「毎月の安全会議、議事録になにを書けばいいのか分からない」
「労働基準監督署の調査が来たときに、今の議事録の内容で大丈夫なのか不安だ」
このような悩みや疑問を抱えている衛生管理者や総務担当者の方は多いのではないでしょうか。
安全会議の議事録作成以外にも、総務業務全般でChatGPTをどのように活用し、効率化を図れるかはこちらの記事で詳しく解説しています。 合わせてご覧ください。
安全会議(安全衛生委員会)の議事録は、単なる会議のメモではありません。法律で作成と保存が義務付けられている重要な法定書類です。
記載すべき項目が抜けていたり、実態とかけ離れた内容になっていたりすると、法令違反を問われたり、万が一の労働災害発生時に企業の安全配慮義務違反を疑われたりするリスクもあります。
本記事では、今日からそのまま使える具体的な議事録の記入例や、法律等の要件を満たすための正しい書き方、保存期間などのルールについて詳しく解説します。
初めて議事録を作成する方でも迷わず書けるよう、項目ごとのポイントを整理しました。
ぜひ日々の業務にお役立てください。
法定書類の作成効率化は、DXによる業務効率化の重要な一歩です。広範な業務で効率化を実現するための進め方や成功事例をこちらの記事で紹介しています。 合わせてご覧ください。
【そのまま使える】安全会議議事録の具体的な記入例・書き方
安全会議(安全衛生委員会)の議事録を作成する際、最も重要なのは「誰が」「何を」話し合い、「どのような決定」をしたかを客観的に記録することです。
ChatGPTを活用して会議の議事録作成を効率化し、作成負荷を軽減する方法について、具体的なプロンプト例と共にこちらの記事で紹介しています。 合わせてご覧ください。
形式的な記録にとどまらず、具体的な議論の内容が見えるように記述することで、職場の安全意識向上にもつながります。
ここからは、実際の会議ですぐに使える具体的な記入例を、項目ごとに分けてご紹介します。
自社の状況に合わせてアレンジしながら活用してください。
基本事項の書き方(日時・場所・出席者・欠席者)
議事録の冒頭には、会議が適正に開催されたことを証明するための基本情報を記載します。
いつ、どこで、誰が集まって審議を行ったのかは、後から見返した際の重要な証拠となります。
記入例は以下の通りです。
【開催日時】
令和〇年〇月〇日(水) 13:30 ~ 14:30
【開催場所】
本社 第2会議室
【出席者】
総括安全衛生管理者:〇〇 太郎
産業医:△△ 医師
安全管理者:×× 次郎
衛生管理者:□□ 花子
化学物質管理者:◇◇ 三郎
労働者代表:◎◎ 一郎
他メンバー:Aさん、Bさん、Cさん(計〇名)
【欠席者】
Dさん(業務都合のため)
ここで重要なのは、会社側の代表者だけでなく、労働者側の代表者が必ず出席していることを明記することです。
また、産業医の先生が出席しているかどうかも非常に重要なチェックポイントとなります。
もし欠席者がいる場合は、その理由も簡潔に添えておくと丁寧です。
【審議事項】職場巡視(パトロール)結果の報告例
毎月1回以上実施することが義務付けられている職場巡視(安全パトロール)の結果報告は、会議の主要な議題の一つです。
指摘事項があった場合はもちろん、問題がなかった場合でも「異常なし」と記録する必要があります。
記入例は以下の通りです。
【議題:職場巡視報告】
・巡視実施日:〇月〇日 10:00~11:00
・実施者:安全管理者 ××、労働者代表 ◎◎
・巡視エリア:製造部 第1工場および資材倉庫
【指摘事項と改善策】
- 資材倉庫の入り口付近に段ボールが積まれており、避難経路が狭くなっていた。→(改善策)倉庫担当者へ即時指導し、指定の棚へ移動させた。今後は区画線を明確にし、はみ出し禁止を徹底する。
- 第1工場内の保管庫にて、洗浄剤容器のラベル表示に汚れがあり判読困難だった。→(改善策)化学物質管理者が新しいGHSラベルへ貼り替えを実施。リスクアセスメント対象物の表示義務について再周知する。
【その他】
上記以外については、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の状態も良好であり、特段の危険箇所は認められなかった。
このように、悪い点だけでなく、どう対処したか(改善策)までセットで記載するのがポイントです。
【審議事項】労働災害の発生報告・ヒヤリハットの共有例
