n8nとDifyを徹底比較!AIアプリ開発とワークフロー自動化の選び方、連携方法まで解説

「n8nとDify、どちらも聞いたことはあるけど、具体的にどう違うの?」

「AIアプリ開発と業務自動化を同時に進めたいけど、どちらのツールを選ぶべきか分からない…。」

こういった悩みを持っている方もいるのではないでしょうか?

本記事では、AIアプリケーション開発プラットフォームの「Dify」と、ワークフロー自動化ツールの「n8n」について、基本的な違いから機能、料金、具体的な使い方、さらには両者を連携させる方法までを徹底的に比較・解説します。

AIアプリ開発とワークフロー自動化、それぞれの分野で注目を集める両ツールの特徴を整理し、あなたの目的に最適なツール選びをサポートします。

きっと役に立つと思いますので、ぜひ最後までご覧ください。

n8nとDifyとは?それぞれの基本的な役割と違い

まずは、n8nとDifyがそれぞれどのようなツールなのか、基本的な役割と違いを見ていきましょう。

  • Difyとは?AIアプリケーション開発のためのプラットフォーム
  • n8nとは?様々なツールをつなぐワークフロー自動化ツール
  • 【図解】2つのツールの目的と得意分野の違い

それぞれのツールの概要を理解することで、どちらが自分の目的に合っているかが見えてきます。

それでは、1つずつ順に解説します。

Difyとは?AIアプリケーション開発のためのプラットフォーム

Dify(ディファイ)は、AIネイティブなアプリケーション、特に大規模言語モデル(LLM)を活用したアプリを迅速に開発・運用するためのプラットフォームです。

最大の特徴は、RAG(Retrieval-Augmented Generation)と呼ばれる、外部の知識(PDFやテキストファイルなど)をAIに参照させて回答させる仕組みや、特定のタスクを自律的に実行するAIエージェント機能を、ノーコードまたはローコードで構築できる点です。

GUIベースの画面でプロンプトの設計やバージョン管理、コンテキスト(会話履歴)の管理、利用状況のログ分析までを一貫して行えます。

ChatGPT(GPT-5など)やClaude、Geminiといった主要なLLMに標準で対応しており、自社データと連携した高機能なAIチャットボットや、特定の業務を自動化するAIツールを素早く開発したい場合に最適なツールです。

こちらはDifyの公式ドキュメント(ホーム)です。RAGやエージェント機能のより詳細な仕様を確認できます。 合わせてご覧ください。 https://docs.dify.ai/en/

n8nとは?様々なツールをつなぐワークフロー自動化ツール

n8n(エヌエイトエヌ)は、様々なアプリケーションやサービスを連携させ、定型的な業務プロセスを自動化するための「ワークフロー自動化ツール」です。iPaaS(Integration Platform as a Service)と呼ばれる分野のツールの一つです。

ZapierやMake(旧Integromat)といったサービスと競合しますが、n8nはオープンソースであり、自社のサーバーに自由にインストール(セルフホスト)できる点で高い自由度を持ちます。

「ノード」と呼ばれる機能ブロック(例:「Gmailを受信したら」「スプレッドシートに書き込む」「Slackに通知する」)をビジュアルエディタ上で線でつなぎ合わせることで、プログラミング知識が少なくても複雑な自動化ワークフローを構築できます。

数百種類以上のSaaS、データベース、APIと標準で連携可能であり、日々の繰り返し作業の自動化や、部門間でのデータ同期などに強力な効果を発揮します。

こちらはn8nの公式ドキュメント(ホーム)です。基本的な概念やワークフローの構築方法について詳しく解説されています。 合わせてご覧ください。 https://docs.n8n.io/

【図解】2つのツールの目的と得意分野の違い

両ツールの違いを端的に説明するために、目的と得意分野を整理します。(※本記事ではテキストで解説します)

Difyの主な目的は、「AI(LLM)を中核としたアプリケーションを“作る”こと」です。

得意分野は、RAGによるナレッジ検索ボット開発、AIエージェント構築、プロンプト管理、AIアプリのAPI提供など、「AIの賢さ」を引き出す部分です。

一方、n8nの主な目的は、「既存の様々なツールを“つないで”、業務プロセスを“自動化する”こと」です。

得意分野は、SaaS間のデータ同期、API連携、スケジュール実行、複雑な条件分岐を含む定型作業の自動化など、「作業の実行」に関わる部分です。

例えるなら、Difyは「AIという賢い脳を使って対話やタスク実行ができるアプリを作る工場」であり、n8nは「異なる部署(ツール)間を走り回って書類(データ)を届けたり、決まった作業を代行したりする自動化ロボット」と言えるでしょう。

