「Cursor 2.0になってComposer機能が劇的に進化したらしいけど、具体的に何が変わったの?」
「VS Codeから乗り換えたいけど、設定や使い方が難しそうで不安…。」
エンジニアやプログラマーの方で、こういった疑問や悩みを持っている方も多いのではないでしょうか。
AIエディタ界隈で大きな注目を集めているCursorが、バージョン2.0へ大型アップデートされました。特に新機能「Composer」は、開発体験を根底から変えるほどのインパクトを持っています。
本記事では、Cursor 2.0の目玉機能であるComposerの使い方から、料金体系、推奨設定までを網羅的に解説しました。
実際に開発現場でCursor 2.0を活用している知見をもとに、実務で使えるテクニックをご紹介します。
この記事を読めば、Cursor 2.0を導入すべきかどうかの判断ができ、明日からのコーディング効率を劇的に向上させるヒントが得られるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
Cursor 2.0の概要と従来のバージョンとの違い
ここでは、Cursor 2.0の全体像と、これまでのバージョンや他のエディタとの違いについて解説します。
- Composerの進化と独自モデル
- UI/UXの刷新
- VS Codeからの移行
これらのポイントを押さえることで、なぜ今Cursor 2.0が多くのエンジニアに選ばれているのかが明確になります。
それでは、1つずつ順に解説します。
最大の変更点は「Composer」の進化と独自モデル
Cursor 2.0における最大のアップデートは、間違いなく「Composer」機能の劇的な進化です。Cursorチームが開発した専用のAIモデルが搭載され、生成スピードと精度が飛躍的に向上しました。
Composerを使えば、複数のファイルを同時に生成・編集・修正することが可能です。例えば、「ECサイトの商品一覧ページを作って」と指示するだけで、HTML、CSS、JavaScript、そして関連するコンポーネントファイルを一度に作成することが可能です。
従来はエンジニアが一つひとつファイルを作成し、コードをコピペする必要がありましたが、Cursor 2.0ではその手間が大幅に削減されました。プロジェクト全体を俯瞰してコードを書き換えることができるため、リファクタリングや新機能の実装スピードが格段に向上しています。
こちらはCursor 2.0の目玉機能であるComposerについて解説した公式記事です。 合わせてご覧ください。 https://cursor.com/blog/composer

UI/UXの刷新と操作感の変化
Cursor 2.0では、UI(ユーザーインターフェース)も大きく刷新されました。以前のバージョンよりもシンプルで洗練されたデザインになり、AI機能を呼び出すための動線がよりスムーズになっています。
特に、チャット画面とエディタ画面の統合が進み、コードを書いている最中に自然な流れでAIのサポートを受けられるようになりました。AIの提案を受け入れるか拒否するかの操作も直感的になり、開発のリズムを崩さずにコーディングに集中できます。
また、設定画面も整理され、自分好みのAIモデル(Claude 3.5 SonnetやGPT-4oなど)の切り替えや、プロジェクト固有のルール設定が簡単に行えるようになっています。ツールに使われるのではなく、ツールを使いこなす感覚が得られるデザインと言えるでしょう。
こちらはCursorで現在利用可能なAIモデルの一覧と仕様について解説した公式ページです。 合わせてご覧ください。 https://cursor.com/docs/models

VS Codeからの移行や互換性について
CursorはもともとMicrosoftのVS Code(Visual Studio Code)をフォークして作られています。そのため、VS Codeで利用していた拡張機能(Extensions)やキーバインド、設定のほとんどをそのまま引き継ぐことができます。
Cursor 2.0になってもこの互換性は健在です。インストール時に「VS Codeの設定をインポートする」というオプションを選択するだけで、今まで慣れ親しんだ開発環境を再現できます。
VS Codeユーザーであれば、学習コストはほぼゼロでCursor 2.0に移行できます。むしろ、いつものVS Codeに強力なAIの脳が搭載されたような感覚を覚えるはずです。既存のプラグインエコシステムと、最新のAI機能のいいとこ取りができる点が、Cursor 2.0の大きな強みです。
こちらはVS CodeからCursorへ設定を移行する具体的な手順について解説した公式ドキュメントです。 合わせてご覧ください。 https://cursor.com/docs/configuration/migrations/vscode
Cursor 2.0の目玉機能「Composer」の使い方とできること
ここからは、Cursor 2.0の核心であるComposer機能の具体的な使い方について解説します。
- 複数ファイルを同時に生成・修正する仕組み
