「紙の請求書やアンケートのデータ入力に、毎日何時間も費やしている」
「OCRツールを導入したいけれど、種類が多すぎてどれが自社に合うのか分からない」
「以前、無料のOCRを使ったことがあるけれど、文字認識の精度が低くて結局手直しが必要だった」
業務効率化のためにデジタル化が進む中、このような悩みを抱えている担当者の方は多いのではないでしょうか?
OCR(光学文字認識)技術は近年、AI(人工知能)の搭載によって飛躍的な進化を遂げています。かつては誤読が多かった手書き文字や、フォーマットがバラバラな非定型帳票でも、最新のAI OCRなら人間と同等以上の精度で読み取りが可能です。しかし、ツールによって「手書きに強い」「コストが安い」「セキュリティが堅牢」など、特徴は大きく異なります。
こちらは日本のOCR市場規模と将来予測について調査したレポートです。市場の成長性について合わせてご覧ください。 https://www.grandviewresearch.com/horizon/outlook/optical-character-recognition-market/japan
本記事では、SEOと業務ツールの専門家である筆者が、最新のOCRツール50選を徹底比較しました。
AI型と従来型の違いから、失敗しない選び方のポイント、そして目的別のおすすめツールまで、網羅的に解説します。自社の課題に最適なOCRツールが見つかるはずですので、ぜひ導入検討の参考にしてください。
OCR比較の前に知っておくべき「AI OCR」と「従来型」の違い
OCR製品の比較を始める前に、まずは「AI OCR」と「従来型OCR」の決定的な違いを理解しておくことが重要です。
ここを理解していないと、せっかく導入したのに「思ったより精度が低い」「設定が面倒で使われない」といった失敗に繋がりかねません。
AI技術の有無が、読み取り精度と運用工数にどのような影響を与えるのか、その仕組みと特徴を3つの観点で解説します。
こちらはAI型OCRと従来型OCRの機能的な違いや、柔軟性の差について詳しく解説した記事です。 合わせてご覧ください。 https://www.ascendsoftware.com/blog/understanding-the-differences-between-ai-and-ocr
なぜ「AI OCR」は精度が高いのか?機械学習と識字率の仕組み
AI OCRが従来型と比べて圧倒的に精度が高い理由は、ディープラーニング(深層学習)をはじめとする機械学習技術が搭載されているからです。
従来型のOCRは、あらかじめ登録されたフォントやパターンと画像を照らし合わせて文字を特定していました。そのため、少しでも文字が崩れていたり、登録されていないフォントだったりすると、認識率が著しく低下するという課題がありました。
一方でAI OCRは、膨大な文字データを学習しています。
人間が文字を読むときのように、前後の文脈から文字を推測したり、崩れた文字の特徴を掴んで正解を導き出したりすることが可能です。
例えば、「日」と「目」のような似た漢字や、カスレて途切れた数字であっても、AIが学習データに基づいて補正を行うため、99%以上の高い識字率を実現する製品も増えています。使えば使うほど学習して賢くなる点も、AI OCRの大きな特徴です。
こちらはGPT-4などの最新LLMと従来型OCRエンジンの精度を比較検証したベンチマーク結果です。 合わせてご覧ください。 https://research.aimultiple.com/ocr-accuracy/
【比較表】AI型 vs 従来型 vs クラウド vs オンプレミス
OCRを選定する際は、AIの有無だけでなく、提供形態(クラウドかオンプレミスか)も重要な比較軸になります。
それぞれの特徴を理解しやすいように、主な違いを整理しました。
まず「AI型・クラウド」は、現在の主流です。インターネット経由で最新のAIエンジンを利用できるため、常に最高の精度で読み取りが可能です。初期費用を抑えやすく、導入スピードも早いのがメリットですが、データを外部サーバーに送るため、セキュリティポリシーの確認が必要です。
「従来型・オンプレミス」は、自社サーバー内にシステムを構築するタイプです。外部にデータを出さないためセキュリティ面では安心ですが、AIによる学習機能が制限されることが多く、精度の向上には限界があります。また、導入コストや保守運用コストが高額になりがちです。
「AI型・オンプレミス」や「ハイブリッド型」も存在しますが、コストと精度のバランスを考えると、多くの企業にとって「AI型・クラウド」が最も費用対効果の高い選択肢となるでしょう。
OCRの種類とそれぞれの得意分野(定型・非定型・全文読取)
OCRには、読み取りたい対象や目的に応じて、大きく分けて3つのタイプが存在します。
1つ目は「定型帳票対応」です。
これは、申込書やアンケート用紙など、すべてのフォーマットが統一されている書類の読み取りに適しています。事前に「どこに何が書いてあるか」という座標を定義することで、高速かつ正確にデータ化できます。
2つ目は「非定型帳票対応」です。
請求書や領収書など、取引先ごとにレイアウトが異なる書類を読み取るタイプです。ここではAIの力が最大限に発揮されます。AIが「ここは日付」「ここは金額」と項目の意味を自動で判断して抽出するため、事前の座標設定が不要です。経理業務の効率化には、このタイプが必須となります。
3つ目は「全文読取」です。
契約書やマニュアル、書籍など、書類全体のテキストデータ化を目的としたものです。特定の項目を抽出するのではなく、検索可能なPDFを作成したり、Wordファイルに変換したりする用途で使われます。
自社がデータ化したい書類がどのタイプに当てはまるかを見極めることが、製品選びの第一歩です。
失敗しないOCR製品の選び方・比較ポイント7選
数あるOCR製品の中から、自社に最適なツールを選ぶためには、カタログスペックだけでなく「実際の運用」を想定したチェックが必要です。
「高機能だと思って導入したが、現場では使いこなせなかった」という事態を避けるために、必ず確認すべき7つの比較ポイントを解説します。
