「毎日大量に届く注文書の入力作業で、残業が減らない…」
「従来のOCRを導入してみたけれど、取引先ごとにフォーマットが違って全然読み取れない」
こういった悩みを持っている経理・受注担当者の方も多いのではないでしょうか?
注文書や発注書は、請求書などと並んで企業間取引で最も頻繁にやり取りされる帳票の一つです。しかし、取引先によってレイアウトがバラバラであるため、自動化の難易度が高い業務でもありました。
本記事では、生成AIなどの最新技術により、なぜ今「AI OCR」が注文書業務の救世主となっているのか、その理由と具体的なメリットについて解説します。
生成AIを企業でどのように活用すべきか、全体像を知りたい方はこちらの記事もおすすめです。 合わせてご覧ください。
また、失敗しないツールの選び方や、導入後の業務フローについても詳しく紹介します。
上場企業から中小企業まで、数多くの業務効率化を支援してきた知見をもとに、現場で本当に使える情報のみを厳選しました。
きっと業務改善のヒントが見つかると思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
そもそも注文書の読み取りに「AI OCR」が必要な理由
これまでの単純なOCR(光学的文字認識)技術では、注文書処理の自動化は困難だと言われてきました。なぜなら、注文書は企業ごとに独自のフォーマットが採用されていることがほとんどだからです。
DXの進展に伴い、こうしたAI技術の活用は急速に拡大しています。矢野経済研究所の関連ニュースなどでも、最新のDX動向が確認できます。 https://inside.ai/news/2024/01/17/dxs-major-update
ここでは、なぜ従来の技術では不十分で、AIを搭載したOCRが必要不可欠なのか、その技術的な背景と現場の実情を交えて解説します。
従来のOCRでは対応できない「フォーマットのバラつき」
従来のOCRソフトは、基本的に「座標指定型」と呼ばれる仕組みを採用していました。これは、「紙の右上から何センチ、右へ何センチの場所に日付がある」「ここからここまでの範囲に合計金額がある」といったように、事前に読み取る位置を厳密に設定する必要がある技術です。
定型的なアンケート用紙や、社内で統一された申込書であれば、この方式でも十分に機能します。しかし、注文書の世界ではどうでしょうか。取引先A社は縦書きの注文書、B社は横書き、C社は表形式と、レイアウトは千差万別です。
何百、何千という取引先が存在する場合、そのすべてのフォーマットに対して一つひとつ座標定義を行うのは現実的ではありません。また、取引先がレイアウトを少しでも変更すれば、設定をやり直す必要が出てきます。
AI OCR、特に生成AI(LLM)を活用した非定型帳票対応モデルであれば、AIが文書の構造自体を解析します。「ここに『合計』という文字があるから、その隣の数字が金額だろう」といった推論を行うため、事前の座標定義なしで、多種多様なフォーマットの注文書を読み取ることが可能になるのです。この柔軟性こそが、注文書業務にAI OCRが求められる最大の理由です。
世界市場においても、従来のOCRから「インテリジェント・ドキュメント・プロセッシング(IDP)」への移行が進んでおり、その市場規模は拡大傾向にあります。 https://www.gminsights.com/industry-analysis/intelligent-document-processing-market
AI学習による認識精度の高さと補正機能
かつてのOCRを使ったことがある方の中には、「どうせ『1』と『7』や、『0』と『O』を読み間違えるのだろう」という不信感を持っている方もいるかもしれません。しかし、ディープラーニング(深層学習)を取り入れたAI OCRの認識精度は、飛躍的に向上しています。
AI OCRは、膨大な量の文字データを学習しています。そのため、単なる画像マッチングではなく、文脈や前後の文字の並びから正解を推測する能力を持っています。例えば、日付欄であれば「202X年」のような形式である確率が高いとAIが判断し、曖昧な形状の数字でも正しく認識しようとします。
また、商品コードや単価といったマスターデータを事前にAI OCRに取り込んでおくことで、読み取った結果をデータベースと照合し、自動的に補正する機能を備えたツールも増えています。
「A」と読み取ったけれど、商品マスターには「A」で始まる商品はなく、似た形の「R」なら存在する場合、自動的に「R」に修正するといった処理です。このように、AIの学習能力とデータベース連携による補正機能を組み合わせることで、人間の目視に近い、あるいはそれ以上の精度を実現できるようになってきています。
