「衛生委員会の議事録を作成するよう言われたが、何を書けばいいかわからない」
「議事録のフォーマットを探しているが、法律の要件を満たしているか不安だ」
「作成後の議事録の保管や周知について、正しい方法を知りたい」
こういった悩みや疑問を持っている担当者の方も多いのではないでしょうか?
衛生委員会の議事録作成は、法律で定められた企業の義務であり、単なる会議録以上の重要な意味を持ちます。
本記事では、衛生委員会の議事録がなぜ必要なのかという法的根拠から、具体的な必須記載項目、すぐに使えるフォーマット(テンプレート)の考え方、そして作成後の保管・周知の義務までを網羅的に解説します。
こちらはChatGPTで議事録を作成する方法について解説した記事です。 合わせてご覧ください。
労働基準監督署の調査(臨検)でも必ずチェックされるポイントですので、ぜひ最後までご覧いただき、適切な運用にお役立てください。
衛生委員会の議事録とは?作成は法律上の義務
衛生委員会の議事録は、委員会で審議された内容を記録する公式な文書です。
そして、この議事録を作成し、適切に管理することは「労働安全衛生規則」によって定められた事業者の義務です。
まずは、議事録の前提となる衛生委員会の役割と、議事録に関する法律上の義務について解説します。
そもそも衛生委員会とは?(設置基準・構成メンバー)
衛生委員会とは、労働者の健康障害の防止や健康の保持増進に関する対策などを、労使一体となって調査審議するための場です。
労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場では、業種を問わず設置が義務付けられています。
こちらは、ドイツ連邦労働安全衛生研究所(BAuA)によるOSH委員会(衛生委員会に相当)の解説です。ドイツでは従業員20名以上で設置が義務付けられており、各国の基準比較の参考になります。合わせてご覧ください。 https://www.baua.de/EN/Topics/Work-design/Working-organisation/OSH-Organisation
また、委員会は「毎月1回以上」開催する必要があります。
委員会の主な構成メンバーは以下の通りです。
- 議長(1名):総括安全衛生管理者、または事業の実施を統括管理する者など
- 産業医:事業者が指名した者
- 衛生管理者:事業者が指名した者
- 労働者側の委員:労働者の過半数を代表する者などの推薦に基づき指名する者
これらのメンバーで、職場の衛生(健康)に関する重要事項を話し合います。
もし設置や開催の義務を怠った場合、労働安全衛生法違反として50万円以下の罰金が科される可能性もあります。
議事録の作成と保管・周知はなぜ義務なのか
衛生委員会の開催後、その内容を議事録として記録することは、法律(労働安全衛生規則 第23条)で明確に義務付けられています。
こちらは、衛生委員会の議事録に関する作成・保管・周知義務を定めた労働安全衛生規則(第23条)の条文です。合わせてご覧ください。 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=347M50002000032
この義務には「作成」「保管」「周知」の3つの側面があります。
第一に、開催の都度、議事で重要なものを記録として「作成」しなくてはなりません。
第二に、作成した議事録は「3年間」適切に「保管」する義務があります。
第三に、議事の概要を全労働者に「周知」する義務があります。
これらが義務化されているのは、委員会での審議内容を全従業員に共有し、職場全体の安全衛生意識を高めるとともに、決定した対策を確実に実行するためです。
また、労働基準監督署の調査(臨検)が入った際には、これらの義務が果たされているかを確認するため、議事録の提出を求められます。議事録は、企業が適切に安全配慮義務を果たしているかを示す証拠資料となるのです。
【今すぐ使える】衛生委員会の議事録フォーマット・テンプレート
ここからは、衛生委員会の議事録作成にすぐに使えるフォーマットやテンプレートについて、そのポイントを解説します。
法律で定められた必須項目(後述)さえ満たしていれば、特定の様式が強制されているわけではありません。
自社の運用に合った形式を選びましょう。
【厚労省様式例準拠】Wordテンプレート
厚生労働省の様式例などを参考にした、最も標準的なフォーマットです。
