「ChatGPTを全社で導入したいけど、セキュリティ面が心配…」
「ChatGPT EnterpriseとBusinessプラン、自社にはどちらが合っているんだろう？」
こういった悩みを持っている方もいるのではないでしょうか？
ChatGPT Enterpriseは、大企業向けに提供される最上位プランで、高度なセキュリティと管理機能を備えています。しかし、具体的な機能や料金、Businessプランとの違いが分かりにくく、導入に踏み切れないケースも少なくありません。
本記事では、ChatGPT Enterpriseの概要から料金、Businessプランとの違い、具体的な導入事例までを分かりやすく解説します。
この記事を読めば、あなたの会社に最適なChatGPTの活用方法が見えてくるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
ChatGPT Enterpriseとは？Businessプランとの違いを比較
ChatGPT Enterpriseは、企業のニーズに応えるために設計された特別なプランです。Businessプランや個人向けのPlusプランと比較することで、その特徴がより明確になります。
ここでは、Enterpriseプランの基本的な概要と、他のプランとの違いを比較表で詳しく見ていきましょう。
ChatGPT Enterpriseの概要
ChatGPT Enterpriseは、OpenAIが提供するChatGPTの法人向けプランの中で、特に大規模な組織を対象とした最上位プランです。
企業の機密情報や個人データを扱う上で最も重要となるセキュリティとプライバシー保護を最高レベルで提供します。
また、従業員が円滑に利用するための管理機能や、無制限の高速アクセスなど、全社的な導入をサポートする機能が充実しているのが特徴です。
業務効率化やDX推進を目指す企業にとって、強力なツールとなるでしょう。
企業向けに構築されたフロンティア AI
業界をリードする OpenAI のモデル、製品、専門知識を活用し、企業のデータと連携したエンタープライズグレードの ChatGPT を導入しましょう。
引用元：エンタープライズ向け ChatGPT
【比較表】Business・Plusプランとの主な違い
| 機能項目 | ChatGPT Enterprise | ChatGPT Business | ChatGPT Plus |
| 主な対象 | 大規模な企業 | 個人事業主・中小企業 | 個人 |
| セキュリティ | エンタープライズ級 | ビジネス利用準拠 | 標準 |
| データ利用 | AIの学習に利用されない | AIの学習に利用されない | デフォルトで学習に利用（設定変更可） |
| アクセス速度 | 最速 | 高速 | 標準 |
| 利用制限 | 無制限 | Businessより多い上限 | 制限あり |
| 管理機能 | 高度な管理コンソール、SSO | 管理コンソール | なし |
| 分析機能 | 利用状況ダッシュボード | なし | なし |
| サポート | 専用サポート | 標準サポート | 標準サポート |
| 料金 | 要問い合わせ | 月額 | 月額$20 |
こちらは中小規模チーム向けのChatGPT Team（旧Businessプラン）に関する公式解説です。Enterpriseプランとの機能差を詳しく比較したい方はご参照ください。 https://help.openai.com/en/articles/8792828-what-is-chatgpt-team
ChatGPT Enterpriseの主な特徴
ここからは、ChatGPT Enterpriseが持つ独自の優れた特徴を7つ紹介します。
- 自社のデータを学習に使われない高度なセキュリティ
- GPT-4への無制限・高速アクセス
- 長文のデータも一度に扱えるコンテキストウィンドウ
- 高度なデータ分析機能（旧Advanced Data Analysis）
- 部署やチームで使える共有チャットテンプレート
- ユーザー管理が容易になる管理者コンソールとSSO
- APIクレジットの無料提供
- 導入を支援する専用サポート
これらの特徴を理解することで、Enterpriseプランがなぜ多くの大企業に選ばれるのかが見えてきます。
それでは、1つずつ順に解説します。
自社のデータを学習に使われない高度なセキュリティ
ChatGPT Enterpriseの最大の特徴は、エンタープライズレベルのセキュリティとプライバシー保護です。
入力されたデータや会話内容は、OpenAIのモデル学習に一切使用されません。これにより、企業の機密情報や顧客の個人情報などを扱う際の情報漏洩リスクを大幅に低減できます。
デフォルトでは、ユーザー組織のデータを使用してモデルが学習することはありません。
