【2025年最新】オンプレミス型AI-OCRおすすめ9選!クラウドとの違いや導入メリットを比較

「社内の重要書類をAI-OCRでデータ化したいけれど、クラウドにアップロードするのはセキュリティ的に許可が下りない…」

「機密情報を扱う業務だからこそ、完全にインターネットから遮断された環境で使えるAI-OCRを探している。」

セキュリティポリシーが厳しい企業や自治体にお勤めの方であれば、こうした悩みに直面することも多いのではないでしょうか。

近年、AI-OCRの多くはクラウド型が主流となりましたが、高度なセキュリティ要件を満たすために「オンプレミス型」の需要は依然として高く、製品の性能も飛躍的に向上しています。

本記事では、2025年現在の最新情報を踏まえ、オンプレミス環境で導入できるおすすめのAI-OCR製品9選と、導入前に知っておくべきクラウド型との決定的な違いについて詳しく解説しました。

長年、企業のDX推進とシステム導入支援を行ってきた専門家の視点から、失敗しない製品選びのポイントを余すことなくお伝えします。

企業のDX推進を全体的に進めるための手順や成功事例については、こちらの完全ガイドで詳しく解説しています。合わせてご覧ください。

自社のセキュリティ基準を守りながら、業務効率化を実現するための最適なソリューションが必ず見つかるはずです。

ぜひ最後までご覧いただき、導入検討にお役立てください。

AI-OCRの「オンプレミス型」と「クラウド型」の決定的な違い

AI-OCRを導入する際、最初に検討すべきなのが提供形態の選択です。

多くのサービスがクラウド型へ移行する中で、オンプレミス型を選択する意義はどこにあるのでしょうか。

ここでは、両者の構造的な違いから、それぞれの特徴、そしてなぜ今オンプレミス型が見直されているのかについて解説します。

自社の環境にどちらが適しているかを判断するための基準として参考にしてください。

AI-OCRの基礎知識や、クラウド型も含めた全般的な選び方について詳しく解説されている記事です。 合わせてご覧ください。 https://boxil.jp/mag/a8762/

インターネット接続が不要な「オンプレミス型」の特徴

オンプレミス型AI-OCRの最大の特徴は、自社の社内ネットワーク(イントラネット)や専用サーバー内だけでシステムが完結する点です。

一般的なクラウド型サービスとは異なり、OCR処理を行うために画像データを外部のインターネット環境へ送信する必要がありません。

サーバーを自社内に設置する、あるいは自社が管理するプライベートクラウド環境にシステムを構築することで、外部との通信を一切遮断した「閉域網(クローズドネットワーク)」での運用が可能になります。

これにより、顧客の個人情報やマイナンバー、企業の独自ノウハウが含まれた図面など、外部流出が許されない極めて機密性の高いデータを扱う業務において、絶大な安心感を得ることができます。

また、システム自体が手元にあるため、自社の運用ルールに合わせたカスタマイズや、メンテナンスのタイミングを自由にコントロールできる点も大きな特徴と言えるでしょう。

機能・コスト・セキュリティ面での違い一覧表

オンプレミス型とクラウド型には、それぞれ明確なメリットとデメリットが存在します。

導入後のミスマッチを防ぐために、主な違いを比較しました。

まず「セキュリティ」に関しては、オンプレミス型が圧倒的に優位です。

外部通信を行わないため、インターネット経由のサイバー攻撃や情報漏洩のリスクを物理的に遮断できるからです。

一方、クラウド型はベンダー側のセキュリティ対策に依存することになります。

次に「コスト」の面では、クラウド型が初期費用を抑えやすいのに対し、オンプレミス型はサーバー機器の購入や構築費などのイニシャルコストが高くなる傾向にあります。

ただし、ランニングコストで見ると、クラウド型が従量課金(読取枚数に応じた課金)であることが多いのに対し、オンプレミス型はライセンス買取や年間定額制であることが多く、大量に処理する場合は長期的に見て割安になるケースも少なくありません。

「機能・精度」については、かつてはクラウド型のほうがAIの再学習サイクルが早く精度が高いとされていましたが、現在はオンプレミス型でもエッジコンピューティングの進化により、同等の高精度な認識が可能になっています。