これらを基準に選定を進めれば、導入後のミスマッチを最小限に抑えることができるでしょう。
1. 【精度】手書き文字やクセ字の認識率は高いか
最も重要なのは、やはり文字認識の「精度」です。
特に、手書きの申込書や、FAXで送られてくるカスレた文字、クセのある文字をどれだけ正確に読み取れるかは、業務効率に直結します。
製品資料に「識字率99%」と書かれていても、それはあくまでメーカーのテスト環境での数値である可能性があります。
実際に自社で扱っている帳票を使ってトライアルを行い、以下の点を確認してください。
- 手書きの数字や日本語(漢字・ひらがな)が正確に認識されるか。
- 訂正印や取り消し線がある箇所を、適切に処理できるか。
- 欄外にはみ出した文字や、傾いてスキャンされた画像でも読み取れるか。
AI OCRの中には、読み取りに自信がない箇所を色付けしてアラートを出してくれる機能を持つものもあります。精度そのものはもちろん、確認作業を楽にする工夫があるかも重要なポイントです。
こちらは日本語の手書き文字認識において、99%以上の高い認識率を記録した製品の検証データです。 合わせてご覧ください。 https://digi-mado.jp/products/17235/case/
2. 【対応帳票】非定型(請求書・レシート)の自動仕分けに対応しているか
経理部門での利用を考えている場合、請求書や領収書などの「非定型帳票」への対応力は必須です。
取引先ごとに異なるフォーマットの請求書が届くたびに、手動で読み取り箇所を設定していては、OCR導入のメリットが半減してしまいます。
優秀なAI OCRであれば、アップロードされた画像が請求書なのか領収書なのかを自動で判別し、さらに「請求日」「合計金額」「発行元」などの必要な情報を自動的にマッピングして抽出してくれます。
また、インボイス制度に対応しているかも重要なチェックポイントです。登録番号の読み取りや、適格請求書かどうかの判定機能が含まれているかを確認しましょう。
複数の種類の帳票が混在した状態でスキャンしても、システム側で自動的に仕分けを行ってくれる機能があれば、スキャン業務の手間も大幅に削減できます。
3. 【操作性】補正・確認作業(UI)は直感的に行えるか
OCRは「読み取って終わり」ではなく、その後の「確認・修正作業」が必ず発生します。
そのため、管理画面(UI)の使いやすさは、現場の担当者にとって非常に重要です。
直感的に操作できないシステムだと、属人化の原因になったり、確認作業に時間がかかって逆に業務効率が落ちたりする可能性があります。
具体的には以下の点を確認してください。
- 元の画像と読み取り結果を、一画面で見比べやすい配置になっているか。
- 修正が必要な場合、キーボード操作だけでスムーズに入力・移動ができるか。
読み取り範囲の指定や修正が、マウス操作で簡単にできるか。
特に、大量の枚数を処理する場合は、ショートカットキーの充実度や、画面遷移の少なさが作業時間を大きく左右します。トライアル時には、実際に現場の担当者に触ってもらい、操作感を確認することをおすすめします。
4. 【連携】RPAや会計ソフト・API連携はスムーズか
OCRでデータ化した情報は、会計ソフトや販売管理システム、給与計算ソフトなどに連携して初めて価値を生みます。
CSVでの出力は多くの製品で可能ですが、より高度な自動化を目指すなら、API連携やRPAとの親和性を確認しましょう。
例えば、OCRで読み取った請求書データを、API経由で自動的に会計ソフトにインポートし、仕訳まで完了させるフローが構築できれば、手入力の工数はほぼゼロになります。
また、RPAツール(UiPathやWinActorなど)と連携させることで、メールで届いたPDFを自動でダウンロードし、OCRにかけ、基幹システムに入力するといった一連の業務プロセスを全自動化することも可能です。
すでに社内で利用しているシステムがある場合は、それらとの連携実績が豊富なOCR製品を選ぶと、導入後のフロー構築がスムーズに進みます。
こちらはDXによる業務効率化を実現するための手順や成功事例について解説した記事です。 合わせてご覧ください。
5. 【コスト】初期費用・月額・従量課金のバランスと費用対効果
OCRの料金体系は製品によって大きく異なります。
一般的には「初期費用」+「月額基本料」+「読み取り枚数や項目数に応じた従量課金」という構成が多いですが、中には完全定額制のプランや、読み取り項目数ではなく枚数単位で課金されるプランもあります。
自社の月間処理枚数を把握した上で、シミュレーションを行うことが大切です。
スモールスタートしたい場合は、初期費用が無料で、使った分だけ支払う従量課金型のクラウドサービスがおすすめです。
一方で、毎月数万枚以上の大量処理を行う場合は、枚数無制限の定額プランや、オンプレミス型の方がトータルコストを抑えられる可能性があります。
また、単純な利用料だけでなく、導入による「削減できる人件費」と比較して、費用対効果が見合うかを算出しましょう。多少コストが高くても、確認作業の時間が大幅に減る高精度なAI OCRの方が、結果的にROI(投資対効果)が高くなるケースも多々あります。
こちらはAI OCRの導入により、年間1200時間の入力業務削減に成功した製造業の事例です。 費用対効果の参考に合わせてご覧ください。 https://inside.ai/dx-suite/casestudy/manufacturing/uservoice32
6. 【サポート】導入後のチューニング支援やBPOオプションの有無
OCRは導入してすぐに100%の成果が出る魔法の杖ではありません。
特に定型帳票の読み取り設定や、非定型帳票の読み取り精度の向上には、ある程度のチューニング(調整)期間が必要です。
この際、ベンダーから手厚いサポートが得られるかどうかが成功の鍵を握ります。
- 専任のカスタマーサクセス担当がつくか。
- 設定代行サービスはあるか。
- チャットや電話での問い合わせ対応は迅速か。