こちらは、労働者健康安全機構(JOHAS)が提供する、厚生労働省様式例に準拠した議事録フォーマット(Word)です。合わせてご覧ください。 https://www.johas.go.jp/Portals/0/data0/sanpo/manual/5_gizirokuformat.docx
Word形式は、文章での詳細な議論の内容や、産業医からの指導内容を具体的に記述しやすいメリットがあります。
記載項目としては、開催日時、場所、出席者といった基本情報に加え、「(議題1)〇〇について」といった形で審議事項を立て、その「議論の概要」と「決定事項」を分けて記載する形式が一般的です。
特に、なぜその決定に至ったのかというプロセスを記録に残したい場合や、産業医の衛生講話の内容を詳細に共有したい場合に適しています。
初めて議事録を作成する場合は、まずこのWord形式の標準フォーマットをベースに、自社に必要な項目を足したり引いたりして調整するのが良いでしょう。
【シンプル】Excelテンプレート
Excelテンプレートは、毎月の開催状況を一覧で管理しやすい点がメリットです。
項目(開催日時、出席者、議題、決定事項など)を列に設定し、開催回ごとに行で管理していく形式が考えられます。
特に、長時間労働者の人数、休職者数、産業医面談の実施状況など、毎月定点観測する数値を記録・管理するのに便利です。
議論の概要を長文で記載するには不向きな場合もありますが、審議結果と決定事項を端的に記録し、時系列でデータを蓄積したい場合にはExcelが適しています。
出席者の出欠管理も、○×をつけるだけで簡単に記録できるため、事務局の作業効率が上がる可能性もあります。
無料テンプレートがダウンロードできるサイト
インターネット上では、社会保険労務士事務所や産業保健サービスを提供する企業などが、衛生委員会の議事録用の無料テンプレート(WordやExcel)を配布していることが多くあります。
これらを活用するのも一つの手です。
ただし、ダウンロードする際は、そのテンプレートが最新の法令に対応しているか、自社に必要な項目が網羅されているかを確認する必要があります。
特に「産業医の意見」欄や「周知の方法」の記載欄など、法律で求められるポイントが漏れていないかをチェックしましょう。
複数のテンプレートを比較検討し、自社の運用に最も合うものを選ぶか、良い部分を組み合わせてオリジナルのフォーマットを作成することをおすすめします。
衛生委員会の議事録に必須の記載項目と書き方
衛生委員会の議事録を作成する上で、法律の要件を満たし、かつ実効性のある記録とするためには、含めるべき必須の項目があります。
ここでは、議事録に最低限記載すべき5つの項目とその書き方について解説します。
1. 開催日時と場所
「いつ」「どこで」委員会が開催されたかを明記します。
日時は「2025年11月12日(水) 14:00~15:00」のように、年月日と開始・終了時刻まで正確に記載します。
これは、労働安全衛生規則で定められた「毎月1回以上」の開催義務を果たしていることを証明するための重要な情報です。
場所についても、「本社 5階 A会議室」や「Web会議システム(Zoom)」など、具体的に記載します。
オンラインで開催した場合は、その旨を明記しておくことで、近年の多様な働き方に対応した開催実績として記録できます。
2. 出席者(委員の氏名・役職)
「誰が」委員会に参加したかを記録します。
議長、産業医、衛生管理者、労働者側委員など、法で定められた構成メンバーが適切に参加しているかを示すために重要です。
氏名だけでなく、「(議長)」「(産業医)」「(衛生管理者)」「(労働者代表)」といった役職や立場も併記します。
また、出席者と併せて欠席者も明記することが望ましいです。
特に産業医や衛生管理者といったキーパーソンが欠席した場合は、その理由や、議事録を後日確認してもらう予定であることなどを補記しておくと、より丁寧な運用記録となります。
3. 審議事項(議題)と議論の概要
「何を」話し合ったのか、議事録の核心部分です。
労働安全衛生規則では「委員会における議事で重要なもの」を記録するよう定められています。
具体的には、以下のような議題が挙げられます。
- 長時間労働の状況と対策
- メンタルヘルス不調者の状況と対策
- 健康診断の結果と事後措置の状況
- 産業医や衛生管理者による職場巡視の結果報告
- 季節性(熱中症、インフルエンザなど)の健康対策