ディープラーニングを用いた文字認識技術に関しては、学術的な研究も進んでおり、技術的な進歩が精度の向上を裏付けています。 https://dergipark.org.tr/en/download/article-file/5298850
手書き文字やFAX特有の汚れ・ズレへの対応力
注文書のやり取りにおいて、依然としてFAXや手書きが根強く残っている業界は少なくありません。建設業や食品卸、製造業の現場などでは、現場から手書きの注文書がFAXで送られてくることが日常茶飯事です。
FAXで送られてきた書類は、画像が粗く、ノイズ(黒い点や線)が入っていたり、斜めに送信されて文字が歪んでいたりすることがよくあります。従来のOCRにとって、こうしたノイズや歪みは誤認識の最大の原因でした。
しかし、最新のAI OCRは、画像処理技術の向上により、こうした悪条件にも強くなっています。かすれた文字や、枠からはみ出した手書き文字であっても、AIがその特徴を捉えて文字データ化します。
特に、日本市場向けのAI OCR製品は、日本特有の「癖のある手書き文字」や「FAXの汚れ」に対する学習データを豊富に持っているものが多く登場しています。人間でも判読に迷うような崩し字であっても、前後の文脈から高精度に読み取れるようになってきており、これまで諦めていた手書きFAX注文書の自動化が現実的になっています。
情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)の発表等を見てもわかる通り、特定の業界では依然としてFAX利用が根強く残っている実情があります。 https://www.ciaj.or.jp/pressrelease2024/10277.html
注文書業務にAI OCRを導入する具体的なメリット
AI OCRを導入することで、現場の業務はどのように変わるのでしょうか。単に「入力が楽になる」というだけでなく、経営的な観点からも大きなインパクトがあります。
ここでは、実際に導入した企業で報告されている具体的なメリットを3つの視点から紹介します。
受注入力工数の大幅削減とペーパーレス化
最大のメリットは、やはりデータ入力にかかる時間の削減です。熟練の担当者であっても、紙の注文書を見ながら基幹システムに手入力を行う作業には、1件あたり数分程度の時間がかかります。これが月間数千件となれば、膨大な時間コストとなります。
AI OCRを導入すれば、紙やPDFの注文書をスキャンまたはアップロードするだけで、瞬時にテキストデータ化されます。担当者は、AIが読み取った結果を確認し、必要な部分だけを修正する「確認作業」に移行できます。これにより、入力工数を70%〜90%削減できたという事例も珍しくありません。
自治体におけるDX事例においても、AI OCR導入による業務効率化の成果が多く報告されており、民間企業の参考になります。 https://www.soumu.go.jp/denshijiti/digital_transformation_portal/case/r07_dx3_20.html
また、データ化を入り口とすることで、その後の工程もデジタルで完結させやすくなります。紙の注文書をファイリングして保管する必要がなくなり、物理的な保管スペースの削減や、過去の注文履歴の検索性向上にもつながります。テレワーク対応はもちろん、電子帳簿保存法の要件(検索機能の確保など)にもスムーズに対応できるため、法対応と業務効率化を同時に実現できます。
手入力による誤字・誤出荷リスクの防止
人間が作業を行う以上、どれだけ注意していてもヒューマンエラーは避けられません。注文番号の「1」と「7」を見間違えたり、行を飛ばして入力してしまったりといったミスは、誤出荷や納品遅れに直結します。
誤出荷が発生すれば、商品の再送コストがかかるだけでなく、取引先からの信用失墜という大きな損失を招きます。また、ミスの原因調査や再発防止書の作成など、事後対応にも多くの時間を奪われてしまいます。
AI OCRを活用すれば、手入力そのものがなくなるため、タイプミスによる単純なエラーは激減します。もちろんAIも100%完璧ではありませんが、生成AIによる論理チェック(数量の矛盾検知など)や、マスターデータとの突合機能を活用することで、ミスの流出を最小限に抑えることができます。
「人間が入力して、別の人間がダブルチェックする」という従来の体制から、「AIが入力して、人間が確認する」という体制に変わることで、精神的な負担も軽減され、より精度の高い受注処理が可能になります。