労働災害が発生してしまった場合は、再発防止策を検討するために詳細な記録が必要です。
また、事故に至らなかった「ヒヤリハット」事例を共有することも、未然防止の観点から非常に重要です。
過去のヒヤリハット事例や安全に関する膨大な社内文書から、必要な情報を瞬時に検索・抽出するChatGPT活用法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 合わせてご覧ください。
記入例は以下の通りです。
【議題:労働災害・ヒヤリハット報告】
- 労働災害の発生状況今月は、休業災害・不休災害ともに発生なし。(※災害があった場合の例:〇月〇日、営業部員が階段を降りる際に足を踏み外し捻挫。手すりを使用せずスマートフォンを見ていたことが原因。→全社員へ「歩きスマホ禁止」と「手すり利用」をメールおよび朝礼で再周知した。)
- ヒヤリハット報告(共有事例:2件)・事例A:事務所内の電源コードに足が引っかかりそうになった。→対策:配線カバーを設置し、動線を確保した。・事例B:社用車でバック駐車をする際、死角にポールがあることに気づくのが遅れた。→対策:バック時は必ず一旦停止し、目視確認を行うよう運転講習会で指導予定。
災害がなかった月でも空欄にせず、「発生なし」と明確に記載してください。
これにより、安全管理が機能していることの証明になります。
【審議事項】長時間労働者・高ストレス者への対応協議例
近年、メンタルヘルス対策や長時間労働の是正は安全衛生委員会の重要テーマとなっています。
プライバシーに配慮しつつ、会社としてどのような対策を講じているかを記録します。
記入例は以下の通りです。
【議題:過重労働およびメンタルヘルス対策】
- 長時間労働者の状況・先月の時間外労働が80時間を超えた対象者:2名(製造部)・上記対象者への対応状況:対象者には疲労蓄積度チェックリストを配布済み。産業医による面接指導の希望有無を確認中。希望者には来週中に面談を設定する予定。
- ストレスチェック実施報告(※実施月の場合)・実施期間:〇月〇日~〇月〇日・受検率:95%・高ストレス者への対応:人事部より個別に通知済み。産業医面談の勧奨を行っている。
衛生委員会でのストレスチェック審議事項については、こちらのマニュアルも参考になります。 https://www.fukuoka.med.or.jp/library/data/doctors/sangyoui/kenshukai/sutoresu_chk_ma.pdf
ここでは個人名を出す必要はありません。
「〇名」という数字や、「部署単位」での傾向などを記録し、組織として適切な措置をとっている過程を残すことが大切です。
【審議事項】産業医による講話・アドバイスの記入例
会議の最後には、専門家である産業医から意見や指導をもらう時間を設けるのが一般的です。
先生が話した内容は、医学的な知見に基づく貴重なアドバイスとして必ず議事録に残します。
記入例は以下の通りです。
【議題:産業医からの助言・指導】
産業医(△△先生)より:
「今月の巡視では、全体的に整理整頓が行き届いており良好でした。
ただし、季節の変わり目で体調を崩している社員が散見されます。
特に来月からはインフルエンザの流行が予想されるため、手洗い・うがいの励行と、早めのワクチン接種を呼びかけてください。
また、長時間労働者への面接指導については、本人の申出がない場合でも、上長が顔色や様子を観察し、必要に応じて産業医面談を勧めるよう連携をお願いします。」
【会社側の対応】
インフルエンザ予防接種の補助制度について、次回の朝礼で総務より改めて案内を行う。
「特になし」で終わらせず、季節特有の健康課題や、最近のニュースに関連した健康管理の話などを質問し、その回答を記録することをおすすめします。
【その他】季節ごとのテーマ(熱中症対策・健康診断など)の記入例
毎月の定例報告以外にも、年間計画に基づいて季節ごとのテーマを話し合う必要があります。
時期に合わせた議題を設定することで、マンネリ化を防ぎ、実効性のある活動になります。
記入例は以下の通りです。
【議題:季節ごとの重点活動(夏季・熱中症対策)】
・現状の課題:
今年の夏は例年以上の猛暑が予想される。昨年は倉庫内で軽度の熱中症疑い事例が1件あったため、対策強化が必要。
・決定事項:
- 全従業員へ塩飴と経口補水液を配布する(総務部手配)。
