バリューコマース株式会社が提供する「リワードDSP」は、会員組織を持つメディアや企業が、独自のエコシステムとしてポイントサイトを簡単に構築できる画期的なソリューションです。リリース直後から反響を呼び、すでに十数社から導入の内諾を獲得。
「リワードDSP」の最大の強みは、AIの予測モデルを用いてユーザー属性ごとに最も収益性の高い広告をパーソナライズ配信できる点にあります。さらに、外部の広告収益を自社ポイントの原資に充てることで、企業の持ち出しなしで顧客還元と自社売上の向上を両立させるスキームを実現しました。
本記事では、リワードDSPと、バリューコマースの事業ブランド「DYNATECH」がリリースしたAI活用ソリューション「予約管理DX」について、開発の背景にあった課題意識、従来の仕組みとの決定的な違い、そして導入企業への支援体制や今後の展望について、同社の山上さん、川村さん、荒木さん、青柳さんに伺いました。

小売業の広告収益化を支える「リワードDSP」開発の背景
Q. まずは、読者の方に向けて貴社の事業内容について教えていただけますでしょうか。
山上さん: 弊社は、大きく2つの柱で事業を展開しております。1つ目はマーケティングソリューションズ事業で、アフィリエイトやインフルエンサーマーケティングのサービスを提供しています。もう1つの大きな柱がトラベルテック事業です。こちらは子会社であったダイナテックを2025年4月に吸収合併し、ホテル管理システム『DYNA PMS(ダイナ ピーエムエス)』や、宿泊予約システムの『DYNA IBE(ダイナ アイビーイー)』を提供しております。現在は、この2つの柱を中心に事業を進めています。
Q. 今回リリースされた「リワードDSP」の概要と、開発に至った背景を教えてください。
川村さん: 弊社は長年アフィリエイト広告事業を展開しており、その中でもインセンティブを付与するポイントサイトの仕組みは非常に高い成果を上げてきました。しかし、この仕組みを自社で構築するには多大な開発工数がかかります。そこで、会員組織をお持ちの企業様が、これまで広告メディアでなかったとしても、簡単にエンドユーザーへインセンティブを提供できる枠組みを弊社がシステムとして開発しました。
開発の大きなきっかけは、ここ2年ほどバズワードになっている「リテールメディア」の課題に直面したことです。小売業者様が広告で新たな収益を上げようというトレンドがあり、弊社も参入したのですが、なかなかうまくいきませんでした。その最大の理由は、小売業者様の第一の目的は「本業の小売事業で売上を上げる」ことであり、広告収益は二の次になってしまうためです。
そこで、単純に広告を掲載するのではなく、利用ユーザーに対してインセンティブを配る仕組みを取り入れました。外部の広告経由で得た収益をポイントとしてユーザーに還元することで、小売の売上向上と広告収益の増加という両輪を回すことができます。ここが、旧来のメディアの仕組みとは大きく異なる点です。
AI予測モデルが実現する「今最も購買される広告」のパーソナライズ配信
Q. リワードDSPでは、実績データをAIなどで分析して広告配信を最適化していると伺っています。具体的にどのような仕組みで設計されているのでしょうか。
川村さん: 旧来のポイントサイトでは、広告をパーソナライズすることはなく、売上の高い定番の広告から順番に掲載するのが一般的でした。一方、我々のシステムでは、過去の実績や広告のクリック率、コンバージョン率などのデータを蓄積・解析しています。その上で、どの媒体から来たどのようなユーザー属性に対して、どの広告が一番収益性が高いのかを予測モデルで算出し、媒体ごとに掲載内容を変えています。
従来の仕組みとリワードDSPの違いをまとめると以下のようになります。
| 比較項目 | 旧来のポイントサイト | リワードDSP |
| 広告の表示順 | 売上や報酬の高い順に一律で掲載 | 蓄積データをAIで解析し、媒体・ユーザーごとに最適化 |
| 広告の選定基準 | 単純な実績や過去の閲覧履歴 | 予測モデルによる「今最も購買される広告」の選定 |
| 導入にかかる工数 | 自社でゼロからシステム構築が必要 | パッケージ化された仕組みを利用し、簡単に枠組みを構築 |
| ポイントの原資 | 自社の販促費などからの持ち出し | 外部の広告収益を自社ポイントの原資として活用 |
単純にアフィリエイト報酬が高い順に並べるのではなく、AIの予測モデルを使って最も収益性が高いであろう広告を導き出している状態です。
Q. ユーザーの閲覧履歴などをトラッキングして配信する、いわゆるリターゲティング広告とは違うのでしょうか。