属人化の解消と繁忙期の残業削減
受注業務は、特定の担当者に依存しやすい業務です。「この取引先の注文書は特殊な書き方をするから、〇〇さんじゃないと処理できない」「商品コードの変換ルールが複雑で、新人には任せられない」といった属人化が多くの現場で起きています。
このような状況では、担当者が休んだり退職したりした際のリスクが高く、繁忙期には特定の社員だけが深夜まで残業することになります。
AI OCRを導入することは、こうした「暗黙知」をシステムに落とし込むことでもあります。読み取りルールやデータ変換設定を一度ツール上で行えば、誰が操作しても同じ結果が得られるようになります。
経験の浅いスタッフや派遣社員でも、AIが作成したデータの確認作業であれば即戦力として対応可能です。業務の標準化が進むことで、繁忙期の業務負荷をチーム全体で分散できるようになり、特定の個人への負担集中や長時間労働の是正につながります。これは、働き方改革の観点からも非常に重要なメリットです。
失敗しない注文書対応AI OCRツールの選び方
市場には数多くのAI OCRツールが登場しており、どれを選べば良いか迷ってしまう担当者も多いはずです。注文書業務においては、請求書やレシートとは異なる選定ポイントが存在します。
この分野のソリューションは日々進化しており、市場調査レポート等でも今後さらなる成長が予測されています。長期的な視点でのツール選定が重要です。 https://www.nextmsc.com/report/intelligent-document-processing-market
自社の業務フローに合ったツールを選ぶために、必ず確認すべき4つのポイントを解説します。
【重要】取引先ごとに異なる「非定型」の帳票に対応できるか
注文書向けのAI OCR選びで最も重要なのが、「非定型帳票」への対応力です。前述の通り、注文書は取引先ごとにレイアウトが完全に異なります。
「定型帳票」向けの安価なAI OCRツールを選んでしまうと、取引先が増えるたびに手動で読み取り位置(座標)を設定しなければならず、運用コストが膨大になります。最悪の場合、設定作業が追いつかずにツールの利用を断念することになりかねません。
選定の際は、必ず「座標設定が不要か」「AIが自動で項目を抽出してくれるか」を確認してください。最近では、ディープラーニングやLLM(大規模言語モデル)を活用し、初めて見るレイアウトの注文書でも「どこに何が書いてあるか」を自動判断して読み取る「非定型特化型」や「ゼロショット型」と呼ばれるツールが登場しています。
デモンストレーションや無料トライアルの際には、自社で実際に受け取っている、レイアウトがバラバラな複数の注文書を読み込ませてみて、設定なしでどこまで正確に項目を拾えるかをテストすることが必須です。
手書き・活字・FAXなど「自社の帳票」で精度が出るか
自社に届く注文書の「質」を把握することも大切です。すべてが綺麗なPDFで届くのであれば問題ありませんが、多くの現場では手書きやFAXが混在しています。
ツールによって得意な文字種が異なります。「活字の読み取りは完璧だが、手書きは苦手」というツールもあれば、「手書き文字の認識率99%以上」を謳うツールもあります。また、FAX特有のかすれやノイズに強い画像補正機能を持っているかも重要なポイントです。
導入検討時には、最も状態の悪い(読み取りにくそうな)注文書をサンプルとして用意し、テストを行ってください。綺麗なサンプルデータでテストをして導入を決めてしまうと、現場での実運用に耐えられないという失敗を招きます。
特に手書き文字が多い場合は、ひらがな、カタカナ、漢字、数字が混在していても正しく認識できるか、枠からはみ出した文字や訂正印がある場合どう処理されるかなど、細かな挙動を確認することをおすすめします。
基幹システムや販売管理システムと連携しやすいか
AI OCRで文字データ化しただけでは、業務は完了しません。そのデータを、販売管理システムや基幹システム(ERP)に取り込んで初めて、受注処理が完了します。したがって、出力データの形式や連携のしやすさは非常に重要です。
多くのAI OCRはCSV形式での出力に対応していますが、そのCSVのフォーマット(列の並び順やヘッダーの有無など)を、自社のシステムの受入形式に合わせて柔軟に加工できる機能があるか確認しましょう。この加工機能がない場合、出力されたCSVをExcelで開いて手作業で修正する手間が発生し、自動化の効果が半減してしまいます。