- 1時間に1回の水分補給休憩をルール化する。
- WBGT(暑さ指数)測定器を現場に設置するとともに、「熱中症特別警戒アラート」が発表された際の作業中止・変更基準を明確化する。
・次回の予定テーマ:
9月は「健康診断の事後措置」および「防災訓練の計画」について審議する予定。
このように、具体的なアクションプラン(誰が、何を、いつするか)まで落とし込んで記録しておくと、次回の会議で「やったかどうか」の振り返りがしやすくなります。
安全会議の議事録フォーマット・無料テンプレート
議事録を一から作成するのは手間がかかりますし、項目の漏れが発生する原因にもなります。
効率的かつ正確に記録を残すためには、自社に合ったテンプレート(フォーマット)を用意し、それを毎月使い回すのがベストです。
ここでは、一般的なフォーマットの構成や、最低限必要な項目を網羅した簡易テンプレートについて解説します。
WordやExcelでフォーマットを作成し、社内の共有サーバーに保存しておくと便利です。
【Word/Excel】すぐに使える議事録テンプレートのダウンロード
インターネット上には、厚生労働省や都道府県の労働局、労働基準協会などが公開している無料のテンプレートが多数存在します。
これらをダウンロードして活用するのが最も手軽で確実な方法です。
検索する際は「安全衛生委員会 議事録 様式」「衛生委員会 議事録 テンプレート 厚生労働省」といったキーワードで探すと、信頼できる公的な様式が見つかります。
例えば、静岡労働局が公開している安全衛生委員会のチェックリストやアジェンダ例(Excel)は、実務ですぐに活用できる資料です。 https://jsite.mhlw.go.jp/shizuoka-roudoukyoku/content/contents/001318168.xlsx
また、Excel形式であれば、出席者の名簿をプルダウンで選択できるようにしたり、開催日を入力すると自動で曜日が入るようにしたりと、入力の手間を省く工夫が可能です。
Word形式であれば、文章を記述しやすく、レイアウトが崩れにくいため、報告事項が多い企業に向いています。
自社の運用ルールに合わせて、使いやすい形式を選定してください。
既存のフォーマットをベースに、自社独自のチェック項目(例:社用車の点検記録、制服の着用状況など)を追加修正して使用することをおすすめします。
また、より詳細な運営実務や議事録の書き方については、中央労働災害防止協会の実務テキストなども参考になります。 https://shop.jisha.or.jp/collections/%E5%9B%B3%E6%9B%B8-%E3%83%86%E3%82%AD%E3%82%B9%E3%83%88
項目を埋めるだけ!最低限必要な簡易フォーマット
わざわざファイルをダウンロードするのが面倒な場合や、とりあえずテキストベースで形を作りたい場合は、以下の構成をコピーして使用してください。
これは法令で求められる要素を最低限網羅したシンプルな構成です。
第〇回 安全衛生委員会 議事録
- 日時: 令和〇年〇月〇日(〇) 〇時〇分 ~ 〇時〇分
- 場所: 〇〇会議室
- 出席者:(会社側)職名(化学物質管理者等)・氏名(労働者側)職名・氏名(産業医)氏名
- 欠席者: 氏名(理由)
- 審議事項(1) 職場巡視の結果報告および改善状況(2) 労働災害・事故・ヒヤリハットの発生状況(3) 長時間労働者の状況および健康管理について(4) 従業員からの要望・意見(5) 産業医からの指導・助言(6) その他(次回開催予定など)
この枠組みをメール本文や社内チャット、あるいはドキュメントツールに貼り付け、各項目を埋めていくだけで、立派な議事録が完成します。
形式にこだわりすぎず、まずは「記録を残す」ことを継続できる仕組みを作ることが大切です。
法的に必須!安全会議の議事録に必ず記載すべき項目
安全衛生委員会の議事録は、労働安全衛生規則第23条によって作成が義務付けられています。
適当に書いていれば良いわけではなく、法律上「ここだけは絶対に外してはいけない」というポイントが存在します。
労働基準監督署の監査が入った際、議事録は必ずチェックされる書類の一つです。
その際、必要な記載項目が欠けていると、「委員会が実質的に機能していない」とみなされ、指導の対象となる可能性があります。
ここでは、法的に必須となる記載事項について確認していきましょう。
