流通額2099億円のEC基盤。国内SaaS初のMCP対応でAIを「戦略参謀」へ

ECサイトの運営業務に追われ、事業成長のための戦略立案にまで手が回らない——そんな悩みを抱えていませんか?

国内で5万店舗が利用し、年間の流通額が2099億円に達するECサイト構築SaaS「カラーミーショップ byGMOペパボ」は、国内EC系SaaSベンダーとしていち早くMCP(Model Context Protocol)連携を実装しました。単なる業務効率化にとどまらず、AIを「事業成長に伴走する参謀」として位置づけ、テキストや動画の自動生成からシステム連携まで、段階的にAI機能を拡張している点が大きな注目を集めています。

本記事では、AI機能開発の裏側にある課題意識や他社サービスとの決定的な違い、そして導入企業がつまずきやすいポイントをどう支援しているのかについて、GMOペパボ株式会社 執行役員 EC事業部長の寺井さんに伺いました。

5万店舗のEC構築を支援。テキスト生成からMCP連携へと進化するAI機能

Q. まずはカラーミーショップのプロダクト概要と、現在提供されているAI機能について教えてください。

寺井さん: カラーミーショップは、現在国内で5万店舗にご利用いただいているECサイトの構築サービスです。独自のドメインを取得してECサイトを構築する際の支援を行うSaaSであり、全ての店舗で構成される流通額は昨年で2099億円に達しました。主に国内のEC事業者様、SMB層の皆様にご活用いただいております。

我々はAIを活用した機能を、大きく3つの段階を経て提供してきました。1つ目は、2023年に、生成AIの技術が勃興し始めたタイミングで提供した文章作成の支援機能です。ネットショップを作る際には商材の登録作業が発生しますが、商品の説明文や、SNSで発信するためのプロモーション文章の作成を生成AIで支援する仕組みを2023年に導入しました。

2つ目は昨年ローンチした、カラーミーショップのランディングページ(LP)作成サービスへのAI活用です。Web広告やSNSから流入したお客様向けに、スマートフォンに最適化されたインタラクティブなLPを作る機能を提供しています。その中で、登録されたアパレルなどの静止画モデル写真を動画化する機能を組み込みました。固定された静止画の集まりになりがちなECサイトを、動画を交えた動きのあるLPとしてカジュアルに作成いただけるようになっています。

そして3つ目が、2026年3月に提供を開始したMCP機能です。ClaudeデスクトップなどからMCPを介してカラーミーショップのシステムに直接接続できる仕組みを、国内のEC系SaaSベンダーとして初めて提供いたしました。これまで管理画面で様々な条件を設定して受注を検索していたようなオペレーションが、「昨日のギフト関連の受注だけを抜き出してリストにして」といった自然言語の指示で行えるようになります。AIがEC事業者に伴走するための入り口として、この機能を提供させていただきました。

“ECサイトは作って終わりではない” 日常運営と戦略立案の負荷をAIで解決する

Q. テキスト生成、動画化、そしてMCP連携と多様なAI機能をリリースされていますが、どのような課題感からこれらの機能開発に至ったのでしょうか?

寺井さん: 提供しているアウトプットの形や技術的なソリューションはそれぞれ異なりますが、根底にあるのは「EC事業者様の事業成長を支援するために、我々に何ができるか」という共通の視点です。

これまでSaaSとしての機能拡充や、ヒューマンリソースを活用した支援を行ってきましたが、第3の軸として「AIがいかにEC事業者の方に伴走できる環境を作れるか」を模索してきました。お客様と対話する中で浮き彫りになった直近の課題に対し、すぐにAIで支援できる領域を見極めた結果が、これら3つの機能のリリースにつながっています。

ECの事業者様が抱える負荷は、大きく2つの軸に分かれます。1つは受注処理や発送といった日常的な運営業務の負荷、もう1つはどう事業を成長させていくかという戦略立案の負荷です。我々は、ECサイトは構築することがゴールではなく、その後の受注・発送・サポートを含めた一連のプロセスこそが重要だと考えています。

そのため、日常的な運営においては管理画面のUI/UXを非常に重視しています。毎日数百件の受注を処理されるお客様がストレスを感じないよう、レスポンススピードやメニューの配置一つに至るまで徹底的なディスカッションを経て設計しています。その上で、戦略立案や事業成長の判断材料となるよう、システム内に蓄積されたログを活用したアナリティクスやレポーティング機能も提供しています。AI機能の拡充も、こうした日常業務の負荷軽減と戦略立案の支援という両輪を加速させるためのものです。

UI/UXの徹底的な磨き込みと最新技術の融合がもたらすコストパフォーマンス

Q. 似た領域で展開する競合サービスも多い中で、カラーミーショップの独自性や選ばれ続ける理由はどこにあるのでしょうか?

寺井さん: 全体的なコストパフォーマンスとバランスの良さを、非常に高くご評価いただいております。入り口の立ち上げ期における初期投資のフェーズから、実際に事業が成長して一定の規模感にたどり着くまでの長期的なスパンを、無理なくバランスよく支援できる点が大きな強みです。