- NormalモードとAgentモードの使い分け
- プロジェクト全体を把握した上でのコード生成
- Web検索やドキュメント参照を組み合わせた指示方法
Composerを使いこなすことで、開発スピードは数倍になります。
生成AIを企業で活用する方法や、導入のメリット・注意点については、こちらの記事で徹底解説しています。 合わせてご覧ください。
それぞれの機能を詳しく見ていきましょう。
複数ファイルを同時に生成・修正する仕組み(Cmd+I)
Composerを起動するためのショートカットキーは「Cmd + I」(Windowsの場合はCtrl + I)です。これを押すと、エディタ上にフローティングウィンドウが表示されます。
ここに自然言語で「ログイン画面を実装して。デザインはモダンにして、バリデーション機能もつけて」といった指示を入力します。すると、Cursorは必要なファイルを判断し、既存のファイルを修正したり、新しいファイルを作成したりします。
実行中、どのファイルがどのように変更されるかがリアルタイムで表示されます。ユーザーは提案された変更内容を確認し、「Accept All(すべて適用)」ボタンを押すだけで、複数のファイルにまたがる変更を一瞬で反映させることができます。これにより、ファイルを行き来する手間が激減します。
NormalモードとAgentモードの使い分け
Cursor 2.0のComposerには、主に「Normal」と「Agent」という2つのモードが存在します(アップデートにより名称やUIが微調整されることがありますが、機能的な概念は以下の通りです)。
Normalモードは、高速なコード生成に特化しています。ユーザーの指示に基づいてコードを提案し、修正案を提示します。動作が軽く、サクサクとコードを書いていきたい場合に適しています。
一方、Agentモードはより自律的かつ高度な動きをします。並列処理により複数のタスクを同時に進行させたり、ターミナルコマンドの実行やファイルの作成・削除を行ったりと、まるで人間のエンジニアが操作しているかのように振る舞います。複雑なタスクや、環境構築などの手順が多い作業を任せる場合には、Agentモードが真価を発揮します。
こちらはCursorの各モード(Normal/Agent)の仕様について解説した公式ドキュメントです。 合わせてご覧ください。 https://cursor.com/docs/agent/modes
プロジェクト全体を把握した上でのコード生成
Composerの凄さは、現在開いているファイルだけでなく、プロジェクトフォルダ内の全ファイルをコンテキスト(文脈)として理解できる点にあります。
例えば、「このプロジェクトの共通コンポーネントを使って、新しいボタンを作って」と指示すれば、Cursorは既存のコンポーネント定義を探しに行き、そのスタイルやルールに則ったコードを生成します。
これにより、プロジェクトごとのコーディング規約や設計思想を無視した「ちぐはぐなコード」が生成されるリスクが減ります。大規模な開発プロジェクトであっても、既存のコードベースと整合性の取れたコードを書いてくれるため、レビューの手間も省けます。
Web検索やドキュメント参照を組み合わせた指示方法
Composerは、インターネット上の最新情報や、公式ドキュメントを参照しながらコードを生成することも可能です。
プロンプト入力欄で特定の記号や設定を使うことで、Web検索を行わせたり、登録しておいた外部ドキュメントを読み込ませたりできます。これにより、最新のライブラリの仕様や、まだAIが学習していないマイナーなフレームワークの使い方であっても、正確なコードを生成させることができます。
「最新のNext.jsのドキュメントを参照して、App Routerでルーティングを設定して」といった指示も可能です。AIの知識と外部の最新情報を組み合わせることで、常に最適な実装方法を選択できるのです。
その他に追加・強化されたCursor 2.0の重要機能
Composer以外にも、Cursor 2.0には開発効率を上げるための機能が多数搭載されています。
- 次の修正箇所を予測する「Tab」機能の進化
- 自然言語でターミナル操作を行う機能
- ドキュメント参照機能(@Docs)の精度向上
これらは地味ながらも、毎日のコーディング作業を強力にバックアップしてくれます。
詳細を解説します。
次の修正箇所を予測する「Tab」機能の進化
「Cursor Tab(旧 Copilot++)」機能は、単なるコード補完を超えた性能を持っています。カーソル位置の次の単語を予測するだけでなく、ユーザーが次に行おうとしている「変更」そのものを予測します。
例えば、ある変数の名前を変更した場合、その変数が使われている他の箇所も同様に変更する必要が出てきます。Cursor Tabはそれを瞬時に検知し、Tabキーを押すだけで次の修正箇所へジャンプし、変更を適用してくれます。
非常に低遅延で動作するため、タイピングの邪魔になりません。まるで自分の思考を先読みされているかのような感覚で、爆速でコーディングが進みます。この機能に慣れてしまうと、他のエディタには戻れないという声も多く聞かれます。