労働基準監督署の監査でもチェックされる重要項目
労働安全衛生規則第23条(委員会の会議・周知・保存)に関する具体的な条文と解釈については、こちらをご確認ください。 https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000572034.pdf
労働安全衛生規則には、議事録に記載すべき事項として、主に以下の3つが挙げられています。
- 委員会の開催日時及び場所
- 委員会で審議した事項(議題)
- 審議事項についての決定内容など
つまり、「いつやったか」「何を話したか」「どう決まったか」の3点は必須です。
特に注意すべきなのは、「審議事項」の中身です。
単に「安全について話し合った」といった抽象的な記述では不十分です。
具体的には、「労働者の健康障害の防止対策」「労働災害の原因及び再発防止対策」「安全衛生に関する規程の作成に関すること」など、法で定められた調査審議事項について、実際にどのような意見が出され、どのような結論に至ったのかを具体的に記す必要があります。
労基署の監督官は、この具体性を見て「委員会が形骸化していないか」を判断します。
産業医の出席・発言内容は必ず記録に残す
産業医の関わり方は、安全衛生管理の質を左右する重要な要素です。
法律上、産業医は安全衛生委員会の構成員とされています。
そのため、産業医が出席していたのか、そしてどのような意見を述べたのかは、極めて重要な記録となります。
もし産業医が業務多忙で会議自体を欠席した場合でも、事前に資料を送付して意見をもらったり、後日議事録を確認してもらってコメントをもらったりする等の対応が必要です。
そして、そのプロセスを議事録に注記しておく必要があります(例:「産業医は欠席だが、事前に資料を確認し〇〇という意見を受領済み」など)。
産業医が「特に意見なし」と言った場合でも、「産業医より、本日の議題について特段の追加意見はない旨を確認した」と記載し、産業医が関与した事実を残すようにしましょう。
議事録への押印・署名は法律上必須なのか
以前は、議事録に出席者全員の印鑑(ハンコ)を押すことが慣例となっていましたが、近年の行政手続きのデジタル化や押印廃止の流れに伴い、必ずしも「押印」は必須ではなくなりつつあります。
しかし、法律上、議事録には「出席者の氏名」を記載する必要があり、それが正しい記録であることを担保する必要があります。
そのため、実務上は以下のいずれかの方法をとることが一般的です。
- 議長(総括安全衛生管理者)が記名・押印または署名する。
- 議長と労働者代表の2名が記名・押印または署名する。
- 電子データとして作成し、メール等の履歴やワークフローシステムの承認ログをもって確認の証拠とする。
重要なのは「誰が作成し、誰が内容を承認したか」が後から分かる状態にしておくことです。
労基署の調査でも、最近は電子データでの保存や電子承認が認められていますので、自社の業務フローに合わせて最適な方法を選択してください。
作成した議事録の「周知」と「保管」のルール
議事録は書き上げて終わりではありません。
作成した後、「従業員全員に知らせること(周知)」と「一定期間保存すること(保管)」までが、法律で定められた義務です。
せっかく素晴らしい議事録を作っても、従業員が見られない状態だったり、すぐに捨ててしまったりしては、法令違反になってしまいます。
ここでは、作成後の取り扱いに関する正しいルールについて解説します。
従業員に周知させる正しい方法(掲示・配布・磁気記録)
労働安全衛生規則では、委員会の議事概要を労働者に周知させなければならないと定めています。
周知の方法として、以下の3つのいずれかを行う必要があります。
- 各作業場の見やすい場所に常時掲示するか、備え付ける。
- 書面を労働者に交付する(紙で配る)。
- 磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が常時確認できる機器を設置する(社内イントラネット、共有サーバー、メール配信など)。
現代のオフィス環境では、3番目の「データでの共有」が最も効率的です。
社内の掲示板サイトにPDFをアップロードしたり、全社員宛てのメールで議事録を送付したりする方法で問題ありません。
ポイントは、「見たいと思った従業員が、いつでも見られる状態にあるか」ということです。