デフォルトでは、ChatGPT Enterprise、ChatGPT Edu、ChatGPT Business、API プラットフォームのビジネスデータ（入力と出力を含む）は、モデルの学習や改善には使用されません。当社のモデルは、インターネット上で公開されている知識、サードパーティとのパートナーシップを通じて提供されるデータ、当社の研究者が提供または生成する情報に基づいて学習しています。モデルの改善にご協力いただける場合は、API ダッシュボードで明示的にオプトインしてください。
引用元：ビジネスデータのプライバシー、セキュリティ、コンプライアンス | OpenAI
データ転送時および保管時には暗号化（AES-256およびTLS 1.2+）が行われ、さらにSOC 2 Type 2などの第三者認証にも準拠しています。
お客様のデータや入出力内容は安全に保護されています
ChatGPT Enterprise からのデータ (入力と出力) は、決してモデルの学習や改善には使用されません。また、強力な業界標準の暗号化技術を使用してお客様のデータを保護しているので、情報漏洩の心配もありません。これには、静止時の AES-256 暗号化や転送時の TLS 1.2 以上の使用が含まれます。
当社は業界基準および規制を厳格に遵守しています
OpenAI のデータ保護の取り組みは、GDPR や CCPA などのプライバシー法への準拠をサポートしており、CSA STAR、SOC 2 Type 2 Trust Services Criteria、および ISO/IEC 27001、27017、27018、27701 認証に準拠しています。また、お客様が現地のデータ主権要件に準拠できるよう、日本を含む各国のデータレジデンシーも提供しています。
引用元：エンタープライズ向け ChatGPT
これらの厳格なセキュリティ対策により、企業は安心して生成AIを業務に活用することが可能になります。
GPT-4への無制限・高速アクセス
ChatGPT Enterpriseのユーザーは、OpenAIの最も高性能なモデルであるGPT-4に、利用回数の制限なくアクセスできます。
個人向けのPlusプランやBusinessプランでは、一定時間内の利用回数に上限が設けられていますが、Enterpriseプランではこの上限が撤廃されています。
さらに、Businessプランの最大2倍の速度で応答が得られるため、大量のタスクを処理する場合でも待機時間を大幅に短縮し、ストレスなく作業を進めることができます。
これにより、全従業員がいつでも必要な時に最高のパフォーマンスでChatGPTを利用できる環境が実現します。
長文のデータも一度に扱えるコンテキストウィンドウ
ChatGPT Enterpriseでは、一度に処理できるテキスト量（コンテキストウィンドウ）が大幅に拡張されています。
具体的には、最大128,000トークン（日本語で約6〜8万文字）の長文データを一度に入力し、文脈を理解させた上での対話が可能です。
これにより、長い契約書や詳細な技術文書、研究論文などの内容を読み込ませて、要約、分析、質疑応答といった複雑なタスクを高い精度で実行できます。
複数のドキュメントをまたいだ情報整理や、深い洞察を得るための分析業務において、その能力を最大限に発揮します。
高度なデータ分析機能（旧Advanced Data Analysis）
ChatGPT Enterpriseには、プログラムの実行やデータ分析が可能な「高度なデータ分析機能」が標準で搭載されています。
この機能を使えば、CSVやExcelなどのファイルをアップロードするだけで、データの集計、分析、可視化（グラフ作成）などを対話形式で簡単に行うことができます。
例えば、売上データをアップロードして「顧客セグメント別の購入傾向を分析して」と指示するだけで、専門的な知識がなくてもインサイトを得ることが可能です。
データサイエンティストやアナリストでなくても、あらゆる従業員がデータに基づいた意思決定を行えるようになり、組織全体のデータ活用レベルを底上げします。
部署やチームで使える共有チャットテンプレート
ChatGPT Enterpriseでは、業務で頻繁に使うプロンプト（指示文）をテンプレートとして保存し、組織内で共有することができます。
例えば、「プレスリリースの構成案を作成する」「議事録を要約してタスクを洗い出す」といった定型業務のプロンプトをテンプレート化しておくことで、誰でも簡単に質の高いアウトプットを得られるようになります。
これにより、プロンプト作成にかかる時間を削減できるだけでなく、部署やチーム全体で業務の質を標準化し、生産性を向上させることが可能です。
ナレッジ共有を促進し、組織全体のAI活用スキルを底上げする効果も期待できます。
ユーザー管理が容易になる管理者コンソールとSSO
全社的な導入を円滑に進めるための、強力な管理者機能もEnterpriseプランの大きな特徴です。
社内のデータへのアクセスをコントロールできます
