ゲスト
AIによる内製化と圧倒的成果を牽引!
株式会社ウィルゲート 執行役員 今村さん
社員約100名の同社にて、主幹事業の1つであるコンテンツマーケティング事業部の責任者を務める。自身の直下には約30名の部下を持ち、コンサルティングやツール開発の現場を指揮。AI普及による事業への影響をいち早く察知し、社内のIT企画部門と連携してGeminiやClaudeの実務実装を推進している。

この事例のポイント
- 新規提案資料の作成工数を70%削減する方法: 全社にGeminiを導入しつつ、コード生成にはClaude Code、データ加工にはNotion AIなど、用途に応じて適材適所でツールを使い分けた
- 3ヶ月でセッション数を50倍に増加させる方法: 自社ツール「TACT SEO」にAI機能を組み込み、コンテンツの質と量の向上を圧倒的なスピードで実現した
- 「使う人」と「使わない人」の二極化や温度差という課題を解決する方法: Slackの個人チャンネルや定例会での情報発信を繰り返し、業務効率化の成功事例を発表する場を設けて利用イメージを醸成した
- セキュリティの担保と現場の推進を両立させる方法: IT企画部門がガイドラインとツール選定を統制しつつ、現場の精通メンバーが実務で成果を出して経営陣に届ける「両軸での推進」を実現した
3ヶ月でセッション50倍。自社ツールと提案業務におけるAI導入効果
Q. AI活用を推進されている体制について教えてください。
A. IT企画部門の5名と現場の精通メンバーが連携し、自身も初級者向け勉強会を実施
今村さん: 弊社は約100名の規模で、私が責任者を務める事業には社員の半数弱が関わっています。社内には大きく2つの推進軸があり、ちょうど1年ほど前(2025年)に立ち上がった「IT企画」という部門に約5名のメンバーが所属し、情報セキュリティの観点や啓蒙活動を担っています。
また、そこに加えて現場でAIに精通しているメンバーが7〜8人ほど集まり、議論を重ねながら推進しています。その一環として、私自身も部署の垣根を越えた全社向けのアプローチとして、メインで導入しているGeminiの初級者向け勉強会第1回の開催を担当し、基本的な使い方の入り口を共有しました。
Q. AIを活用して出た定量的な効果について、お伺いできますでしょうか。
A. 記事のファクトチェックや画像生成を自動化し、3ヶ月でセッション数を50倍に向上
今村さん: 自社で提供しているSEOツール「TACT SEO」では、裏側でGeminiを動かして記事作成だけでなく、ファクトチェックや記事内の画像生成までAIで行う機能を実装しました。これにより、お客様がスムーズに記事を公開できる仕様になっています。
定量的な成果としては、AI機能を活用したことでセッション数を飛躍的に伸ばすケースが多数生まれています。その中でも特に顕著な例として、もともと3,000ほどだったセッション数が3ヶ月で一気に14万へと約50倍になった事例も出ています。
さらに、記事完成までの圧倒的なスピード感も高く評価されています。一般的には1記事あたり2〜3時間かかるとされる中、リスクチェックや画像作成も含めてわずか15〜30分程で対応できるようになりました。実際に、1人の担当者で月に50〜100記事を公開できた事例もあります。
これまでブラックボックスだったSEOの領域において、スピーディーに施策を実行し、早く効果を出す『勝ちパターン』を再現性高く量産できるようになったのが大きなポイントです。さらに、それなりの人数規模が必要だったSEOの内製化が、最小限のリソースで進められるようになった点も大きな成果だと言えます。
Q. 顧客の反響や、より良質な記事を作成するための工夫は何かありますか。
A. 記事管理機能による効果検証と、社内の一次情報を組み込む新機能が好評
今村さん: お客様に非常に喜ばれているユースケースとして、効果検証の可視化があります。SEOでは記事作成をはじめとして様々な施策を実行しますが、単に施策を打つだけでなく、それらがビジネスの成果にどう結びついたかを正しく見極める「検証」が不可欠です。
TACT SEOでは、特にお客様から使い勝手が良いとご好評いただいている「記事管理機能」など、効果をクリアに把握できる検証の仕組みを実装しています。そのため、実行した施策がどう成果に結びついているかが明確になる点で、お客様から非常に高い評価をいただいています。