また、繁忙期などで社内のリソースだけでは確認作業が追いつかない場合に備えて、目視確認や修正入力を代行してくれる「BPOサービス」をオプションで提供しているベンダーもあります。
システムと人の手によるBPOを組み合わせることで、精度100%に近いデータを担保したい場合は、こうしたオプションの有無も確認しておくと安心です。
7. 【セキュリティ】IP制限やPマークなど自社の要件を満たすか
請求書や申込書には、個人情報や企業の機密情報が含まれているため、セキュリティ対策は極めて重要です。
クラウド型OCRを選定する場合は、以下のセキュリティ要件を満たしているかを確認しましょう。
- 通信の暗号化(SSL/TLS)はされているか。
- データの保管場所は国内サーバーか。
- IPアドレス制限や二段階認証など、アクセス制御機能はあるか。
- プライバシーマーク(Pマーク)やISMS(ISO27001)などの認証を取得しているか。
- 読み取ったデータが、AIの学習データとして二次利用される設定になっていないか(またはオプトアウト可能か)。
金融機関や自治体など、特に厳しいセキュリティ基準が求められる場合は、LGWAN(総合行政ネットワーク)対応の製品や、特定の閉域網で利用できるサービスを選定する必要があります。
こちらはISO/IEC 27001などの国際規格を取得し、セキュリティ対策を重視しているクラウドサービスの認証取得状況です。 合わせてご覧ください。 https://line-works.com/en/security/
【精度・実績重視】法人向けAI OCRおすすめ比較ランキング15選
ここからは、法人利用において特に実績が豊富で、精度の高さに定評があるAI OCR製品を厳選して紹介します。
機能の網羅性やサポート体制も整っているため、初めて本格的なOCRを導入する企業や、既存のOCRからの乗り換えを検討している企業におすすめです。
各製品の強みや特徴を比較し、自社の要件に合うものを見つけてください。
DX Suite(AI inside株式会社)
国内のAI OCR市場でトップクラスのシェアを誇る、AI inside株式会社の代表的な製品です。
最大の特徴は、誰でも直感的に使える洗練されたユーザーインターフェースと、独自の文字認識AIによる圧倒的な読取精度です。
特に手書き文字の認識に強く、乱筆や訂正印があっても高い精度でデジタル化できます。
「Elastic Sorter」という機能を使えば、種類の異なる帳票をまとめてスキャンするだけで、AIが自動的に帳票の種類を判別して仕分けてくれます。
API連携の機能も充実しており、RPAや各種システムとの接続も容易なため、業務自動化の中核として多くの企業に採用されています。
SmartRead(株式会社Cogent Labs)
株式会社Cogent Labsが提供する「SmartRead」は、独自開発のAIエンジン「Tegaki」を搭載した、次世代のAI OCRサービスです。
定型・非定型を問わず、あらゆる文書を高精度にデータ化できる点が強みです。
特に、事前設定が不要な「自動抽出機能」が優秀で、請求書や領収書などの非定型帳票から、必要な項目を瞬時に読み取ります。
学習データの量と質にこだわりがあり、手書き文字の認識率は業界最高水準を誇ります。
また、文書の仕分けからデータ化、出力までを一気通貫で行えるため、事前の準備工数を大幅に削減できます。
確認・修正画面のUIも優れており、担当者の負担を減らす設計がなされています。
Tegaki(株式会社Cogent Labs)
「Tegaki」は、その名の通り手書き文字の読み取りに特化したAI OCRエンジンです。
ディープラーニングを活用し、従来のOCRでは認識が難しかった手書き文字(ひらがな、漢字、数字、アルファベット、記号)を、99.22%という極めて高い精度でデータ化します。
医療機関の問診票や、製造現場の点検表、会員申込書など、手書き記入が主流の現場で絶大な威力を発揮します。
APIとして提供されているため、既存の業務システムやアプリに手書き認識機能を組み込みたい場合にも最適です。
単体の製品としても利用できますが、前述のSmartReadのエンジンとしても採用されており、手書き認識の代名詞的な存在と言えます。
DynaEye 11(株式会社PFU・リコーグループ)
スキャナー製品で世界的なシェアを持つPFU(リコーグループ)が提供する、業務スキャナー連携に優れたOCRソフトウェアです。
長年の実績に基づく画像処理技術とAI技術を融合させ、ノイズの多い画像や裏写りのある帳票でも、クリアに補正して読み取ることができます。
オンプレミス環境での運用にも対応しているため、セキュリティポリシーが厳しく、クラウドサービスを利用できない企業や自治体でも導入可能です。
定型帳票の読み取りに強く、マークシートやバーコードの認識機能も標準搭載しています。
業務用スキャナー「fiシリーズ」との親和性が高く、大量の紙文書を高速かつ安定して処理したい現場に最適です。
LINE WORKS PaperOn(LINE WORKS株式会社)
ビジネスチャット「LINE WORKS」を提供するLINE WORKS株式会社のAI OCRサービスです。
LINEの技術基盤を活用したAI「CLOVA OCR」を採用しており、世界最高水準の文字認識精度を誇ります。
特に請求書や領収書の読み取りに強く、丸まったレシートや傾いた画像でも正確に認識します。
料金プランが明確で、初期費用ゼロから始められる手軽さも魅力です。
LINE WORKSとの連携はもちろん、単体での利用も可能で、シンプルで使いやすいUIが特徴です。
中小企業から大企業まで、幅広い層に導入されており、コストパフォーマンスの高さに定評があります。
DEEP READ(株式会社EduLab)
教育分野での知見を活かし、手書き文字認識に特化したAI OCRです。
特に、アンケートやテストの答案など、自由記述の文章読み取りにおいて高い性能を発揮します。
業界や業種ごとの専門用語を学習させることで、認識精度をさらに向上させることが可能です。
