ゲスト
世界に先駆けてAIとクリエイティブを融合!
NFFT ファウンダー 木之村さん
日本でファッションデザイナーを経験した後、アメリカのニューヨークへ移住し、コマーシャル映像プロダクションSTUDIO D.O.G INCを起業。グローバル企業の広告制作をアメリカをベースに展開し、世界のトップクリエーター達と感度の高い広告ビジュアルを制作する。2021年頃からすべての映像やデジタルが変わる時代の転換点をいち早く察知し、従来のフィルムプロダクションからデジタル領域へと180度方針を転換。世界に先駆けてAI、デジタル、ファッションを融合させるプロジェクト「NFFT」を立ち上げ、現在はグローバルなAIクリエイターのキャスティングや映像制作を牽引している。

MIOMIO (AI Virtual Creator)
Produced by Miho Kinomura
この事例のポイント
- クライアント案件におけるAIツール使用制限の壁を乗り越える方法:Midjourneyや、Runway等さまざまなAI Tool を試しながら、専門知識を持つプロをキャスティングした
- 日本人クリエイターが直面する英語力の壁を突破する方法:海外のAIフィルムフェスティバルに作品をエントリーし、Instagramのポートフォリオ経由で海外から直接仕事を受注する仕組みを作った
- AIを使い、新たなクリエイティブの価値を生み出す方法:AI x Fashionデザインをし、それをベースに実際の商品(洋服や小物、アクセサリーなどの一点もの)を制作し、展覧会で発表した
2023年(株)パルコ『Happy Holidays』クリスマスキャンペーン 日本初のAI広告をディレクション
Q. 2023年初頭というAI黎明期において、パルコの宣伝部とどのようにAI広告を作り上げたのでしょうか。
A. AI黎明期という前例のない中、LAのAIクリエイターとチームを組成。日米間での綿密な連携と度重なる修正を経て、6ヶ月間の制作期間で完成・納品
木之村さん: 2023年の春頃、先方から「まだ誰も見たことがないような、新しい広告ビジュアルを提案してほしい」とご相談を受けたのが始まりです。そこで、当時はまだ誰も考えていなかった『全編AIを使った広告キャンペーン』をご提案し、未知のチャレンジに踏み出すことが決まりました。
制作にあたってはLAのAIクリエイターとチームを組み、日米間で綿密に連携をとりながら、度重なる修正を行いました。その結果、2023年の時点で圧倒的なクオリティを誇る全編AI広告を完成させることができました。
3年経った2026年の今でも、本件に関する多くの取材や登壇のご依頼をいただき続けていることが、私たちにとって最大の成果です。
ツール制約や低価格の誤解がある中、AIの活用フローやキャスティングをどのように整備したのか
Q. 日米の技術差を知る立場として、現在のクライアント広告制作において直面している具体的な課題と、その解決フローを教えてください。
A. 企業側のツール制約下で、MidjourneyやRunway、その他AIツールを使い専門知識を持つプロをキャスティングする体制を構築
木之村さん: 日本の仕事を受ける際、「AIを使えば、通常の広告制作より安くできますよね」と言われることが多いのですが、それは大きな誤解です。「AIを使えば誰でもそれっぽいものが作れる」と思われがちですが、実際には、ビューティーや化粧品に関する専門知識、さらには照明、カメラアングル、レンズといった撮影の知見と高度なプロンプト技術がなければ、ありきたりなものしか生まれません。
AIツール単体では表現に限界があるため、制限下でいかに他のツールを組み合わせてクオリティを引き上げるか、というワークフローの整備が求められます。私自身は現在、MidjourneyなどのAIツールを基本としつつ、RunwayとはスペシャルAIクリエイターとしてコラボレーションを行うなど、状況に応じた最適なツール活用と、適切なプロフェッショナルのキャスティングによってクリエイティブの質を担保しています。
また最近では、広告代理店や制作プロダクションのプロデューサー、PMスタッフの方々に向けて、定期的にAIセミナーを開催しています。最新の技術動向や、著作権を含む権利関係の注意点などをレクチャーし、制作チームが国内外の最新情報をキャッチアップできるよう、サポートさせていただく機会も多くなっています。