なぜ今、クラウド全盛期にオンプレミス型が選ばれるのか

世の中のあらゆるシステムがクラウドへ移行する「クラウドファースト」の時代において、なぜあえてオンプレミス型のAI-OCRが選ばれ続けているのでしょうか。

その背景には、法規制の強化や経済安全保障への意識の高まりがあります。

金融機関や自治体、医療機関などでは、個人情報保護法や各業界のガイドラインにより、データの保管場所や処理経路に対して極めて厳しい制限が設けられています。

「データは国内の自社管理下に置かなければならない」という要件を満たすには、クラウド型では対応しきれないケースが存在するのです。

また、2025年現在、GPT-5の登場により生成AIの能力が飛躍的に向上した一方で、データガバナンスの重要性がかつてないほど再認識されています。

高性能な外部AIモデルに自社データを学習されたくない、あるいはデータの主権を完全に自社で保持したいという企業にとって、ブラックボックス化しやすいパブリッククラウドよりも、挙動を把握しやすいオンプレミス環境が再評価されています。

さらに、通信遅延の影響を受けずに大量の帳票を高速処理したいという現場のニーズも、オンプレミス回帰を後押しする要因の一つとなっています。

GPT-5の最新情報やGPT-4との違いについては、こちらの記事で詳細に解説しています。 合わせてご覧ください。

AI-OCRをオンプレミス環境で導入するメリット・デメリット

オンプレミス型のAI-OCRは、セキュリティ面で強力な強みを持つ一方で、導入には相応の準備とリソースが必要です。

単に「安全だから」という理由だけで選ぶのではなく、運用面での負担やコスト構造を正しく理解しておくことが成功の鍵となります。

ここでは、現場視点での具体的なメリットと、導入前に覚悟しておくべきデメリットについて深掘りして解説します。

【メリット】閉域網(LGWAN等)での利用による最高レベルのセキュリティ

オンプレミス型を導入する最大のメリットは、何と言ってもセキュリティの堅牢性です。

インターネットに接続しないスタンドアロン環境や、自治体が利用するLGWAN(総合行政ネットワーク)などの閉域網の中でAI-OCRを稼働させることができます。

これにより、外部からの不正アクセスやウイルス感染のリスクを極限まで低減できるだけでなく、操作ミスによるクラウド上へのデータ誤アップロードといった事故も防ぐことが可能です。

特に、マイナンバーを含む申請書、カルテなどの医療情報、金融機関の審査書類などを扱う場合、この「物理的な安全性」は他の何にも代えがたい価値となります。

情報漏洩が発生した場合の社会的信用の失墜や損害賠償リスクを考慮すれば、セキュリティへの投資は決して高いものではありません。

経営層や監査部門への説明責任を果たす上でも、オンプレミス型であることは強力な説得材料となります。

【メリット】自社の基幹システムやRPAとのスムーズな連携

業務効率化を進める上で、AI-OCRで読み取ったデータをどのように後続のシステムへ渡すかは非常に重要なポイントです。

オンプレミス型であれば、同じ社内ネットワーク内にある販売管理システム、会計システム、あるいはRPAツールと、セキュアかつ高速に連携させることができます。

クラウド型の場合、一度インターネット上にデータをアップロードし、処理結果をダウンロードして社内システムに取り込むという手順が発生するため、API連携の開発やセキュリティトンネルの構築など、経路の確保に手間がかかることがあります。