【徹底比較】n8nとDifyの機能と仕組みの違い

ここでは、n8nとDifyの具体的な機能と、それらがどのような仕組みで動いているのかを比較します。

  • n8nの主な機能(ノードベースの自動化、豊富な連携先)
  • Difyの主な機能(RAG、エージェント機能、LLMアプリ構築)
  • デプロイ方式の違い(クラウド版とセルフホスト版)

機能面の違いを理解することで、技術的な要件にどちらがマッチするかが明確になります。

それでは、順に見ていきましょう。

n8nの主な機能(ノードベースの自動化、豊富な連携先)

n8nの中核機能は、ノードベースのビジュアルエディタです。

処理の単位(トリガー、アクション、条件分岐、ループなど)が「ノード」として提供され、これらをドラッグ&ドロップで配置し、線でつなぐことでワークフローを設計します。

最大の強みは「豊富な連携先(Integrations)」です。

Gmail、Googleスプレッドシート、Slack、Discordといった日常的なツールから、SalesforceなどのCRM、MySQLやPostgreSQLなどのデータベースまで、数百種類(コミュニティノードを含むと1,000以上)のサービスと標準で連携できます。

もし標準ノードに対応していないサービスでも、「HTTP Request」ノードを使えば、APIが公開されているサービスとは実質的に連携可能です。

また、「Code」ノードを使えば、JavaScript(またはPython)で独自の処理を記述でき、高度なデータ加工や複雑なロジックにも対応できる柔軟性を持っています。

こちらはn8nが公式にサポートしている連携サービス(インテグレーション)の一覧です。 合わせてご覧ください。 https://n8n.io/integrations/

Difyの主な機能(RAG、エージェント機能、LLMアプリ構築)

Difyの中核機能は、「LLMアプリケーション」の構築と運用(LLMOps)に特化しています。

代表的な機能が「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」です。

PDF、TXT、Markdown、CSVなどのドキュメントをアップロードするだけで、Difyが自動的に内容を解析・分割し、Vector DB(ベクトルデータベース)に格納します。

ユーザーが質問すると、AIがこれらのナレッジ(知識)を参照しながら回答を生成するため、「社内マニュアル検索ボット」などを簡単に構築できます。

もう一つの強力な機能が「エージェント機能(Agent)」です。

AIに特定の役割(ロール)を与え、外部のAPIやサービスを「ツール」として使わせることで、AIが自律的に計画を立ててタスクを実行できるようになります。

さらに、プロンプトの管理・テスト機能や、AIモデル(GPT-5, Claude 3など)をGUIで簡単に切り替えられる点も、開発効率を高める大きな特徴です。

こちらはChatGPTでRAGのプロンプトを作成する方法について解説した記事です。 合わせてご覧ください。

デプロイ方式の違い(クラウド版とセルフホスト版)

n8nとDifyは、どちらも「クラウド版」と「セルフホスト版」の2つのデプロイ方式を提供しています。

クラウド版は、インフラの管理やセットアップが一切不要で、サインアップ後すぐに利用を開始できる手軽さが魅力です。

利用量(n8nならワークフロー実行回数、Difyならメッセージ数など)に応じたプラン料金が発生します。

セルフホスト版は、自社で管理するサーバー(オンプレミス、またはAWSやGCPなどのクラウドVM)に、Dockerなどを使ってDifyやn8nをインストールする方式です。

Dify(Apache 2.0ライセンス)もn8n(独自ライセンスだが社内利用は実質無料)も、オープンソースとして提供されているため、ソフトウェアライセンス費用を抑えられるのが最大のメリットです。

ただし、サーバーの構築、運用、セキュリティ対策、アップデート作業などをすべて自社で行う必要があります。

こちらはDifyのセルフホスト版インストールガイドです。具体的な導入手順や推奨されるサーバースペックが記載されています。 合わせてご覧ください。 https://docs.dify.ai/en/getting-started/install-self-hosted/readme

n8nとDifyの料金プランとライセンスを比較

ツールの選定において、コストは重要な要素です。ここでは、n8nとDifyの料金プランとライセンスを比較します。

  • クラウド版の料金プラン比較表
  • セルフホスト版のライセンスと必要なサーバーコスト
  • 【注意点】セルフホスト版の見落としがちな費用(保守・運用工数)