パスワードを知っている一部の人しか見られない状態などは不適切ですので注意しましょう。
法律で定められた「3年間」の保存義務
作成した議事録は、どのくらいの期間取っておく必要があるのでしょうか。
答えは「3年間」です。
労働安全衛生規則第23条により、安全衛生委員会の議事録は3年間の保存が義務付けられています。
この「3年」の起算点は、議事録を作成した日(会議開催日)からです。
労基署の定期監督や、万が一労働災害が発生した際の調査では、過去にさかのぼって議事録の提出を求められることがあります。
その際、「去年の分は捨ててしまいました」では通用しません。
ファイリングして書庫に保管する場合でも、データでサーバーに保管する場合でも、年度ごとにフォルダを分けるなどして、過去3年分はすぐに取り出せるように整理整頓しておきましょう。
リスク管理の観点からは、法律の最低ラインである3年を超えて、5年程度保存しておく企業も多く見られます。
紙ではなくPDFなどデータ保存(電子化)でも問題ないか
近年、ペーパーレス化が進んでいますが、議事録を紙ではなくPDFなどの電子データのみで保存することは法的に問題ないのでしょうか。
結論から言うと、「問題ありません」。
厚生労働省も、一定の要件を満たせば電子保存を認めています。
労働安全衛生法および同規則に基づく電子保存に関する通達(基発)の詳細は、こちらから確認できます。 https://www.mhlw.go.jp/content/000465070.pdf
その要件とは、主に以下の2点です。
- 保存されたデータが、紙の書面と同じように明瞭な状態で表示・印刷できること(見読性)。
- 労働基準監督署の調査などで提出を求められた際、直ちに提示・提出できるようにしておくこと。
つまり、PDF化してサーバーに保存し、必要なときにいつでも画面で見たりプリントアウトしたりできる状態であれば、紙の原本を廃棄しても法令違反にはなりません。
保管場所の削減や検索性の向上のためにも、積極的に電子化を進めることをおすすめします。
電子化された安全衛生委員会やヒヤリハットに関するデータをAIに学習させることで、安全管理の質を高める方法を解説した記事もございます。 合わせてご覧ください。
安全会議の議事録作成に関するよくある質問
最後に、安全会議の議事録作成に関して、現場の担当者からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
迷いやすいポイントをクリアにして、自信を持って運用できるようにしましょう。
産業医が欠席した場合、議事録にはどう書けばいい?
産業医の欠席は望ましくありませんが、どうしても日程が合わないことはあります。
その場合、議事録の出席者欄には正直に「欠席」と記載してください。
ただし、前述の通り「産業医の関与」を示すことが重要です。
備考欄などに「※産業医は業務都合により欠席。事前に資料を送付し、〇月〇日に意見聴取済み。当日の議論結果については後日報告予定」といった記述を加えましょう。
これにより、産業医を無視して会議を進めたわけではないことを証明できます。
また、可能な限り産業医が出席できる日程で会議を設定することが大原則であることを忘れないでください。
産業医の職務・権限および委員会欠席時の対応プロセスについては、こちらの解説記事も合わせてご覧ください。 https://sangyoui.m3career.com/service/blog/09005/
派遣社員も閲覧できるように周知する必要がある?
はい、必要です。
労働安全衛生法における事業者の責務は、直接雇用の社員だけでなく、同じ事業場で働く派遣社員にも及びます。
派遣社員もその職場の危険源にさらされる可能性があるため、安全衛生に関する情報は共有されるべきです。
議事録の掲示場所を派遣社員も出入りするエリアにしたり、メール配信リストに派遣社員を含めたりするなど、分け隔てなく情報が届くように配慮しましょう。
安全な職場環境を作るためには、雇用形態に関わらず、そこで働く全員の協力が不可欠です。
派遣労働者および安全衛生委員会運営に関する詳細規定については、こちらのガイドラインも参考になります。 https://bosai-times.anpikakunin.com/osh-safety-and-health-committee/
個人名(メンタルヘルス不調者など)はどこまで書いていい?
