(連携アプリ)」によって、Gmail、カレンダー、マップ、フライトといった他のGoogleアプリとの深い連携が実現します。これにより、出張先のフライト検索とカレンダー登録といった、複数のアプリをまたぐ複雑なタスクもGeminiが一度に処理できるようになります。AI ProおよびUltra購読者向けには、複数ステップにわたる面倒な作業をAIが代行する「Chrome auto browse」機能も提供。ホテル予約の比較検討やオンラインフォームへの入力、経費精算などを自動で実行します。

今後の展望としては、ユーザー一人ひとりに最適化された提案を行う「Personal Intelligence」機能の追加が予定されています。これは、過去の対話の文脈を記憶し、ブラウザが単なるツールからユーザーを理解する「パートナー」へと進化することを目指すものです。また、AIエージェントが様々なECサイトでシームレスに買い物を代行できるよう、Googleが業界リーダーと共同開発した新オープンスタンダード「Universal Commerce Protocol (UCP)」にも対応します。

セキュリティ面も重視されており、厳格な基準に基づいて構築されています。特に、購入やSNSへの投稿といった重要な操作の前には、必ずユーザーに確認を求める設計となっており、ユーザーが常にコントロールを維持できる点が強調されています。

個人の文脈を理解する「パートナー」への進化

Googleが掲げる「Personal Intelligence」構想の実現に向けた、大きな一歩と言えるでしょう。ブラウザがユーザーの過去の行動や文脈を理解し、自分専属のAIとしてアシストをしてくれる未来が現実味を帯びてきました。これにより、私たちは指示を出すだけで、複雑なタスクをChromeが片付けてくれるようになります。個人のニーズに深く寄り添う、真にパーソナルなWeb体験の始まりと言えるでしょう。