また、社内セキュリティポリシーによっては、社内システムから外部クラウドへの直接接続が禁止されている場合もあります。

その点、オンプレミス型ならローカルネットワーク内でのファイル移動やデータベース接続だけで完結するため、シームレスな自動化フローを構築しやすくなります。

RPAと組み合わせて「完全自動化」を目指す場合、通信の安定性や速度の面でもオンプレミス環境には大きなアドバンテージがあります。

AI-OCRをはじめとしたDXツールを活用した業務効率化の方法や成功事例を、こちらの記事で解説しています。 合わせてご覧ください。

【メリット】従量課金を気にせず定額で大量処理が可能

多くのクラウド型AI-OCRは、「月額基本料+読取枚数に応じた従量課金」という料金体系を採用しています。

これは導入のハードルを下げる一方で、業務量が増えれば増えるほどコストが青天井に膨らむというリスクも抱えています。

繁忙期に予想以上の請求が来て驚いた、という担当者の声も少なくありません。

対してオンプレミス型は、多くの場合「ライセンス買取型」や「サーバー単位での年間定額制」を採用しています。

初期費用はかかりますが、一度導入してしまえば、その後は何万枚読み取っても追加費用が発生しないケースが一般的です。

毎日数千枚の帳票を処理する物流センターや、過去の紙文書を一気に電子化したいというプロジェクトにおいては、1枚あたりの単価を劇的に抑えることが可能です。

予算があらかじめ決まっている公共事業や大企業のプロジェクトにとっても、コストの見通しが立てやすい定額制は大きなメリットと言えます。

【デメリット】専用サーバーの構築・保守運用が必要

オンプレミス型の最大のデメリットは、インフラの管理負担が自社にかかってくる点です。

AI-OCRを稼働させるためには、高性能なCPUやメモリ、場合によってはGPUを搭載したサーバー機器を用意し、セットアップを行う必要があります。

導入後も、OSのアップデート、セキュリティパッチの適用、ハードウェアの故障対応、バックアップの管理など、日々の保守運用業務が発生します。

社内に専任のシステム管理者がいない場合、これらの業務が大きな負担となり、最悪の場合はシステムが塩漬けになってしまうリスクもあります。

ただし、最近ではベンダー側がハードウェアとソフトウェアをセットにした「アプライアンス製品」として提供しているケースや、保守サポートを含めたパッケージプランも増えています。

自社の情シス部門のリソースを考慮し、どこまでを自社で行い、どこからをベンダーに任せるかを事前に検討しておく必要があります。

【デメリット】導入時の初期費用(イニシャルコスト)が高額になりがち

クラウド型であれば、初期費用ゼロ、月額数万円からスタートできるサービスも多いですが、オンプレミス型は導入時のキャッシュアウトが大きくなる傾向があります。

ソフトウェアのライセンス費用に加え、サーバーハードウェアの購入費、構築作業費などが重なると、数百万円から一千万円規模の投資になることも珍しくありません。

このため、導入に際しては社内での稟議承認のハードルが高くなりやすく、費用対効果(ROI)の厳密な試算が求められます。

「削減できる入力作業の時間」と「人件費」を具体的に計算し、何年で投資回収ができるかをシミュレーションする必要があります。

とはいえ、長期的に利用する場合や大量処理を行う場合は、トータルコストでオンプレミス型の方が安くなる分岐点が必ず存在します。

目先の初期費用だけで判断せず、5年程度のスパンでの総コスト(TCO)比較を行うことが重要です。

セキュリティ重視で選ぶ!おすすめのオンプレミス型AI-OCR製品9選

ここからは、実際にオンプレミス環境(または閉域網)で利用できる、実績豊富なAI-OCR製品を9つ厳選してご紹介します。

それぞれの製品には得意な帳票や独自の特徴があります。

読取精度や機能だけでなく、自社の運用体制に合った製品を見つけるための参考にしてください。

2025年の最新トレンドを押さえた有力製品ばかりです。

DX Suite / AI inside Cube(AI inside株式会社)

AI-OCR市場で圧倒的なシェアを誇る「DX Suite」の機能を、そのままオンプレミス環境で利用できるのが「AI inside Cube」です。

これは、AI-OCRソフトウェアがプリインストールされた専用のエッジコンピュータ(ハードウェア)として提供される点が最大の特徴です。

ユーザーは、この箱(Cube)を社内に設置し、電源とLANケーブルをつなぐだけで、すぐに高精度なAI-OCRを利用開始できます。

面倒なサーバー選定やキッティング作業が不要なため、オンプレミス導入のハードルを劇的に下げた革新的な製品です。

手書き文字の認識率は業界トップクラスであり、乱雑に書かれた文字や訂正印のある書類でも正確にデータ化します。

また、LGWANなどの閉域網環境でも利用実績が多数あり、自治体や金融機関での採用例が非常に多い信頼性の高いソリューションです。

AGS株式会社が提供するDX Suiteのサービス詳細はこちらで確認できます。 導入検討の参考になさってください。 https://www.ags.co.jp/service/dxsuite.html

DynaEye 11(株式会社PFU)