ChatGPT Enterprise には、SAML SSO、SCIM プロビジョニング、ロールベースのアクセスコントロールなど、ユーザーとグループの安全な管理のためのエンタープライズグレードの管理ツールを用意されています。管理者は、カスタムロールを作成してグループに適用し、コネクター、プロジェクト、GPT、ウェブ検索などのツールの権限を設定できます。さらに、リアルタイム分析により使用状況も監視できます。
引用元：エンタープライズ向け ChatGPT
専用の管理コンソールを通じて、従業員のアカウントを一元管理し、利用状況をモニタリングできます。誰が、いつ、どの程度利用しているかを把握できるため、導入効果の測定やガバナンス強化に役立ちます。
また、SAMLに対応したシングルサインオン（SSO）を導入することで、従業員は既存の社内システムと同じIDとパスワードで安全にログインできます。
これにより、管理者の負担を軽減しつつ、セキュリティレベルの高い運用を実現します。
APIクレジットの無料提供
ChatGPT Enterpriseを契約すると、自社のアプリケーションやサービスにChatGPTの機能を組み込むためのAPIを、無料で利用できるクレジットが付与されます。
これにより、追加コストなしでAPIの利用を開始し、カスタムソリューションの開発や既存システムとの連携を試すことが可能です。
例えば、社内のチャットボットを高性能化したり、業務システムに文章生成機能を組み込んだりするなど、活用の幅が大きく広がります。
まずはAPIクレジットの範囲内でPoC（概念実証）を行い、その効果を検証した上で本格的な開発に進めることができるため、効率的な投資判断が可能になります。
導入を支援する専用サポート
ChatGPT Enterpriseの契約企業には、OpenAIの専門チームによる優先的なサポートが提供されます。
導入時のオンボーディング支援から、運用に関する技術的な質問、活用方法の相談まで、専任の担当者が手厚くサポートしてくれます。
ベストプラクティス戦略、チュートリアル、ロールベースのコース、エキスパートセッションで、すぐに始められます。対象となるお客様は、導入、学習、変更管理のために実践的なサポートを受けることができます。
引用元：エンタープライズ向け ChatGPT
大規模な組織で生成AIを導入する際には、技術的な課題や従業員への展開方法など、様々なハードルが存在します。
専門家のサポートを受けることで、これらの課題をスムーズに解決し、導入効果を最大化することができます。安心して全社展開を進められる点は、Enterpriseプランならではの大きなメリットです。
ChatGPT Enterpriseの料金プラン
ChatGPT Enterpriseの導入を検討する上で、最も気になるのが料金体系でしょう。ここでは、Enterpriseプランの料金に関する具体的な情報と、その決定要因について解説します。
料金は問い合わせによる個別見積もり
ChatGPT Enterpriseには、Businessプランのような固定の月額料金は設定されていません。
料金は非公開となっており、導入を希望する企業はOpenAIの営業担当者に直接問い合わせ、個別に見積もりを取得する必要があります。
これは、企業の規模、利用する従業員数、想定されるユースケースなどが各社で大きく異なるため、それぞれのニーズに合わせた最適なプランと価格を提示する形式をとっているからです。
公式サイトの問い合わせフォームから連絡することで、導入に向けた具体的な相談を開始できます。
利用人数や用途によって料金は変動
見積もり価格は、いくつかの要因によって変動します。
最も大きな要因は、ライセンスを付与する従業員の数（シート数）です。一般的には、利用人数が多くなるほど、一人あたりの単価は割安になる傾向があります。
また、APIの利用量や、必要となるサポートのレベル、契約期間といった要素も価格に影響します。
一部の報道では「1ユーザーあたり月額60ドル程度」といった目安も伝えられていますが、これはあくまで一例です。自社の具体的な利用計画を基に、正確な見積もりを取得することが重要です。
ChatGPT Enterpriseを導入する3つのメリット
ChatGPT Enterpriseを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、代表的な3つのメリットを解説します。
- 情報検索や資料作成の時間を大幅に削減できる
- 社内に蓄積されたナレッジを有効活用できる
- 全社的な業務効率化とDXを推進できる
これらのメリットを理解し、自社の課題解決にどう繋がるかをイメージしてみましょう。
情報検索や資料作成の時間を大幅に削減できる
従業員は日々、社内規定の確認、過去の資料探し、会議の議事録作成、メール文面の作成など、多くの付帯業務に時間を費やしています。
ChatGPT Enterpriseを活用すれば、これらの作業をAIに任せ、大幅に時間を短縮できます。例えば、膨大な社内ドキュメントから必要な情報を瞬時に探し出したり、会議の音声データから要点をまとめた議事録を自動生成したりすることが可能です。