※料金プランは変更される可能性があるため、最新の情報は必ず公式サイトをご確認ください。

それでは、詳しく見ていきましょう。

クラウド版の料金プラン比較表

クラウド版は、インフラ管理の手間をかけずにスモールスタートできる点が魅力です。

Dify Cloud:

Difyのクラウド版は、Free(無料)、Professional、Team、Enterpriseといったプランが提供されています。

FreeプランでもRAGやチャットボットの基本機能を試すことができますが、メッセージ数やナレッジベースの容量(アップロードできるドキュメント量)に制限があります。

上位プランになるほど、これらの制限が緩和され、より高度なエージェント機能やチームでの利用に適した機能が解放されます。

注意点として、Difyのプラン料金とは別に、Difyが内部で呼び出すLLM(GPT-5など)のAPI利用料金が、OpenAIなどのプロバイダー側に別途発生します。

n8n Cloud:

n8nのクラウド版は、Starter、Pro、Enterpriseなどのプランがあります。

料金体系は主に「ワークフローの実行回数」と「同時実行数」に基づいています。

Starterプランでも基本的な機能は利用できますが、実行回数に上限があります。

Proプラン以上になると、より多くの実行回数や、カスタム権限設定、高度なエラーハンドリング機能などが提供されます。

連携するSaaSの利用料は別途かかりますが、Difyと異なり、n8n自体の利用がLLMのAPI料金に直結することはありません。

セルフホスト版のライセンスと必要なサーバーコスト

セルフホスト版は、ライセンス費用を抑えられる反面、サーバーコストと運用知識が必要です。

Dify (Self-hosted):

ライセンスは「Apache 2.0 License」で提供されています。これは非常に寛容なライセンスで、商用利用も含めて自由に改変・再配布が可能です。

必要なコストは、Difyを動作させるためのサーバー費用(VPS、クラウドVM、Kubernetesクラスタなど)と、運用工数です。

DifyはデータベースやVector DBなど複数のコンポーネントに依存するため、最小構成でもある程度のサーバースペック(例:CPU 2コア、メモリ 4GB以上)が推奨されます。

また、クラウド版と同様に、LLMのAPI利用料は別途発生します。

n8n (Self-hosted):

n8nは独自の「Sustainable Use License」を採用しています(一部コンポーネントはApache 2.0)。

このライセンスは、n8nの機能をそのまま使ってSaaSとして他社に提供するような場合(商用ホスティング)を制限するものであり、社内業務の自動化のためにセルフホストで利用する限りは、実質無料で利用できます。

n8nは比較的軽量で、小規模なVPS(月額1,000円〜数千円程度)でも動作させることが可能です。

ただし、実行するワークフローの頻度や扱うデータ量が多い場合は、相応のサーバースペックが必要になります。

【注意点】セルフホスト版の見落としがちな費用(保守・運用工数)

セルフホスト版の最大の落とし穴は、ライセンス費用が無料でも「見えないコスト」が発生することです。

初期構築コストとして、サーバーのセットアップ、Docker環境の構築、ドメインやSSL証明書の設定など、専門知識と時間が必要です。

さらに重要なのが継続的な「運用・保守コスト」です。

これには、セキュリティ脆弱性に対応するための定期的なアップデート作業、サーバーリソースの監視、障害発生時のトラブルシューティング、データのバックアップなどが含まれます。

これらの作業を自社のエンジニアが行う場合、その「人件費(工数)」が、クラウド版の月額料金を上回る可能性も十分にあります。

技術的な知見を持つ担当者がいない場合は、手軽に始められるクラウド版を選択する方が賢明です。

n8nとDifyのメリット・デメリットと具体的な使い方

両ツールの機能や料金がわかったところで、次にそれぞれのメリット・デメリットと、具体的なユースケースを見ていきましょう。

  • n8nのメリット・デメリット
  • Difyのメリット・デメリット
  • Difyが向いている使い方(AIチャットボット開発、社内ナレッジ検索など)
  • n8nが向いている使い方(定型業務の自動化、複数ツールのデータ連携など)

どちらのツールが自分の解決したい課題に適しているか、判断する材料になります。

それでは、順に解説します。

n8nのメリット・デメリット

メリット:

n8nの最大のメリットは、その圧倒的な「連携先(インテグレーション)の多さ」です。数百のSaaSやDBと標準で連携でき、APIさえあればほぼ何でも接続可能です。

また、ノードベースのビジュアルエディタにより、分岐やループを含む「複雑なロジック」を視覚的に実装できます。

さらに「セルフホストの自由度」が高く、社内利用であればライセンスコストをほぼゼロに抑えつつ、データを外部に出さずに処理できる(連携先が内部システムの場合)点も強みです。

