非エンジニアにはシステムの開発など到底無理だ、あるいはAI人材を採用しても現場でうまく機能しない―そんな悩みを抱えていませんか?
合同会社 SKONEの大谷さんは、全編英語のノーコードツールにChatGPTを掛け合わせることで、プログラミング初心者の状態からマッチングサービスをわずか3週間で単独開発しました。さらに、立ち上げたAI人材特化のプラットフォームでは、広告費ゼロで事前登録者約80名を集め、リリース直後から5件の面談を創出しています。
しかし、その道のりは順風満帆ではありませんでした。開発ツールの言語の壁に加え、サービス展開においても「知識ゼロの事業会社にAI人材を1人送り込んでも全く機能しない」という現実に直面し、営業方針の抜本的な転換を迫られました。
開発の壁をどう乗り越え、ビジネスモデルをどう軌道修正したのか。一人でAI活用を推進し、新規事業を軌道に乗せる同社代表の大谷さんに、ツールの活用手法から事業浸透の細部までを聞きました。

- 1 独立と事業の失敗を経て、アイデア出しの壁打ち相手としてAIに出会う
- 2 全編英語のノーコードツールの壁をChatGPTへのスクリーンショット送信で突破し3週間で開発
- 3 使うツールは断然ChatGPT派。毎日の集客アイデア出しと将来の業務自動化の展望
- 4 2030年に12.4万人が不足する予測。学ぶだけでなくAIでお金を稼ぐ場所を作る
- 5 登録者の7割は非エンジニア。コードが書けなくてもプロンプト設計ができる人材の需要
- 6 知識ゼロの事業会社にAI人材を一人入れても機能しないと気づきターゲットを転換
- 7 成果報酬ゼロの月額定額制と、数千人規模のコミュニティにいる熱量の高い人材が強み
- 8 リリース直後から面談5件が進行。AI人材をインフラ化し日本の人口減少課題を解決
独立と事業の失敗を経て、アイデア出しの壁打ち相手としてAIに出会う
Q. まずはこれまでのご経歴と、AIを導入し始めた背景について教えてください。
A. 前職の化粧品会社でアイデアの壁打ち相手として活用
大谷さん: 私はもともと新卒でバッグメーカーの法人営業からキャリアをスタートしました。そこから3年後に一度独立し、小柄な男性向けのアパレルブランドを立ち上げました。その事業を3年ほど運営した後に個人の方へ売却し、次は化粧品の製造系の会社で働くことになりました。その後、今の合同会社 SKONEを立ち上げました。実はいろいろな事業をやっては失敗を繰り返しており、その結果として現在の「SpotAI」というサービスにたどり着いています。
AIを初めて業務で使ったのは、前の化粧品系の会社にいた時です。事業のアイデアを作るためのベースとして使ったのが最初でした。AIにはいろいろな使い方があると感じており、現在でも事業案のアイデア出しの壁打ち相手として使うことが最も多いです。事業案だけでなく、その事業に対する市場規模や戦略もすぐに出してくれるため、それをもとに人間が修正をしていくというやり方で初期から活用しています。
全編英語のノーコードツールの壁をChatGPTへのスクリーンショット送信で突破し3週間で開発
Q. 実際にサービスを開発する中で、AIはどのような場面で最も活躍したのでしょうか。
A. 英語のノーコードツールの画面をスクショしてAIに質問
大谷さん: 一番AIが活躍してくれたのは、今回のサービスを作るために使用した「Bubble」というノーコードツールでの開発時です。このツールは非常に拡張性が高く、今回のマッチングサービスや簡単なタスク管理ツールまで作ることができます。しかし、まだ日本語に対応しておらず、すべて英語でした。専門的な知識がないとマスターするのが非常に難しいという高い壁がありました。
そこで活用したのがChatGPTです。ChatGPT自体がアメリカのサービスということもあり、Bubbleの仕組みや中身をすべて読み取って理解しています。そのため、Bubbleの開発画面をスクリーンショットで撮影してChatGPTに送り、「今ここをどうすればいいか」と質問すると、すべて具体的な回答をすぐに返してくれました。