また、カラーミーショップは20年を超える歴史を持つ老舗のサービスでありながら、データの持ち方やAPIを活用したエコシステムの構築、そして今回のMCPのような先端技術の導入を非常に早い段階から進めています。将来性を見据えた技術投資への姿勢をご評価いただいている点も、プロダクトとしての独自性だと考えています。

もう一つの重要な要素が、GMOペパボの「人類のアウトプットを増やす」というミッションです。これを果たすために、サービス開発はもちろん、サポートなどの人が介在する領域においても、社員一人ひとりがミッションを強く意識して取り組んでいます。「こういう人たちが運営しているからこそ、このサービスを使いたい」と感じていただけるような、人の温かみやサポートの質の高さも、他社との大きな違いになっています。

専任のECアドバイザーが伴走。AI導入につまずく事業者への手厚いサポート体制

Q. MCP連携などは非常に発展的な機能であり、AIツールに不慣れな事業者様にとっては活用が難しいケースもあるかと思います。どのような支援体制を整えているのでしょうか?

寺井さん: カラーミーショップには複数のプランをご用意しており、最上位のプレミアムプランでは「ECアドバイザー」という専任の担当者がつく体制になっています。このアドバイザーが月に一度、ネットショップの運営状況を客観的に把握し、それぞれのショップ様に最適な改善施策やソリューションをご提案しています。

AIツールに馴染みがない、あるいは「そもそもAIで何ができるのかわからない」という事業者様に対しても、このアドバイザーを通じて個別のサポートを行っています。「御社の業務フローであれば、こういうAIの使い方が合っていますよ」といった具体的なユースケースの提案を、伴走しながら進めることができます。

さらにプロダクト外の取り組みとして、オウンドメディアや各種媒体を通じたコンテンツ発信も強化していく予定です。より多くのEC事業者様に「AIは事業成長のためのパートナーになる」という認識を持っていただけるよう、使いこなしのヒントや具体的な活用事例を広く届ける活動を広げていきたいと考えています。

経営者のルーティン業務を代替。自然言語によるデータ抽出や納品書作成の自動化

Q. 実際にAI機能、特にMCP連携を導入された事業者様からは、どのような成果や変化が生まれていますか?

寺井さん: まだリリースから日が浅いものの、すでに非常に面白い使われ方が見え始めています。最もシンプルな活用法としては、「昨日の受注で売上を分類して出してほしい」「初受注はどのくらいあったか」といった、状況把握のためのカジュアルな問い合わせを自然言語で行うケースです。

さらに具体的な業務の自動化に進んでいる例もあります。Claude上でMCPを介して昨日の受注情報を取得し、「同梱するための納品書に、顧客に合わせた独自の商品提案を盛り込んで作成してほしい」と指示を出すといったオペレーションです。こうした複雑な処理も、対話形式のカジュアルな指示で実行できるようになっています。

これまでであれば、経営者の方が従業員に「このデータからこういうレポートを作って」と依頼していたり、現場の担当者が毎日手動でこなしていたルーティン業務が、AIとのコミュニケーションによってスムーズに処理されるようになっています。我々提供側が想定していなかったような新しいユースケースも次々と生まれており、非常にワクワクしています。

“AIが使いやすいプロダクト”へ。APIエコシステムの拡充で目指す戦略的パートナー

Q. 今後のプロダクトの展望や、AIを活用して実現していきたい世界観について教えてください。

寺井さん: これからは人が使いやすいプロダクトであると同時に、「AIが使いやすいプロダクト」にしていくことが重要だと考えています。AIがカラーミーショップのシステムをスムーズに操作できるよう、今回のMCP連携で敷いたレールの先にある具体的なAPIエコシステムを、さらに拡充させていく計画です。現在はClaudeデスクトップなどの一部のアプリケーションからの接続が中心ですが、将来的には様々なベンダーのクライアントとつながっていく世界を想定しています。

まず初手として4月10日に、よりAIエージェントからの操作を容易にするためにCLI(Command Line Interface)プログラム及びSkillsの提供を開始しました。これにより、より一層Claude CodeなどからカラーミーショップAPIの操作やカラーミーショップで提供するFTPサーバーへの接続等をAIがよりスムーズに行えるようになります。

私たちが最終的に目指しているのは、AIがEC事業者様の「事業成長のための参謀」や「並走するパートナー」として確立する世界です。単に日常業務を自動化するだけでなく、AIが参照できる情報量を増やし、事業戦略をすべてのEC事業者さまとともに立てていけるような環境を整えていきたいと考えています。

国内のSMB層を中心とするEC事業者様が、地域発の商品や独自の価値を持つ商材を販売される際のアウトプットを最大化できるよう、AIの力で強力に支援していきます。同時に、AIが高度な参謀としての役割を担うようになるからこそ、我々提供側の「人」が果たすべきサポートの役割も変化していくはずです。最先端の技術と、運営する人の温かさの両方を大切にしながら、これからもサービスを進化させていきたいと考えています。

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