金融機関や医療機関など、専門性の高い手書き書類を扱う現場での導入事例が多くあります。
縦書きの文章や、枠からはみ出した文字にも対応しており、柔軟な読み取り設定が可能です。
データ入力業務のアウトソーシング(BPO)と組み合わせたソリューションも提供しています。
AI-OCRらくスルー(関西ビジネスインフォメーション株式会社)
関西電力グループが提供する、入力業務効率化に特化したAI OCRサービスです。
「DX Suite」のエンジンを採用しつつ、独自のBPOサービスと組み合わせることで、データ化から確認・修正までをワンストップで提供できる点が強みです。
ユーザーは画像をアップロードするだけで、確定したデータを受け取ることが可能です。
社内に確認作業のリソースがない場合や、繁忙期の入力業務を外部に切り出したい場合に最適です。
関西圏を中心に多くの企業に導入されており、電力系企業ならではの信頼性の高いセキュリティ体制も安心材料の一つです。
ProTech AI-OCR(株式会社ショーケース)
Web入力フォームの最適化(EFO)などを手掛けるショーケース社が提供するAI OCRです。
本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)の読み取りに強みを持ちます。
eKYC(オンライン本人確認)ソリューションの一部として活用されることが多く、金融機関や不動産業界での口座開設・契約業務の効率化に貢献しています。
スマートフォンで撮影した画像の読み取り精度が高く、モバイルアプリへの組み込みも可能です。
特定の用途に特化しているため、汎用的なOCRとは異なるニーズに対応できる点が特徴です。
OPTiM 文書管理(株式会社オプティム)
AI・IoT・Big Dataプラットフォームのマーケットリーダーであるオプティムが提供する、文書管理システムと一体化したAI OCRです。
OCR機能だけでなく、電子帳簿保存法に対応した文書管理機能を備えており、読み取ったデータをそのまま法対応の形式で保存・検索できます。
契約書管理や請求書管理など、バックオフィス業務のDXをトータルで支援します。
全文検索機能が強力で、読み取った書類の中身まで瞬時に検索できるため、過去の資料探しに時間を取られることがなくなります。
AIによる自動プロパティ抽出機能により、登録作業の手間も軽減されます。
スマートOCR(株式会社インフォディオ)
スマートフォンのカメラで撮影した帳票の読み取りに強い、クラウド型AI OCRです。
「ゆらぎ補正」などの高度な画像処理技術により、多少の折り目や影がある画像でも高精度に認識します。
特に、領収書や源泉徴収票などの非定型帳票のデータ化を得意としており、経費精算システムの入力支援ツールとして活用されています。
独自のデータ抽出ロジックにより、明細行の多い複雑な請求書でも、行ズレすることなく正確にデータ化できます。
専用のスマホアプリも提供されており、外出先からの経費申請などに便利です。
CaptureBrain(キヤノンマーケティングジャパン株式会社)
キヤノンマーケティングジャパンが提供する、クラウド型AI OCRソリューションです。
キヤノン独自の画像処理技術と、AIによる推論技術を組み合わせることで、手書き・活字が混在した帳票でも高精度に読み取ります。
特に、金融機関の申込書や審査書類などの複雑な帳票処理で実績があります。
同社のドキュメントスキャナーや複合機との連携がスムーズで、紙文書の電子化からデータ活用までを一貫してサポートします。
セキュリティ機能も充実しており、ログ管理やアクセス制御など、エンタープライズ企業が求める要件を満たしています。
AIRead(アライズイノベーション株式会社)
オンプレミス環境でも利用可能な、高機能AI OCRです。
手書き文字、活字に加え、バーコードやチェックボックスの読み取りにも対応しています。
スタンドアロン型からサーバー型まで、利用規模に合わせた構成を選択できる柔軟性が魅力です。
フォームの作成機能が使いやすく、ユーザー自身で新しい帳票の定義を簡単に行えます。
FAX受注業務や、工場での日報集計など、特定の業務フローに深く組み込んで利用されることが多い製品です。
学習機能により、使えば使うほど自社の帳票に最適化されていきます。
AI-OCRソリューション(株式会社日立ソリューションズ)
日立グループの技術力を結集した、大規模運用向けのAI OCRソリューションです。
複数のAIエンジンを組み合わせることで、帳票の種類や文字の特徴に応じて最適なエンジンを自動選択し、認識精度を最大化します。
RPAツール「Automation Anywhere」や「UiPath」などとの連携ソリューションが充実しており、業務全体の自動化を強力に推進します。
大規模なシステム構築や、基幹システムとの複雑な連携が必要なプロジェクトにおいて、コンサルティングから導入まで手厚いサポートを受けられます。
Ricoh Cloud OCR for 請求書(株式会社リコー)
リコーが提供する、請求書処理業務に特化したクラウドOCRサービスです。
複合機でスキャンした請求書データをクラウドに送るだけで、AIが自動で情報を抽出し、会計ソフトに取り込める形式(CSVなど)で出力します。
「奉行シリーズ」や「弥生会計」「freee」など、主要な会計ソフトとの連携があらかじめ用意されているため、導入後すぐに効果を実感できます。
月額料金が比較的安価に設定されており、中小企業でも導入しやすい点が特徴です。
インボイス制度や電子帳簿保存法への対応もサポートしています。
SPA / invoiceAgent(ウイングアーク1st株式会社)
帳票基盤ソリューションで国内トップシェアを持つウイングアーク1stの製品です。
「invoiceAgent(旧SPA)」は、文書管理とAI OCRが融合したプラットフォームです。
4つの異なるOCRエンジンを搭載しており、読み取りフィールドごとに最適なエンジンを選択して比較することで、99.9%に迫る精度を実現します。