川村さん: 一般的なリターゲティング広告やダイナミック広告は、その人が過去に閲覧したデータを優先して出すケースが多いと思います。しかし我々の仕組みは、必ずしも過去の閲覧データに依存するわけではありません。蓄積されたデータをもとに、「今この瞬間に最も購買されるであろう広告」を予測モデルによって算出し、提示していく点が大きな差別化要因となっています。
開発工数とポイント原資の課題を解決し、十数社が導入を決定
Q. 企業様からはどのような反響がありましたか。実際に評価されているポイントを教えてください。
川村さん: 現在お声がけいただいているのは、小売業(リテール)のお客様が多いです。小売業でも独自のポイント施策を実施されていますが、自社の原資だけでポイントをばらまくのは限界があります。我々の仕組みを導入すれば、外部の資金をポイント原資として活用できます。さらに、貯まったポイントは自社での買い物に使われるため、再訪問と売上向上を狙える点が非常に高く評価されています。また、物販などの広告主を持たないメディア様からも、「自社のラインナップにこうした広告を追加したい」というお声をいただいております。
荒木さん: もともと弊社では、会員組織を持つ企業様に対してポイントサイトを自社で運用していただくための営業を行っていました。しかし、自社でゼロからシステムを開発するのは難しいというお声を多くいただいていたのです。今回、ソリューションとしてパッケージ化したことで、「これなら導入できそうだ」とご納得いただけるようになりました。
スキーム自体への評価も高く、外部の広告収益でポイント原資を賄い、それが自社サービスの利用に還元されるというサイクルに魅力を感じていただき、すでに十数社から内諾をいただいている状況です。近々、リテール企業様などでの導入リリースも出せる予定となっています。
会員組織を持つあらゆる業界へ。独自のポイント経済圏を広げる今後の展望
Q. 現在は小売業界が中心とのことですが、今後の展開やターゲットとなる業界についてはどのようにお考えでしょうか。
川村さん: 最初は小売業界から進めていますが、ターゲットは「会員組織を持ち、何らかのロイヤルティマーケティングを行っているすべての業態」になります。例えば、弊社のもう一つの事業の柱であるトラベルテック領域のお客様、つまり宿泊施設様向けのポイントサービスとしても展開可能ですし、フィットネス業界なども考えられます。
もともとポイントサイトの歴史は長く、航空会社のマイレージやクレジットカードのポイントモールなども、本業のサービス以外で顧客との接点を持つためにアフィリエイト広告を活用してきました。あらゆる会員組織が独自の経済圏を作れるようになるという仮説のもと、今後も順次、戦略的に業界を広げていきたいと考えています。
まずは現在内諾をいただいているお客様でのローンチを進め、導入後の実際の声を聞きながら、必要最低限の機能からさらにブラッシュアップしていく予定です。「誰でも簡単にポイントの経済圏を作れる」という価値を、幅広い業界へ提供していきたいと思います。
宿泊施設の予約データをAIで補正。1日分の工数を削減する「予約管理DX」
Q. トラベルテック事業のほうでも、AIを活用した新たなプロダクトをリリースされたと伺っています。こちらの概要についても簡単に教えていただけますか。
青柳さん: はい。2月にプレスリリースを出させていただいた「予約管理DX」という機能になります。これはホテル管理システム(PMS)において、宿泊予約情報のばらつきを、AIを活用して自動補正・最適化する機能です。
宿泊施設様には、様々なオンライン旅行代理店(OTA)からの予約情報が入ってきますが、宿泊者名や電話番号などの予約情報の表記ルールはOTAによって異なります。そのため、以前来られたリピーターの方なのか、あるいは違うサイトから複数日程で予約されている同じ方なのかなど、予約情報を精査する作業を、これまでは施設側のスタッフが人力で行っていました。
この予約情報の揺れをAIを使って自動で補正し、さらに備考欄に記載される宿泊者リクエストを自動で整理し、予約情報として使いやすい形に補正する仕組みを実現したのが本機能です。これにより、過去のデータや宿泊者リクエストをもとに最適なサービスを提供する基盤が整います。開発時に行った実証実験ではこのデータ補正業務において1日あたり約1人日(8.3時間)の工数削減という結果が出ています。施設様からも非常に大きな反響をいただいており、宿泊業界の業務の省力化やDX推進に貢献できるサービスだと考えております。