- 労働災害の発生状況と再発防止策
これらの議題に対し、どのような意見が出され、どのような議論が行われたのか、その概要を客観的に記録します。
こちらは、厚生労働省による最新の労働安全衛生調査(令和5年)の概況です。衛生委員会でのメンタルヘルス対策の審議状況など、国内の動向を把握する参考になります。合わせてご覧ください。 https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/r05-46-50_gaikyo.pdf
4. 決定事項と今後の対策
議論の結果、「何を」「いつまでに」「誰が」実行するのかを明確にします。
審議しただけで終わらせず、具体的な行動に移すための「決定事項」や「今後の対策」を記載することが、衛生委員会を実効性のあるものにするために不可欠です。
例えば、「熱中症対策として、経口補水液を各作業所に設置する(〇月〇日までに総務部が実施)」といった形で、具体的なアクションプランを明記します。
この項目が明確であれば、次回の委員会で進捗状況を確認する際の基礎資料にもなります。
5. 産業医からの意見・指導(ある場合)
産業医が出席している場合、専門的な立場からの意見、指導、または衛生講話(ミニセミナー)が行われることがあります。
これらの内容は、職場の健康管理を進める上で非常に重要な情報源です。
例えば、「今月の職場巡視では、〇〇部署の照度が低い点が気になったため、改善を推奨する」といった具体的な指摘や、「冬場に向けた感染症対策について」といった衛生講話の概要などを記録します。
産業医の専門的見解を議事録に残すことで、会社としてその意見をどのように受け止め、対策に活かしたかを後から検証できるようになります。
【義務】議事録の保管期間は「3年間」
衛生委員会の議事録は、作成して終わりではありません。法律で定められた期間、適切に保管する義務があります。
この保管義務は、労働安全衛生規則によって明確に規定されています。
法的根拠(労働安全衛生規則)
議事録の保管義務は、労働安全衛生規則 第23条 第4項に定められています。
「事業者は、委員会における議事で重要なものに係る記録を作成して、これを三年間保存しなければならない。」
この「3年間」という期間は、起算日(いつから数え始めるか)についても注意が必要です。一般的には、その議事録が作成された日(=委員会が開催された日)から3年間となります。
労働基準監督署の調査(臨検)では、この3年分の議事録の提出を求められることが一般的です。
保管がなされていない、または期間が不足している場合、法律違反として是正勧告を受ける可能性があります。
こちらは、カナダ労働安全衛生センター(CCOHS)による議事録の実務ガイダンスです。カナダでは最低2年間の保管が推奨されており、日本の「3年間」と比較する参考資料となります。合わせてご覧ください。 https://www.ccohs.ca/oshanswers/hsprograms/hscommittees/creation.html
紙とデータ、どちらで保管すべきか
保管方法については、紙(書面)である必要はなく、電子データでの保管も認められています。
労働安全衛生規則では、電子データでの保存(磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物)も許可されています。
紙で保管する場合、開催日順にファイリングし、キャビネットなどで施錠管理するのが一般的です。
データで保管する場合、社内の共有サーバーやクラウドストレージなどを活用します。
ただし、データで保管する場合は、改ざん防止の措置(アクセス権限の管理など)や、必要な時にすぐに検索・印刷できる状態にしておくことが重要です。
どちらの方法であっても、担当者の異動があっても引き継ぎができるよう、保管場所やルールを明確にしておくことが求められます。
【義務】議事録の「周知」具体的な方法
議事録は、保管するだけでなく、その内容を従業員に「周知」することまでが法律上の義務です。
委員会で話し合われた内容を全社で共有し、職場全体の安全衛生意識を向上させることが目的です。
なぜ従業員への周知が必要なのか
周知の義務は、労働安全衛生規則 第23条 第3項に定められています。
こちらは、議事録の具体的な周知方法や産業医の確認の重要性について触れた厚生労働省の通達(平成18年)に関する解説資料です。合わせてご覧ください。 https://cranenet.or.jp/hourei/h180224-003.html
