「ChatGPTで議事録を作成できるらしいけど、具体的にどうやるの?」
「実際に試してみたけど、長文の文字起こしを要約するだけになってしまい、使い物にならない…。」
こういった悩みを持っている方もいるのではないでしょうか?
本記事では、ChatGPTを使った議事録作成の具体的な手順、コピペで使える5つのプロンプト例、そして議事録作成をさらに効率化するAIツールについて解説しました。
上場企業をメインに生成AIコンサルティング事業を展開している弊社が、実際に業務で活用している実践的なノウハウのみをご紹介します。
きっと役に立つと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。
ChatGPTで議事録作成はどこまでできる?
ChatGPTは、会議の文字起こしテキストさえ用意すれば、議事録作成の大部分を自動化できます。
具体的には、以下のような作業が可能です。
- 会議内容の要約と整形
- 決定事項とToDo(タスク)の抽出
- 話し言葉(口語)の書き言葉(文語)への変換
- アジェンダごとの要点整理
これらの作業をChatGPTに任せることで、人間は最終確認と修正に集中できます。
それでは、1つずつ順に解説します。
会議内容の要約と整形
ChatGPTは、長文のテキストデータを読み込み、その内容を簡潔に要約する能力に優れています。
会議全体の流れを把握するための概要を作成したり、会議の各セクションごとに要点をまとめさせたりすることが可能です。
単に要約するだけでなく、「以下の形式で出力してください」と指示(プロンプト)を与えることで、議事録として読みやすいように体裁を整えて出力させることもできます。
これにより、会議に参加していない人でも、短時間で議論の全体像を把握できるようになります。
こちらは、大規模言語モデル(LLM)を用いたテキスト要約技術の動向を包括的に調査した学術論文です。合わせてご覧ください。 https://arxiv.org/pdf/2403.02901
決定事項とToDo(タスク)の抽出
議事録の最も重要な役割の一つが、「何が決まったのか(決定事項)」と「誰がいつまでに何をするのか(ToDo)」を明確にすることです。
ChatGPTは、会議の文脈を理解し、テキストの中からこれらの重要な情報をピンポイントで抽出する能力を持っています。
例えば、「会議での決定事項をリストアップしてください」や「担当者別のToDoを一覧にしてください」と指示するだけで、自動的に整理されたリストが生成されます。
これにより、会議後のタスク漏れや認識の齟齬を防ぐことができます。
こちらは、LLMを活用して会議の「要約、ハイライト、アクションアイテム(ToDo)」を抽出するシステムの設計と評価について論じた研究論文です。合わせてご覧ください。 https://www.researchgate.net/publication/372785084_Summaries_Highlights_and_Action_items_Design_implementation_and_evaluation_of_an_LLM-powered_meeting_recap_system
話し言葉(口語)の書き言葉(文語)への変換
会議中の発言は、「えー」「あのー」といったフィラー(間投詞)や、重複した表現、倒置法など、話し言葉(口語)特有の表現が多く含まれます。
これらをそのまま議事録に残すと、非常に読みにくく、意図が伝わりにくい文章になってしまいます。
ChatGPTは、これらの口語表現を自動的に削除・修正し、ビジネス文書として適切な書き言葉(文語)に変換する能力を持っています。
「口語表現を文語表現に修正してください」と指示するだけで、無駄のない洗練された議事録テキストが完成します。
こちらは、音声認識(ASR)の書き起こしテキストに含まれる話し言葉を、文脈に応じて書き言葉に変換する技術(Spoken-to-Written Conversion)に関する研究です。合わせてご覧ください。 https://arxiv.org/html/2408.09688v2
アジェンダごとの要点整理
多くの会議は、事前に設定されたアジェンダ(議題)に沿って進行します。
ChatGPTに文字起こしテキストとアジェンダを両方提供することで、各議題に対してどのような議論が行われ、どのような結論に至ったのかを自動的に整理させることが可能です。
「アジェンダ1『新機能の開発について』の議論を要約してください」といった指示を出せば、関連する発言だけを抜き出してまとめてくれます。
これにより、特定のトピックに関する議論の内容を素早く確認したい場合に非常に便利です。
ChatGPTで議事録を作成する具体的な手順
ここからは、ChatGPTを使って実際に議事録を作成するための具体的なステップを解説します。