世界と日本のクリエイティブ市場の違いや、クリエイターが直面する壁をどのように突破したのか
Q. 日本と海外におけるクリエイティブ業界のAI活用の違いや、日本人クリエイターが直面する壁についてどのように推進し突破したのか教えてください。
A. 英語の壁に対し、海外のAIフィルムフェスに作品をエントリーし、Instagram経由で仕事を受注する仕組みを構築
木之村さん: 2023年や2024年の出始めの頃は、未経験の素人でもAIで作品を出せる時代でしたが、現在の世界のAIクリエイティブ市場は、元々フィルムディレクターやスティールカメラマン・映像カメラマン・照明や編集スタッフや音楽コンポーザーだった映像広告のプロフェッショナルが、AIを活用する時代へと完全に移行し、クオリティのレベルが桁違いに向上しています。少し前までAIに反対してストライキを起こしていたハリウッドも、今ではAIを活用する方向にシフトし、世界中で優れた技術者を探しています。
日本人クリエイターにも世界からキャスティングされるチャンスはありますが、決定的な壁となるのが「英語でのコミュニケーション」です。プロンプトは翻訳ツールで書けても、オンラインミーティングなどで英語ができなければ仕事になりません。
その壁を越えるための一番の近道は、世界中で増えているAIフィルムフェスティバルに作品をエントリーすることです。海外のキャスティングディレクターはそうした場から新しい人材を探しているため、応募することが直接オファーにつながります。しかし、日本のクリエイターは英語のコミュニティを苦手とする傾向があり、海外進出のハードルが高いと感じている方が多いのが現状です。
そこで、私が主催する「NFFT」では、毎回日本のクリエイターを数名キャスティングし、展覧会に参加してもらっています。彼らの作品がグローバルのトップクリエイターたちの作品と並ぶことで、海外のAI関係者やプロデューサーの目に留まりやすくなります。そこから参加者のInstagramのポートフォリオを見てもらい、直接仕事の依頼が届くような仕組みを構築しました。このような活動を通じて、日本のクリエイターがグローバルなチームに加わり、より大規模な仕事を獲得できるよう推進しています。
今後の展望:AIで完結する時代は古いから、日本の伝統工芸とAIを融合させた一点ものの制作に集中する
Q. 今後の展望として、NFFTや木之村様ご自身が目指す次なるクリエイティブの形や予定されているプロジェクトについて教えてください。
木之村さん: 私が感じている世界の最新トレンドは、もはや「すべてをAIで作る」ことではなく、極めてアナログで手作りの一点ものとAIを掛け合わせる表現へと移行しています。以前は、AIだけで完結させることが主流でしたが、今ではそれは古くなっています。
具体的に目指しているのは、日本人にしかできない伝統工芸の技術を持つ職人とのコラボレーションです。現在も新しい試みとして、AIでデザインした「金色の刺繍が入った足袋ブーツ」を、扇子や着物の刺繍などを手掛ける職人さんに実際に作っていただくプロジェクトを進行しています。
今年の秋に開催予定の次回のNFFTでは、こうした埋もれていく日本の伝統工芸や地方創生と、最新のAIファッションをミックスさせ、実際の服や靴の展示の横で映像を流すといった展覧会を予定しています。人間の頭だけでは考えられないデザインをリアルの世界で形にする取り組みに集中していきます。
また直近では、コマーシャルのプロの映像監督14人がAIを使って「東京」をテーマにそれぞれ5分間のショートフィルムを制作したオムニバス作品「Tokyo Stories」を発表します。6月のカンヌライオンズでのポップアップ上映や、6月4日に東京のユーロスペース等の映画館を貸し切っての上映イベントを予定しており、人間のプロフェッショナルがAIを活用した新しい映像体験の発信も続けていきます。
今後も最新の海外情報やクリエーターキャスティングをアップデートし、日本の起業の皆様とのお仕事も積極的にやっていきたいと思っています。企業向けの特別AI セミナーやAI の最新国際情報などイベント登壇などもアバターでお話しできますので、ぜひご連絡ください。
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