AIを業務効率化に役立てたいと考え、ChatGPTなどを触ってみたものの「自社のシステムとどう連携させればいいか分からない」「結局自分たちでは実装できない」と活用が止まってしまっている——そんな悩みを抱えていませんか?
株式会社クラウドワークスが新たに立ち上げる「AIクラウドワークス」は、主に中小企業を対象としたAI技術者・専門家と企業をつなぐマッチングサービスです。2026年5月中旬の事前登録開始からわずか2.5カ月で、AIスキルを持つワーカーの登録数が10,000名を突破しました。
本サービスの最大の特徴は、特定の自社AIツールを販売するのではなく「どんな業務のAI化でも相談できる」という点にあります。クラウドワークスが企業とワーカーの間に入って仕様策定から伴走するため、AIの専門知識がない企業でも安心して依頼することが可能です。
本記事では、深刻化する中小企業の人材不足という開発の背景、類似サービスとの決定的な違い、そして導入企業がつまずきやすい「実装の壁」への支援体制について、同社執行役員であり新規サービス責任者の九鬼さんに伺いました。

深刻化する中小企業の人材不足を「AI×クラウドワーカー」で解決したい
Q. まず、貴社の事業内容と、九鬼さんの自己紹介をお願いします。
九鬼さん: 弊社は2012年にサービスを開始し、これまでの累計稼働数が約1,200万件、登録しているユーザーの方が約780万人という、日本最大級のオンライン人材マッチングプラットフォーム「クラウドワークス」を運営しています。
私自身は、クラウドワークス事業を担当する執行役員であり、同時に今回立ち上げている新規サービス「AIクラウドワークス」の責任者になります。
Q. 今回の「AIクラウドワークス」の開発や提供チームは、何人体制で行われているのでしょうか。
九鬼さん: 私以外にPO(プロダクトオーナー)が1名と、エンジニアやデザイナーなどを含めて合計7名体制で進めています。
Q. 新たにAIクラウドワークスを開発した経緯や、解決したかった課題について教えてください。
九鬼さん: ここ数年、ChatGPTだけでなくGeminiやClaudeなど様々なAIが登場し、社会全体がAI活用に対して非常に注目していると認識しています。その中で私が個人的に注目しているのが、日本の企業の99%以上を占めている中小企業です。
彼らが抱える最も大きな課題は人材不足です。募集しても採用ができず、さらに高齢化が進むことで社内の業務を担える人材がどんどん減ってしまっています。企業自身もこの事象に課題感を持っていましたが、AIを活用することで中小企業の生産性をもっと上げることができるのではないかと考えました。
我々にはすでにクラウドワークスという大きなプラットフォームがあり、そこにはAIを使えるワーカーさんが多数いらっしゃいます。このアセットを活用し、中小企業に対してしっかりとサービスを届けていくことを、ある意味使命感を持ってやっていきたいと考えています。
事前登録10,000名突破。幅広いAI人材と「何でも相談できる」体制が最大の強み
Q. 改めて、AIクラウドワークスとはどのようなサービスなのか教えていただけますか。
九鬼さん: 一言で表現するなら、主に中小企業を対象とした「AI活用プラットフォーム」です。
Q. 近年、AI人材の派遣やマッチングサービスは増えていますが、競合サービスと比べた際の最大の差別化ポイントはどこにあるのでしょうか。
九鬼さん: 1つ目の大きな強みは、AIスキルを持った方が非常にたくさん登録されている点です。5月中旬に事前登録のページを公開してから2.5カ月で、登録されたワーカー数はすでに10,000名を超えています。エンジニア的な職種だけでなく、AIを活用した業務改善、AIを活用したコンテンツ制作、アノテーション対応などを含めて幅広いAIニーズに応えられる人材がこれほど揃っているプラットフォームは、私の知る限り日本には他にありません。
2つ目は、クライアント企業側から見た時に「どんな業務でも相談できる」という点です。他社の場合、自社のAIツールを提供していたり、大企業など一定規模の企業様向けのサービスだったりすることが多いと認識しています。そうしたサービスは、中小企業から見ると予算が合わず、ハードルが高いという実態があります。我々はこのプラットフォームを通じて、そうした中小企業までしっかりとAI活用を届けていきたいと考えています。
Q. 業種や規模を問わず、どのような企業でも利用できるのでしょうか。逆に、サービスに合わない顧客像はありますか。
九鬼さん: 業種は本当に絞っておらず、むしろ絞らないことが強みです。 今回、既存の「クラウドワークス」のようにクライアントとワーカーが直接契約するのではなく、株式会社クラウドワークスが間に入って契約させていただく形態をとっています。クライアントからすれば「AIで何ができるのか」「自社で何を実現したいのか」を仕様に落とし込むことがまだクリアになっていないケースが多いからです。我々が間に入ることで、ニーズをしっかり噛み砕いて仕様に落とすことができます。
株式会社クラウドワークスが責任を持ってサービスを提供させていただくため、中小企業はもちろん、大企業であっても安心して使っていただける体制になっています。
自社でシステム連携やコーディングができない「実装の壁」を打破する
Q. AIクラウドワークスのようなサービスが登場する前は、顧客となる企業はどのようにAI知識を有する人材不足やAI活用の課題に取り組んでいたのでしょうか。