創出された時間を、より創造的で付加価値の高いコア業務に集中させることで、従業員一人ひとりの生産性を飛躍的に向上させることができます。
社内に蓄積されたナレッジを有効活用できる
多くの企業では、貴重な知識やノウハウが個人のPCや部署内のサーバーに分散し、有効活用されていないという課題を抱えています。
ChatGPT Enterpriseは、これらの社内データを安全な環境で学習させ、対話形式で誰でも簡単にアクセスできる「社内版Google」のようなシステムを構築する基盤となり得ます。
新入社員が過去のプロジェクト資料を簡単に見つけられたり、営業担当者が顧客に合わせた最適な提案事例を瞬時に検索できたりと、組織全体の知識共有が活性化します。
これにより、業務の属人化を防ぎ、組織全体のパフォーマンスを底上げすることが可能です。
全社的な業務効率化とDXを推進できる
ChatGPT Enterpriseの導入は、単なるツール導入に留まらず、企業全体のデジタルトランスフォーメーション（DX）を加速させる起爆剤となります。
マーケティング部門では広告コピーの大量生成、開発部門ではコード生成やレビューの自動化、人事部門では採用候補者のスクリーニングなど、あらゆる部署の業務プロセスを根本から見直し、効率化を図ることができます。
全社的に統一されたAIプラットフォームを導入することで、部門間の連携もスムーズになり、データに基づいた迅速な意思決定が可能になります。
これにより、市場の変化に素早く対応できる、競争力の高い組織体制を構築することに繋がります。
こちらはChatGPT業務活用を事例40選とともに注意点などを解説した記事です。合わせてご覧ください。
【業種別】ChatGPT Enterpriseの導入事例
ChatGPT Enterpriseは、世界中の様々な業界のリーディングカンパニーで導入が進んでいます。ここでは、具体的な導入事例を業種別に紹介します。
【コンサルティング】PwC
世界的なコンサルティングファームであるPwCは、ChatGPT Enterpriseを導入し、コンサルタントの業務効率化を図っています。
複雑な規制文書の分析や、膨大な市場データからのインサイト抽出、クライアントへの提案資料のドラフト作成などに活用されています。
特に、専門知識を要するリサーチ業務にかかる時間を大幅に削減することで、コンサルタントがより戦略的な思考やクライアントとの対話に集中できる環境を整えています。
高度なセキュリティが担保されているため、クライアントの機密情報を扱うコンサルティング業務でも安心して利用できる点が導入の決め手となりました。
こちらはPwCが発表したChatGPT Enterprise導入に関する公式プレスリリースです。世界的なコンサルティングファームの活用事例として参考にご覧ください。 https://www.pwc.com/us/en/about-us/newsroom/press-releases/pwc-us-uk-accelerating-ai-chatgpt-enterprise-adoption.html
【金融・決済】Klarna
スウェーデン発のフィンテック企業Klarnaは、顧客サービスの向上と社内業務の効率化を目的にChatGPT Enterpriseを導入しています。
カスタマーサポート部門では、AIを活用して24時間365日、多言語での問い合わせ対応を実現し、顧客満足度を向上させています。
また、社内では、マーケティングチームがキャンペーンのアイデア出しやSNS投稿文の作成に利用したり、法務チームが契約書のレビューに活用したりと、幅広い部署で業務効率化を実現しています。
金融業界で求められる厳格なデータ管理基準を満たしながら、最新のAI技術をビジネスに活用している好例です。
Klarna社が発表したAIアシスタントによって顧客対応の3分の2を処理したというプレスリリースです。具体的な導入効果や数値について詳しく解説されています。 https://www.klarna.com/international/press/klarna-ai-assistant-handles-two-thirds-of-customer-service-chats-in-its-first-month/
【IT・Webサービス】Zapier
様々なWebサービスを連携させる自動化ツールを提供するZapierは、自社のサービス開発と業務効率化の両面でChatGPT Enterpriseを活用しています。
エンジニアは、コードの生成やデバッグ、技術文書の作成といった開発プロセスにChatGPTを組み込むことで、開発スピードを向上させています。
また、社内のワークフローにChatGPTを連携させ、定型的なコミュニケーションやレポート作成を自動化しています。
自社が提供する「自動化」という価値を、社内でもAIを活用して徹底的に追求することで、生産性の高い組織文化を醸成しています。
【ソフトウェア】Asana