文書の保管、検索、流通(電子配信)までをカバーしており、企業間の取引文書デジタル化を推進します。
大量の帳票を扱う大企業を中心に導入されており、処理スピードと安定性は業界最高クラスです。
【手書き・非定型に強い】特定用途・高機能AI OCR製品10選
汎用的なOCRでは対応しきれない、特殊な帳票や複雑なレイアウトを扱っている企業向けに、特定用途や高機能な読み取りに特化した製品を紹介します。
「うちは特殊な業界だから…」と諦めていた場合でも、これらのツールなら解決できる可能性があります。
AnyForm OCR(株式会社ハンモック)
「AnyForm OCR」は、現場での使いやすさを追求した入力業務効率化ソフトです。
最大の特徴は、OCR設計ツールが非常に使いやすく、ユーザー自身で簡単に帳票定義を作成できる点です。
「WOCR」という機能により、異なるOCRエンジンで二重に読み取りを行い、結果が不一致の場合のみ目視確認を行う仕組みを構築できます。これにより、確認作業の工数を大幅に削減できます。
FAX受注システムとの連携実績が豊富で、注文書のデータ化において強力なソリューションとなります。
FROG AI-OCR(株式会社モルフォAIソリューションズ)
画像解析技術に強みを持つモルフォAIソリューションズが提供するAI OCRです。
PC画面上のあらゆる文字を読み取れるツールや、手書きの産業用図面の読み取りなど、ニッチなニーズに応える機能を備えています。
学習済みのモデルを利用するだけでなく、ユーザー固有のデータを使って追加学習(ファインチューニング)を行うサービスも提供しています。
これにより、特殊なフォントや業界用語が含まれる文書でも、高い精度で認識させることが可能です。
AI JIMY Paperbot(シー・システム株式会社)
RPA機能が内蔵された、中小企業向けの業務自動化ツールです。
OCRで読み取ったデータを、ExcelやCSVにするだけでなく、ブラウザ上のシステムやデスクトップアプリへ自動入力する機能まで標準搭載しています。
これ1つで「読み取り」から「入力」まで完結するため、別途RPAツールを導入する必要がありません。
コストパフォーマンスに優れており、IT専任担当者がいない企業でも導入しやすいシンプルな操作性が魅力です。
FormOCR(株式会社エヌジェーケー)
30年以上の歴史を持つ、OCR業界の老舗製品です。
長年蓄積されたノウハウにより、日本語の認識精度は非常に高く、特に定型帳票の処理において安定したパフォーマンスを発揮します。
マークシート読み取りや、QRコード認識など、多様な入力形式に対応しています。
オンプレミス型での提供がメインですが、クラウドサービスとの連携も可能です。
官公庁や教育機関、アンケート集計業者などで広く利用されています。
Prexifort-OCR(株式会社NTTデータ)
NTTデータが開発した、高信頼性のOCRソフトウェアです。
日本語の手書き文字認識において長い研究開発の歴史を持ち、住所や氏名などの認識精度に定評があります。
「知識処理」技術を応用し、住所辞書と照らし合わせて誤りを補正するなど、論理的なチェック機能が充実しています。
大規模なデータ処理が必要な業務システムへの組み込みや、自治体の税務処理システムなどで採用されています。
AIスキャンロボ(ネットスマイル株式会社)
複雑な非定型帳票の読み取りに特化したAI OCRです。
独自のAI技術により、明細行の数が可変する請求書や、段組が複雑な書類でも、正確に構造を解析してデータを抽出します。
テンプレート作成の手間を省くための自動テンプレート作成機能があり、導入のハードルを下げています。
多言語対応も進んでおり、海外からのインボイス処理など、グローバルな業務にも対応可能です。
LAQOOT(株式会社ユニメディア)
AI OCRとクラウドワーカー(人)による入力を組み合わせたハイブリッド型のサービスです。
AIが読み取った結果を、セキュリティ教育を受けたクラウドワーカーが二重チェック・修正して納品するため、理論上のデータ化精度は99%以上を保証します。
「絶対に間違えられない」重要なデータの入力業務を、完全アウトソーシングしたい場合に最適です。
AIのスピードと人の正確さをいいとこ取りしたソリューションです。
FlexiCapture(アビー株式会社)
グローバルで高い評価を得ているABBYY社の高機能OCRプラットフォームです。
世界200言語以上の文字認識に対応しており、多言語が混在する文書の処理に圧倒的な強さを持ちます。
機械学習を活用した文書分類機能や、高度なデータ抽出機能を備えており、エンタープライズレベルの文書処理自動化を実現します。
グローバル企業や、海外取引が多い商社などで採用されています。
OmniPage Ultimate(Nuance Communications/Microsoftグループ)
音声認識技術で有名なNuance社(Microsoftグループ)のOCRソフトです。
PDF変換や文書フォーマットの維持能力に優れており、スキャンした紙文書を、レイアウトを崩さずにWordやExcelファイルに変換できます。
大量のドキュメントを一括処理するバッチ機能や、ネットワーク経由でのスキャン機能など、オフィス業務の効率化機能が充実しています。
個人のパワーユーザーから小規模オフィスまで幅広く利用されています。
Nanonets OCR(Nanonets)
ディープラーニングを活用した、開発者向けのAPIファーストなOCRプラットフォームです。
必要なデータをアップロードして注釈を付けるだけで、独自のOCRモデルを短時間で作成できます。
レシート、IDカード、ナンバープレートなど、特定のオブジェクトやテキストの読み取りに特化したモデルを構築したい場合に適しています。
最新のAI技術を柔軟に取り入れており、Pythonなどでのシステム開発との相性が抜群です。
【入力代行】目視確認・修正まで任せるBPO付きOCR 5選
