ゲスト
160人の少数精鋭組織で、全マーケティング業務のAIアプリ化を成功に導いた!
Ahrefs Japan 日本マーケティング統括 河原田さん
海外で経験を積んだ後、数年前に日本へ帰国しAhrefsに入社。Ahrefsはシンガポールを拠点とする世界的なSEO・AEOツールプロバイダーで、創業時から非上場・全社員約160人の少数精鋭組織。約2年前からAI活用を開始し、Claudeなどの最新モデルと自社データを組み合わせた独自AI「Agent A」をCEO自らが開発。ナレッジのサイロ化を防ぎ、全マーケティング業務の自動化を推進している。

この事例のポイント
- 翻訳工数を劇的に削減する方法: AIにAhrefs用語集やスタイルガイドを学習させ、人間の介入を指示出しと最終チェックのみに留めた
- ナレッジの分散・サイロ化という課題を解決する方法: 自社開発のAgent Aを導入し、全社員のプロンプトや専門知見を共有可能な「アプリ」として一つのツールに集約した
- コーディング知識のないマーケターが自動化基盤を構築する方法: 対話形式の指示だけで、自分の業務に特化したマーケティングアプリをノーコードで作成できる環境を整備した
- ツール一本化に対する現場の反発を突破する方法: ローカルで組んだ複雑なワークフローをAgent Aで容易にアプリ化し、他国のメンバーと多言語でシェアする成功体験を共有した
翻訳作業を「指示出しと最終チェックのみ」へと劇的に削減し、全マーケティング業務の自動化を達成

Q. まずは、貴社でAIを使ってどんなことを実現しているのか、活用の効果を聞かせてください。
A. 翻訳の工数を劇的に削減し、限られた人員で全マーケティング業務の自動化を達成しました。
河原田さん: 大きく3つの成果が出ています。
1つ目は翻訳とコンテンツ制作の工数削減です。以前は外部への翻訳依頼を行っていたためリリースされた製品が英語のまま表示される期間が長かったりと、英語でのリリースから各言語への翻訳までのタイムラインに課題がありましたが、ClaudeなどのAIにAhrefs用語集や過去の優良記事のスタイルガイドを学習させることで、人間の介入は「最初の指示出し」と「最終チェック」のみになり、各言語でのリリースタイムラインの短縮、さらに劇的な工数削減を達成しました。
2つ目は、品質の安定化とスピードアップです。AIが評価するアルゴリズムを搭載した「AI コンテンツヘルパー」を利用して自社コンテンツをスコアリングすることで「Ahrefsらしさ」を保ちつつAIから評価される高品質なコンテンツをいち早く出せるようになりました。
3つ目は、少数精鋭での生産性の最大化です。160人という少人数でありながら、PR配信、ブログ、動画スクリプト作成、SNSなどマーケティング活動の全領域をAIで自動化・アプリ化し、同じ時間でより多くの成果を生み出しています。
なぜAIの「一本化」が必要だったのか?導入の背景
Q. どのような背景や課題があり、全社的なAI導入およびエージェント開発による「一本化」を決めたのでしょうか。
A. 各自が異なるAIツールを使い、プロンプトや知見が個人に依存する「ナレッジの分散・サイロ化」が最大の課題でした。
河原田さん: マーケティングチームでは早期から各メンバーが複数のAIツールを業務に取り入れていましたが、各自が好みのAIを使い、個別にプロンプトを工夫している状態でした。
その結果、ナレッジが分散し、誰がどんな成果を出したか見えず、知見が個人の中に閉じてしまう「サイロ化」が起きていました。また、同じような調査や執筆作業を別々の人が再発明したり、用語表記やトーンが人によってバラついたり、毎回ゼロからプロンプトを書く手間も発生していました。
こうした課題を解決するため、各自がバラバラにAIを使うのではなく、チーム全体で1つのセントラライズされたAIに知見を集約する仕組みが必要になり、自社開発のAIエージェント「Agent A」への一本化へと繋がりました。
AIの活用フローをどのように整備したのか