もう一つの工夫として、Web上の情報をまとめるだけでは今後AIが発展した際に情報が溢れて埋もれてしまうという危機感がありました。そこで最近、お客様の社内にしかない独自の「一次情報」を追加で組み込める機能を開発して展開しました。これによって自社ならではの情報を取り入れられるようになり、さらに成果が出しやすくなったと反響を呼んでいます。これらの事例は弊社の「プロモニスタ」というメディアにも多数掲載しています。
Q. プロダクトだけでなく社内業務でも大きな成果が出ていると伺いました。
A. 10名が関わる施策策定などで活用し、新規提案資料の作成工数を70%削減
今村さん: 社内業務の中でも、特に外部のSEOツール(Ahrefsなど)から抽出した市場データの整理や、競合分析のベース作成といった定型業務にAIを積極的に導入しています。約10名が関わる領域ですが、こうした雑多な作業をAIに任せることで、全体的な業務工数が大きく削減されました。
具体的な例を挙げると、新規提案に向けた資料作成業務があります。以前は市場リサーチや膨大なデータの加工といった準備作業に多くの時間が割かれていましたが、このプロセスにAIを組み込んだ結果、これまで10時間かかっていた作業を3時間へと大幅に短縮されました。
重要なのは、この効率化によって生まれた時間を、お客様の事業をどう勝たせるかという戦略のブラッシュアップに充てられている点です。AIで作業を効率化することで、人間が本来注力すべき提案のクオリティ向上にリソースを集中させる体制へのシフトが進んでいます。
なお、こうした工数削減の効果については現場の感覚値ではなく、1人あたりの基準時間と月間の処理件数をもとに、ビフォーアフターを客観的に比較して算出しています。
Q. ツール開発を行うエンジニア組織でもAIは活用されているのでしょうか。
A. ほぼ全員のエンジニアがAIを用いてコードを書き、工数削減を実現
今村さん: はい。社内にはエンジニア組織があり、彼らもAIを使いながら機能を組み立ててプロダクトを作っています。実際にAIを活用してコードを書きながら開発を進めている状態です。細かい数値化までは把握しきれていませんが、エンジニアのほぼ全員が使っている状態であるため、開発業務の効率化は間違いなく進んでいると感じています。
主軸はGemini。Claudeとの併用や工程分解でハルシネーションを防ぐ
Q. 様々なAIツールがある中で、全社的に活用するツールをどのように選定したのでしょうか。
A. 既存システムとの相性を重視し、IT企画の立ち上げと同時にGeminiに統一
今村さん: 最初は社内でもChatGPTやClaudeなど、各人がまばらにいろいろなツールを使っている状態でした。しかし、社内でAI活用が普及していくにつれて、品質やコスト、あるいはセキュリティや管理体制といった観点から、点在していたツールを一度見直すことになりました。
一番大きかった理由は、既存業務で利用しているGoogle Workspaceとの接続がしやすいという利点です。そのため、全社的なメインツールとしてはGeminiを選択し、セキュリティの設定やどのモデルを使っていいかといったガイドラインを整備・刷新していきました。
Q. Geminiをメインにしつつも、一部でClaudeを併用しているのにはどのような理由があるのでしょうか。
A. Artifacts機能などに優れるClaudeを定型作業や機密性の低い領域で活用
今村さん: Claudeは、Artifacts機能やコード生成の領域に強みがあるため、用途を絞って併用しています。例えば、ブラウザ上で完結するような社内の定型業務や、データを渡す範囲を制限した上での提案資料の作成など、Claudeの強みが活きる領域で活用しています。 ただし、コード生成などに機密情報を含めることにはまだセキュリティ上の懸念もあるため、現状は全社展開していません。社内でも特にAIに精通し、情報管理を徹底できる特定のメンバーに限定して使ってもらう運用にしています。
Q. 実際の業務では、どのようなフローでAIを活用して作業を進めているのでしょうか。
A. AIによる顧客・市場理解から始め、外部ツールのデータ抽出を経て優先順位を構造化
今村さん: SEOのキーワード戦略を練るケースを一例に挙げます。まずはお客様や市場を深く理解するために、AIに「ディープリサーチ」をさせることから始めます。そこでペルソナやターゲットが定まった後、「Ahrefs」という外部のSEOツールを使って具体的なキーワードや競合情報を大量に洗い出します。