重要な点として、ChatGPTは「音声」を直接処理できないため、まず「テキスト」に変換する作業が必要です。
- 【重要】ChatGPTは音声ファイルを直接読み込めない
- ステップ1:会議の音声を文字起こし(テキスト化)する
- ステップ2:文字起こしテキストをChatGPTに入力しプロンプトで指示する
- ステップ3:出力された議事録を修正・編集する
この3つのステップを踏むことで、誰でも簡単に精度の高い議事録を作成できます。
それでは、各ステップを詳しく見ていきましょう。
【重要】ChatGPTは音声ファイルを直接読み込めない
まず大前提として、ChatGPT(2025年10月現在)は、mp3やm4aなどの音声ファイルや動画ファイルを直接アップロードして、それを元に議事録を作成する機能を持っていません。
あくまで「テキスト(文字情報)」を処理するためのAIです。
そのため、議事録作成の第一歩は、会議の「音声データ」を「テキストデータ」(文字起こし)に変換することから始まります。
この「文字起こし」の精度が、最終的な議事録の品質に直結するため、非常に重要なステップとなります。
ステップ1:会議の音声を文字起こし(テキスト化)する
会議の音声をテキストに変換する方法はいくつかあります。
最も手軽なのは、ZoomやMicrosoft Teams、Google MeetといったWeb会議ツールに搭載されている文字起こし機能(トランスクリプション)を利用することです。
会議終了後に、文字起こしデータをテキストファイルとしてダウンロードできます。
対面での会議の場合は、ICレコーダーで録音した音声を、AI搭載の文字起こし専用ツール(例:Notta, Vrewなど)にアップロードしてテキスト化するのが効率的です。
最近のツールは非常に精度が高く、話者分離(誰が話したか)も自動で行ってくれるものが多いです。
ステップ2:文字起こしテキストをChatGPTに入力しプロンプトで指示する
文字起こしテキストが準備できたら、それをコピーしてChatGPTの入力欄に貼り付けます。
そして、そのテキストデータに対して「何をしてほしいのか」を具体的に指示する「プロンプト」を入力します。
例えば、「以下のテキストは会議の文字起こしです。この内容を要約し、決定事項とToDoリストを抽出してください」といった形です。
もし文字起こしテキストが非常に長い場合、ChatGPTの文字数制限に達してしまうことがあります。
その場合は、テキストをいくつかのブロックに分割して、複数回に分けて入力する必要があります。
ステップ3:出力された議事録を修正・編集する
ChatGPTが議事録の草案を生成したら、最後は必ず人間の目で内容を確認し、修正・編集を行います。
AIは非常に優秀ですが、100%完璧ではありません。
特に、固有名詞(人名、社名、製品名)や、専門用語、数値データを間違って認識している可能性があります。
また、議論の細かいニュアンスや背景を汲み取れず、事実とは異なる要約をしてしまうこともあり得ます。
「AIが作成した下書きを、人間が清書する」という意識で最終チェックを行うことが、質の高い議事録を完成させるための鍵となります。
会議の音声を文字起こし(テキスト化)する主な方法
前述の通り、ChatGPTで議事録を作成するには、まず会議の音声をテキスト化する必要があります。
ここでは、そのための代表的な3つの方法を紹介します。
- Web会議ツール(Zoom, Teams, Google Meet)の機能を活用する
- 文字起こし専用AIツールを利用する
- スマートフォンの音声入力機能を使う
それぞれの方法に特徴があるため、ご自身の会議スタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
Web会議ツール(Zoom, Teams, Google Meet)の機能を活用する
現在、多くの企業で利用されている主要なWeb会議ツールには、高精度なリアルタイム文字起こし機能が標準搭載されています。
Zoom(有料プラン)、Microsoft Teams、Google Meetでは、会議中に話された内容がリアルタイムで字幕のように表示され、会議終了後にはその全内容をテキストファイルとして保存できます。
この方法の最大のメリットは、追加のツールやコストをかけずに、会議の録音と文字起こしを同時に完了できる点です。
オンライン会議がメインの場合は、まずこの方法を検討するのが最も効率的です。
文字起こし専用AIツールを利用する
対面での会議や、Web会議ツールの機能では精度が不十分な場合、文字起こしに特化したAIツールを利用するのがおすすめです。
「Notta」や「Vrew」、「CLOVA Note」などの専用ツールは、非常に高い認識精度を誇ります。