こちらは大幅にアップデートされたCursor Tab機能の仕組みについて解説した公式記事です。 合わせてご覧ください。 https://cursor.com/blog/tab-update
自然言語でターミナル操作を行う機能
開発作業ではターミナル操作が必須ですが、コマンドを忘れてしまったり、オプションの指定方法に迷ったりすることはよくあります。Cursor 2.0では、ターミナル内で「Cmd + K」を押すことで、自然言語による指示が可能になります。
「Gitの最新のコミットを取り消して」や「使われていないDockerコンテナを削除して」と入力すれば、Cursorが適切なコマンドを提案してくれます。
ユーザーは提案されたコマンドを確認し、Enterキーを押すだけで実行できます。コマンドの構文を調べるためにブラウザを開く必要がなくなり、作業のフローが中断されることがありません。
ドキュメント参照機能(@Docs)の精度向上
チャットやComposerで指示を出す際、「@Docs」と入力することで、特定のライブラリやフレームワークの公式ドキュメントを明示的に参照させることができます。Cursor 2.0では、このインデックス作成能力と検索精度が向上しました。
独自の社内ドキュメントや、マイナーなライブラリのURLを追加するだけで、AIはその内容を学習し、回答に反映させます。
以前のバージョンでは、ドキュメントの内容を正しく拾いきれないこともありましたが、2.0ではより深く正確に内容を理解するようになっています。これにより、ハルシネーション(もっともらしい嘘)の発生率が下がり、信頼性の高いコード生成が可能になりました。
AIのハルシネーション(もっともらしい嘘)を防ぐ方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。 合わせてご覧ください。
Cursor 2.0の料金プランとクレジット消費ルール
導入にあたって気になるのが料金体系です。
- Free・Pro・Businessプランの違い
- Composer利用時のクレジット消費
- 課金ユーザーにおけるAPI利用の仕組み
コストパフォーマンスを最大化するために、プランごとの特徴を理解しておきましょう。
それぞれ解説します。
Free・Pro・Businessプランの違い
Cursorには主に3つのプランがあります。
Hobby(無料プラン)
基本的なAI機能は試せますが、高機能なモデル(GPT-4oやClaude 3.5 Sonnetなど)の利用回数に制限があります。お試しや学習用途向けです。
Pro(月額20ドル)
個人開発者向けの標準プランです。高速なプレミアムモデルの利用が無制限(または非常に高い上限)になり、Composerなどの高度な機能もフルに活用できます。本格的に開発に使うならこのプランが推奨されます。
Business(月額40ドル/ユーザー)
チーム向けのプランです。Proプランの全機能に加え、集中請求機能や、管理者による使用状況の管理、データのプライバシー保護(ゼロデータリテンション)が強化されています。企業で導入する場合はこちらが必須となるでしょう。
Composer利用時のクレジット消費(fast/slow-request)
Proプラン以上であっても、無制限に最高速度で利用できるわけではありません。AIの利用には「Fast Request」と「Slow Request」という概念があります。
月ごとに一定数のFast Requestが付与されており、これを消費している間は爆速で回答が生成されます。Composerの利用や、高度なモデルでのチャットはこのFast Requestを消費します。
Fast Requestを使い切ると、Slow Requestに切り替わります。利用自体は可能ですが、サーバーの混雑状況によっては生成待ち時間が発生することがあります。Composerを多用するAgentモードなどは消費が激しいため、残量を意識しながら使うのがコツです。
こちらはクレジット消費(Fast/Slow Request)の具体的な仕様について解説したコミュニティフォーラムです。 合わせてご覧ください。 https://forum.cursor.com/t/what-are-fast-and-slow-uses/6492
課金ユーザーにおけるAPI利用の仕組み
Cursorは基本的にサブスクリプション料金内でAIモデルを利用できますが、OpenAIやAnthropicのAPIキーを自分で設定して利用することも可能です。
Proプランを契約していれば、Cursorが提供する枠組みの中で利用するのが最もコスパが良いですが、独自のAPIキーを使うメリットもあります。例えば、利用制限を気にせずに使い倒したい場合や、特定のベータ版モデルを試したい場合などです。
APIキーを設定した場合、Cursorへの月額料金とは別に、APIプロバイダーへの従量課金が発生します。通常利用であればProプランの範囲内で十分ですが、ヘビーユーザーにとってはAPI併用という選択肢があることも覚えておくと良いでしょう。
Cursor 2.0を使いこなすための推奨設定