この方法をとることで、初心者の私でも、最初に作ったタスク管理ツールを一人でわずか3週間ほどで完成させることができました。現在のSpotAIのサービス自体も同じく3週間ほどで出来上がっています。ノーコードツールにAIを掛け合わせることで、開発のスピードが劇的に上がったことは間違いありません。AIがなければ、ここまでのスピードでの開発は不可能でした。
使うツールは断然ChatGPT派。毎日の集客アイデア出しと将来の業務自動化の展望
Q. 複数のAIツールがある中で、どのように使い分けをされていますか。
A. 調べ物以外は回答が早いChatGPTを毎日メインで使用
大谷さん: 調べ物をするときにはGeminiを使うこともありますが、私はあまりツールを使い分けをしたくないタイプなので、断然ChatGPT派です。回答も早いため、ほぼChatGPT一択という状態で使っています。Claudeなどの他のツールについても勉強しないといけないと思いつつも、まだそこまで追いついていないのが現状です。
現在のメインの使い方としては、2026年4月1日にサービスをスタートしたばかりなので、マッチングサービスに不可欠なユーザーと企業の獲得施策を考えることです。どうやって集客していくかというアイデア出しのために、ほぼ毎日ChatGPTと壁打ちをしています。そこから出てきたアイデアの中で良いと思ったものを実際の施策として採用しています。
今は私一人で運営していますが、私自身も業務委託で別のスタートアップ企業で働いており、そこでも「いかにAIを使って工数を削減するか」ということに重点を置いて動いています。今後、自社の人数が増えれば増えるほど、必ず自動化できる部分は自動化していかなければならないと考えています。
2030年に12.4万人が不足する予測。学ぶだけでなくAIでお金を稼ぐ場所を作る
Q. ご自身でAIを活用される中で、なぜ「AI副業人材のマッチングサービス」を立ち上げようと考えたのでしょうか。
A. 慢性的なAI人材不足と働く場がない現状を解決するため
大谷さん: 社会課題として、生成AI関連の求人が現在かなり伸びている一方で、2030年の予測ではAI人材が約12.4万人不足するというデータがあります。多くの企業がAI事業を新しく進めたいと考えていますが、特に社員数50名以下の企業となると、優秀な人材のほとんどは大手企業に取られてしまい、人材確保が非常に大きな課題となっています。そういった企業に対して、AIの副業人材を業務委託として紹介するというのが背景の一つです。
もう一つの理由は、働く側の課題です。現在、AIを学ぶためのスクールは増えていますが、AIに特化して学んだスキルを活かして実際にお金にする、働くという場所がまだ少ないと感じています。生成AIを使うことで実際に何ができるのかを発揮できる場所づくりをしたいという思いから、この「SpotAI」というサービスを立ち上げました。
登録者の7割は非エンジニア。コードが書けなくてもプロンプト設計ができる人材の需要
Q. 実際に登録されているAI人材とは、どのようなスキルを持った方々なのか教えてください。
A. 開発よりライティングやプロンプト設計ができる人材が多数
大谷さん: 「AI人材」というカテゴリー自体、実はまだ世の中で明確に定まりきっていないと感じています。私としては大きく2パターンの人材がいると考えています。一つは、実際のAI活用の支援ができるレベルの方、例えばAIを使ったライティングやプロンプトの設計ができる方です。つまり、エンジニアではなくコード自体は書けない方々です。事前登録者数が約80名いる中で、そのうちの6〜7割がこうした非エンジニアの人材です。彼らは自分のスキルを活かせる仕事を熱心に探しています。
もう一つは、実際にシステムの開発までできるレベルの方で、こちらは全体の3割程度です。現在の求人側のニーズを見ると、この非エンジニア層と開発層への需要は正直なところ半々くらいです。エントリー自体は進んでいますが、プラットフォームとしては開発ができる人材ももう少し囲い込まないといけないと同時に感じています。
知識ゼロの事業会社にAI人材を一人入れても機能しないと気づきターゲットを転換