特に、複数の話者が同時に話している場面や、専門用語が多い会議、雑音が多い環境下でも、高い精度でテキスト化できる点が強みです。
また、話者分離(Aさん、Bさんの発言を区別する)機能も優れており、後の議事録整形が格段に楽になります。
録音した音声ファイルをアップロードするだけで、数分後にはテキストデータが完成します。
スマートフォンの音声入力機能を使う
最も手軽な方法として、スマートフォンに標準搭載されている音声入力機能(ボイスメモやキーボードの音声入力)を使う方法もあります。
会議中にスマートフォンをテーブルの中央に置き、録音アプリやメモアプリの音声入力機能をオンにしておくだけです。
特にiPhoneの「ボイスメモ」アプリは、録音品質も高く、後からテキスト化する機能も備わっています。
ただし、この方法はWeb会議ツールや専用ツールに比べると、話者分離ができなかったり、長時間の録音では精度が落ちたりする可能性があります。
あくまで小規模なミーティングや、急な打ち合わせの際の簡易的な方法として捉えておくと良いでしょう。
【コピペOK】ChatGPT議事録作成に使えるプロンプト(指示文)例
文字起こしテキストが準備できたら、いよいよChatGPTに指示を出します。
ここでは、議事録作成の様々なシーンでそのまま使える、5つのプロンプト(指示文)の例を紹介します。
- 【基本】会議全体を要約・整形するプロンプト
- 【応用】決定事項とToDoリストを抽出するプロンプト
- 【応用】話し言葉を自然な書き言葉(文語)に変換するプロンプト
- 【応用】特定のトピックについて抽出・要約するプロンプト
- 【応用】質疑応答(FAQ)形式でまとめるプロンプト
これらのプロンプトをベースに、ご自身の目的に合わせてカスタマイズしてみてください。
【基本】会議全体を要約・整形するプロンプト
まずは、会議全体の概要を把握し、議事録の骨子を作成するための基本的なプロンプトです。
この指示を出すだけで、雑多な文字起こしテキストが、整理された議事録のフォーマットに変換されます。
あなたは優秀なアシスタントです。
以下の会議の文字起こしテキストを読み込み、議事録を作成してください。
出力形式は以下のようにしてください。
- 会議の概要(3行程度の簡潔なまとめ)
- 主な議題と議論の内容(アジェンダごとに整理)
- 全体のサマリー
【ここに文字起こしテキストを貼り付け】
【応用】決定事項とToDoリストを抽出するプロンプト
議事録で最も重要な「決定事項」と「ToDo」を明確にするためのプロンプトです。
「誰が」「何を」「いつまでに」行うのかを明確にリストアップさせます。
以下の会議の文字起こしテキストから、「決定事項」と「ToDoリスト」を抽出してください。
ToDoリストは、必ず「担当者」「タスク内容」「期限」の3点を含めて、テーブル(表)形式で出力してください。
決定事項:
・(例)新機能Aは次期バージョンで見送る
ToDoリスト:
| 担当者 | タスク内容 | 期限 |
|:—|:—|:—|
| 鈴木 | B機能の仕様書作成 | 11/15 |
【ここに文字起こしテキストを貼り付け】
【応用】話し言葉を自然な書き言葉(文語)に変換するプロンプト
文字起こしテキストに含まれる「えー」「あのー」といったフィラーや、重複表現を削除し、ビジネス文書として読みやすい形に整えるプロンプトです。
以下の会議の文字起こしテキストを、議事録として適切な書き言葉(文語)に修正してください。
以下の点に注意して修正してください。
・「えー」「あのー」「なんか」などの不要なフィラーを削除する。
・重複している表現を簡潔にまとめる。
・話し言葉(口語)を、自然な書き言葉(文語)に変換する。
【ここに文字起こしテキストを貼り付け】
【応用】特定のトピックについて抽出・要約するプロンプト
会議全体ではなく、特定の議題に関する議論だけを抜き出して深く知りたい場合に使うプロンプトです。
以下の会議の文字起こしテキストから、「新プロジェクトの予算」に関する議論のみを抽出してください。
抽出した内容に基づき、以下の点について要約してください。
- 主な論点
- 各参加者の意見
- 最終的な結論(または保留事項)
【ここに文字起こしテキストを貼り付け】
【応用】質疑応答(FAQ)形式でまとめるプロンプト
会議の後半に行われることが多い質疑応答セッションを、後から見返しやすいFAQ形式でまとめるプロンプトです。
以下の会議の文字起こしテキストから、質疑応答(Q&A)の部分を特定し、FAQ形式でまとめてください。
出力形式:
Q. 質問の内容
A. 回答の内容
【ここに文字起こしテキストを貼り付け】
ChatGPTで議事録を作成するメリット
ChatGPTを議事録作成に活用することには、単なる時短以外にも多くのメリットがあります。
主なメリットは以下の3つです。