議事録は全従業員への周知が義務付けられているため、個人のプライバシーに関わる情報を詳細に書くことは避けるべきです。
特にメンタルヘルス不調者や、特定の病気に関する相談内容などは、個人が特定される形で記載してはいけません。
「製造部においてメンタル不調により1名休職中」
「長時間労働による面接指導実施:2名」
といったように、個人名を伏せて、人数や部署等の統計的な情報にとどめるのが鉄則です。
具体的な個人への対応記録は、議事録とは別に、人事部や産業医などの限られた人しかアクセスできない「秘匿性の高い文書」として別途管理してください。
【警告】「形式的な議事録」が招く、法的リスクと賠償責任の罠
「毎月書いているから大丈夫」——。もしそう思っていたら、それは企業にとって致命的な落とし穴になるかもしれません。多くの企業が安全衛生委員会の議事録を単なる「開催記録」と軽視していますが、法的には極めて重い意味を持つ「証拠書類」です。過去の労働災害訴訟においても、企業の安全配慮義務違反を認定する際、安全衛生委員会が実質的に機能していたかどうかが重要な争点となっています。
形式的な記録がいかに危険か、以下の法的観点から解説します。
- 刑事責任の追及: 議事録の作成・保存を怠った場合、労働安全衛生法第120条に基づき、50万円以下の罰金が科される可能性があります。しかし、より恐ろしいのは、虚偽の内容や実態のない記録が発覚した場合、労働基準監督署による是正勧告や、悪質な場合は送検の対象となり得ることです。
- 民事上の防御力の喪失: 万が一、過労死や重大事故が発生した際、裁判所は「会社が予見可能性を持ち、回避努力をしたか」を厳しく問います。このとき、議事録に具体的な議論や改善策の記載がなく、定型文のコピー&ペーストばかりであれば、企業は「安全配慮義務(労働契約法第5条)を尽くしていなかった」とみなされ、億単位の損害賠償を命じられるリスクが高まります。
引用元:
労働安全衛生法第120条(罰則規定)、労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)、および労働災害における安全配慮義務違反に関する過去の判例(電通事件などにおける安全管理体制の不備の認定)に基づきます。
【実践】「ハインリッヒの法則」を活かす、リスクゼロへの思考転換
では、法的な防波堤となり、かつ実効性のある議事録にするにはどうすればよいのでしょうか。重要なのは「異常なし」という言葉を疑うことです。労働災害の経験則である「ハインリッヒの法則」によれば、1件の重大事故の裏には29件の軽微な事故と、300件のヒヤリハットが隠れているとされています。
つまり、「報告事項なし」「異常なし」が続く議事録は、潜在的なリスクを見落としている「危険な兆候」である可能性が高いのです。
- 「ゼロ報告」を評価しない: 「今月はヒヤリハットがありませんでした」という報告に対し、優秀な衛生管理者は「見つけられなかっただけではないか?」と問いかけます。小さな違和感を言語化し、記録に残すプロセスこそが、事故を未然に防ぐ本来の活動です。
- 産業医を「監査役」にする: 産業医の確認印をもらうだけでなく、専門家の視点から「この対策で十分か」という評価コメントを必ずもらい、それを記録してください。第三者の専門的知見が介在した事実は、企業の安全管理の客観性を高める強力な証拠となります。
引用元:
H.W.ハインリッヒ「Industrial Accident Prevention」(1931年)における労働災害の発生比率(1:29:300の法則)、および労働安全衛生規則における産業医の職務権限に基づきます。
まとめ
企業が社会的責任を果たしつつ、持続的な成長を目指す上で、コンプライアンスの遵守と業務効率化の両立は避けて通れない課題です。
特に安全衛生委員会のような法定業務は、専門的な知識が求められる一方で、毎月の議事録作成や法令チェックといった定型業務に多くのリソースが割かれているのが現状です。
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