スキャナー製品「ScanSnap」などで知られるPFUが提供する、長年の実績に裏打ちされた業務特化型OCRです。

「DynaEye 11」は、スキャナーメーカーならではの知見が詰まっており、紙詰まりや画像の傾き、裏写りなどのノイズ除去機能が非常に優秀です。

AI-OCR機能も搭載しており、定型帳票だけでなく、取引先ごとにレイアウトが異なる準定型帳票の読み取りにも対応しています。

オンプレミス型として提供されているため、PC1台からのスタンドアロン運用から、サーバークライアント方式での大規模運用まで柔軟に構成可能です。

特筆すべきは、従量課金ではなくライセンス購入型である点です。

一度導入すれば読み取り枚数を気にせず使い放題となるため、大量の帳票を日々処理する現場においては、圧倒的なコストパフォーマンスを発揮します。近年ではオンプレミスLLM(大規模言語モデル)との連携機能も強化されており、セキュリティを保ったまま高度なデータ抽出が可能になっています。

DynaEye 11の製品仕様や詳細な機能については、公式サイトをご確認ください。 合わせてご覧ください。 https://www.pfu.ricoh.com/dynaeye/product/dynaeye11/

SmartRead(株式会社Cogent Labs)

AIの研究開発を行うCogent Labsが開発した「SmartRead」は、手書き文字の認識に強みを持つAI-OCRです。

2022年よりオンプレミス版の提供を開始しており、クラウド版と同様の使いやすい直感的なユーザーインターフェースを、セキュアな閉域環境で利用できます。

この製品の特徴は、事前設定(帳票定義)の手軽さにあります。

読み取りたい箇所をマウスで囲むだけで設定が完了し、高度なAIが自動的に文字枠を認識してくれます。

また、文書の仕分け機能も搭載しており、種類の異なる帳票が混在していても自動で判別して処理することが可能です。

オンプレミス版でもGPUを必須とせず、一般的な仮想環境上でも動作するように設計されているため、既存の社内インフラを活用しやすい点も情シス部門には嬉しいポイントです。

SmartReadはGovTech Bridgeにも掲載されており、自治体での活用も期待されています。 詳細はこちらをご確認ください。 https://govtechbridge.com/product/809a06d872

スマートOCR(株式会社インフォディオ)

「スマートOCR」は、スマートフォンで撮影した画像の読み取りに定評があるAI-OCRソリューションです。

スキャナーで綺麗にスキャンされた画像だけでなく、スマホで撮影した際に生じる歪みや影、照明の反射などを強力に補正する技術を持っています。

オンプレミス版(ライセンス型)や専用サーバー型での提供を行っており、セキュリティ要件に合わせて柔軟な構築が可能です。

特に、領収書やレシート、身分証明書などの非定型帳票のデータ化を得意としており、経費精算や本人確認業務の効率化に貢献します。

また、データ抽出後の論理チェック機能も充実しており、例えば「合計金額と明細の合計が合わない場合はエラーを出す」といった細かいルール設定が可能です。

これにより、目視確認の手間を大幅に削減できます。

invoiceAgent AI OCR(ウイングアーク1st株式会社)

帳票基盤ソリューションで国内トップシェアを持つウイングアーク1stが提供する製品です。

旧製品名「SPA」からリブランドされ、文書管理機能とAI-OCR機能が統合された強力なプラットフォームとなっています。

オンプレミス版が提供されており、単に文字を読み取るだけでなく、読み取った文書を電子帳簿保存法に対応した形式で保管・管理するところまで一気通貫で行えるのが最大の特徴です。

5つの異なるOCRエンジンを搭載しており、読み取りフィールドごとに最適なエンジン(手書き用、活字用、チェックボックス用など)を選択することで、認識精度を最大化させることができます。

RPAや他システムとの連携アダプターも豊富に用意されており、企業の基幹業務システムの中に組み込んで使う本格的なワークフロー構築に最適です。

invoiceAgentの詳しいシステム要件や動作環境についてはこちらに記載されています。 合わせてご参照ください。 https://cs.wingarc.com/ja/system_requirement/invoiceAgent/10

DEEP READ(株式会社EduLab)

「DEEP READ」は、教育分野での採点業務効率化から生まれたAI-OCR技術をベースにしており、特に手書き文字の認識において極めて高い精度を誇ります。

金融機関や医療機関など、手書き書類が多く残る業界で多くの導入実績があります。

クラウド版だけでなく、オンプレミス型や、特定のネットワーク内でのみ動作する準オンプレミス型の提供も行っています。

CPUのみで動作するバージョンも用意されており、高価なGPUサーバーを用意しなくても導入できる点が魅力です。

業界特有の専門用語や、クセの強い手書き文字に対しても、ディープラーニングによる追加学習を行うことで認識率を向上させることが可能です。

大量の答案用紙やアンケート用紙など、定型かつ手書きの量が多い帳票処理において真価を発揮します。

AIRead(アライズイノベーション株式会社)