公式フォーラムやDiscordなどのコミュニティも活発です。

デメリット:

多機能ゆえの「学習コスト」が挙げられます。ノード間でデータを正しく受け渡すためには、JSONのデータ構造やAPIの基本的な知識(式エディタの使い方など)を理解する必要があります。

また、n8nはAI開発に特化していないため、Difyのような高度なRAGやプロンプト管理機能は標準搭載していません(APIを叩くことは可能)。

初めて触る人にとっては、高機能な分、UIがやや複雑に感じられる可能性もあります。

Difyのメリット・デメリット

メリット:

最大のメリットは、「LLMアプリ開発の速さ」です。RAGやエージェント機能を持つAIアプリを、プログラミング知識がほとんどなくても数時間〜数日で構築できます。

プロンプトのバージョン管理やテストをGUIで簡単に行える「プロンプト管理機能」も強力です。

GPT-5, Claudeなど、複数の「マルチモデル」に標準対応しており、最適なAIを簡単に切り替え・比較できる点も優れています。

UIもAIアプリ開発に特化しており、直感的で使いやすいです。

デメリット:

Difyは「汎用的な自動化」は不得意です。n8nのように「SaaS Aからデータを取得し、SaaS Bに登録する」といった、LLMを介さない定型業務の自動化は専門外です。

「連携先の少なさ」もデメリットと言えます。連携は主にLLMやエージェントが使うツール(API)が中心で、n8nのような広範なSaaSインテグレーションは持ちません。

また、RAGは便利ですが、ドキュメントの質や設定によっては期待通りの回答精度が出ない場合があり、チューニングのノウハウが必要です。

Difyが向いている使い方(AIチャットボット開発、社内ナレッジ検索など)

Difyは、AI(LLM)の能力を最大限に活用したい場合に適しています。

社内ナレッジ検索ボット:

社内規定、製品マニュアル、過去の議事録、技術ドキュメントなどをDifyにアップロードし、ナレッジベースを構築します。

社員が自然言語で質問すると、AIが関連資料を瞬時に検索し、要約して回答するシステムを構築できます。

Webサイト用AIチャットボット:

自社サービスの内容やよくある質問(FAQ)を学習させ、Webサイトに設置する顧客対応チャットボットを開発します。24時間365日、顧客からの問い合わせに自動で一次応答が可能です。

コンテンツ生成アシスタント:

特定のテーマやキーワードに基づき、ブログ記事の草案、SNSの投稿文、メールの返信文などを生成する社内向けAIツールを作成できます。

RPA(業務自動化)の「脳」:

例えば「受け取った請求書画像を読み取り、項目を抽出・要約する」といった特定のタスクを実行するAIエージェントをDifyで構築し、他のシステムからAPI経由で呼び出して利用します。

n8nが向いている使い方(定型業務の自動化、複数ツールのデータ連携など)

n8nは、日々の繰り返し作業や、システム間のデータ連携を自動化したい場合に適しています。

データ同期:

CRM(Salesforceなど)で新しい顧客が登録されたら、その情報を自動で会計ソフト(freeeなど)や顧客管理用のGoogleスプレッドシートにも即座に反映させます。

日次・週次レポートの自動生成:

毎朝決まった時間に、複数のデータベースや広告媒体(Google Adsなど)から実績データを収集・集計し、グラフ化してSlackの特定チャンネルや経営陣のメールに自動で投稿します。

フォーム連携:

Webサイトの問い合わせフォーム(Google Forms, Typeformなど)に投稿があった瞬間に、内容を解析します。

タスク管理ツール(Trello, Asanaなど)に新しいタスクとして起票し、担当部署に自動で通知(メールやChatwork)を送ります。

簡易ETL(データ処理):

異なるデータソース(例:CSVファイルとAPI)からデータを抽出し(Extract)、n8nのノードで必要な形式に加工(Transform)してから、データウェアハウス(BigQueryなど)にロード(Load)する処理を自動化します。