Q. 「Agent A」の導入によって、具体的にどのようにツールを組み合わせ、読んだ人が真似できるようなワークフローを確立したのでしょうか。
A. Agent A上に社内専用アプリ群「Whiteboard」を構築し、対話だけで反復作業を固定アプリ化しました。
河原田さん: 以前はチャットUI上で毎回ゼロから対話を始める反復作業や、APIの制限で深いデータが取れないという課題がありました。現在は、CEO自らが開発した「Agent A」を利用しています。Agent Aは自社の170兆ページ超のデータに直接アクセスでき、深い情報もそのまま引き出せます。
具体的なフローとしては、Agent A上で「Whiteboard」という社内専用の自動化基盤を構築しました。例えばPR記事を作る場合、ターゲットペルソナや引用情報をダッシュボードに入力して実行するだけで、自社のトーンや過去の成功パターンを踏まえた初稿が自動生成されます。
マーケターは「こういうアプリがあったらいいな」と思った際、開発部にお願いしなくても、Agent Aとの対話だけで自分の業務に特化したアプリをノーコードで構築できます。これによりエラーや手戻りが激減し、マーケターは「自分で書く」作業者から、「指示を出して仕上げる」ディレクターへと役割が変わりました。
人や組織ではどのように推進をしたのか

Q. 独自のAI環境から「Agent A」へ一本化する際、現場からの反発もあったと思います。その壁をどのように乗り越えたのでしょうか。
A. 個人のワークフローをAgent Aで容易にアプリ化できることを見せ、グローバルでのナレッジ共有という成果で納得させました。
河原田さん: 推進にあたり、CEO自身が現役の開発者としてビジョンを掲げ、全社的にAIファーストの文化があったため大きな反発はありませんでした。ただ、現場で完璧な自動化フローを作っていたメンバーからは、「なぜ新しいツールに移行しなければならないのか」という懸念の声が上がりました。
突破口となったのは、彼らが作ったワークフローをAgent Aに投げてみたところ、驚くほど簡単に共有可能なアプリができてしまったという成功体験です。これまでは個人のローカル環境に閉じていた優れたフローが、Agent A上でアプリ化されることで、スペインやフランスなど他国のメンバーと多言語で簡単にシェアできるようになりました。
自分たちの知見がグローバルで共有可能な「資産」に変わることを実感したことで、お互いにインスピレーションを与え合い、自発的にアプリを共創する文化が生まれ、すんなりと浸透していきました。
今後の展望:AIアプリを拡張し、日本市場への本格参入を加速する
Q. 最後に、今後のAI活用の戦略と、読者の方々にお伝えしたいことをお願いいたします。
河原田さん: 今後はコンテンツ領域にとどまらず、セールスやカスタマーサポートとの連携にも生成AI活用を広げていきます。獲得したリードに対するその後の活動まで、Agent A上のアプリを通じてデータと業務フローをシームレスにつなげるのが目標です。
また、Ahrefsが日本市場への本格参入を加速している点をお伝えしたいです。2026年4月に渋谷で日本初の屋外広告を掲示しました。CMOも来日してユーザーとのミートアップを重ねており、5月にはシンガポールで大規模イベントも開催しました。
そして最も重要なのが、2026年4月にリリースした「Agent A」が現在どなたでもご利用いただける状態になったことです。マーケターが「自分の業務専用のツールを自分で作る側」に回る時代が来ました。ぜひこの機会にAgent Aをご体験いただければと思います。
マーケティングの作業を、AI エージェントに任せる時代へ
Ahrefs の AI エージェント「Agent A 」は、対話するだけで自分専用のマーケティングアプリを構築できるツールです。14 年間にわたり蓄積してきた 170 兆ページ超のウェブインデックスデータを基盤に、SEO/AEO分析、競合調査、コンテンツ企画、レポート作成といった業務を自動化できます。コーディングの知識は不要で、自然言語で指示するだけで、自社の業務フローに合わせたダッシュボードやアプリを作成可能です。
▼Agent A の詳細はこちら