プロジェクト管理ツールを提供するAsanaは、製品開発の加速と社内コミュニケーションの円滑化のためにChatGPT Enterpriseを導入しています。
製品チームは、新機能のアイデア出しやユーザーインターフェースの設計、さらにはヘルプドキュメントの作成などにAIを活用しています。
また、全部門で議事録の要約や翻訳、社内文書の作成などに利用することで、部門間の情報共有をスムーズにし、意思決定の迅速化を図っています。
従業員がより創造的な仕事に集中できる環境を整えることで、製品のイノベーションと組織全体の生産性向上を両立させています。
ChatGPT Enterpriseの導入方法と流れ
ChatGPT Enterpriseの導入は、個人向けプランのようにオンラインで完結するものではなく、いくつかのステップを踏む必要があります。ここでは、導入までの一般的な流れを解説します。
公式サイトから問い合わせ
まず、OpenAIの公式サイトにあるChatGPT Enterpriseのページにアクセスし、「営業担当者に連絡（Contact Sales）」ボタンから問い合わせフォームを開きます。
フォームには、氏名、会社名、メールアドレス、従業員数、国などの基本情報を入力します。
ここで入力した情報をもとに、OpenAIの営業担当者から連絡が入ります。
自社の課題や導入目的などを簡潔に記載しておくと、その後のやり取りがスムーズに進みます。
担当者とのヒアリング・見積もり
問い合わせ後、OpenAIの営業担当者とのオンラインミーティングが設定されます。
このヒアリングでは、自社の現状の課題、ChatGPTを導入したい目的、想定している利用部署や従業員数、具体的なユースケースなどを詳しく伝えます。
担当者は、ヒアリング内容に基づいて、最適なプラン構成や機能、そして導入にかかる費用を算出し、見積もりを提示します。
この段階で、セキュリティ要件やサポート体制など、気になる点はすべて確認しておくことが重要です。
契約・導入準備
提示された見積もり内容に合意すれば、契約手続きに進みます。
契約締結後、OpenAIのサポートチームと連携しながら、導入に向けた準備を開始します。
具体的には、管理者コンソールの設定、SSO（シングルサインオン）の連携、従業員アカウントの登録などを行います。
また、全社に展開する前に、従業員向けの利用ガイドラインの策定や、効果的な使い方を学ぶためのトレーニングセッションの計画などを進めておくと、導入後の活用がスムーズになります。
ChatGPT Enterpriseを利用する際の注意点
ChatGPT Enterpriseは非常に強力なツールですが、企業として利用する上では、いくつか注意すべき点があります。安全かつ効果的に活用するために、以下のポイントを必ず押さえておきましょう。
機密情報や個人情報の入力は慎重に
ChatGPT Enterpriseは、入力されたデータがAIの学習に使われない高いセキュリティを誇りますが、それでもなお、情報の取り扱いには細心の注意が必要です。
社内のルールとして、どのレベルの機密情報まで入力して良いか、どのような形で情報をマスキング（匿名化）すべきかといった明確なガイドラインを策定し、全従業員に周知徹底することが不可欠です。
万が一の事態を防ぐためにも、特に重要な経営情報や取引先の未公開情報、個人情報などの入力は、慎重に判断する必要があります。
生成された情報の正確性は必ず確認する
ChatGPTをはじめとする生成AIは、時に誤った情報や、文脈に合わない内容を生成すること（ハルシネーション）があります。
AIが生成した情報を鵜呑みにせず、特に重要な意思決定や外部への発信に利用する際には、必ず人間の目で内容を検証し、ファクトチェックを行うプロセスを業務フローに組み込むことが重要です。
AIはあくまで優秀なアシスタントであり、最終的な判断と責任は人間が負うという意識を全従業員が持つことが、リスク管理の観点から不可欠です。
こちらは米国国立標準技術研究所（NIST）が策定した「AIリスクマネジメントフレームワーク」です。
著作権を侵害しない使い方を徹底する
ChatGPTが生成した文章や画像などのコンテンツは、学習データに含まれる既存の著作物の影響を受けている可能性があります。
生成されたコンテンツを商用利用する際には、意図せず第三者の著作権を侵害してしまうリスクがないか、慎重に確認する必要があります。
特に、特定の作風やブランドイメージを模倣するような指示は避けるべきです。
社内で著作権に関するリテラシー教育を実施し、生成AIの適切な利用方法について全従業員の理解を深めることが、法的なトラブルを未然に防ぐ上で重要となります。
こちらでは著作権問題について、リスクや商用利用時の注意点を詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
ChatGPT Enterpriseに関するよくある質問
