AI浸透の鍵は「目的からの逆算」と徹底した伴走支援にあり

今回は、AIプラットフォーム「JAPAN AI」を提供し、企業のAI活用・浸透を一気通貫で支援するJAPAN AI株式会社。

製薬大手での劇的な業務効率化事例から、ROI 500%超を叩き出す成果の裏側、そして全社浸透を成功させるための具体的な方法について、同社のカスタマーサクセス部 部長 臼井さんと、同部エンタープライズチームの矢野さんにお話を伺いました。

課題解決の手段としてAIを。高精度RAG技術を基盤としたAIプラットフォーム

Q. まず、御社の事業内容と提供されているプロダクトについて教えてください。

臼井さん: JAPAN AI株式会社は、企業向けにAIプラットフォームを開発・提供している会社です。自社で開発した高精度のRAG技術を基盤としており、ノーコードでAIエージェントを作成できる「JAPAN AI AGNET」や、AI処理からデータ管理、Webアプリケーション開発までをノーコードで実現できるプラットフォーム「JAPAN AI STUDIO」などを提供しています。お客様の課題に合わせて最適なソリューションをご提案しています。

ROI 500%超えを生み出すAI活用の実態

Q. どのような企業に導入されているのでしょうか?具体的な事例を教えていただけますか?

臼井さん: 我々のプロダクトは、もともとがAIプラットフォームということもあり、非常に幅広い業態・企業規模のお客様にご利用いただいています。スタートアップから、エンタープライズ企業まで、数多くの導入事例がございます。

矢野さん: 具体的な事例として、某製薬企業のケースをご紹介します。この企業様は、SOPと呼ばれる厳格な品質管理基準を定めた手順書が数万点も存在し、それらが紙やPDFで保管されていました。現場の方々が日々、膨大な資料の中から必要な情報を探し出したり、バージョンを改訂したりする作業に多大な時間がかかっていたことが大きな課題でした。

Q. その課題に対して、どのようにAIを活用されたのでしょうか?

矢野さん: そこで、膨大な手順書を「JAPAN AI」に連携し、自然言語で質問するだけで関連文書を瞬時に探し出し、回答を提示する仕組みを実現しました。例えば、「〇〇文書の最新バージョンを教えて」「〇〇という薬の製造仕様は?」と入力するだけで、AIが数万点のドキュメントの中から的確な答えを見つけ出します。これにより、検索精度が劇的に向上しただけでなく、これまで活用しきれていなかった“眠っていたデータ”を資産として蘇らせることができました。

Q. JAPAN AIを導入した企業では、どのような成果が得られていますか?

臼井さん: 定量的・定性的な両面で大きな成果が出ています。定量的な成果としては、ROIで500%以上を達成されている企業様が多くいらっしゃいます。中には1000%を超える成果を出されているケースもあり、これは導入コストに対して5倍から10倍以上の新たな価値を生み出している計算になります。

定性的な面では、お客様から「数時間かかっていた作業が数十分に短縮された」「2、3日を要していた業務が、たった1時間で完了した」といったお声を多数いただいています。削減された時間で新たな業務に着手できるようになったり、業務負荷が軽減され定時で帰れるようになったりと、働き方そのものにも良い影響を与えられていると感じています。

「使われない」を防ぐ3ヶ月の伴走支援で「AI推進人材」を育成

Q. 高い成果を着実に生み出すために、どのような伴走支援をされているのでしょうか?

矢野さん: AIサービスは「どうぞ使ってください」と提供するだけでは、なかなか現場に浸透しないという現実があります。そこで我々カスタマーサクセスが、お客様に寄り添って支援する体制を標準でご提供しています。多くのお客様はChatGPTなどの生成AIの利用経験をお持ちですが、業務の効率化に直結するような具体的な活用方法に課題を感じているケースが多く見受けられます。そのギャップを埋めるため、導入初期にはオンボーディングプログラムを設け、お客様の業務に合わせた活用定着を支援しています。

Q. 具体的にはどのようなプログラムなのでしょうか?

矢野さん: お客様の状況に合わせてカスタマイズしますが、基本的には3つのステップで進めます。まずステップ1は、AIに「慣れてもらう」段階です。調べ物や文章作成といった身近で単純な業務からAIに任せてみて、まずはツールに触れていただくことから始めます。

次にステップ2として、普段の業務やタスクを本格的にAIに任せていく「発展」の段階に移ります。お客様の具体的なユースケースをヒアリングし、そこに最適なAIエージェントの作成やプロンプトの設計などを、我々がサポートしながら一緒に進めていきます。

そして最後のステップ3では、社内での「AI人材」を育成し、全社展開を目指します。特に従業員数が1000名を超えるような大企業では、数名が使えるだけでなく、組織全体で活用してこそ真の投資対効果が発揮されます。お客様のプロジェクトチームと連携し、各部署でAI活用をリードできる推進リーダーを育成することで、ボトムアップでの普及を促します。経営層からのトップダウンの号令と、現場からのボトムアップの動き、この両輪を回すことで、全社的なAI浸透を実現しています。

ステップ1

AIに慣れる

調べ物、文章作成、FAQ作成など、単純な業務でAIの利用・成功体験を積む。

ステップ2

業務へ発展させる

普段の業務・タスクにAIを適用。ユースケースのヒアリング、AIエージェント作成やプロンプト設計を支援。

ステップ3

AI人材の育成と全社展開

社内のAI推進リーダーを育成。トップダウンとボトムアップの両輪で全社的なAI浸透を支援する。

AI導入は手段か、目的か。活用の成否を分ける企業のスタンス

Q. 様々な企業を支援する中で、AI活用がうまくいく企業にはどのような特徴があると考えていますか?

臼井さん: 様々な観点がありますが、一つ明確なのは「AI導入ありき」で考えている企業様は、成果に繋がるまでのハードルが高い傾向にあるということです。「AIを導入したい」ということ自体が目的になってしまうと、現場での具体的なユースケースを描ききれず、なかなか活用が進みません。

成功する企業様は、「こういう業務を効率化したい」「こんな未来を実現したい」という明確な目的があり、その目的を達成するための「手段」としてAIを選択されています。ゴールから逆算して、課題解決のためにAIをどう使うべきかを真剣に考えている企業様ほど、浸透も早く、成果にも繋がりやすいと感じています。

顧客のより深い課題に応えるための展望

Q. 最後に、今後の展望についてお聞かせください。

臼井さん: 直近では、業界ごとに標準化されたスキルセットを提供したり、より複雑な業務プロセスをプリセットしたりできる「Skills」という新機能を発表しました。

https://japan-ai.co.jp/news/press/2026/02/260209/

これにより、お客様はさらに高度な機能を簡単に使いこなし、外部サービスとの連携も拡大していくことができます。今後も、こうした基盤となるソリューションを進化させ、お客様のより深い課題に応えていけるような機能開発とサービス提供を続けていきたいと考えています。