【実践編】n8nとDifyを連携させる方法とメリット

n8nとDifyは競合するだけでなく、連携させることでお互いの弱点を補い、より強力なソリューションを構築できます。

  • なぜn8nとDifyを連携させるのか?(得意分野で補い合う)
  • 具体的な連携方法(API・Webhookを使った呼び出し)
  • 連携で実現できることの具体例(Difyをトリガーにn8nで複雑な処理を実行)

両ツールの「良いとこ取り」をする方法を見ていきましょう。

それでは、順に解説します。

なぜn8nとDifyを連携させるのか?(得意分野で補い合う)

Difyは「AIアプリケーションの構築」に特化しており、n8nは「様々なツールとの連携とワークフロー自動化」に特化しています。

この二つを連携させることで、例えば、Difyで構築したAIが「何かを判断・生成」した後、その結果を受けてn8nが「具体的な業務(複数ツールへの登録・通知など)」を実行する、という流れが可能になります。

逆に、n8nが様々なツールから集めてきた情報を、DifyのAIに入力データとして渡し、高度な分析や要約をさせることもできます。

このように、Difyを「賢い脳」、n8nを「強力な手足」として組み合わせることで、AIによる判断と物理的な業務実行をシームレスにつなぎ、自動化の幅を大きく広げることができます。

具体的な連携方法(API・Webhookを使った呼び出し)

連携の基本は、APIまたはWebhookを使った「呼び出し」です。

こちらはDifyの公式APIリファレンスです。n8nからDifyのAI機能を呼び出す際の仕様確認に役立ちます。 合わせてご覧ください。 https://docs.dify.ai/en/openapi-api-access-readme

Difyからn8nを呼び出す方法:

Difyのエージェント機能には、「ツール」として外部のAPIを呼び出す機能があります。

一方、n8n側では「Webhook」ノードを使い、外部からのリクエストを受け付けるための一意のURLを発行します。

DifyのAIが特定の判断(例:「緊急の要件だ」)をした際に、このn8nのWebhook URLを叩く(APIリクエストを送る)ように設定します。

n8nは、そのリクエストをトリガーとして、あらかじめ定義されたワークフロー(例:担当者に電話通知)を開始します。

n8nからDifyを呼び出す方法:

Difyは、構築したAIアプリケーション(チャットボットやエージェント)を呼び出すためのAPIエンドポイントを提供しています。

n8n側では「HTTP Request」ノードを使い、DifyのAPIエンドポイントに対して、質問や処理させたいデータ(JSON形式)を送信(POSTリクエストなど)します。

DifyのAIが処理した結果(回答テキストや分析結果)は、APIレスポンスとしてn8nに返却されます。

n8nは、その後のワークフローで、受け取ったAIの回答を利用して処理(例:スプレッドシートに記録)を続行します。

連携で実現できることの具体例(Difyをトリガーにn8nで複雑な処理を実行)

例1:高度な顧客サポート自動化

  1. Difyで構築したAIチャットボットが、Webサイトで顧客と対話します。
  2. 対話の結果、顧客が「緊急のシステム障害」について報告しているとAIが判断します。
  3. Difyが、n8nの「緊急障害対応Webhook」を呼び出します。
  4. n8nがトリガーされ、即座にCRM(Salesforce)で緊急インシデントのチケットを作成し、PDR(PagerDutyなど)で担当エンジニアを呼び出し、同時にSlackの障害対応チャンネルにアラートを投稿します。

例2:AIによるデータ分析とレポート配信

  1. n8nが、毎朝午前5時にスケジュール実行されます。
  2. n8nが、複数の広告媒体(Google Ads, Meta Ads)のAPIから昨日の広告実績データを自動で収集します。
  3. n8nが、収集した実績データをまとめてDifyの分析APIに送信し、「実績を要約し、昨日から特に変動の大きいキャンペーンを指摘して」と指示します。
  4. Dify(AI)が分析結果のテキストをn8nに返します。
  5. n8nが、その分析結果テキストを受け取り、日次レポートとして整形し、マーケティングチームのメールアドレスに送信します。

導入前に知っておきたい注意点とつまずきやすいポイント

n8nもDifyも強力なツールですが、導入時に見落としがちな注意点や、つまずきやすいポイントがあります。

  • Dify導入時によくあるつまずき(LLMの知識、環境構築など)
  • n8n導入時によくあるつまずき(ノードの多さ、エラーハンドリングなど)
  • 両ツールに共通するセルフホスト時の注意点

事前にこれらを把握しておくことで、スムーズな導入が可能になります。

それでは、順に解説します。

Dify導入時によくあるつまずき(LLMの知識、環境構築など)

