ゲスト
専門知識ゼロからのAI活用で、個人の生産性を10倍に引き上げた!
スノーフレイク・コンサルティング合同会社 代表 中島さん
副業を経て独立して現在6年目を迎え、コピーライティングおよびマーケティング事業を展開。定型業務が存在しない環境下で、GPT-3などの黎明期から構造化プロンプトを活用。AIによるモックアップ作成から日常業務のアウトプット向上まで、独自の視点でAIを実務に組み込み、新規事業開発の支援なども手掛けている。

この事例のポイント
- クオリティの高い原稿を作成する方法:構造化プロンプトを作り込んでAIに指示を出し、マーケティングメールやLPの原稿作成を自動化した。
- 難解な行政資料による認知的ストレスを軽減する方法:ChatGPTやNotebookLMに指示を出してPDF資料を漫画化し、内容の視認性と理解度を劇的に向上させた。
- 議事録作成におけるコンテキスト構築の手間を解消する方法:Nottaで文字起こししたデータをPDF化してNotionに入れ、Notion AI(Claude 4.6 Opus)にプロンプトを投げてトグル形式で議事録をビジュアライズした。
- 新規事業のアイデア検証に膨大な時間がかかる課題を解決する方法:AIを活用してLPやサービスのプロトタイプを即座に作成し、ユーザーリサーチのスピードを飛躍的に高めた。
未経験業務への挑戦と自己能力の拡張により、個人の生産性を10倍以上に向上

Q. 実践的なAI活用を進めてこられた中で、定量的・定性的に感じている効果はどの程度あるのでしょうか?
A. ChatGPTで行政資料の漫画化など未経験業務を可能にし、専門知識不要で生産性を10倍に拡張しました。
中島さん:肌感覚で言えば、AIがある時とない時では自分の生産性は10倍程度違うと確信しています。こなせる業務量もまったく異なります。
その最大の理由は、以前はそもそもやっていなかったことができるようになったからです。すべての会話を文字起こしすることや、行政の資料を漫画にして送るなんてことは、当時は考えてもいませんでした。ゼロだったものができるようになったため、単純な倍数では表現できないのですが、「最低でも10倍にはなっている」という感覚です。同じ成果を言い換えるなら、自分ひとりで対応できる業務の幅が以前の10倍程度に広がったとも言えます。
定性的な効果を言葉にするなら、AIを使うことは自分自身を極めて強力にすることだと言えます。AIを活用するのに、特定の学部を出ているといった専門知識は一切必要ありません。日本語を使えて、アイデアさえあれば、いくらでも自分の能力を拡張できるのです。万能感とまでは言いませんが、自分ができることの幅が圧倒的に広がっています。
以前なら「自分には知識がないからできない」と立ち止まっていた場面でも、今はとりあえずChatGPTに「こういうことをやりたいんだけど、どうしたらいい?」と聞いてみます。回答が当たっていても外れていても構いません。「なんとかできるかもしれない」と思って試しにやってみると、自分が一から勉強しなくても答えや手法にたどり着けてしまうことが多いのです。この自分自身の可能性の拡張こそが、最大の効果だと思っています。
AIの活用フローをどのように整備したのか