ここでは、ChatGPT Enterpriseの導入を検討している企業からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
無料トライアルはありますか？
2025年10月現在、ChatGPT Enterpriseの公式な無料トライアルプログラムは提供されていません。
導入を検討する際は、OpenAIの営業担当者とのヒアリングを通じて、機能デモを依頼したり、特定の部署での小規模な有償トライアル（PoC）が可能か相談したりするのが一般的です。
実際の利用環境に近い形で効果を検証したい場合は、まずBusinessプランで試してから、Enterpriseへのアップグレードを検討するのも有効な手段です。
最低利用人数はありますか？
ChatGPT Enterpriseは大規模組織向けに設計されているため、導入には最低利用人数（シート数）の条件が設けられていることが一般的です。
公式に最低人数は明言されていませんが、これまでの報道や導入事例から、一般的に150ユーザー以上が対象とされています。
ただし、企業の状況や将来的な拡大計画によっては、より少ない人数からでも相談に応じてもらえる可能性があります。
正確な情報については、OpenAIの営業担当者に直接問い合わせて確認することをお勧めします。
Businessプランからのアップグレードは可能ですか？
はい、現在ChatGPT Businessプランを利用している企業は、Enterpriseプランにアップグレードすることが可能です。
すでにBusinessプランでワークスペースを構築し、チームメンバーが利用している場合でも、既存の環境やデータを引き継ぎながらシームレスに移行できます。
まずはBusinessプランでスモールスタートし、社内での活用が広がり、より高度な管理機能やセキュリティが必要になった段階でEnterpriseへのアップグレードを検討するという進め方は、多くの企業にとって現実的で効果的な導入戦略と言えるでしょう。
ChatGPT導入で失敗する企業と成功する企業、その分かれ道はプラン選定にあり
ChatGPTの全社導入を検討する企業が増える一方、プラン選定の誤りで「高額な投資が無駄になった」「情報漏洩リスクを抱えてしまった」という声も少なくありません。実は、企業の規模や目的に合わないプランを選ぶことは、ツールの性能を半減させるだけでなく、重大なセキュリティインシデントに繋がる危険性を孕んでいます。OpenAIの公式発表でも、法人利用におけるデータの取り扱いには明確な違いが示されており、個人向けプランをセキュリティ要件の厳しい大企業が利用した場合、従業員が入力した機密情報が意図せずAIの学習データとして利用されるリスクがゼロではありません。
では、成功する企業は何が違うのか。答えはシンプルです。彼らはChatGPTを単なる「文章作成ツール」ではなく、「組織全体の生産性を向上させる経営インフラ」と捉え、セキュリティと管理体制が保証されたプランを選択しています。ChatGPT Enterpriseは、入力データを学習に利用しないことを確約し、従業員のアカウントを一元管理できるため、情報システム部門のガバナンスを維持しながら、全社で安全にAIの恩恵を受けることを可能にします。
引用元：
OpenAIの公式ブログによると、ChatGPT EnterpriseはSOC 2 Type 2に準拠し、転送中および保存中のデータを暗号化するなど、エンタープライズグレードのセキュリティを提供します。(OpenAI. “Introducing ChatGPT Enterprise.” 2023年)
まとめ
企業は全社的な業務効率化やDX推進の課題を抱える中で、生成AIの活用がその切り札として注目されています。
しかし、実際には「どのプランを選べばいいかわからない」「全社導入のセキュリティが心配」「従業員が使いこなせるか不安」といった理由で、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、Taskhub です。
Taskhubは日本初のアプリ型インターフェースを採用し、200種類以上の実用的なAIタスクをパッケージ化した生成AI活用プラットフォームです。
たとえば、メール作成や議事録作成、画像からの文字起こし、さらにレポート自動生成など、さまざまな業務を「アプリ」として選ぶだけで、誰でも直感的にAIを活用できます。
しかも、Azure OpenAI Serviceを基盤にしているため、データセキュリティが万全で、情報漏えいの心配もありません。
さらに、AIコンサルタントによる手厚い導入サポートがあるため、「何をどう使えばいいのかわからない」という初心者企業でも安心してスタートできます。
導入後すぐに効果を実感できる設計なので、複雑なプログラミングや高度なAI知識がなくても、すぐに業務効率化が図れる点が大きな魅力です。
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