「AIRead」は、手書き・活字の読み取りはもちろん、オンプレミス環境内でAIの「追加学習」ができる機能を備えたユニークな製品です。

通常、AIの学習にはクラウド上の膨大なリソースが必要ですが、AIReadはスタンドアロン環境でも自社の帳票データを使って文字認識モデルを賢く育てることができます。

これにより、社内用語や特殊なフォント、特定の記入者の文字癖などに特化した、自社専用の最強OCRエンジンを構築することが可能です。

また、ETL(データ加工)ツールとしての側面も持っており、読み取ったデータをシステムに取り込みやすいCSV形式などに自動で変換・加工する機能も充実しています。

「読めなかった文字を自分たちで学習させて読めるようにする」という運用が可能なため、継続的な業務改善を目指す企業に適しています。

AIReadの機能強化や最新の連携ソリューションに関する情報はこちらです。 ぜひご確認ください。 https://ariseinnovation.co.jp/ats-press30/

AIスキャンロボ(ネットスマイル株式会社)

「AIスキャンロボ」は、複雑なレイアウトの帳票読み取りを得意とするAI-OCRです。

特許技術である「人工知能テーブル」機能により、請求書などの明細行がページをまたぐ場合や、行数が可変する場合でも正確に認識してデータ化することができます。

クラウド版が主力ですが、セキュリティを重視する顧客向けにオンプレミスや閉域網での提供にも対応しています。

また、テンプレートの設定をネットスマイル社側が代行してくれるサポートも充実しており、導入時の設定負荷を軽減できます。

複数のAIエンジンを並列で動かし、それぞれの結果を照合して最適な解を導き出す「マルチエンジン」方式を採用しているため、単一のエンジンでは誤読しやすい文字でも高い精度で認識できる点が強みです。

FormOCR v.9.0(株式会社NTTデータNJK)

「FormOCR」は、OCR業界で長い歴史を持つNTTデータNJKのパッケージソフトです。 最新のv.9.0ではAI技術(ディープラーニング)を搭載したOCRエンジンがさらに強化され、従来の手法では難しかった手書き文字の認識率を飛躍的に向上させています。

完全なオンプレミス型パッケージソフトウェアとして提供されており、Windows PCにインストールするだけで利用可能です。

インターネット接続は一切不要で、インストールしたその日からセキュアな環境で業務を開始できます。

訂正印や取り消し線の除去、傾き補正などの前処理機能が非常に充実しており、スキャン品質が悪い画像の読み取りにも強いです。

長年の運用実績に基づいた安定性と、使い慣れたWindowsアプリケーションとしての操作性は、現場の担当者にとって大きな安心材料となります。

FormOCR v.9.0のサービス詳細や特長については、こちらで解説されています。 導入前の情報収集にお役立てください。 https://www.njk.co.jp/latest/service/331

失敗しないオンプレミス型AI-OCRの選び方 4つのポイント

オンプレミス型の導入は大きな投資となるため、製品選びでの失敗は許されません。

カタログスペックだけで判断せず、実際の運用現場を想定した検証が必要です。

ここでは、比較検討時に必ずチェックすべき4つの重要ポイントを解説します。

1. 手書き文字や非定型帳票の「読取精度」を実機で試す

最も重要なのは、やはり「自社の帳票がどれだけ正確に読めるか」です。

「識字率99%」というカタログ数値を鵜呑みにしてはいけません。その数値は、ベンダーが用意した理想的な画像での結果かもしれないからです。

必ずPoC(概念実証)や無料トライアルを利用し、実際に現場で使われている「汚れた紙」「クセのある手書き文字」「複写式の薄い紙」などを読み込ませてみてください。

特にオンプレミス版の場合、クラウド版と使用しているOCRエンジンが微妙に異なるバージョンである可能性もあるため、必ず「オンプレミス環境で動く実機」での精度確認を依頼しましょう。

