生成AIとは
生成AIとは、生成系AI、Generative AIとも呼ばれ、学習したデータからユーザーの質問や指示をもとに新たなコンテンツを生み出すことができる人工知能(AI)のことです。生成AIは現在大きな注目を集めており、また多くの状況で利用されています。
実際に、生成AIは現在絵画やデザインの作成、物語の執筆、音楽の作曲などのクリエイティブ分野や自動での報告書作成などの業務効率化、教材の作成や学習支援コンテンツの提供などの教育分野などに用いられています。
さらに、日常生活においても、カスタマーサポートでのチャットボットや、個人に合わせた提案を行うサービスに組み込まれるなど、私たちの身近な場面でも利用が進んでいます。
生成AIが大きな注目を集めた理由
生成AIが大きな注目を集めている理由は、まず「精度の向上」が挙げられます。最近の技術進歩により、生成AIは質問への回答や、要約を指示され要約した文章などの出力において、非常に高精度な結果を出せるようになりました。
そして、「使いやすいサービスの登場」、特にChatGPTのようなサービスが一般の人々でも簡単に利用できるようになりました。これらの理由により、多くの人が生成AIの利便性と実用性を実感し、大きな注目が集まる結果となりました。
従来のAIと生成AIの違い
従来のAIと、生成AIの違いは「新たなコンテンツを作り出せるか否か」という点にあります。従来のAIは与えられたデータを基に判断や予測を行うのが主でしたが、生成AIは深層学習(ディープラーニング)を活用することで、データから特徴を学習して新たな情報や表現を生成します。これにより、単なる自動化を超えた新しいコンテンツの創造が可能になっています。
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実際にこの例を見て分かる通り、従来のAIは「学習したデータを元に判断や分析をする」ことを行っており、生成AIは「学習したデータを元に新たなコンテンツを作り出す」ことを行っています。
生成AIのメリットとデメリット
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生成AIのメリット
生産性の向上
生成AIはアイデアや文章などをテキストで作成できるため、たたき台作成が非常に優秀であるという側面があります。そのため、生成AIを利用することで最後の仕上げだけを人間がやれば良くなりました。
例えば、プレゼン資料内の文章について、今までは一から全てを作成していたのが、生成AIを利用することで原文を生成AIに作成してもらい、その文章の事実確認・文脈に誤りがないかを確認するのみで良くなりました。
このような生成AIの特徴により、大きく生産性が向上します。
実際に、下記データからわかるように、9379人のうち7905人は生成AIを利用することで時間を節約できていると考えており、また9379人のうち58%は週に5時間以上節約できたと考えています。
また、下記のグラフから生成AIユーザーが生成AIを利用し節約した時間を何に当てているかが分かります。
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参考:BCG『AI at Work: Friend and Foe』
クリエイティブな作業の支援
生成AIには、人間のアイデアを補完し、新しい視点やクリエイティブな発想を提供する能力があります。例えば、デザインの提案、文章の構成の提案、音楽や画像の生成など、多岐にわたるクリエイティブな作業をサポートします。これにより、クリエイターやマーケティング担当者がより革新的なコンテンツを生み出すことが可能になります。
データ分析の強化
生成AIには、大量のデータから洞察を引き出す能力があり、意思決定の質を向上させるツールとしても利用できます。
具体的には
・自社サービスに関するSNS投稿からレビュアーの感情を評価して、顧客満足度を分析する
・過去の売り上げデータから未来の売り上げや需要を予測する
・社内アンケートや定期的なフィードバックデータを分析し、従業員のストレス要因を特定する
・市場データや競合情報を基に、新しい地域や業界への進出可能性を評価する
といったことが可能です。
生成AIのデメリット
ハルシネーション(幻覚)のリスク
ハルシネーションとは、生成AIが質問や指示に対して誤った情報を生成してしまう現象を指します。これにより、ユーザーが誤導される危険性があります。
これが起こる理由としては、学習データそのものが誤情報を含んでいることや、言語モデルは文脈に合うように単語を確率論を用いて選択しており、事実よりも文脈の正しさを優先してしまうといったことが主なものとして挙げられます。
ハルシネーションは生成AIの信用に関わる課題であるため、現在これを解決するために多くの研究が進められています。
また、利用者側がすぐにできるハルシネーションの抑制方法として、プロンプト(質問や指示などの入力テキスト)を工夫するといったものがあります。
具体的には
・「ハルシネーションを起こさないように」
・「分からないものはちゃんと分からないと答えて」
といったものが挙げられます。注意点として、これはあくまでもハルシネーションを抑制するものであり、確実に無くすものでは無いです。そのため、最終的な確認は必ず人間が行うべきです。
データ漏洩のリスク
生成AIには、データ漏洩のリスクがあります。具体的には、機密情報が含まれたデータを生成AIに入力し、学習された場合、第三者に機密情報が含まれた情報を生成する恐れがあります。
実際に、韓国の大手電子メーカーであるサムスンのエンジニアが社内のソースコードをChatGPTにアップロードしてしまい、それが流出してしまったという事例もあります。
このようなことを避けるためには、社内のガバナンス体制やセキュリティ規則を徹底することが必須となります。