そして、その引っ張ってきた大量のデータを今度はAIに読み込ませます。AIに情報を構造的に分類させ、「どのキーワードを狙っていくか」という優先順位をつけさせるのです。SEOは扱うデータ量が非常に多いため、その処理をAIに任せることでスピーディーに進めています。
Q. 大量のデータを読み込ませる際、ハルシネーションを起こさないための対策はされていますか。
A. 一度に指示を出さず工程を分解し、Notion等でデータを加工・精査しノイズを除去
今村さん: まず気をつけているのは、AIに一度で全て指示を出さないことです。一度に大量のデータを投げて複雑な指示をするとハルシネーションが起きやすくなるため、工程を細かく分解しながら作業を進めています。Gemini自体にハルシネーションをチェックさせるような使い方もしていますし、自社ツール側のファクトチェック機能も活用して品質を担保し、最初や最後に必ず人のチェックを入れています。
「質の低さ」への反発を継続的な発信とAI自身の進化によって突破
Q. そもそも本格的にAIを導入しようと思われた背景や、解決したかった課題は何だったのでしょうか。
A. 記事作成がAIに代替され、弊社の業績にも影響が出た危機感をチャンスに変えるため
今村さん: 私の事業部ではコンサル、コンテンツ制作、TACT SEOと事業を展開しているのですが、コンテンツ制作の部分がAIの代替によって大きな影響を受けたのが最大のきっかけです。
「このままではAIに代替され、業績が奪われてしまう」という危機感がありましたが、逆に自分たちがAIを取り入れて変革できれば、ピンチをチャンスに変えられると考えたのです。AIのインパクトが凄まじかったため、他の手段で効率化を図るのではなく、AIに本腰を上げる議論が進みました。AIのハルシネーション問題やアウトプット精度の壁によって一時スピードが鈍った時期もありましたが、1年ほど前の2025年5月頃にツールの多様化と品質向上が進んだことで本格的に動き出しました。
Q. 推進するにあたって、社内からの反発やネガティブな意見はありましたか。
A. 初期は「思った通り答えが返ってこない」という質の面での反対意見が多発
今村さん: もちろんありました。特に最初のタイミングでは、「使ってみたけれど、思った通り答えが返ってこない」といった、出力の質に対する反対意見が結構出ていました。
Q. そうした反対意見や壁を、どのように乗り越えていったのでしょうか。
A. Geminiの効果的な使い方を提示しつつ、AI自身の進化スピードにより自然と解消
今村さん: 現場の詳しいメンバーが「Geminiならこういう形で指示を出せばもっとうまくいくよ」と、具体的なうまくいった例を見せてサポートする動きをとりました。ただ、それ以上に大きかったのは、シンプルにAIの進化スピードが早すぎたことです。時間が経つにつれて自然と品質が上がり、一定のクオリティが保たれるようになったため、反発の声は次第に落ち着いていきました。
Q. 最初は全社的にトップダウンで進めたのでしょうか、それとも現場発信だったのでしょうか。
A. アンテナを張る現場メンバーの活用から始まり、その声が経営陣に届いて全社展開へ
今村さん: 最初から全社一丸のトップダウンだったわけではありません。アンテナを張っているメンバーが「これを取り入れないとまずい」と危機感を持ち、自主的に業務に取り入れ始めたのがスタートです。
2025年5月頃から、まずは現場のメンバーが主導する形で地道なAIの啓蒙活動が始まり、半年ほど経つと、現場からも「AIで業務が変わった」という声が少しずつ上がり始めました。
その後、IT企画部側が「誰がどれくらい使っているか」の数値を可視化してくれ、それをもとに「活用の進んでいるメンバーに勉強会をお願いしよう」と、さらに活動が広がっていきました。
こうした現場のリアルな活用状況データは、経営層にも常に共有されていました。だからこそ、その後の投資判断も含めて、トップダウンとボトムアップの両軸での全社的な動きへとスムーズに繋がっていったのです。外部の支援会社などは入れず、すべて自社内のみで推進しています。
Q. 温度感の低い社員を巻き込むために、どのような啓蒙活動を行われたのでしょうか。
A. 定例会での情報共有や、Slackの個人チャンネルを用いた泥臭い発信を徹底