- 議事録作成にかかる時間を大幅に削減できる
- 会議の要点を素早く把握し、情報共有がスムーズになる
- 議事録の品質が安定し、担当者の負担が減る
これらのメリットを享受することで、組織全体の生産性向上につながります。
議事録作成にかかる時間を大幅に削減できる
最大のメリットは、議事録作成にかかる工数の劇的な削減です。
従来であれば、会議の録音を聞き返し、ゼロから要約や整形を行っていた作業が、ChatGPTを使えば数分で完了します。
特に、1時間を超えるような長い会議や、参加者が多い会議ほど、その効果は絶大です。
削減できた時間を、本来注力すべきコア業務や、会議で決まったToDoの実行に充てることができます。
担当者の残業時間削減にも直結する、非常に大きなメリットです。
会議の要点を素早く把握し、情報共有がスムーズになる
ChatGPTが生成した要約や決定事項リストを活用することで、会議に参加していなかったメンバーも、議論の核心を素早くキャッチアップできます。
会議終了後、すぐに議事録のドラフトを共有できるため、情報伝達のスピードが格段に上がります。
これにより、プロジェクトの進行がスムーズになるだけでなく、チーム内での認識齟齬を防ぐことにもつながります。
また、後から会議の内容を振り返る際も、全文を聞き直す必要がなく、要点だけを効率的に確認できます。
議事録の品質が安定し、担当者の負担が減る
議事録作成は、担当者のスキルや習熟度によって品質にバラツキが出やすい作業の一つです。
また、「誰が議事録を取るのか」という心理的な負担(押し付け合い)が発生することも少なくありません。
ChatGPTを活用すれば、プロンプト(指示文)を統一することで、誰が作成しても一定の品質が保たれた議事録フォーマットを維持できます。
「AIが一次作成を行い、人間は最終確認をするだけ」というフローが定着すれば、議事録作成の属人化を防ぎ、担当者の精神的な負担を大幅に軽減できます。
ChatGPTで議事録を作成する際の注意点とデメリット
非常に便利なChatGPTですが、議事録作成に利用する際にはいくつかの注意点があります。
リスクを理解せずに使うと、重大な問題に発展する可能性もあるため、必ず確認してください。
- 機密情報や個人情報の漏洩リスク(セキュリティ対策)
- 生成された情報の正確性(ファクトチェックは必須)
- 長文の文字起こしテキストは一度に入力できない(文字数制限)
- 【再掲】単体では音声データの文字起こしはできない
これらのデメリットを理解し、対策を講じた上で活用することが重要です。
機密情報や個人情報の漏洩リスク(セキュリティ対策)
ChatGPTのデフォルト設定では、入力されたデータがAIの学習に利用される可能性があります。
そのため、会議の文字起こしテキストに、顧客の個人情報、未公開の業績、社外秘のプロジェクト情報などが含まれている場合、それらの機密情報が意図せず外部に漏洩するリスクがあります。
対策として、OpenAIが提供するAPI経由での利用(データが学習に使われない)や、データ非学習設定(オプトアウト)を必ず行う必要があります。
また、企業として利用する場合は、「ChatSense」のような法人向けサービスを導入し、入力データが学習に使われないことを保証された環境で利用することが不可欠です。
こちらは、米国国立標準技術研究所(NIST)が策定した、AI利用におけるリスク管理の枠組み(AI RMF)です。セキュリティ対策を検討する上で重要なガイドラインです。合わせてご覧ください。 https://www.nist.gov/itl/ai-risk-management-framework
生成された情報の正確性(ファクトチェックは必須)
ChatGPTは、時として事実と異なる内容を生成すること(ハルシネーション)があります。
議事録作成においては、特に数値(売上、予算など)や日付、固有名詞(人名、社名)を誤って認識したり、議論のニュアンスを取り違えて正反対の結論を要約したりする可能性があります。
AIが生成した議事録を鵜呑みにせず、必ず元の文字起こしテキストや録音と照らし合わせ、内容が正確かどうかを人間がファクトチェックする必要があります。
特に決定事項やToDoリストは、間違いがあると業務に支障をきたすため、入念な確認が必須です。
こちらは、特に「要約」タスクにおいて、LLMがどのように文脈を誤解しハルシネーション(虚偽)を生成するかを評価した研究論文です。合わせてご覧ください。 https://www.researchgate.net/publication/389580914_Evaluating_LLMs’_Assessment_of_Mixed-Context_Hallucination_Through_the_Lens_of_Summarization
長文の文字起こしテキストは一度に入力できない(文字数制限)