OCRの精度が上がったとはいえ、最終的な「目視確認」はゼロにはなりません。この確認作業すらも手放したい企業向けに、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)機能がセットになったサービスを紹介します。
eas(株式会社うるるBPO)
AI OCRとクラウドワーカーの連携による、スピーディかつ高精度なデータ化サービスです。
AIが読み取ったデータを、複数のワーカーが分散して入力・確認することで、個人情報の漏洩リスクを抑えつつ、高い精度を実現します。
納期指定が可能で、急ぎの案件にも柔軟に対応できます。
大量の名刺入力や、手書きアンケートの集計業務などで多くの実績があります。
AI-OCR×BPO(株式会社NXワンビシアーカイブズ)
情報資産管理のプロフェッショナルであるNXワンビシアーカイブズが提供するサービスです。
原本の回収・保管から、スキャニング、AI OCR処理、目視検査、データ納品までをワンストップで提供します。
機密文書の取り扱いに厳格なセキュリティ基準を設けており、金融機関や医療機関などの重要書類の電子化に最適です。
原本の倉庫保管サービスと連携できる点も強みです。
RECERQA(株式会社りそな決済サービス)
りそなグループが提供する、請求書処理代行サービスです。
請求書の受け取りから、開封、スキャン、データ化、そして支払データの作成までを代行します。
AI OCRを活用しつつ、最終確認はオペレーターが行うため、経理担当者は確認・承認作業に集中できます。
金融機関グループならではの安心感と、決済代行まで見据えたサービス展開が特徴です。
請求書OCRシステム(株式会社インフォディオ)
前述の「スマートOCR」に、オペレーターによる補正サービスを付加したプランです。
AIが高精度に読み取った結果を、さらに専門スタッフが確認・修正して納品します。
システム利用料とBPO料金が明確に分かれており、必要な月だけBPOを利用するといった柔軟な使い方が可能です。
経理業務の繁閑差に対応しやすいサービス設計になっています。
NOC AI-OCR(NOCアウトソーシング&コンサルティング株式会社)
バックオフィス業務の代行で実績豊富なNOCが提供するサービスです。
単なるデータ化だけでなく、その後の業務プロセス(給与計算や経理処理など)まで含めたトータルアウトソーシングが可能です。
AI OCR導入前の業務整理やルール作りからコンサルティングを行い、最適な運用フローを提案してくれます。
業務全体を効率化したい企業におすすめです。
【無料・格安】個人・小規模向けOCRソフト・アプリ20選
「まずはコストをかけずに試したい」「個人的なメモをデータ化したい」という方向けに、無料で使えるツールや、低価格な買い切りソフトなどを紹介します。機能は限定的ですが、用途によっては十分活用できます。
Google ドライブ / Google Keep(グーグル)
Googleドライブには、画像を「Googleドキュメントで開く」だけでテキスト化する機能があります。現在はGemini(AI)との統合も進んでおり、Google Keepと合わせて手軽なデータ化手段として有効です。
無料で利用でき、精度も比較的高いため、手軽なメモや文書のテキスト化には最適です。
Microsoft Office Lens(マイクロソフト)
スマホをスキャナーとして使える無料アプリです。
ホワイトボードや書類を撮影すると、斜めから撮った画像でも自動で補正し、WordやPowerPoint、PDFとして保存できます。
Office製品との連携が強力で、撮影した表をExcelに直接変換する機能も便利です。
OneNote(マイクロソフト)
マイクロソフトのデジタルノートアプリです。
貼り付けた画像の右クリックメニューから「画像からテキストをコピー」を選ぶだけで、OCR処理が行われます。
講義の板書や会議のメモを画像として保存し、後からテキスト検索できるようにする用途で重宝します。
Adobe Acrobat Pro(アドビ株式会社)
PDF編集ソフトの定番ですが、強力なOCR機能を内蔵しています。
スキャンしたPDFを「検索可能なPDF」に変換したり、WordやExcel形式に書き出したりできます。
有料ソフトですが、ビジネスでのPDF利用頻度が高い場合は、必須のツールと言えます。
読取革命(ソースネクスト株式会社)
低価格で高機能な、買い切り型OCRソフトの定番です。
日本語の縦書きや、複雑なレイアウトの再現性に優れています。
一度購入すれば追加費用がかからないため、コストパフォーマンスを重視する個人やSOHOにおすすめです。
いきなりPDF(ソースネクスト株式会社)
PDF作成・編集ソフトですが、OCR機能も搭載しています。
PDF化された資料をWordやExcelに戻して再編集したい場合に便利です。
ドラッグ&ドロップの簡単操作で利用できます。
本格読取(ソースネクスト株式会社)
名刺や書類の管理に特化したOCRソフトです。
スマートフォンで撮影した画像をPCに取り込み、手軽にデータ化できます。
パナソニックの読取エンジンを採用しており、認識精度も実用的です。
e.Typist(株式会社メディアドライブ)
日本語OCRのパイオニア的な存在です。
認識精度が高く、特に日本語の長文テキストの読み取りに強いです。
電子書籍自炊ユーザーなどにも長年愛用されてきた実績があります。
Notion(ノーション)
情報共有ツールとして定番のNotionは、Notion AIを活用することで、アップロードした画像の文字認識から要約までをシームレスに行えます。
データベース機能と組み合わせることで、読み取った情報をそのまま整理・管理できる点が現代的な強みです。
CamScanner(IntSig Information Co., Ltd)
世界で最もダウンロードされているスキャナーアプリの一つです。
スマホで撮影した文書を鮮明にスキャンし、OCR機能でテキスト化できます。
無料版でも基本機能は使えますが、有料版にするとより高精度なクラウドOCRが利用できます。
Foxit PDF Editor(株式会社FoxitJapan)
Adobe Acrobatの対抗馬として知られるPDF編集ソフトです。