2. サーバー設置型かエッジ(ハードウェア)型かを確認する

オンプレミス型には大きく分けて2つの提供形態があります。

一つは、自社で用意したサーバーにソフトウェアをインストールする「サーバー設置型」。

もう一つは、ベンダーからハードウェアごと提供される「エッジ(アプライアンス)型」です。

サーバー設置型は、自社の既存インフラを活用できる反面、GPUなどのスペック要件を満たすサーバーの調達やOSの管理が必要です。

エッジ型(AI inside Cubeなど)は、設置が簡単で保守もベンダーにお任せできる部分が多いですが、ハードウェアのレンタル費用がかかります。

情シス部門のリソース状況に合わせて、どちらのタイプが運用しやすいかを見極めましょう。

3. 既存の社内システム・RPAとの連携実績を確認する

AI-OCRはあくまで「データ化」のツールであり、ゴールはそのデータを基幹システムに入力することです。

そのため、出力されるCSVデータのフォーマットが柔軟に変更できるか、RPAツールとの親和性が高いかは極めて重要です。

特にオンプレミス環境では、外部の連携サービスが使いにくいため、製品自体が持っている連携機能の強さが問われます。

「RPAに渡すためのショートカットキー操作に対応しているか」「特定のフォルダにCSVが生成されたら自動で次の処理をキックできるか」など、業務フロー全体を自動化できる機能を備えているか確認してください。

4. 保守サポートの範囲とランニングコストを試算する

オンプレミス型は「買い切り」のイメージが強いですが、実際には年間保守費用が発生します。

この保守費用の中に、AIエンジンのバージョンアップ権が含まれているかを必ず確認してください。

AI技術は日進月歩で進化しているため、購入時の精度のまま使い続けるのは大きな損失です。

また、万が一システム障害が起きた際、オンプレミスの場合はベンダーがリモートで調査できないことがあります。

その場合の駆けつけ対応の費用や、ログの解析手順など、障害時のサポート体制についても契約前に明確にしておく必要があります。

オンプレミス型AI-OCR導入時によくある質問

最後に、オンプレミス型AI-OCRの導入を検討されているお客様からよくいただく質問とその回答をまとめました。

社内決裁を通す際のQ&Aとしてご活用ください。

導入から稼働開始までの期間はどのくらいですか?

サーバーの調達が必要な場合、ハードウェアの納期にもよりますが、一般的には発注から稼働開始まで2〜3ヶ月程度を見込んでおくのが安全です。

ソフトウェアのインストール自体は数日で終わりますが、その後の帳票定義(読み取り箇所の設定)や、現場担当者への操作トレーニング、テスト運用に時間がかかります。

DX Suiteの「AI inside Cube」のようなハードウェア一体型であれば、配送後すぐに使い始められるため、最短で2週間程度での導入も可能です。

ハードウェア(サーバー)のスペック要件は厳しいですか?

AI処理、特にディープラーニングを用いた推論処理には高い計算能力が求められます。

製品によっては、高性能なGPU(グラフィックボード)を搭載したサーバーが必須となる場合があり、これらは一般的な業務サーバーよりも高価で電力消費も大きいです。

一方で、DynaEye 11やFormOCRのように、一般的なCPUだけで十分に動作するように最適化された製品もあります。

自社で用意できるサーバー環境と、製品が要求するスペックが見合っているか、初期段階で確認が必要です。

スタンドアロン(完全オフライン)環境でもAIの学習は可能ですか?

多くのAI-OCR製品において、AIモデルの「学習」自体はクラウド上のスーパーコンピュータで行い、賢くなった「推論モデル」だけをオンプレミス環境に配布するという方式をとっています。

そのため、完全オフライン環境では、自社のデータを使ってAIをゼロから再学習させたり、精度を向上させたりすることは基本的に難しい製品が多いです。

ただし、「AIRead」のようにオンプレミス環境内での追加学習に対応している製品を選べば、オフライン環境下でも使い込むほどに識字率を向上させることが可能です。

【警告】「とりあえずクラウド」が招く経営リスクと情報漏洩の罠

「クラウドにしておけば安心・安上がり」——。もしそう信じているなら、それは経営判断として危険なサインかもしれません。世界のITトレンドを牽引する欧米では今、クラウドからオンプレミスへシステムを戻す「クラウド・リパトリエーション(回帰)」が急速に進んでいます。バークレイズ銀行の調査によると、実に83%ものCIO(最高情報責任者)が、ワークロードの一部をパブリッククラウドからオンプレミスに戻すことを計画しています。