「事業者は、委員会の開催の都度、遅滞なく、委員会における議事の概要を次に掲げるいずれかの方法によつて労働者に周知させなければならない。」
衛生委員会は、一部の委員だけで完結するものではありません。
そこで審議された職場の健康課題や決定された対策を、全従業員が「知る」ことで、初めて実効性のある取り組みとなります。
例えば、メンタルヘルス対策の新しい窓口が設置されたことや、熱中症対策のルールが決められたことなどを知らなければ、従業員はそれを活用したり守ったりすることができません。
議事録の周知は、決定事項を現場に浸透させ、安全で健康な職場を維持するために不可欠なプロセスなのです。
こちらは、英国の安全衛生庁(HSE)による安全衛生委員会のガイダンスです。イギリスにおいても、議事録の「全労働者へのアクセス可能性(accessibility for all workers)」が重視されています。合わせてご覧ください。 https://www.hse.gov.uk/involvement/consult/hscommittees.htm
周知の具体的な方法(社内掲示・メール・イントラネット)
法律で認められている具体的な周知方法は、以下の3つです。
- 常時各作業場の見やすい場所に掲示し、又は備え付けること最も古くからある方法で、食堂や休憩室、事務所の掲示板などに議事録(またはその概要)を物理的に貼り出す方法です。
- 書面を労働者に交付すること議事録のコピーを従業員一人ひとりに配布する方法です。コストはかかりますが、確実に手元に届けることができます。
- 電子データで記録し、各作業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること現代のオフィスでは最も一般的な方法です。社内イントラネット(ポータルサイト)への掲載、全従業員へのメールでの送付、共有フォルダへの格納などがこれに該当します。
自社の就業形態(オフィスワーク、工場勤務、テレワークなど)に応じて、すべての従業員が最も確認しやすい方法を選択することが重要です。
労基署はここを見る!議事録作成・運用の注意点
衛生委員会の議事録は、労働基準監督署(労基署)による調査(臨検)において、必ず確認される重要書類の一つです。
形式的な作成・運用に留まっていると、調査で思わぬ指摘を受ける可能性があります。
労働基準監督署の調査(臨検)で確認されるポイント
労基署の監督官が議事録を確認する際、主に以下の点をチェックしています。
- 開催頻度:毎月1回以上、定期的に開催されているか(開催日時で確認)
- 構成メンバー:産業医、衛生管理者、労働者代表など、法定のメンバーが出席しているか(出席者欄で確認)
- 審議内容:形式的な報告だけでなく、長時間労働対策やメンタルヘルス対策など、実質的な審議が行われているか(審議事項欄で確認)
- 産業医の関与:産業医が参加し、専門的な意見を述べているか(産業医の意見欄で確認)
- 保管義務:3年分の議事録が適切に保管されているか
- 周知義務:議事の概要が従業員に周知されているか(周知方法の確認)
特に、毎月の開催実績と3年間の保管は最低限のラインです。その上で、審議内容が実態伴ったものであるかが重視されます。
議事録がない・不備がある場合のリスク
もし労働基準監督署の調査で、議事録が存在しない、3年分保管されていない、あるいは内容が著しく不十分であると判断された場合、いくつかのリスクが生じます。
最大のリスクは、労働安全衛生法違反として「是正勧告」を受けることです。
法律で定められた義務(開催、記録、保管、周知)を果たしていないと指摘され、期限を定めて改善を求められます。
悪質な場合や、再三の指導に従わない場合は、50万円以下の罰金という罰則が適用される可能性もゼロではありません。
また、議事録の不備は、企業が従業員の健康や安全に配慮する「安全配慮義務」を果たしていないと見なされる一因にもなり得ます。
万が一、労働災害や過労による健康問題が発生した際に、適切な審議を行っていなかったと判断されれば、企業の法的責任が重く問われる可能性もあります。
衛生委員会の議事録に関するよくある質問
最後に、衛生委員会の議事録に関して、担当者からよく寄せられる質問について回答します。
適切な運用を行うための参考にしてください。
産業医の署名や押印は必須ですか?