今村さん: 継続的に何回も発信することが一番重要でした。私の部署では、YouTubeなどで新しいAIの活用法が流れてきたら、次の定例会に必ずネタとして持ち込み「こういうことができるんだよ」と話す頻度を上げました。
また、弊社はSlackを利用しており、各個人ごとに社内Twitterのようなチャンネルを持っています。そのチャンネルの中で、アンテナを張っているメンバーが「こんな活用をした」という発信を繰り返しました。さらに、メンバーがAIを使って業務をどう効率化できたのかをあえて発表してもらう場を用意しました。これにより、「自分の業務ならこんな活用ができるかも」というイメージが湧き、自発的にツールを作り合ってシェアする文化が醸成されていきました。
利用者の二極化という壁:AI活用を社内の評価基準に組み込む解決策
Q. 現場に浸透していく中で、新たにぶつかった課題や壁はありましたか。
A. 「使う人」と「使わない人」のギャップが以前より大きく広がってしまった
今村さん: 最初の段階では、数年後にコンサルの業務がなくなるという危機感に対し、イメージが湧かずに温度感の差がありました。しかし、だいぶ浸透してみんなが使うようになった現在、今度は全社単位で見た時に「使っている人」と「使わない人」のギャップが前よりも大きく広がってしまったのです。
勉強会などを実施して底上げを図り、効果は実感しているものの、AIの成長スピードが早すぎて追いつけないメンバーも少なからずいます。この二極化の壁は、正直まだ完全な解決には至っていません。マニュアルや研修は部門ごとに行っていますが、全社としてはこれからの課題です。
Q. 日々の疑問や質問に対しては、どのようなヘルプデスク体制を敷いているのでしょうか。
A. IT企画が統制し現場の有識者が対応。今後はNotebookLMの活用も視野に
今村さん: セキュリティ面や「この新しいツールを使っていいか」といったルールに関しては、IT企画が立ち上がったことで統制が強まっています。一方で現場での具体的な使い方や疑問については、今のところ詳しい人がいればその都度聞いて解決していくのがベースです。今後はNotebookLMなどを使って、もう少し組織立って疑問を解消できる仕組みを取り入れていく予定です。
また、全社としての利用率に関しては、Geminiに限ってではありますが、スプレッドシートやGoogle Meetなど機能ごとに各人がどれくらい使っているかを分けて計測し、モニタリングしています。
Q. 利用者の二極化を解消し、業務プロセスを標準化していくための展望を教えてください。
A. 評価基準にAI活用を組み込み、コスト削減や業績への直結を明確なミッションにする
今村さん: お互いが使っているプロンプトが共有されるようにはなってきましたが、次のステップとして一番大事なのは「標準化」です。これまでは各個人が工夫していましたが、ここから業務プロセスにしっかりと組み込み、業績やコスト削減にどうつなげるかという壁を越えなければなりません。日々の案件対応がある中で進めるには、明確なミッションを持たせることが必要です。
そのため、まだ予定の段階ではありますが、社内の評価基準の中に「AIを使いこなすこと」を評価指標として取り入れていく議論が進んでいます。「AI活用をこれからの時代の標準スキル」と位置づけ、チーム全体の生産性を引き上げるような基準へとブラッシュアップすることで、組織としての標準化を進めたいと考えています。
Q. 最後に、今後の展望と、同じようにAI活用を推進する読者へのメッセージをお願いします。
A. 自社コンサルの勝ちパターンをツール化し、圧倒的な質とスピードで業界を牽引する
今村さん: 私たちが長年やってきたSEOコンサルティングの業務の中で、「こうすれば勝てる」という業界ごとの勝ちパターンがあります。それをAIツールに落とし込み、お客様がよりコストを抑えてスピーディーに課題解決できる機能化をさらに進めていきます。現在、TACT SEOでは月に数回のペースで機能をブラッシュアップしており、無料トライアルも提供しているのでぜひ一度お試しいただき、順位上昇の成果を実感していただきたいです。
そして社内的には、メンバー全員が圧倒的な質とスピード感でAIを使える状態にすることが何より重要です。それを実現することで、この業界におけるAI活用を私たちが力強く引っ張っていきたいと思っています。