ChatGPTには、一度に入力できるテキストの量(トークン数)に制限があります。
1時間を超える会議の文字起こしテキストは、この制限を超えることがほとんどです。
無料版はもちろん、有料版(ChatGPT Plusなど)や最新のGPT-5モデルでも、一定の制限は存在します。
テキストが長すぎてエラーになる場合は、テキストを「議題ごと」や「15分ごと」など、意味のあるかたまりで分割し、複数回に分けてChatGPTに入力する必要があります。
この分割作業が、ChatGPT単体で議事録を作成する際の最も手間のかかる部分の一つと言えます。
【再掲】単体では音声データの文字起こしはできない
これは重要な点なので繰り返しますが、ChatGPT自体には、会議の録音データ(mp3など)を直接読み込んで文字起こしする機能はありません。
議事録作成を依頼する前に、必ずZoom、Teams、または専用のAIツールなどを使って、音声をテキスト化する「前工程」が必要になります。
「ChatGPTさえあれば、録音データを放り込むだけで全部やってくれる」と誤解しているケースがありますが、実際には「文字起こし」と「議事録整形」の2つのステップが必要であることを覚えておきましょう。
ChatGPT議事録の精度をさらに高める4つのコツ
ChatGPTが出力する議事録の精度は、プロンプト(指示文)の工夫次第でさらに高めることができます。
ここでは、より質の高い議事録を作成するための4つの実践的なコツを紹介します。
- 会議のアジェンダを事前情報として与える
- 役割(例:「あなたは優秀なアシスタントです」)を指定する
- 長文は分割して入力するか、要約を繰り返させる
- 高性能なモデル(GPT-5)を利用する
これらのコツを意識するだけで、手直しの少ない、精度の高いアウトプットが期待できます。
こちらはそのまま使える日本語のプロンプト例を紹介した、AIへの指示(プロンプト)に関するガイド記事です。 合わせてご覧ください。
1. 会議のアジェンダを事前情報として与える
ChatGPTは、与えられた情報が多いほど、文脈を正確に理解できます。
文字起こしテキストだけを渡すのではなく、その会議の「アジェンダ(議題)」「参加者リスト」「会議の目的」といった事前情報をプロンプトに含めることが非常に有効です。
例えば、「以下の参加者とアジェンダで行われた会議の議事録を作成してください」と指示することで、ChatGPTは「今から読み込むテキストが、どの議題について話しているのか」を予測しながら処理できます。
これにより、アジェンダごとに議論を整理したり、専門用語を正しく解釈したりする精度が向上します。
2. 役割(例:「あなたは優秀なアシスタントです」)を指定する
プロンプトの冒頭で、「あなたは優秀なアシスタントです」や「あなたはプロの編集者です」といった「役割」を与える(ロールプレイング)手法は、議事録作成においても有効です。
役割を指定することで、ChatGPTの回答スタイルを特定の目的に最適化できます。
例えば、「あなたは重要な情報を見逃さない、細部まで注意深い議事録作成担当者です」と指示すれば、ToDoや決定事項の抽出精度が上がることが期待できます。
単に「要約して」と指示するよりも、求めるアウトプットのトーン&マナーを具体的に定義する効果があります。
3. 長文は分割して入力するか、要約を繰り返させる
前述の通り、長文の文字起こしは一度に入力できない場合があります。
テキストを単純に分割して入力すると、前のブロックとの文脈が途切れてしまい、全体の要約精度が落ちることがあります。
この対策として、まずテキスト全体を3〜4つに分割し、それぞれを個別に要約させます(要約A、要約B、要約C)。
その次に、「今作成した要約A、B、Cをすべて統合して、会議全体の最終的な議事録を作成してください」と指示します。
このように、要約を繰り返させる(段階的に処理させる)ことで、文脈を維持したまま長文を処理させることが可能になります。
4. 高性能なモデル(GPT-5)を利用する
ChatGPTには、複数のAIモデルが存在します。2025年10月現在、最新の「GPT-5」モデルが全ユーザーにデフォルトで提供されています。
GPT-5は、旧来のモデル(GPT-4oやGPT-3.5)と比較して、長文の理解能力、文脈の把握能力、指示の正確な実行能力が大幅に向上しています。
特に、複雑な議論のニュアンスを汲み取ったり、口語を自然な文語に変換したりするタスクにおいて、その差は顕著です。
無料プランでもGPT-5は利用できますが、メッセージ回数や、より深く考える「Thinking」モードの利用に制限があります。
業務で高精度な議事録を安定して作成したい場合は、制限が緩和される有料プラン(Plusなど)の利用を強く推奨します。