Cursor 2.0のポテンシャルを最大限に引き出すための設定を紹介します。
- 作業効率を上げる便利なショートカットキー一覧
- 開発効率を最大化する初期設定
- おすすめの拡張機能(Extensions)
これらを設定するだけで、導入初日から快適に使いこなせます。
1つずつ解説します。
作業効率を上げる便利なショートカットキー一覧
Cursorを使う上で絶対に覚えておくべきショートカットキーは以下の3つです。
Cmd + K(Generate)
エディタ上でコードを選択し、その部分だけを修正・生成させるときに使います。最も頻繁に使います。
Cmd + L(Chat)
サイドバーのチャットを開きます。コードについて質問したり、全体的な相談をする時に使います。
Cmd + I(Composer)
今回紹介したComposerを開きます。複数ファイルにまたがる実装や、大きな機能追加を行う時はこれを使います。
まずはこの3つを指に覚え込ませましょう。これらを使い分けるだけで、マウス操作が減り、思考のスピードで開発ができるようになります。
開発効率を最大化する初期設定
Cursorをインストールしたら、まず確認したい設定が「Rules for AI」です。
設定画面にあるこの項目に、自分やチームのコーディング規約を入力しておきましょう。「変数はキャメルケースにする」「コメントは日本語で書く」「TypeScriptの型定義は必須」などのルールを記述しておくと、AIがそれらを遵守してコードを生成してくれます。
また、「Codebase Indexing」が有効になっているかも確認してください。これがオンになっていないと、プロジェクト全体のコードをAIが正しく認識できません。通常は自動でオンになりますが、リポジトリが巨大な場合は手動で再インデックスが必要な場合もあります。
おすすめの拡張機能(Extensions)
CursorはVS Codeベースなので、VS Codeで人気の拡張機能はほぼ全て使えます。Cursorと相性の良いものをいくつか挙げます。
GitLens
Gitの履歴を詳細に可視化できます。AIが書いたコードの履歴を追うのに便利です。
Prettier
コードフォーマッターです。AIが生成したコードのインデントなどを自動で整えてくれます。Cursorの設定で「保存時にフォーマット」をオンにしておくと快適です。
Live Server
Web開発をする際、ローカルサーバーを簡単に立ち上げられます。Composerで作ったHTML/CSSをすぐにブラウザで確認できます。
これらは必須級ですが、基本的には今使っているお気に入りの拡張機能をそのまま入れて問題ありません。
Cursor 2.0に関するよくある質問
最後に、Cursor 2.0についてよく寄せられる疑問に回答します。
- 既存のプロジェクトでも問題なく使える?
- Composerがうまく動かない時の対処法は?
- セキュリティやデータプライバシーは安全?
- GitHub Copilotとの違いは?
導入前の不安をここで解消しておきましょう。
それでは解説します。
既存のプロジェクトでも問題なく使える?
はい、全く問題ありません。Cursorはフォルダを開いた時点で、その中にあるファイルをスキャンし、インデックスを作成します。
数年前から続いているレガシーなプロジェクトであっても、Cursorで開けば、AIはそのコードベースを理解し、既存のコードスタイルに合わせた提案をしてくれます。むしろ、複雑化した既存プロジェクトの解読やリファクタリングこそ、Cursorの得意分野です。
Composerがうまく動かない時の対処法は?
Composerが期待通りに動かない(ファイルが作成されない、指示を無視するなど)場合は、以下の点を確認してください。
まず、選択しているモデルを確認しましょう。cursor-smallなどの軽量モデルでは複雑な指示に対応できないことがあります。Claude 3.5 SonnetやGPT-4oなどの高性能モデルを選択してください。
次に、インデックスの更新です。プロジェクトに大きな変更があった直後は、インデックスが追いついていないことがあります。設定から「Resync Index」を実行してみてください。それでも直らない場合は、一度Cursorを再起動するのが有効です。
セキュリティやデータプライバシーは安全?
企業で利用する場合、セキュリティは最も重要な懸念事項です。Cursorは「Privacy Mode」を提供しており、これを有効にすると、コードがサーバーに保存されたり、AIの学習データとして使用されたりすることはありません。
BusinessプランではSOC 2に準拠したセキュリティ体制が敷かれており、ゼロデータリテンション(ログを残さない)設定も可能です。機密情報を扱う場合は、必ずプライバシー設定を確認し、必要であればBusinessプランの契約を検討してください。
こちらはCursorのセキュリティ体制とデータ保護方針について解説した公式ページです。 合わせてご覧ください。 https://cursor.com/security
GitHub Copilotとの違いは?
