【エンジニアでなくてもプロダクト開発】スマートニュースが実践する全社的なAI活用

「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」をミッションに掲げ、ニュースアプリ「SmartNews」を提供するスマートニュース。

同社は、生成AIの波をいち早く捉え、プロダクトへの活用と並行して、社内の業務変革にも積極的に取り組んでいます。その中心的な役割を担っているのが、非エンジニア社員がAIを活用してスキルを習得する社内「生成AI塾」です。

今回は、塾長であるプロダクトプロトタイパーの山本さんと、塾生として実際にプロダクト開発を経験したコンテンツパートナーシップ パートナーシップデベロップメントアソシエイトの小畑さんに、AI活用がもたらした組織の変化や今後の展望について詳しく伺いました。

「ユーザー価値向上」と「業務効率化」を両輪で。スピード感を持って進んだAI活用の初期段階

Q.まず、御社の事業内容と、皆様の役割について教えてください。

山本さん: 私たちは「世界中の良質な情報を必要な人に送り届ける」というミッションのもと、ニュースアプリ「SmartNews」を配信しています。パブリッシャー様からお預かりしたニュース記事を、ユーザー一人ひとりの興味関心に合わせて最適化し、お届けするのが私たちの事業です。私はプロダクトプロトタイパーとして、主に社内でのAI活用推進などを担当しています。

小畑さん: 私は2022年に新卒で入社し、広告営業を経て、現在は事業開発部門におります。クーポンを提供してくださるコンビニエンスストア様や外食チェーン様といったパートナー企業様と共に、様々な企画を立案・実行しています。

Q.生成AIの導入を検討し始めたきっかけや、当時の議論についてお聞かせください。

山本さん: 生成AIの技術が一定の性能に達したタイミングで、社内では大きく二つの議論がほぼ同時に進みました。一つは、ユーザー向けの機能としてプロダクトにどう反映できるかという議論です。例えば、一つのトピックに対してより深掘りした情報を提供する「スマニューAIまとめ」のような機能開発にチャレンジしています。

もう一つは、社内の業務効率化にどう活かすかという議論です。これら二つの活用は互いに依存するものではなく、プロダクトへの実装と、社内スタッフの業務効率化という両輪で、非常にスピード感を持って並行して進んだと認識しています。

非エンジニアがプロダクトを自ら開発。「生成AI塾」が生んだ組織変革

Q.「生成AI塾」とはどのような取り組みなのでしょうか。

山本さん: 私は、社員がAIを業務に適用するスキルを学ぶための「生成AI塾」を開いています。この塾では、特にプロダクト作りやプログラミングをメインに教えています。生成AIの登場によって、これまでエンジニアしか作れなかったようなプロダクトやツールを、非エンジニアでも作れる時代になったと認識しています。そこで、ビジネス職などの非エンジニアのメンバーに、ローコードツールや生成AIを活用したプログラミングスキルを身につけてもらい、単純な作業効率化に留まらない、より次元の違う効率化や、ユーザーに直接価値を届けられるプロダクト開発を実現してもらうことを目指しています。

Q.小畑さんは「生成AI塾」の塾生として、実際にどのようにAIをご自身の業務に活用されたのでしょうか。

小畑さん: 以前から、事業開発の企画をアプリ機能として実装することにハードルを感じていながらも、プロダクトを起点とした企画を実現したいという思いがありました。そこで「生成AI塾」でAIコーディングを学び、かねてからの課題であった「パートナー企業の情報を新しい見せ方でユーザーに届けたい」というテーマに挑戦しました。

例えばコンビニエンスストア様からは様々な新情報が届きます。その情報を新たな見せ方で伝える機能のプロトタイプを自ら開発しました。現在は本番環境でABテストを行い、ユーザーのフィードバックを基に改善を進めている段階です。非エンジニアの私が、社内の手厚いサポートのおかげで、自ら開発した機能をリリース間近まで進められたことは、非常に面白い取り組みだったと感じています。

Q.お客様と近い立場のビジネス職の方が、ご自身でプロダクトを開発できるようになったのですね。他にも具体的な事例はありますか?

山本さん: 他にも、広告チームの非エンジニアのメンバーが、クリエイティブ制作の効率化に貢献した例があります。日本全国の駅名を入れた大量の広告画像を生成する必要があったのですが、駅名リストからボタン一つで全駅分の画像が生成されるツールを自ら作成しました。結果として、制作プロセスの効率化や将来的なコスト削減の可能性を広げる取り組みとなりました。

スキル習得がもたらす成果と今後の展望

Q.一連の取り組みを通じて、どのような効果や成果がありましたか?

山本さん: 定性的な効果として最も大きいのは、「非エンジニアが物を作れるようになった」ことです。広告営業だからこそ生まれるアイデアなど、立場が違えば見える世界も全く異なります。これまではそうしたアイデアを実現するにはエンジニアのリソースに依存せざるを得ませんでしたが、今ではまず自分でプロトタイプを作ってみせることができます。これにより、アイデアの価値が具体的に伝わり、「これならやってみよう」と周囲を巻き込むことができるようになりました。非エンジニアのアイデアが実現できる素地ができたことは、当社にとっても、他の企業様にとっても非常に大きなインパクトがあると考えています。
定量的な面では、「生成AI塾」には現在100名ほどが参加しており、そのうち20名程がアクティブにプロトタイプを開発・共有しています。小畑のように頻繁にイテレーションを回しているメンバーも5名ほどおり、活動が組織に根付き始めている手応えを感じます

Q.塾での学びが、組織全体にも良い影響を与えているのではないでしょうか。

山本さん: まさにそれを願っています。塾のメンバーがそれぞれの部署に戻り、AIを活用して成果を出す姿は、参加していない他の社員にとっても「自分も使ってみよう」という刺激になるはずです。実際に、塾とは別に様々な部署でのAIの業務活用を共有するコミュニティ「Work with AI」も生まれており、社内で複数のムーブメントが互いに切磋琢磨しているのは、非常に良い状況だと感じています。

Q.最後に、今後の展望と読者へのメッセージをお願いします。

小畑さん: 今回の新機能開発をきっかけに、現在は山本さんのもとでAIを活用する製品部門のチームに異動しました。今後はよりAIベースのプロダクトを推進し、「SmartNews」そのものを進化させていきたいです。経営陣からもAI活用は強くプッシュされており、「与えられたリソースでいかに効果を最大化するか」というプレッシャーはありますが、それをバネに定量的な成果を出していくことが目標です。

山本さん: 当社には「Outcome Obsession」というコアバリューがあります。まさに今の時代に合った言葉であり、AIという強力なツールを得た今、全社員がこれまで以上に結果に執着し、できなかったことを可能にしていく会社でありたいと思っています。今回お話ししたように、今後もプロダクトやサービスを通じてAI活用の成果をお客様に提供していきます。もし、AIを使ってより良く働き、大きなアウトカムを出すことに挑戦したい方がいらっしゃいましたら、採用も積極的に行っておりますので、ぜひご応募いただければと思います。