さらに高度な自動化を目指すなら、RPA(Robotic Process Automation)との親和性や、API連携の可否もチェックポイントです。APIが提供されていれば、ファイルを介さずに直接システム間でデータをやり取りでき、完全自動化への道が開けます。
自社が現在使っている販売管理システムとの連携実績があるツールを選ぶと、導入時のトラブルが少なくスムーズです。
導入コストとランニングコストのバランス(従量課金・定額)
AI OCRの料金体系は、主に「月額基本料」+「読取枚数に応じた従量課金」で構成されているケースが一般的です。
注文書の枚数は、季節や時期によって変動することが多いため、自社の月間処理枚数を正しく見積もることがコスト試算の第一歩です。枚数が少ない場合は、初期費用が安く、1枚あたりの単価が設定されている従量課金制のSaaS型が適しています。
一方で、月間数万枚を処理するような大企業の場合は、従量課金だとコストが青天井になる可能性があります。その場合は、読み取り枚数無制限の定額プランや、ボリュームディスカウントがあるエンタープライズ向けのプランを提供しているベンダーを選ぶ方が、トータルコストを抑えられる場合があります。
また、オプション料金にも注意が必要です。非定型読み取り機能や、API連携機能、帳票の仕分け機能などが別料金になっていることもあります。必要な機能をすべて含めた状態での見積もりを取り、費用対効果(ROI)を算出してから決裁に進むようにしましょう。
【タイプ別】注文書読み取りに強いAI OCRソリューションの傾向
一口にAI OCRと言っても、それぞれ得意とする領域が異なります。自社の課題にベストマッチするツールを見つけるために、主要なソリューションの傾向を3つのタイプに分けて整理しました。
ご自身の状況に合わせて、どのタイプが適しているか検討してみてください。
事前の座標設定が不要な「非定型特化型」
注文書業務において、現在最も注目されているのがこのタイプです。最大の特徴は、事前にフォーマットごとの座標定義をする必要がない点です。
AIが画像全体を解析し、「日付」「発注元」「明細行」「金額」などの意味を持つ箇所を自動的に特定して抽出します。このタイプは、取引先の数が多く、フォーマットが頻繁に変わる企業に最適です。
最新のモデルでは、明細行が複数ページにまたがる場合や、複雑な表組みになっている場合でも、正確にデータを構造化できるものが増えています。導入の手間が少なく、運用開始までのリードタイムが短いのもメリットです。ただし、ツールによっては月額費用がやや高めに設定されている場合があるため、処理枚数とのバランスを見る必要があります。
圧倒的な識字率を誇る「手書き特化型」
建設業、食品、物流など、現場からの手書き注文書が業務の大半を占める場合に選ぶべきタイプです。このカテゴリーのツールは、数百万〜数億枚の手書き文字データを学習させており、人間でも判読が難しいような癖字でも驚くべき精度でテキスト化します。
特徴的なのは、文字認識だけでなく、文脈判断に優れている点です。住所や氏名、商品名などの辞書データを持ち、確率的に最もあり得る単語を推測して出力します。
中には、訂正印が押された箇所の読み飛ばしや、チェックマークの有無の判定など、手書き帳票特有の事情に配慮した機能を持つものもあります。FAX受注がメインの企業にとっては、このタイプの導入が最も高い費用対効果を生むでしょう。
受発注システムと一体化した「業界特化型」
OCR単体のツールではなく、受発注システムやEDI(電子データ交換)プラットフォームの一機能としてAI OCRが組み込まれているタイプです。
例えば、食品業界向けの受発注システムや、建設業界向けのマッチングプラットフォームなどがこれに該当します。このタイプの最大のメリットは、業界特有の商習慣や専門用語、商品マスターがあらかじめシステムに最適化されている点です。
読み取ったデータをそのまま同じプラットフォーム上で発注処理に回したり、請求書発行に繋げたりと、業務フロー全体が一つのシステムで完結します。OCRツールと基幹システムの連携開発をする必要がないため、システム担当者がいない中小企業でも導入しやすいのが特徴です。自社の業界に特化したソリューションが存在する場合は、有力な選択肢となります。
AI OCRで読み取った注文データを実業務で活用するフロー
ツールを導入して「読み取れました」で終わりではありません。重要なのは、そのデータをいかにスムーズに自社の業務フローに流し込むかです。
ここでは、AI OCRでデジタル化したデータを、実際の受注業務で活用するための代表的な3つのパターンを解説します。