こちらは最新モデルであるGPT-5の機能やGPT-4との違いについて詳しく解説した記事です。 合わせてご覧ください。
ChatGPT単体は面倒?議事録作成を効率化するAIツール
ここまでChatGPT単体で議事録を作成する方法を解説しましたが、「結局、文字起こしとテキストの分割入力が面倒だ」と感じた方も多いかもしれません。
その場合、議事録作成に特化したAIツールを導入するのが最も効率的な解決策となります。
- 文字起こしから議事録作成まで自動化できるAIツールがおすすめな理由
- おすすめAI議事録自動作成ツール5選
- ChatGPTと連携可能なツール
これらのツールは、ChatGPTのエンジンを利用しつつ、議事録作成に必要な作業をすべて自動化してくれます。
文字起こしから議事録作成まで自動化できるAIツールがおすすめな理由
議事録作成に特化したAIツールは、ChatGPT単体での作業における「面倒な部分」をすべて解決してくれます。
最大のメリットは、「音声(または動画)ファイル」をアップロードするだけで、①高精度な文字起こし、②話者分離、③要約・決定事項の抽出、④議事録の整形、までをワンストップで自動実行してくれる点です。
ChatGPT単体で必要だった「文字起こしツールの別途契約」や「長文テキストの分割入力」といった手間が一切かかりません。
Web会議ツール(Zoom, Teamsなど)と連携させれば、会議が終了した瞬間に、AIが作成した議事録のドラフトが自動で共有される、といった運用も可能です。
こちらは、高品質な「会議要約」を実現するために、事実に基づいたモジュール式の処理パイプライン(FRAME)を提案している学術論文です。合わせてご覧ください。 https://arxiv.org/html/2509.15901v1
おすすめAI議事録自動作成ツール5選
現在、日本国内でも多くの優れたAI議事録自動作成ツールが提供されています。
それぞれ機能や料金体系に特徴があるため、自社の利用シーンに合わせて選ぶと良いでしょう。
1. スマート書記
スマート書記は、Web会議、対面会議、ウェビナーなど、あらゆる会議形式に対応するAI議事録ツールです。特に、音声認識の精度と、アジェンダに沿った議事録の自動整形機能に強みを持っています。金融機関や自治体など、セキュリティ要件が厳しい組織での導入実績も豊富です。
2. YOMEL
YOMEL(ヨメル)は、特にZoomやTeamsといったWeb会議に特化したツールです。会議に参加者として「YOMEL」を招待しておくだけで、リアルタイムで文字起こしを行い、会議終了後すぐに要約と決定事項をチャットツール(Slackなど)に通知してくれます。リアルタイム性の高さが特徴です。
3. Rimo Voice
Rimo Voiceは、日本語に特化した自然言語処理技術を強みとするツールです。ICレコーダーで録音した対面会議の音声データなど、音質が必ずしも良くない場合でも、高い精度で文字起こしできると評価されています。シンプルな操作性で、初めてAI議事録ツールを使う人にも分かりやすいのが特徴です。
4. toruno
toruno(トルノ)は、Web会議の画面録画と音声録音、文字起こしを同時に行えるツールです。議事録作成機能に加え、「会議中のどのタイミングで、どんな資料が画面に映っていたか」を後から簡単に確認できる点がユニークです。議論の内容と資料をセットで振り返りたい場合に便利です。
5. AI議事録取れる君
AI議事録取れる君は、LINEと連携できる手軽さが特徴のAI議事録サービスです。LINEグループに招待するだけで、LINEのグループ通話や対面会議の音声を録音・文字起こし・要約してくれます。普段使いのLINEで完結するため、導入のハードルが非常に低いのがメリットです。
ChatGPTと連携可能なツール
上記の「オールインワン型」ツールとは別に、既存のツールとChatGPT(OpenAI API)を連携させる方法もあります。
例えば、文字起こしは「Notta」で行い、そのテキストデータをAPI連携で自動的にChatGPTに送信し、指定したプロンプトで議事録を作成させる、といった仕組み(ワークフロー自動化)を構築することも可能です。
これにはZapierやMakeといった自動化ツールや、ある程度の技術的な知識が必要になりますが、自社の業務フローに合わせた柔軟なカスタマイズが可能になります。
ChatGPT・Gemini・Claudeによる議事録作成例を比較
議事録作成に使える生成AIはChatGPTだけではありません。Googleの「Gemini」やAnthropicの「Claude 3」も、非常に強力な長文処理能力を持っています。
ここでは、同じ文字起こしテキストを各AIに入力した際の、議事録作成の特徴を比較します。
- ChatGPT(GPT-5)での作成例と特徴