九鬼さん: 正直なところ、取り組めていない企業がほとんどだと思います。お話を伺うと、皆さんChatGPTが出てきて一通り触ってみたものの、いざ「ホームページを自分で作ろう」とか「業務効率化のために既存のシステムと連携させよう」と具体的になった時に壁にぶつかっていました。最後のコーディングや細かいニュアンスの実現など、テクニカルな部分が必要になってくると自力ではできず、諦めてしまっていたケースが非常に多いです。
中小企業には、自社の中に専門職の方やエンジニアがあまりいない会社が多いので、専門的な知識を持つ人材をマッチングするこのサービスが役に立つチャンスは大いにあると思っています。経営者の方がご自身の思考整理の壁打ちにAIを活用されているケースは多いですが、それを組織の業務効率化にまで広げられていないのが現状です。
Q. 実際に企業がサービスを利用し、納品に至るまでのユーザーフローを教えてください。
九鬼さん: クライアント企業様には、6つの依頼カテゴリから該当するものを選んでいただき、依頼内容やご利用中のAIツールなどをご入力いただきます。ご登録後は当社担当者が内容を確認し、必要に応じてヒアリングを行って仕様を詰めていきます。そのうえで適切なAI技術者・専門家をご提案し、契約手続きを経て開発・制作、最後に当社が内容を確認した上で納品・検収という流れになります。
Q. 膨大な案件と人材を扱う中で、プラットフォーム内でAIを活用する構想などはありますか。
九鬼さん: 製品内のコーディングにおいてAIを使って開発コストを下げることはやっていますが、プラットフォームの設計においてはまだこれからの段階です。ただ、現時点で10,000名を超える登録者数を抱えているため、案件の内容に対して適切なワーカーをマッチングする工程には比較的工数がかかります。今後はそこにAIを使い、マッチングの効率化を図っていかなければならないと考えています。
Q. 企業情報やデータを扱う上で、セキュリティ面の体制はどうなっていますか。
九鬼さん: クラウドワークスの延長にあるサービスですので、株式会社クラウドワークス自体が取得しているセキュリティ認証と同じ位置づけで対応します。
クラウドワークスが間に入り「ぼんやりとした課題」を案件化へと導く
Q. 先行してクラウドワークス本体でAI関連の案件を提供している実績があれば、どのような効果が出ているか教えてください。
九鬼さん: クラウドワークス本体の方で「AI BPO」という形でサービスを先行提供しております。例えば、数百店舗の取引先とのやり取りが発生するマーケティング業のお客様では、請求書を受け取って突き合わせるという業務自体をなくし、自社データから支払明細を自動作成する形に変更することで、手作業によるミスの発生源を業務フローから消すことができました。ほかにも、フィットネス業のお客様では営業時間外の問い合わせにAIが一次対応し、専門的な相談はAIの下書きをトレーナーが確認して返信する体制を構築し、応答品質を保ちながら対応範囲を広げることができています。士業事務所のお客様では、情報システム担当がいない中でもAI利用に関する社内規定とマトリクスを整備し、個人情報を扱う業務でも安全に活用できる体制づくりを支援しました。「業務コストを下げたい」「システム連携させたい」「手作業でやっていた業務をAIで効率化したい」といった課題に対し、AIを活用したものを納品させていただき、喜んでいただいています。
Q. 逆に、マッチングがうまくいかなかったり、契約前に企業がつまずいて辞退したりするケースはあるのでしょうか。
九鬼さん: 契約をさせていただく時点ですでに効果が見えている状態にするため、納品で失敗するような事例は基本的にありません。
ただ、契約に至る前の段階で「AI化が難しい案件」というのは少なからずあります。定量的な数字やデータがない状態で、経営者の方の頭の中にぼんやりとあるものを具現化したいというご要望の場合、今の段階ではAI化の手法が定義できず、お受けするのが難しいケースもあります。我々がしっかりお客様のニーズをお聞きし、案件化できるものに関してのみ契約を結び、仕様を実装できるワーカーさんを見つけていくという形をとっています。
Q. サービスの利用にかかる料金体系について教えてください。登録費用などは発生するのでしょうか。
九鬼さん: サービスへの登録費用はかかりません。基本的にはクライアントから納品にかかった費用をいただき、その中からワーカーさんにしかるべき報酬をお支払いするという形になります。具体的な金額は案件の内容次第となります。
多くの企業にAI活用の機会を。まずは日々の業務の相談から
Q. 最後に、AIクラウドワークスの今後の展望やロードマップについて教えてください。
九鬼さん: 何よりもまず、多くの方に使っていただく機会を作っていかなければなりません。「どう届けていくべきか」というところが一番の課題であり、ロードマップとして重要なポイントです。まずはより多くの企業の方々にこのサービスを知っていただき、使っていただく機会創出にリソースを投下していきたいと考えています。それに付随して、追加機能等々を検討していく流れになります。
Q. AIクラウドワークスの導入を検討されている企業の方々へ、メッセージをお願いします。
九鬼さん: これだけ世の中でAIが注目されている中で、AIを活用しようと興味を持たれている中小企業の方は非常に多いと思います。しかし、実際にAIを触ってみたものの、そこから先へ進めず止まってしまっている方も同時に多いのが実情です。
これを機に、「具体的に日々の業務でどうAIを活用できるのか」というご相談からでも構いませんので、ぜひ一度我々にお声がけいただければと思います。一緒にAIを業務に活用する方法を検討できれば嬉しいです。