総務部門への社内問い合わせを減らす方法とは 原因・解決策・企業事例を徹底解説

「会議室の予約ってどうやるんでしたっけ?」「名刺の発注はどこに頼めばいいですか?」「慶弔見舞金の申請方法を教えてください」

こういった問い合わせが毎日のように総務部門に届いているという企業は少なくありません。 しかも内容はバラバラで、備品・施設・契約・福利厚生・社内規程と、問い合わせのジャンルも幅広く存在します。

このような問い合わせが届く中で、総務担当者は、オフィス環境の整備・コスト管理・契約対応といった業務に集中したいのに、問い合わせ対応に時間を取られてしまうという形になっています。

本記事では、総務部門の社内問い合わせが抱える課題の本質を整理したうえで、具体的な解決策と実際の効率化事例を紹介します。

目次

総務の社内問い合わせ対応におけるよくある5つの課題

課題①:総務に同じような問合わせが何度も届く

名刺の発注方法、会議室の予約手順、備品の申請フロー、健康診断の受診案内。毎年・毎月、同じ質問が届きます。

問い合わせ1件の対応に10分かかるとして、月100件であれば月間16時間が消える計算です。対応しているほうは「これ、前にも説明したな」と感じながらも、答えないわけにもいかない。この消耗感が積み重なっていきます。

課題②:「とりあえず総務に聞く」文化が定着している

経理は「お金」、人事は「人」と担当領域が明確な部門と違い、総務は備品・施設・契約・規程・福利厚生・セキュリティ・慶弔・社用車・健康診断と、守備範囲が際限なく広がります。

その結果、「他に聞くところが分からないから総務に聞く」という問い合わせが日常的に発生します。社員から見れば総務は「なんでも答えてくれる窓口」のイメージが定着しており、自分で調べようとする前に問い合わせるのが当たり前になっています。

この文化が根付いてしまうと、FAQ整備やマニュアル更新だけでは問い合わせは減りません。

課題③:問い合わせ対応で総務の本来業務が後回しになる

オフィスの移転・リニューアル計画、コスト削減施策の立案、BCPの整備、契約管理の高度化。これらは総務部門にしかできない、経営に直結する業務です。

しかしそれらが後回しになり、「〇〇の備品はどこにありますか?」という問い合わせへの回答に時間を使っている状況では、総務部門の本来の価値に集中することができません。

課題④:ナレッジが属人化し蓄積されない

「この類と問い合わせの対応方法はAさんしか知らない」「この申請は例外扱いになっているが、経緯を知っているのはBさんだけ」といった形で、総務部門のナレッジは属人化しやすい傾向があります。

守備範囲が広いぶん、個人が抱える暗黙知の量も多く、担当変更・退職時の引き継ぎコストが他部門より高くなる傾向にあります。

課題⑤:社内規程・マニュアルが読みづらく、結局総務へ問い合わせが集中する

備品申請・名刺発注・会議室利用のルールは、社内ポータルやマニュアルに書いてあります。

しかし「マニュアルがどこにあるか分からない」「ルールが複数のページに分散していて把握しきれない」といった課題から「直接聞いた方が早い」という結論に至り、担当者への問い合わせが発生してしまいます。

網羅的なマニュアルがあれば解決するわけではなく、問い合わせを行う社員は「自分の疑問点に対してピンポイントかつ高速で回答が与えられること」を求めているため、現状とのミスマッチが生じています。

総務の問い合わせ対応における理想状態とは

前のセクションで整理したとおり、総務への問い合わせが減らない原因はフローの構造にあります。

どのような状態になれば理想的と言えるのかを整理します。

①従業員が総務に問い合わせず自己解決できる環境

「どこに書いてあるか分からないから総務に聞く」という行動が最短経路になっている場合、「調べればわかる」状態を作ることが必要です。

具体的には、社内のチャットボットに「名刺 発注」と入力すれば発注フォームのリンクと手順が30秒で返ってくる、あるいは「会議室 予約」と入力すれば予約方法と注意事項が即座に出てくる。こうした環境があれば、わざわざ総務に問い合わせる必要がなくなります。