- Gemini(旧Bard)での作成例と特徴
- Claude 3での作成例と特徴
どのAIも一長一短があり、目的に応じて使い分けるのが賢明です。
こちらは、様々な大規模言語モデル(LLM)が「会議」に関連するタスク(要約やタスク抽出など)をどの程度うまく処理できるかを比較評価(ベンチマーク)した研究です。合わせてご覧ください。 https://arxiv.org/html/2502.04376v1

ChatGPT(GPT-5)での作成例と特徴
ChatGPT(GPT-5)は、指示の忠実性と文章の自然な流暢さにおいて非常に優れています。
「決定事項とToDoをテーブル形式で出力して」といった複雑なフォーマット指定や、「口語を文語に直して」といった細かいニュアンスの修正指示を、高い精度で実行します。
2025年8月にリリースされたGPT-5は、思考時間の自動切替機能を搭載しており、議事録要約のような複雑なタスクに対してもじっくり考えて回答する「Thinking」モードが作動しやすいのが特徴です。
安定して高品質な議事録フォーマットを維持したい場合に、最も信頼性が高い選択肢と言えます。
Gemini(旧Bard)での作成例と特徴
GoogleのGeminiは、特にGoogle MeetやGoogleドキュメントなど、Googleエコシステムとの連携に強みがあります。
Geminiは、情報の「要点」を素早く掴み、箇条書きで簡潔にまとめる能力に長けている傾向があります。
ChatGPT(GPT-5)ほど複雑なフォーマット指定への追従性は高くない場合がありますが、会議の概要をスピーディに把握したい場合には非常に有用です。
また、Web検索機能と連携しているため、会議中に出てきた不明な用語や最新のトピックについて、議事録内で補足説明を生成させることも得意です。
Claude 3での作成例と特徴
AnthropicのClaude 3(特に最上位モデルのOpus)は、他のAIと比較して、一度に入力できるテキスト量(コンテキストウィンドウ)が非常に大きいという最大の特徴があります。
ChatGPTやGeminiでは分割が必要になるような、2〜3時間に及ぶ会議の長文文字起こしテキストであっても、一度にすべて入力して処理させることが可能です。
また、文章生成のトーンが非常に丁寧で、ビジネス文書としての品格を保った出力を得意とします。
長時間の会議の議事録を、分割の手間なく一気に作成したい場合には、Claude 3が最も強力な選択肢となります。
こちらはClaude 3とChatGPTを7つの観点で比較し、どちらが優秀かを解説した記事です。 合わせてご覧ください。
ChatGPTの議事録作成に関するよくある質問(FAQ)
最後に、ChatGPTを使った議事録作成に関して、ユーザーから多く寄せられる質問とその回答をまとめます。
- Q. ChatGPTに音声ファイル(mp3など)を直接アップロードできますか?
- Q. 無料版でも議事録は作成できますか?
- Q. TeamsやZoomと連携して自動で議事録を作る方法はありますか?
- Q. セキュリティが心配ですが、会社で使っても大丈夫ですか?
Q. ChatGPTに音声ファイル(mp3など)を直接アップロードできますか?
A. できません(2025年10月現在)。
ChatGPTはテキストベースのAIであり、音声ファイルや動画ファイルを直接処理する機能は持っていません。
議事録を作成するには、まずWeb会議ツールや専用の文字起こしAIツールを使い、会議の音声を「文字起こしテキスト」に変換する必要があります。そのテキストをChatGPTに入力することで、要約や整形が可能になります。
Q. 無料版でも議事録は作成できますか?
A. はい、作成可能です。
最新のGPT-5モデルは無料版ユーザーにもデフォルトで提供されており、議事録の要約やタスク抽出といった基本的な機能は無料版でも十分に利用できます。
ただし、無料版には制限があります。5時間あたり10メッセージまでという回数制限や、複雑な処理を行う「Thinking」モードの利用が1日1回までに制限されています。
業務で頻繁に利用する場合は、これらの制限が大幅に緩和される有料プラン(ChatGPT Plusなど)への加入をおすすめします。
Q. TeamsやZoomと連携して自動で議事録を作る方法はありますか?
A. ChatGPT単体では自動連携できませんが、専用ツールを使えば可能です。
ChatGPT自体には、TeamsやZoomと直接連携して会議に自動参加し、議事録を作成する機能はありません。
しかし、本記事で紹介した「YOMEL」や「スマート書記」のようなAI議事録自動作成ツールを利用すれば、それらがTeamsやZoomと連携し、会議終了と同時に自動で議事録ドラフトを作成・共有することが可能になります。