結論から言うと、法令上、衛生委員会の議事録に産業医の署名や押印は義務付けられていません。
これは議長や他の委員についても同様です。
2020年の法改正により、健康診断個人票など、他の多くの安全衛生関連書類でも医師の押印が不要となりました。
ただし、法的な義務はなくとも、議事録の内容、特に産業医の指導・助言内容について、産業医本人が確認した証として、署名や押印(または電子署名)をもらう運用にしている企業もあります。
これは、議事録の信頼性や客観性を高めるために有効な手段です。
産業医が委員会を欠席した場合は、議事録を後日回覧し、内容を確認してもらった上で、何らかの形で(メールでの返信などでも可)確認の記録を残しておくことが望ましいでしょう。
議事録は毎月作成する必要がありますか?
はい、毎月作成する必要があります。
これは、労働安全衛生規則で衛生委員会を「毎月1回以上開催する」義務があり、かつ、委員会の開催の都度「議事録を作成する」義務があるためです。
したがって、委員会を毎月開催し、その都度議事録を作成・保管・周知することが一連の法的な義務となります。
「2ヶ月分をまとめて作成する」といった運用は認められません。
たとえ審議事項が少なかった月であっても、開催した事実と審議内容を記録として残すことが重要です。
欠席者がいた場合はどう記載しますか?
議事録の「出席者」欄に、出席した委員の氏名・役職を記載するとともに、欠席した委員についても氏名・役職と「(欠席)」と明記することが一般的です。
特に、産業医、衛生管理者、議長といった委員会の運営上、重要な役割を担うメンバーが欠席した場合は、その旨を明確に記録しておくべきです。
可能であれば、欠席の理由(例:「〇〇(産業医) – 公務のため欠席」)を簡潔に記載することも有効です。
また、重要な欠席者には、後日議事録を回覧し、内容の確認と意見をもらうといったフォローアップを行うことが、委員会の実効性を担保する上で望ましい対応と言えます。
あなたの脳はサボってる?ChatGPTで「賢くなる人」と「思考停止する人」の決定的違い
ChatGPTを毎日使っているあなた、その使い方で本当に「賢く」なっていますか?実は、使い方を間違えると、私たちの脳はどんどん“怠け者”になってしまうかもしれません。マサチューセッツ工科大学(MIT)の衝撃的な研究がそれを裏付けています。しかし、ご安心ください。東京大学などのトップ研究機関では、ChatGPTを「最強の思考ツール」として使いこなし、能力を向上させる方法が実践されています。この記事では、「思考停止する人」と「賢くなる人」の分かれ道を、最新の研究結果と具体的なテクニックを交えながら、どこよりも分かりやすく解説します。
【警告】ChatGPTはあなたの「脳をサボらせる」かもしれない
「ChatGPTに任せれば、頭を使わなくて済む」——。もしそう思っていたら、少し危険なサインです。MITの研究によると、ChatGPTを使って文章を作った人は、自力で考えた人に比べて脳の活動が半分以下に低下することがわかりました。
これは、脳が考えることをAIに丸投げしてしまう「思考の外部委託」が起きている証拠です。この状態が続くと、次のようなリスクが考えられます。
- 深く考える力が衰える: AIの答えを鵜呑みにし、「本当にそうかな?」と疑う力が鈍る。
- 記憶が定着しなくなる: 楽して得た情報は、脳に残りづらい。
- アイデアが湧かなくなる: 脳が「省エネモード」に慣れてしまい、自ら発想する力が弱まる。
便利なツールに頼るうち、気づかぬ間に、本来持っていたはずの「考える力」が失われていく可能性があるのです。
引用元:
MITの研究者たちは、大規模言語モデル(LLM)が人間の認知プロセスに与える影響について調査しました。その結果、LLM支援のライティングタスクでは、人間の脳内の認知活動が大幅に低下することが示されました。(Shmidman, A., Sciacca, B., et al. “Does the use of large language models affect human cognition?” 2024年)
【実践】AIを「脳のジム」に変える東大式の使い方
では、「賢くなる人」はChatGPTをどう使っているのでしょうか?答えはシンプルです。彼らはAIを「答えを出す機械」ではなく、「思考を鍛えるパートナー」として利用しています。ここでは、誰でも今日から真似できる3つの「賢い」使い方をご紹介します。
使い方①:最強の「壁打ち相手」にする
自分の考えを深めるには、反論や別の視点が不可欠です。そこで、ChatGPTをあえて「反対意見を言うパートナー」に設定しましょう。
魔法のプロンプト例:
「(あなたの意見や企画)について、あなたが優秀なコンサルタントだったら、どんな弱点を指摘しますか?最も鋭い反論を3つ挙げてください。」
これにより、一人では気づけなかった思考の穴を発見し、より強固な論理を組み立てる力が鍛えられます。
使い方②:あえて「無知な生徒」として教える
自分が本当にテーマを理解しているか試したければ、誰かに説明してみるのが一番です。ChatGPTを「何も知らない生徒役」にして、あなたが先生になってみましょう。
魔法のプロンプト例:
「今から『(あなたが学びたいテーマ)』について説明します。あなたは専門知識のない高校生だと思って、私の説明で少しでも分かりにくい部分があったら、遠慮なく質問してください。」
AIからの素朴な質問に答えることで、自分の理解度の甘い部分が明確になり、知識が驚くほど整理されます。
使い方③:アイデアを無限に生み出す「触媒」にする
ゼロから「面白いアイデアを出して」と頼むのは、思考停止への第一歩です。そうではなく、自分のアイデアの“種”をAIに投げかけ、化学反応を起こさせるのです。
魔法のプロンプト例:
「『(テーマ)』について考えています。キーワードは『A』『B』『C』です。これらの要素を組み合わせて、今までにない斬新な企画の切り口を5つ提案してください。」
AIが提案した意外な組み合わせをヒントに、最終的なアイデアに磨きをかけるのはあなた自身です。これにより、発想力が刺激され、創造性が大きく向上します。
まとめ
企業は労働力不足や業務効率化の課題を抱える中で、生成AIの活用がDX推進や業務改善の切り札として注目されています。
しかし、実際には「どこから手を付ければいいかわからない」「社内にAIリテラシーを持つ人材がいない」といった理由で、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、Taskhub です。
Taskhubは日本初のアプリ型インターフェースを採用し、200種類以上の実用的なAIタスクをパッケージ化した生成AI活用プラットフォームです。
たとえば、メール作成や議事録作成、画像からの文字起こし、さらにレポート自動生成など、さまざまな業務を「アプリ」として選ぶだけで、誰でも直感的にAIを活用できます。
しかも、Azure OpenAI Serviceを基盤にしているため、データセキュリティが万全で、情報漏えいの心配もありません。
さらに、AIコンサルタントによる手厚い導入サポートがあるため、「何をどう使えばいいのかわからない」という初心者企業でも安心してスタートできます。
導入後すぐに効果を実感できる設計なので、複雑なプログラミングや高度なAI知識がなくても、すぐに業務効率化が図れる点が大きな魅力です。
まずは、Taskhubの活用事例や機能を詳しくまとめた【サービス概要資料】を無料でダウンロードしてください。
Taskhubで“最速の生成AI活用”を体験し、御社のDXを一気に加速させましょう。