軽量な動作と多機能さが売りで、OCR機能も標準搭載しています。
コストを抑えつつ、高機能なPDF編集環境を整えたい企業に人気です。
PDFelement(株式会社ワンダーシェアーソフトウェア)
直感的なUIで初心者にも使いやすいPDF編集ソフトです。
OCRプラグインを利用することで、画像PDFを編集可能なテキストデータに変換できます。
多言語対応しており、海外の論文や資料の読み取りにも役立ちます。
DocuWorks(富士フイルムビジネスイノベーション株式会社)
「電子の机」をコンセプトにしたドキュメント管理ソフトです。
独自のOCR機能を持ち、スキャンした文書を管理画面上で直感的に整理・活用できます。
複合機との連携がスムーズで、日本企業特有のワークフローに馴染みやすい設計です。
Online OCR(Webツール)
ブラウザ上でファイルをアップロードするだけで使える無料のWebサービスです。
会員登録不要で手軽に使えますが、機密情報のアップロードには注意が必要です。
英語や数字の読み取り精度は比較的高いです。
Convertio(Webツール)
様々なファイル形式の変換に対応したWebサービスで、OCR機能も提供しています。
PDFや画像をWord、Excel、Textなどに変換できます。
シンプルな操作画面で、迷わず使えます。
i2OCR(Webツール)
日本語を含む多言語に対応した無料オンラインOCRです。
画像からテキストを抽出する機能に特化しており、出力形式も多様です。
カラム(段組)の認識など、レイアウト解析機能も備えています。
New OCR(Webツール)
こちらも無料のWebサービスで、多言語対応が特徴です。
読み取ったテキストをその場で編集したり、Google翻訳にかけたりすることができます。
Easy Screen OCR(PCツール)
PC画面上の任意の範囲をスクリーンショット撮影し、そこにある文字をOCRするツールです。
コピーできないWebサイトのテキストや、画像内の文字を素早くテキスト化したい時に便利です。
OCR Space(Web API)
開発者向けの無料OCR APIです。
自作のプログラムにOCR機能を組み込みたい場合に利用できます。
無料プランでも一定数までリクエストが可能で、PDF読み取りにも対応しています。
SimpleOCR(フリーソフト)
古くからある海外製のフリーOCRソフトです。
日本語対応はしていませんが、英語の手書き文字認識機能を持っています。
英語の資料をデジタル化したい場合に、無料で使える選択肢の一つです。
業務効率を最大化する「OCR連携」の活用パターン
OCRは単体で使うよりも、他のツールと連携させることで真価を発揮します。
「データ化した後、どうするか」を設計することで、業務効率は何倍にも跳ね上がります。代表的な3つの連携パターンを紹介します。
RPA連携によるデータ入力完全自動化の仕組み
OCRと最も相性が良いのがRPA(Robotic Process Automation)です。
RPAは、PC上の定型作業をロボットが代行するツールです。
例えば、「受信メールから請求書PDFをダウンロード(RPA)」→「文字情報をデータ化(OCR)」→「基幹システムへログインし入力(RPA)」という一連の流れを構築できます。
これにより、人間はエラーが出た場合の確認作業を行うだけで済み、入力業務をほぼ全自動化できます。
会計ソフト・基幹システムへのAPI連携メリット
多くのクラウド会計ソフト(freee、マネーフォワードなど)や、SalesforceなどのCRMは、APIを公開しています。
API連携機能を持つOCRツールを使えば、CSVファイルのダウンロードやアップロードといった手作業すら不要になります。
OCRが読み終わった瞬間に、会計ソフト側に仕訳データが生成されていたり、顧客管理システムに名刺情報が登録されていたりする状態を作れます。
これにより、データの転記ミスや、ファイル取り違えなどのヒューマンエラーを根絶できます。
Pythonなどを用いた自社開発とOCR学習の可能性
社内にエンジニアがいる場合、Pythonなどのプログラミング言語を使って、独自の業務フローを構築することも可能です。
AI OCR製品の多くはAPIを提供しているため、自社の独自システムから画像をAPIに投げ、返ってきたテキストデータを自動処理するプログラムを書くことができます。
また、最新のLLM(大規模言語モデル)と組み合わせることで、OCRで読み取った文章の内容を要約させたり、契約書のリスク判定を行わせたりといった、高度な「インテリジェント・ドキュメント・プロセッシング(IDP)」へと発展させることも可能です。
※最新の生成AI技術(GPT-4oや、2025年にリリースされたGPT-5など)は、画像認識能力も飛躍的に向上しており、従来のOCR製品を使わずに、直接AIモデルに画像を読ませて構造化データを抽出する手法が定着しつつあります。
こちらはオープンソースのOCRエンジン「Tesseract」とGoogle Vision APIを使用して、画像からテキストを抽出する方法を解説した技術記事です。 合わせてご覧ください。 https://programminghistorian.org/en/lessons/ocr-with-google-vision-and-tesseract
OCR比較・導入に関するよくある質問
最後に、OCRの導入検討時によくある疑問とその回答をまとめました。
AI OCRの精度は100%ですか?誤読への対策は?
結論から言うと、現時点で精度100%を保証するOCRは存在しません。AIの進化により99%以上の精度が出ることも珍しくありませんが、必ず「誤読」は発生します。
そのため、「人間による目視確認」のプロセスを業務フローに組み込むことが必須です。
対策としては、確信度が低い文字をハイライト表示する機能を持つツールを選んだり、前述の「WOCR(2つのエンジンで読む)」技術を使ったりするのが有効です。
無料ツールと有料製品の決定的な違いは何ですか?