「とりあえず総務に聞く」文化は、情報へのアクセス経路が整備されれば自然と変わっていきます。

②「どこに聞けばいいか」が明確になっている

現状、問い合わせ窓口が手続きごとに分散しており(備品はフォーム、名刺はメール、社用車は紙の申請書等)、「そもそもどこに聞けばいいか」自体が分からない状態になっています。

理想的な状態は、社員が迷わず「まず総務の窓口(チャットボットやフォーム)に質問する」という一つのフローで完結できることです。

入口が統一されることで、社員の自己解決率が上がるだけでなく、総務側も問い合わせ全体を一元的に把握できるようになります。

③問い合わせ内容・件数が定量的に把握できている

目の前の問い合わせ対応に精一杯であるため、現状「何の問い合わせが多いか」を定量的に把握できている担当者の方は少ないのではないでしょうか。感覚的に「会議室の質問が多い気がする」とは思っていても、正確なデータがないため対策を講じることができません。

理想的な状態は、問い合わせの内容・件数がデータとして蓄積されていることです。「先月は備品関連が40件、会議室関連が30件」といったデータが見えれば、「備品申請フォームをもっと見つけやすくしよう」「会議室ルールのFAQを充実させよう」という改善の優先順位が立てやすくなります。問い合わせを減らすだけでなく、社内オペレーション全体の改善インプットとしても活用できます。

総務への社内問い合わせを減らす3つの解決策

解決策①:総務向けの社内FAQチャットボットを構築する

よくある質問をチャットボットに学習させ、社内チャットツールから即時回答できる環境を作ります。

社内FAQチャットボットのメリット:

  • 24時間・即時回答(担当者不在・昼休みでも対応可能)
  • ジャンルを問わず横断的に回答できる(総務の「広さ」にフィット)
  • 問い合わせ件数・カテゴリがデータ化され、改善優先度が見える
  • 「それは情シスの担当です」「人事に確認してください」と他部門への振り分けも設定できる
  • 入社・異動シーズンの集中問い合わせでも負荷が増えない

問い合わせのジャンルが広い・担当者数が少ない・繁忙期に集中する。こうした条件に当てはまる総務部門には特に有効です。

解決策②:総務FAQページ・社内Wikiを整備する

備品・名刺・会議室・福利厚生・慶弔などのテーマ別に、情報をまとめた専用ページを社内ポータルに整備します。

現時点でマニュアルを整備している場合は、発生する問い合わせや課題別にマニュアルの内容を細分化して掲載することも有効です。

ただし「探す手間」は依然として残るため、社員の自己解決率はチャットボットより低くなります。

解決策③:総務への問い合わせフォームを一本化する

メール・Slack・口頭・電話など、バラバラな問い合わせ経路をフォームに集約します。

「どこに連絡すればいいか分からない」という問い合わせ自体をなくせる点が、窓口が分散しがちな総務では特に有効です。対応履歴が蓄積されるため、ナレッジの属人化解消にも寄与します。ただし、問い合わせの数自体は減るわけではないため、対応効率化のための施策として位置付けるのが正確です。

結論として、先述の課題の解決と業務負荷の削減を最も実現することができるのは、社内FAQチャットボットです。 他の解決策も組み合わせることでより効果が高まりますが、まず取り組むべきはチャットボットの活用です。

問い合わせ対応を効率化した社内FAQチャットボット導入事例

ここからは、社内FAQチャットボットを導入し、自社の問い合わせ業務を効率化した企業事例を紹介します。

Taskhubで実施した独自取材に基づく情報のため、ぜひご覧ください。

事例①:オフィス業務社員のほぼ全員が活用する社内AIを内製開発【AGC株式会社】

AGC株式会社では、RAGを活用した社内向け対話型AI「ChatAGC」を内製開発し、全社展開しました。社内規程・申請ルール・業務マニュアルをナレッジとして連携させ、「この申請はどこに出せばいいか」「この手続きに何の書類が必要か」といった問い合わせをチャットで即座に自己解決できる環境を構築。1,600名以上がTeamsコミュニティに登録し、オフィス業務を行う社員のほぼ全員が利用経験を持つまでに定着しています。