GitHub Copilotも素晴らしいツールですが、Cursor 2.0との最大の違いは「エディタとの統合度」にあります。
Copilotはあくまでエディタの「拡張機能」として動作しますが、Cursorは「エディタそのもの」がAIネイティブに作られています。そのため、Composerのように複数ファイルを直接操作したり、ターミナルのエラーログをワンクリックで修正したりといった、エディタの深い部分に関わる操作が可能です。
より深く、広範囲にAIにコードを書かせたい場合は、Cursor 2.0に軍配が上がります。一方で、GitHubのエコシステムとの連携を最優先する場合はCopilotも有力な選択肢です。最近では両者を併用するエンジニアも増えています。
比較対象であるCopilot(コパイロット)の業務効率化における活用事例については、こちらの記事で解説しています。 合わせてご覧ください。
【警告】AIエディタ依存が招く「コード品質の低下」と、生き残るエンジニアの条件
「Cursorを使えば、誰でも簡単にコードが書ける」——。もしそう安心しているなら、それは少し危険な兆候かもしれません。シリコンバレーのデータ分析企業GitClearが発表した衝撃的なレポートによると、AIコーディングアシスタントの普及に伴い、コードの品質や保守性に懸念すべき傾向が見え始めています。
AIにコードを書かせることで、開発スピードが上がることは間違いありません。しかし、同社の調査では、AIツールの利用拡大とともに「コードのチャーン(Churn)」、つまりコードの修正や破棄の頻度が増加していることが判明しました。さらに驚くべきことに、コードの「再利用」の割合が低下し、単に新しいコードを継ぎ足していくだけの傾向が強まっているのです。
これは、エンジニアが既存のコードベースを深く理解せずに、AIが生成したコードを安易にコピペして貼り付けている「継ぎ接ぎ開発」が横行している証拠とも言えます。この状態が続くと、次のようなリスクが発生します。
- 技術的負債の急増: 全体最適を無視した継ぎ足しコードにより、システムが複雑化し、将来的な修正が困難になる。
- バグの温床化: ロジックを完全に理解していないコードが含まれることで、予期せぬエラーへの対処ができなくなる。
- エンジニアの成長阻害: 「なぜ動くのか」を考えずに実装するため、設計能力やトラブルシューティング力が養われない。
便利なツールに頼り切ることで、結果としてプロダクトの寿命を縮め、あなた自身のエンジニアとしての価値を下げてしまう可能性があるのです。
引用元:
GitClearの研究チームは、1億5000万行以上のコード変更を分析し、AIコーディングツールの影響を調査しました。その結果、AIアシスタントの普及以降、コードのチャーンが増加し、コードの再利用率が低下していることが示されました。(GitClear, “Coding on Copilot: 2024 Data Suggests Downward Pressure on Code Quality”, 2024年)
【実践】AIに使われず、AIを「部下」として使いこなす一流の思考法
では、優秀なエンジニアはCursorのようなツールをどう扱っているのでしょうか。彼らはAIを「コードを書く主体」ではなく、「高速なタイピスト」兼「知見のあるジュニアエンジニア」として扱っています。ここでは、コード品質を落とさずに生産性を高めるための2つのアプローチを紹介します。
アプローチ①:AIコードは「ドラフト(下書き)」と割り切る
プロの作家が初稿をそのまま出版しないように、AIが生成したコードをそのままコミットしてはいけません。Cursorが生成したコードはあくまで「提案」であり、採用するかどうかの決定権と責任は人間が持ちます。「このコードはプロジェクトの設計思想に合致しているか?」「もっと簡潔に書ける方法はないか?」と常に疑いの目を持ち、必ず人間の手でリファクタリングを行うプロセスを組み込みましょう。
アプローチ②:生成前に「設計図」を言語化する
CursorのComposer機能を使う際、いきなり「〇〇機能を作って」と投げるのはNGです。一流のエンジニアは、まず自分の中でクラス設計やデータ構造、処理の流れを明確にし、それを詳細なプロンプトとしてAIに伝えます。AIに思考を丸投げするのではなく、自分の思考を具現化するための手段としてAIを使うのです。これにより、意図しないスパゲッティコードの生成を防ぐことができます。
まとめ
Cursor 2.0のような画期的なツールの登場により、開発現場のコーディング効率は劇的に向上しました。しかし、企業が抱える課題はエンジニアリング領域だけではありません。
「開発以外のバックオフィス業務が追いついていない」「全社的なAI活用が進まず、部門間で生産性の格差が生まれている」といった悩みを抱える企業も少なくありません。
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