Q. 当初は自社でDX化を進めたい一般の事業会社にも営業されていたそうですが、どんな課題がありましたか。
A. 周りが無知な環境ではAI人材が孤立し機能せず方針転換
大谷さん: いろいろな企業にインタビューをする中で大きな壁にぶつかりました。ある事業会社から「社内にAI人材が誰一人いないから、試しに入れて業務改善をしてほしい」という問い合わせがありました。しかし、実際にAIの導入支援をされている会社の方々に意見を聞くと、全くAIの知識がない環境に一人だけAI人材がポンと入っても、どうにかなるものではないという現実がありました。周りが理解していない状態では、まだ少し時期尚早で、非常に難しいのです。
当初は一般の事業会社向けにも直接営業をしていましたが、このことに気づき、まだ早いと判断しました。そこからターゲットを切り替え、現在は企業に対して「AI導入支援を行っている会社」や「DX関連の支援を行っている会社」にアプローチしています。支援会社自体が事業を拡大する中で人材不足に悩んでおり、「AI人材を業務委託で活用するのは面白い」と導入していただくケースが多くなっています。一般企業への直接導入は、世の中全体のAIリテラシーが上がり、使える方がもっと増えてくるタイミングを待って市場を拡大していきたいと考えています。
成果報酬ゼロの月額定額制と、数千人規模のコミュニティにいる熱量の高い人材が強み
Q. 他社のマッチングサービスと比べて、どのような点が強みとして評価されているのでしょうか。
A. 安心感のある料金体系とAIへの熱量が高い人材の確保
大谷さん: 一つ目の強みは料金体系です。現在、成果報酬は一切取っておらず、月額のみで利用し放題という体制をとっています。まだユーザー数が少ない段階から始めているということもありますが、企業側からのニーズを聞くと、この料金体系の安心感は導入の大きな決め手になっています。「まずは1回試してみよう」という形で導入していただく企業が非常に多いです。
二つ目の強みは、登録している人材の熱量の高さです。現在、広告費はほとんどゼロで人材が集まっている状態です。働く側の方々は、普段からAIに触ることが趣味になっていて、本当にAIが好きな人が多いのです。最近ではLINEのオープンチャットでも、数千人レベルが参加しているAIのコミュニティが存在するほどです。そうした場所にはAIが好きな方がたくさんいらっしゃいますが、自分のAIスキルを活かせる案件や、AIに特化した求人がなかなか見つからないという現状があります。そのため、AI人材側からも非常に多く登録をいただいており、お互いのニーズがうまく合致しています。
リリース直後から面談5件が進行。AI人材をインフラ化し日本の人口減少課題を解決
Q. 最後に、このサービスを通じて今後どのような展望を描かれていますか。
大谷さん: 4月1日にサービスをスタートしたばかりですが、すでにエントリーや面談が進んでおり、現在5件ほどの面談が決まって進行している状況です。1ヶ月ほど使っていただいた後に企業へのインタビューを行い、フィードバックを得ていきたいと考えています。
今後の展望として、このサービスを通じて「AI人材のインフラ」を作りたいと強く思っています。現在、IT人材やエンジニアという職種は定着していますが、コードが書けない非エンジニアでも入れる「AI人材」という新しいカテゴリーは、まだ世の中で固まりきっていません。ここに特化したサービスとして、AI人材をいかに早く囲い込み、インフラ化させるかが重要です。
日本全体で人口減少が叫ばれる中で、AI人材を活用して業務効率化を進めることは、社会全体のコスト削減に大きく貢献できると信じています。まずは人材不足に悩むAI・DX導入支援会社への提供をメインにしつつ、長期的には、チームとしてAI人材を一般事業会社へ派遣し、直接導入を支援するといった展開も実現していきたいと考えています。
■ SpotAIのサービス概要
内容:AI副業・業務委託人材向けマッチングプラットフォーム
副業AI人材ユーザー様登録ページ(無料):https://spotai.jp/mobile-lp
企業様向けページ:https://spotai.jp/company-lp