情報システム部門 クラウドソリューショングループの瀧田美喜子さんはこう述べています。

「このユースケースでこれほど削減効果があるのか」と驚かされる結果が出ています

社内規程や申請ルールは総務が管理する情報の中心です。それをナレッジ化してチャットで自己解決できる環境に変えることで、担当者への問い合わせが劇的に減ることを示した事例です。

詳しくはこちらをご覧ください

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事例②:社内規程・ルール問い合わせをRAGで自己解決化【丸紅株式会社】

丸紅株式会社では、RAGを活用した社内向け生成AIチャットサービスを自社開発し、グループ全体に展開しました。「この申請はどの規程が適用されますか?」「この手続きに必要な書類は何ですか?」といった、これまで担当部門に聞かないと答えが出なかった質問を、チャットで即座に解決できる環境を構築しています。

2024年9月時点でグループ全体で約9,200名が利用し、アクティブ利用率は60%超を達成。「どこに書いてあるか分からないから聞く」という問い合わせを、ナレッジベースと連動したチャットで自己解決に変えた事例です。

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総務での社内問い合わせチャットボット導入でよくある質問

チャットボット導入を社内で提案すると、以下のような質問が出ることがあります。

あらかじめ回答を準備しておきましょう。

Q1. 「導入コストが高いのでは?」

A. 社内問い合わせ用のチャットボットは、概ね月額数万円〜が相場です。総務担当者が問い合わせ対応に費やしている時間を人件費換算し、社内チャットボットの費用と比較をすることで、どちらの方がコスト削減につながるのかを可視化し、定量的につたえることが必要です。

Q2. 「誰がFAQを登録・更新するのか。総務は人手が少ない」

A. 専任担当者はほぼ不要です。ノーコードの管理画面で更新できるツールが多く、月1回程度の棚卸しで十分なケースがほとんどです。初期FAQは過去の問い合わせメール・Slackのログから抽出できるため、0から作る必要もありません。

ただし、月1回ペースでの情報更新は必須です。社内ルールが変わったのに情報が古いままだと、チャットボットが使われなくなり元の状態に戻ってしまいます。更新・点検の運用フローはあらかじめ整えておくようにしましょう。

Q3. 「社内情報を外部クラウドに載せてセキュリティは大丈夫か?」

A. 前提として、法人向けのチャットボットとして提供されているツールの多くは、入力情報を学習しない設計となっています。また、提供形式としてもクラウド型・オンプレ型・社内設置型など選択肢があります。

運用面では、総務のFAQに載せる情報は原則「社内ルール・手続き方法・申請フォームのリンク」に限定し、個人情報や機密情報は載せない運用が一般的です。まずは「何の情報をFAQ化するか」の線引きを情シスと整理したうえで、要件に合ったツールを選定することが重要です。

Q4. 「チャットボットが答えられない質問はどうなるのか?」

A. 「担当者にエスカレーション」フローをあらかじめ設定することで、例外的な問い合わせだけを人が対応できます。総務の場合、「それは情シスの担当です」「それは人事に確認してください」と他部門へ振り分ける機能も設定できるため、窓口一本化と他部門への誘導を同時に実現できます。

まとめ

総務部門の社内問い合わせが減らない根本原因は、「とりあえず総務に聞く」という文化と情報の散在が組み合わさった業務構造の問題です。個人の努力や資料整備だけでは解決しません。

解決するためには、従業員が自己解決できる環境を作ることが重要です。そのための最も効果的な手段が、社内FAQチャットボットの導入です。

まずは総務への問い合わせのなかで頻度の高いものをTOP20〜30件ピックアップし、何をチャットボット化していくのか検討するところから始めてみましょう。

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