Q. セキュリティが心配ですが、会社で使っても大丈夫ですか?
A. デフォルト設定のまま機密情報を入力するのは危険です。
無料版や有料版(Plus)のChatGPTをそのまま使うと、入力した文字起こしデータがAIの学習に使われ、機密情報が漏洩するリスクがあります。
会社で利用する場合は、必ずデータの学習をオフにする設定(オプトアウト)を行うか、入力データが学習に使われないことが契約で保証されているAPI経由、または「ChatSense」のような法人向け専用サービスを導入する必要があります。
セキュリティポリシーを確認し、適切な環境で利用することが必須条件です。
あなたの脳はサボってる?ChatGPTで「賢くなる人」と「思考停止する人」の決定的違い
ChatGPTを毎日使っているあなた、その使い方で本当に「賢く」なっていますか?実は、使い方を間違えると、私たちの脳はどんどん“怠け者”になってしまうかもしれません。マサチューセッツ工科大学(MIT)の衝撃的な研究がそれを裏付けています。しかし、ご安心ください。東京大学などのトップ研究機関では、ChatGPTを「最強の思考ツール」として使いこなし、能力を向上させる方法が実践されています。この記事では、「思考停止する人」と「賢くなる人」の分かれ道を、最新の研究結果と具体的なテクニックを交えながら、どこよりも分かりやすく解説します。
【警告】ChatGPTはあなたの「脳をサボらせる」かもしれない
「ChatGPTに任せれば、頭を使わなくて済む」——。もしそう思っていたら、少し危険なサインです。MITの研究によると、ChatGPTを使って文章を作った人は、自力で考えた人に比べて脳の活動が半分以下に低下することがわかりました。
これは、脳が考えることをAIに丸投げしてしまう「思考の外部委託」が起きている証拠です。この状態が続くと、次のようなリスクが考えられます。
- 深く考える力が衰える: AIの答えを鵜呑みにし、「本当にそうかな?」と疑う力が鈍る。
- 記憶が定着しなくなる: 楽して得た情報は、脳に残りづらい。
- アイデアが湧かなくなる: 脳が「省エネモード」に慣れてしまい、自ら発想する力が弱まる。
便利なツールに頼るうち、気づかぬ間に、本来持っていたはずの「考える力」が失われていく可能性があるのです。
引用元:
MITの研究者たちは、大規模言語モデル(LLM)が人間の認知プロセスに与える影響について調査しました。その結果、LLM支援のライティングタスクでは、人間の脳内の認知活動が大幅に低下することが示されました。(Shmidman, A., Sciacca, B., et al. “Does the use of large language models affect human cognition?” 2024年)
【実践】AIを「脳のジム」に変える東大式の使い方
では、「賢くなる人」はChatGPTをどう使っているのでしょうか?答えはシンプルです。彼らはAIを「答えを出す機械」ではなく、「思考を鍛えるパートナー」として利用しています。ここでは、誰でも今日から真似できる3つの「賢い」使い方をご紹介します。
使い方①:最強の「壁打ち相手」にする
自分の考えを深めるには、反論や別の視点が不可欠です。そこで、ChatGPTをあえて「反対意見を言うパートナー」に設定しましょう。
魔法のプロンプト例:
「(あなたの意見や企画)について、あなたが優秀なコンサルタントだったら、どんな弱点を指摘しますか?最も鋭い反論を3つ挙げてください。」
これにより、一人では気づけなかった思考の穴を発見し、より強固な論理を組み立てる力が鍛えられます。
使い方②:あえて「無知な生徒」として教える
自分が本当にテーマを理解しているか試したければ、誰かに説明してみるのが一番です。ChatGPTを「何も知らない生徒役」にして、あなたが先生になってみましょう。
魔法のプロンプト例:
「今から『(あなたが学びたいテーマ)』について説明します。あなたは専門知識のない高校生だと思って、私の説明で少しでも分かりにくい部分があったら、遠慮なく質問してください。」
AIからの素朴な質問に答えることで、自分の理解度の甘い部分が明確になり、知識が驚くほど整理されます。
使い方③:アイデアを無限に生み出す「触媒」にする
ゼロから「面白いアイデアを出して」と頼むのは、思考停止への第一歩です。そうではなく、自分のアイデアの“種”をAIに投げかけ、化学反応を起こさせるのです。
魔法のプロンプト例:
「『(テーマ)』について考えています。キーワードは『A』『B』『C』です。これらの要素を組み合わせて、今までにない斬Mな企画の切り口を5つ提案してください。」
AIが提案した意外な組み合わせをヒントに、最終的なアイデアに磨きをかけるのはあなた自身です。これにより、発想力が刺激され、創造性が大きく向上します。
まとめ
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