CSVデータを販売管理システムへインポートする手順
最も一般的で、多くの企業が採用しているのがCSV連携です。このフローでは、まずAI OCRツールで注文書を読み取り、担当者が画面上で認識結果を確認・修正します。その後、確定したデータをCSVファイルとしてダウンロードします。
次に、そのCSVファイルを自社の販売管理システムや基幹システムの「受注取込」機能を使ってインポートします。この方法のメリットは、特別なシステム開発が不要で、既存の機能をそのまま使える点です。
ただし、スムーズに運用するためには、AI OCR側で出力するCSVの列の並び順や項目名を、販売管理システムの受入フォーマットと完全に一致させておく設定が必要です。この「CSV加工設定」の柔軟性が、日々の運用の手間を大きく左右します。
API連携でシームレスにデータ転送する方法
CSVファイルのダウンロードとアップロードという手作業すらなくしたい場合は、API連携が有効です。APIを利用すると、AI OCRツールと自社のシステムをプログラムで直接つなぐことができます。
具体的には、AI OCRでの確認作業が完了ボタンを押した瞬間に、データが自動的に販売管理システムに飛んでいき、受注伝票が起票されるといった仕組みが構築できます。
ファイルの取り違えミスを防げるほか、リアルタイムでの在庫引き当てが可能になるなど、業務スピードが格段に向上します。ただし、自社システム側がAPIに対応しているか、あるいは連携のための開発リソースを確保できるかがハードルとなります。
RPAと組み合わせて受注入力を「完全自動化」する方法
自社のシステムが古く、CSVインポートもAPI連携も難しい場合に活躍するのがRPA(ロボットによる業務自動化)です。
AI OCRと組み合わせて自動化を検討する際にも役立つ、ChatGPTを活用した業務改善の全体像はこちらで解説しています。 合わせてご覧ください。
RPAは、人間がパソコン画面上で行う操作をロボットに代行させる技術です。AI OCRが出力したデータを、RPAロボットが受け取り、販売管理システムの入力画面を開いて、一つひとつ項目を入力していく動きを再現します。
また、注文書のダウンロード(メール添付やWeb-EDIからの取得)からAI OCRへのアップロード、そしてシステムへの入力まで、一連の工程をすべてRPAでつなぐことで、担当者が介在しない「完全自動化」に近い環境を構築することも可能です。OCRとRPAは非常に相性が良く、セットで導入されるケースが増えています。
AI OCR導入時によくある課題と対策
夢のようなツールに見えるAI OCRですが、導入すればすぐにすべてが解決するわけではありません。運用を始めてから「こんなはずじゃなかった」とならないために、事前に対策すべき課題についてお伝えします。
精度は100%ではないため「目視チェック」は必須
どれだけ高性能なAI OCRであっても、認識精度が100%になることはありません。原本の汚れ、極端な崩し字、レイアウトの誤認などは一定の確率で発生します。
そのため、「AIに任せっぱなしにする」のではなく、「必ず人間が最終確認をする」プロセスを業務フローに組み込むことが大前提です。
多くのツールには、AIが自信のない文字を赤くハイライトしたり、読み取った画像とテキストを並べて表示したりする、確認作業を支援するインターフェースが備わっています。導入初期は特に念入りにチェックを行い、徐々にAIの学習が進んで精度が安定してきたら、チェック項目を絞り込むなどの運用調整が必要です。
例外的な注文書の処理ルールを決めておく
「手書きのメモ書きがある場合はどうするか」「セット商品の注文が来た場合はどう変換するか」「廃番になった商品の注文が来た場合はどうするか」など、注文書業務には例外がつきものです。
AI OCRは基本的に「書いてある文字をデータ化する」ツールであり、複雑な業務判断までは行えません。こうした例外的なケースが発生した際に、AI OCR上でどのように処理するのか、あるいはシステムに取り込んだ後に人間が修正するのか、事前に運用ルールを決めておくことが重要です。
すべての例外を自動化しようとすると設定が複雑になりすぎるため、「全体の8割を占める定型的な注文は自動化し、残りの2割の例外は人間が処理する」といったように、割り切った運用設計をすることが成功の秘訣です。
注文書のAI OCR化に関するよくある質問
最後に、AI OCR導入を検討されている方からよく寄せられる質問とその回答をまとめました。
無料で試せるトライアル環境はありますか?