Q. 様々なAIモデルが登場する中、ツールをどのように使い分け、LP作成や資料の漫画化、議事録などの実業務に落とし込んでいるのでしょうか?
A. CodexでLP作成、ChatGPTの画像生成機能で資料を漫画化し、文字起こしデータをNotion AI(Claude 4.6 Opus)でトグル形式の議事録に整理しました。
中島さん: アイデアをスピーディーに形にする領域、つまりモックアップの作成などにAIを積極的に活用しています。以前は、アイデア出しから形にするまでに膨大な時間がかかっていましたが、AIを活用することでアイデアのミキシングが一瞬でできるようになりました。具体的には、AIを使ってLPの試作を即座に行い、そこからサービスのプロトタイプを作成します。そのプロトタイプをもとに、「こういうサービスがあったらどう思いますか?」とユーザーリサーチをかけることができるようになりました。
現在は、日常的なアウトプットの質を高めることに注力しています。例えば、私が今準備しているエフェクチュエーションという理論の勉強会では、イベントの案内用LPをCodexで作成しました。シンプルな案内であればAIで十分な内容が作れるため、確実な手応えを感じています。
また、日常業務における大きな壁として、行政からの資料が基本的にすべて分かりにくいという問題がありました。文字ばかりの資料を読む認知的ストレスを減らすため、ChatGPTに「この内容を漫画にして」と指示を出しています。非常に分かりやすい漫画を作ってくれるため、資料を読むのが劇的に楽になりました。
さらに、議事録の作成でも大きな進化がありました。当社ではNottaで文字起こしをしたデータをPDF化し、Notionに入れています。ここにNotion AI(Claude 4.6 Opus)を使って議事録作成のプロンプトを投げ込むと、トグルを活用して綺麗にまとめられるようになり、議事録をビジュアライズする能力が格段に上がりました。
定型業務ゼロとコンテキスト構築の手間という大きな壁をどのように突破したのか
Q. 決まった業務が存在しない環境や、導入初期の文脈作りといった壁に対し、どのようにアプローチしてAIを業務に組み込んだのでしょうか?
A. 定型業務がない環境下で、構造化プロンプトを作り込んでChatGPTに指示を出し、マーケティング原稿の質を劇的に向上させました。
中島さん: AI活用において、私の仕事には決まった定型業務が存在しないという大きな壁がありました。決まった業務フローがない中で、いかにしてAIを組み込み、クオリティを上げていくかという点で非常に悩んでいたのです。
しかし、構造化プロンプトを作り込んでAIに指示を出すという手法を見つけたとき、私の中で明確なブレイクスルーが起こりました。以前は、いかにクオリティの高い原稿を作るかで試行錯誤していましたが、AIを使うことで、マーケティングのメールやLPといった原稿で非常に良いものができると気づき、「AIがちゃんと自分の仕事で使えるツールになる」と確信しました。
また、導入初期はコンテキストエンジニアリングとして全領域の文脈を作り込むのが非常に面倒だと感じていました。しかし、最近はモデル側が文脈を汲み取って理解してくれるようになっています。自律的に動くエージェントの構築となると、大量の文脈やプロンプトを作り込む必要があるため一般的ではありません。現在、多くの中小企業ではDXが十分に浸透しておらず、業務マニュアルやコンテキストとなるデータすら存在しない状況です。だからこそ、いきなり高度な自動化を目指すのではなく、「日常のちょっとしたアウトプットがここまで簡単に作れるのだから、そろそろちゃんとAIを使いましょう」と提案することが多くなっています。
今後の展望:高額なエージェント構築には頼らず、スモールでクイックな新規事業の支援に集中する
Q. モデルが進化し続ける未来に向けて、御社としてのAI活用の展望や、外部支援において注力していきたい領域、そして読者へのメッセージを教えてください。
中島さん: 今後の展望として、AIで既存の業務を徹底的に効率化していくという方向性は間違っていないと思います。しかし、その領域はコンテキストエンジニアリングを行ったり、会社中のデータをAIに読み込ませて自律的なエージェントを構築したりと、どうしても資金力の差が大きく影響してしまいます。一般的な中小企業にとってはほぼ無理な話です。
そのため、私たちはそこで戦うことがすべてではないと考えています。AIに既存業務を頼る領域と、新しいことを生み出す領域とでは、まったく力学が異なります。以前は新しい挑戦をするのに多大な時間と労力がかかっていましたが、今はAIの力を使って様々な言葉をミキシングし、新規事業のアイデアを素早く作ることで、チャレンジコストを劇的に下げることができます。
以前、名古屋大学TOIC NAGOYAなどと協力して、基礎研究の成果をどう社会実装するかというテーマでAIを使ったワークショップを行いました。こうした取り組みは、アイデア出しの速度を上げるだけでなく、「間違っていてもいいからとにかくやってみる」という挑戦の領域です。ここでは資金力やデータ量の差ではなく、アイデアの質の差が勝負になるため、中小企業にも十分に戦う余地があります。
「何か面白いことを見つけたぞ」と気づいて、すぐに実行に移せるのは大企業よりもむしろ中小企業です。このスモールでクイックという特性を最大限に使えば、高額なエージェントシステムを導入できなくても十分に戦えます。そうした大規模なシステム構築は大きな資金が動くベンダー様にお任せし、私たちはもっとアクティブに新しいことにチャレンジしたい方々に対して、人間の力をエンパワーメントしながらAIを活用していく支援に軸足を置きたいと考えています。
最後に、新規事業開発にAIを使ってみたいという方がいらっしゃれば、ぜひお声掛けいただけたら嬉しいです。他とは少し違うAIワークショップをやってみたい方や、ワークショップを通じて組織のAIリテラシーを高めたいという方からのご相談をお待ちしております。