最大の違いは「セキュリティ」「サポート」「非定型帳票への対応力」です。
無料ツールは、読み取ったデータがサーバーに残るリスクがあったり、学習データとして利用されたりする可能性があります。また、トラブル時のサポートもありません。
有料製品は、セキュリティ基準をクリアしており、請求書のような複雑なレイアウトの自動解析機能や、API連携などの業務効率化機能が充実しています。業務で使うなら有料製品、個人的なメモなら無料ツールという使い分けが一般的です。
こちらは生成AIを企業で利用する際のリスクやその対策、注意点について解説した記事です。 合わせてご覧ください。
クラウド型OCRのセキュリティリスクと対策は?
クラウド型は外部サーバーにデータを送るため、情報漏洩リスクが懸念されます。
対策としては、通信の暗号化はもちろん、「データが保存されない(処理後に削除される)仕様か」「AIの学習データとして利用されない設定(オプトアウト)が可能か」を確認することが重要です。
また、IPアドレス制限をかけられるサービスを選び、社外からのアクセスを遮断するのも有効な対策です。
OCRで読み取れる画像や写真の条件はありますか?
一般的に、解像度が低い(200dpi未満)画像や、極端に傾いている画像、照明の影が映り込んでいる写真は認識率が下がります。
しかし、最新のAI OCRは補正機能が強力になっており、スマホで斜めから撮った写真でも綺麗に読み取れるものが増えています。
導入前のトライアルでは、あえて「状態の悪い画像」を読ませてみて、補正能力を確認することをおすすめします。
導入したのに残業が減らない?「ただのデジタル化」と「真のDX」の分岐点
多くの企業が業務効率化の切り札としてOCR導入を進めていますが、実は「導入したのに、かえって確認作業の手間が増えた」という現場の悲鳴が後を絶ちません。なぜ、このような逆転現象が起きてしまうのでしょうか。それは、OCRを単なる「文字変換ツール」として捉え、その後のプロセスを含めた全体設計が欠落しているケースが大半です。
経済産業省のDXレポートでも指摘されているように、単にアナログデータをデジタルに置き換える「デジタイゼーション」だけでは、根本的な業務変革には繋がりません。成功する企業は、OCRでデータ化した情報を、RPAや会計システムといかにシームレスに連携させるかという「出口戦略」を最初に描いています。読み取り精度の高さだけに目を奪われず、API連携の柔軟性や、エラー時の修正フローがいかに直感的であるかを見極めることが、真の生産性向上への第一歩です。
引用元:
経済産業省「DXレポート2.2(概要)」では、デジタル技術の活用による業務プロセスの変革と、それによる企業価値の向上が定義されており、単なるツールの導入に留まらないプロセス全体の再設計が推奨されています。
「識字率99%」の数字マジックと、カタログスペックでは分からない現場のリアル
選定時に最も重視されがちな「識字率99%」というスペックですが、ここには大きな落とし穴があります。メーカーのテスト環境における99%と、汚れや傾き、クセ字が混在する実際の帳票における精度は、全くの別物だからです。
たとえ99%の精度でも、1枚の請求書に100文字あれば、確率的に1文字は間違っている計算になります。この「たった1文字の間違い」を見つけるために、人間が元画像とデータをすべて目視確認しなければならないとしたら、OCRの導入効果は半減してしまいます。
したがって、プロフェッショナルが選ぶべき基準は、精度の数値そのものよりも「AIが自信のない箇所をアラートしてくれるか」「修正作業がキーボード操作だけで完結するUI設計になっているか」という運用面の実用性です。現場の担当者がストレスなく扱える「補正のしやすさ」こそが、長期的な運用を成功させる鍵となります。
2025年の常識は「読む」から「理解する」へ。生成AIが変えるデータ入力の未来
これまでのOCRは、事前に座標を指定して文字を読み取る「定型処理」が主流でした。しかし、最新のトレンドは、ChatGPTなどに代表される大規模言語モデル(LLM)を搭載した次世代型AI OCRへとシフトしています。
これにより、フォーマットがバラバラな非定型帳票であっても、AIが文脈を理解し「これが請求日」「これが合計金額」と自動で判断して抽出することが可能になりました。もはや人間が事細かに読み取り箇所を指示する必要はありません。
さらに、読み取ったデータを単にCSV出力するだけでなく、インボイス制度に対応した形式かどうかの判定や、契約書のリスクチェックまでを同時に行う「インテリジェントな処理」が可能になっています。これからのOCR選定は、単に文字を読む道具ではなく、業務判断をサポートする「第2の脳」として機能するかどうかが、競争力を分ける決定打となるでしょう。
まとめ
多くの企業がペーパーレス化や入力業務の自動化を急務とする中で、高精度なOCRや生成AIの活用はもはや必須の選択肢となっています。
しかし、現場からは「どのツールを選べば最適解なのか判断できない」「導入後の設定や連携作業を行える専門人材が不足している」といった声が多く聞かれるのも事実です。
そこでおすすめしたいのが、Taskhubです。
Taskhubは、直感的なインターフェースを備え、OCRを含む200種類以上のAIタスクをすぐに業務に組み込める生成AI活用プラットフォームです。
例えば、複雑な非定型帳票の読み取りから、そのデータの要約、さらには別システムへの連携用データ生成まで、必要な機能を「アプリ」として選ぶだけで、専門知識がなくても高度な自動化を実現できます。
Azure OpenAI Serviceを基盤とした堅牢なセキュリティ体制を敷いているため、請求書や契約書などの機密情報も安心して取り扱うことが可能です。
さらに、導入時にはAIコンサルタントによる手厚い伴走支援が付いているため、「自社の業務フローにどう落とし込めばいいか分からない」という企業でもスムーズに運用を開始できます。
高度なプログラミング技術やAIの専門知識がなくても、即座に業務効率化の成果を出せる点が、多くの企業に選ばれている理由です。
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