ほとんどの主要なAI OCRベンダーは、無料トライアルやデモンストレーション環境を用意しています。期間は2週間〜1ヶ月程度が一般的です。
導入後に後悔しないためにも、必ずトライアルを申し込み、自社の実際の注文書(特に読み取りが難しそうなもの)を使ってテストを行ってください。営業担当者のデモデータだけでなく、自社のデータで精度を確認することが非常に重要です。
セキュリティ面や個人情報の取り扱いは安全ですか?
注文書には取引先の情報や価格などの機密情報が含まれるため、セキュリティは重要です。
多くの法人向けAI OCRサービスは、通信の暗号化(SSL/TLS)、データの暗号化保存、IPアドレス制限などのセキュリティ対策を講じています。また、読み取った画像データをAIの学習に利用するかどうかを選択できるサービスもあります。
プライバシーマーク(Pマーク)やISO27001(ISMS)などの認証を取得しているベンダーを選ぶと、より安心です。社内のセキュリティ規定に照らし合わせ、必要な要件を満たしているか確認しましょう。
選定の際は、総務省・経済産業省によるクラウドサービス利用のためのセキュリティガイドラインなども参照し、基準を満たしているか確認することをおすすめします。 https://www.soumu.go.jp/main_content/000771515.pdf
導入から稼働までにかかる期間はどのくらいですか?
ツールのタイプによりますが、SaaS型の「非定型特化型」であれば、早ければ申し込みから数日で利用開始できるものもあります。
ただし、実業務に乗せるためには、初期設定、テスト読み取り、CSV出力フォーマットの調整、現場担当者への操作レクチャーなどの準備期間が必要です。一般的には、トライアルを含めて1ヶ月〜3ヶ月程度を見ておくとスムーズに本稼働へ移行できるでしょう。
API連携や個別のカスタマイズ開発が必要な場合は、半年以上の期間が必要になることもあります。
注文書入力で残業確定?AI OCRで「定時帰りする人」と「深夜まで残る人」の生産性格差
毎日山のように届くFAXやPDFの注文書。あなたはまだ、それを目視で確認し、キーボードを叩いて基幹システムに入力していませんか?実は、その「手入力」という習慣が、組織の生産性を著しく低下させ、企業の成長機会を奪っているかもしれません。ハーバード・ビジネス・レビューなどの権威あるビジネス誌でも、デジタル化の遅れが企業の競争力に与える悪影響について度々警鐘が鳴らされています。しかし、ご安心ください。先進的な企業では、AI OCRを単なる「読み取りツール」としてではなく、「業務改革の司令塔」として使いこなし、劇的な効率化を実現しています。この記事では、「疲弊する現場」と「勝てる経理」の分かれ道を、最新の技術トレンドと具体的な活用術を交えながら解説します。
【警告】手入力はあなたの「組織の脳」を麻痺させるかもしれない
「手で入力した方が確実だし、慣れているから早い」——。もしそう思っていたら、それは非常に危険なサインです。人間が行う単純データ入力作業は、脳の認知リソースを大量に消費するだけでなく、長時間続くと集中力が低下し、ミスを誘発する負のスパイラルに陥ります。
これは、本来人間が使うべき「判断力」や「創造力」といったリソースが、単純作業によって枯渇している状態です。この状態が続くと、次のような経営リスクが発生します。
- 戦略的な業務が後回しになる: 目の前の処理に追われ、データ分析や改善提案などの付加価値業務に手が回らない。
- ヒューマンエラーによる信用の低下: 疲労による入力ミスが、誤出荷やクレームに直結する。
- 人材の定着率低下: 生産性の低い単純作業の繰り返しにより、従業員のモチベーションが下がり、離職を招く。
便利なツールを使わず、人間の根性に頼ることは、気づかぬ間に組織全体の「稼ぐ力」を削いでいく可能性があるのです。
引用元:
総務省の情報通信白書においても、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を進める企業とそうでない企業の間で、労働生産性に明確な格差が生まれていることが報告されています。単純業務の自動化は、企業の存続を左右する重要な要素となっています。(総務省「情報通信白書」令和3年版 デジタル化の進展と生産性向上に関する分析より)
【実践】受注業務を「コストセンター」から「戦略拠点」に変えるAI活用
では、「賢い企業」はAI OCRをどう使っているのでしょうか?彼らはAIを「入力代行」として使うだけではなく、「業務フローを再構築するパートナー」として利用しています。ここでは、明日から検討できる3つの「賢い」導入視点をご紹介します。
導入視点①:座標設定を捨て、「AIの直感」に任せる
従来型OCRの最大の弱点は、取引先ごとに座標指定が必要なことでした。これを解決するのが、フリーフォーマット対応のAI OCRです。AIにあえて「事前の設定なし」で読ませてみてください。
選定のポイント:
「この注文書のレイアウトは初めて見るものですが、日付と金額と商品コードを自動で抽出してください。」
このように指示を出した際、事前の定義なしで項目を特定できるツールを選びましょう。これにより、フォーマット変更のたびに発生していた設定工数がゼロになり、メンテナンス地獄から解放されます。
導入視点②:あえて「汚い文字」を読ませて実力を測る
AI OCRの真価は、綺麗な活字ではなく、現場特有の「ノイズ」への対応力に現れます。導入テストでは、最も読み取りにくそうな手書きFAXや、斜めにスキャンされた画像をあえて選んでください。
選定のポイント:
「現場から送られてくる、走り書きで汚れのある注文書を読み取ってください。」
人間でも判読に迷うような文字を、前後の文脈から推測して補正できるかを確認します。日本市場に特化したAIであれば、日本独自の商習慣や癖字にも強く、驚くべき精度を発揮します。
導入視点③:RPAと連携し「完全自動化」への道を作る
読み取って終わり、では思考停止と同じです。AI OCRでデータ化した情報を、いかに人の手を介さずにシステムへ流し込むかが勝負です。
選定のポイント:
「読み取ったデータを、APIやRPAを使って販売管理システムへ自動登録するルートを構築してください。」
入力作業だけでなく、システムへの転記作業までを自動化することで、担当者は「AIが処理した結果の最終承認」をするだけの管理者に昇格できます。これにより、受注業務のリードタイムが劇的に短縮されます。
まとめ
企業は労働力不足や業務効率化の課題を抱える中で、生成AIの活用がDX推進や業務改善の切り札として注目されています。
しかし、実際には「どこから手を付ければいいかわからない」「社内にAIリテラシーを持つ人材がいない」といった理由で、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、Taskhub です。
Taskhubは日本初のアプリ型インターフェースを採用し、200種類以上の実用的なAIタスクをパッケージ化した生成AI活用プラットフォームです。
たとえば、今回解説したようなOCR技術を活用した画像からの文字起こしはもちろん、メール作成や議事録作成、さらにレポート自動生成など、さまざまな業務を「アプリ」として選ぶだけで、誰でも直感的にAIを活用できます。
しかも、Azure OpenAI Serviceを基盤にしているため、データセキュリティが万全で、重要書類のデータ化においても情報漏えいの心配がありません。
さらに、AIコンサルタントによる手厚い導入サポートがあるため、「何をどう使えばいいのかわからない」という初心者企業でも安心してスタートできます。
導入後すぐに効果を実感できる設計なので、複雑なプログラミングや高度なAI知識がなくても、すぐに業務効率化が図れる点が大きな魅力です。
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