なぜ、時代に逆行するような動きが起きているのでしょうか。そこには「コストの爆発」と「セキュリティの死角」という2つの大きな落とし穴があります。

コストの青天井化:

従量課金制は一見便利ですが、データ通信量やAPI利用量が増えると、想定を遥かに超える請求が届く「クラウド破産」のリスクを孕んでいます。

人為的ミスによる漏洩:

クラウドセキュリティ企業のSentinelOneなどの調査によれば、クラウドにおけるセキュリティ侵害の約82%は、システム自体の欠陥ではなく「設定ミス」などの人為的なエラーが原因です。インターネットに繋がっている以上、たった一つの設定ミスが、全世界への情報公開に繋がってしまうのです。

便利なクラウドに依存し思考停止するうちに、自社の重要データが「予測不能なコスト」と「管理不能なリスク」に晒されている可能性があるのです。

引用元:

Barclays “CIO Survey” (2024) によると、83%のCIOがワークロードのオンプレミス回帰(Repatriation)を計画しています。また、SentinelOneやFortinet等の調査報告(2024-2025)では、クラウドセキュリティインシデントの80%以上が設定ミス(Misconfiguration)や人為的要因に起因するとされています。

【新常識】2025年の勝者は「データを手元で飼う」ハイブリッド戦略

では、セキュリティ意識の高い「賢い企業」はどのようなインフラ戦略をとっているのでしょうか。答えは「クラウド一辺倒」からの脱却です。彼らはデータの重要度に応じて保管場所を使い分ける「ハイブリッド・データ・ソブリンティ(データ主権)」戦略を実践しています。

ここでは、リスクを最小化しつつDXを加速させるための、賢い使い分けの基準を2つご紹介します。

使い分け①:「攻めのデータ」はクラウド、「守りのデータ」はオンプレミス

顧客の行動ログやWebサイトのデータなど、外部との連携が必要で、流出しても致命傷にならないデータはクラウドの拡張性を活かすべきです。一方で、今回の記事で紹介したAI-OCRで扱うような「個人情報」「契約書」「マイナンバー」などの機密情報は、インターネットから遮断されたオンプレミス環境(要塞)で管理する。これが、2025年のグローバルスタンダードな考え方です。

使い分け②:AI処理を「ローカル」で完結させる

機密情報を外部のAIサーバーに送信することに抵抗がある企業が増えています。これに対し、最新のトレンドでは、学習済みAIモデルだけを自社サーバーに持ち込み、推論(判定・読み取り)処理を社内ネットワーク内で完結させる運用が主流になりつつあります。これにより、「AIの恩恵」と「鉄壁の守り」を両立させることが可能になります。

「すべてをクラウドへ」という思考停止を捨て、データの価値とリスクを見極めて「場所」を選ぶ。それが、真に強い組織の条件なのです。


まとめ

企業は労働力不足や業務効率化の課題を抱える中で、生成AIの活用がDX推進や業務改善の切り札として注目されています。

しかし、実際には「どこから手を付ければいいかわからない」「社内にAIリテラシーを持つ人材がいない」といった理由で、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。

そこでおすすめしたいのが、Taskhub です。

Taskhubは日本初のアプリ型インターフェースを採用し、200種類以上の実用的なAIタスクをパッケージ化した生成AI活用プラットフォームです。

たとえば、メール作成や議事録作成、画像からの文字起こし、さらにレポート自動生成など、さまざまな業務を「アプリ」として選ぶだけで、誰でも直感的にAIを活用できます。

しかも、Azure OpenAI Serviceを基盤にしているため、データセキュリティが万全で、情報漏えいの心配もありません。オンプレミス環境で守りを固めるのと同様に、クラウド活用においても最高レベルの安全性を確保できます。

さらに、AIコンサルタントによる手厚い導入サポートがあるため、「何をどう使えばいいのかわからない」という初心者企業でも安心してスタートできます。

導入後すぐに効果を実感できる設計なので、複雑なプログラミングや高度なAI知識がなくても、すぐに業務効率化が図れる点が大きな魅力です。

まずは、Taskhubの活用事例や機能を詳しくまとめた【サービス概要資料】を無料でダウンロードしてください。

Taskhubで“最速の生成AI活用”を体験し、御社のDXを一気に加速させましょう。

この記事をシェアする

目次

Popular

人気記事

×
TaskHub PC Banner
TaskHub SP Banner