また、入力データが学習されないような生成AIツールを利用するのも手です。例えば、Microsoftが提供するクラウド上でOpenAIの生成AIモデルを利用することができる Azure OpenAIという生成AIツールが存在しますが、これは入力データを学習しないので、データ漏洩のリスクはありません。
より詳しく生成AIについてのセキュリティ関係が知りたければ下記ホワイトペーパーを参考にしてください。
著作権を侵害するコンテンツを含む可能性
生成AIが生成したコンテンツの中に、著作権を含むコンテンツが含まれている可能性があります。そのため、やはり社内のガバナンス体制やセキュリティ規則を徹底し、最終的には人間が確認するというのが重要になります。
生成AIの種類
生成AIには主に4つの種類があります。
テキスト生成AI
ユーザーの入力したテキストや画像に対してテキストを生成します。
実際の利用例
・記事やブログ、SNS投稿の作成を自動化
・質問に答える企業HPのチャットボット
・データや要約情報を基にした報告書やプレゼン資料の作成
画像生成AI
ユーザーの入力したテキストや画像に対して画像を生成します。
実際の利用例
・新製品のイメージや広告バナーを作成
・Eコマースにおいて仮想の商品画像やデザイン案を作成
・インディーゲーム開発においてキャラクターデザインや背景アートを作成
動画生成AI
ユーザーの入力したテキストや動画に対して動画を生成します。
実際の利用例
・新製品やキャンペーンの紹介動画を作成
音楽生成AI
ユーザーの入力したテキストに対して音楽を生成します。
実際の利用例
・ブランドに合わせた短いBGMを作成
・プロのアーティストが自身の楽曲作成に利用
具体的な生成AIのサービス
現在、生成AIを用いたサービスは数多く存在しています。そのなかで、有名なものを3つ紹介したいと思います。
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ChatGPT
ChatGPTは、OpenAI社が開発した対話型の生成AIです。ユーザーのプロンプトに従いテキストや画像を生成します。プロンプトは自然な文章で良いため、慣れてない方でも使いやすい設計となっています。
「GPT」はGenerative Pre-trained Transformerの略で、大量のテキストデータを基にして文章を生成する言語モデルであり、GPT-3やGPT-4といった幾つかのバージョンが存在します。
ユーザーが入力した質問や会話に対して、自然な文章で回答を返す機能があり、またさまざまな分野の知識を持ち、多言語対応しているため、教育、ビジネス、日常会話など幅広い場面で活躍しています。
下記リンクから実際に利用することができます。
https://openai.com/ja-JP/chatgpt/overview/
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Microsoft Copilot
Microsoft Copilotは、Microsoft社が提供するChatGPTのような対話型の生成AIです。ChatGPTと同様にテキストや画像を生成します。Webサイト上のみでの提供ではなく、Microsoft社の他の製品と併せた提供もあります。例えば、Windowsではcopilot in Windowsが標準で搭載されており、またOfficeアプリ(Word,Excel,etc)に有料ですがCopilot for Microsoft 365を搭載することもできます。
下記リンクから実際に利用することができます。
Stable Diffusion
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Stability AI社が提供している画像生成AIです。プロンプトをもとに画像を生成することができます。ChatGPTやMicrosoft Copilotとは違い、プロンプトは文章ではなく、生成したい画像を表す英単語を区切って入力していかなければなりません。
このプロセスにはいくつかルールが存在しており、コツを掴むまでは頭の中でイメージする画像を生成するのは少し難しいかもしれません。そのため、画像生成に慣れていない方は最初にChatGPTで画像生成するのをお勧めします。
もしStable Diffusionを利用したい場合、ブラウザ版かローカル環境で利用ができます。この2つは違いがあり
ブラウザ版:簡単に利用できる代わりに枚数制限や課金要素がある。
ローカル環境:無料で生成枚数と機能に制限が無い代わりに、ハイスペックなパソコンが要求され、また環境構築が面倒。
といった感じです。
Stable Diffusionをブラウザで利用できるサイトはいくつかあるので、それらのリンクを貼っておきます。
Hugging Face:https://huggingface.co/spaces/stabilityai/stable-diffusion
Clipdrop:https://clipdrop.co/instant-text-to-image
生成AIの導入事例を知りたい方へ
現在多くの注目を集め、多くの企業が業務に活用・導入している生成AI。そういった中で、これから生成AIの導入を検討する方には、既に生成AIを導入している企業の生成AI導入事例はとても参考になります。
そのため、我々は全13業種、248社のユースケースや導入の効果などの生成AI導入事例をまとめた資料を、生成AIを活用している企業のカオスマップと共に作成いたしました。生成AIの導入を検討する方は、是非下記リンクからダウンロードしてください。
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