Dify導入時によくあるつまずきは、AI(LLM)の仕様に関連するものです。

まず、Dify自体はAIモデルではありません。OpenAI(GPT-5など)やAnthropic(Claude)といった外部LLMのAPIを利用するための「ガワ(プラットフォーム)」です。

そのため、これらのLLMサービスのAPIキーを別途取得し、Difyに設定する必要があります。当然、利用量に応じたLLMのAPI料金も別途発生します。

次に、「プロンプトエンジニアリングの壁」です。

Difyはプロンプト管理を容易にしますが、「AIから期待通りの良い回答を引き出すプロンプト」自体は利用者が設計する必要があります。性能が出ない場合、プロンプトの試行錯誤が必要です。

RAGの精度問題も同様で、「とりあえずPDFを放り込めばOK」というわけではありません。

ドキュメントの質や形式、検索設定(チャンク分割の方法など)によって回答精度が大きく変わるため、チューニングのノウハウが求められます。

こちらはChatGPTでハルシネーションを防ぐ方法について解説した記事です。 合わせてご覧ください。

n8n導入時によくあるつまずき(ノードの多さ、エラーハンドリングなど)

n8n導入時によくあるつまずきは、データ構造の理解に関するものです。

n8nのノード間は「JSON」という形式でデータが受け渡されます。

前のノードで取得した特定のデータ(例:メールアドレス)を後続のノードで正しく使うには、JSONの階層構造を理解し、n8n独自の「式(Expressions)」を使ってデータを正しく指定する必要があります。

また、「エラーハンドリング」の設計も重要です。

ワークフローは、APIの呼び出し失敗、連携先SaaSのダウン、想定外のデータ形式など、様々な理由で失敗する可能性があります。

エラーが発生した際に処理を停止するだけでなく、管理者に通知する、または別の処理に分岐する(エラーハンドリング)設定を組む必要がありますが、見落とされがちです。

実行ログの解読も、複雑なワークフローになると難易度が上がります。失敗時にログを見て原因を特定するスキルが求められます。

両ツールに共通するセルフホスト時の注意点

セルフホスト版を選択した場合、両ツールに共通する注意点があります。

最も重要なのは「リソース管理」です。

サーバーのCPU、メモリ、ストレージは有限です。Difyで大きなナレッジベースを扱う場合や、n8nで高頻度のワークフローを実行する場合、十分なサーバースペックが必要となり、リソース不足は動作不安定やパフォーマンス低下に直結します。

次に「セキュリティ」です。

サーバーをインターネットに公開する場合、ファイアウォール設定、OSやミドルウェアの定期的なセキュリティパッチ適用、不正アクセス監視は必須です。機密情報を扱う場合は特に厳重な管理が求められます。

最後に「アップデートの追従」です。

どちらのツールも活発に開発されており、新機能の追加やバグ修正が頻繁に行われます。セルフホスト版では、これらのアップデートを自力で適用していく必要があり、怠るとセキュリティリスクや機能の陳腐化につながります。

拡張性・コミュニティ・将来性で比較

ツールを中長期的に利用する上では、拡張性やコミュニティのサポート、開発の将来性も重要です。

  • 連携できるサービス(インテグレーション)の数
  • コミュニティの活発度と日本語情報の多さ
  • 開発ロードマップと将来性

サポート体制や将来の展望について比較します。

それでは、順に解説します。

連携できるサービス(インテグレーション)の数

この点においては、n8nが圧勝です。

n8nは「連携(Integration)」そのものを中核機能としており、標準で数百種類、コミュニティノードを含めると1,000を超えるSaaSやデータベースと連携可能です。

HTTP Requestノードを使えば、APIが公開されているサービスなら実質ほぼ全てと連携できます。

一方、Difyの連携は、主に「LLM(AIモデル)」と、「エージェントが使うツール(API)」が中心です。

n8nのようなSaaS間のデータ連携を主目的とした広範なインテグレーションは持っていません。

Difyの拡張性は、「AIにどのようなツール(機能)を使わせるか」という点にあります。

コミュニティの活発度と日本語情報の多さ

n8nは、グローバルでのコミュニティ(公式フォーラム、Discord)が非常に活発で、ワークフローのテンプレート共有や質問への回答が盛んに行われています。

日本語の情報についても、多くの技術ブログや活用事例の紹介記事が見つかり、比較的情報収集しやすい環境です。

Difyは、比較的新しいプロジェクト(特にオープンソース化以降)ですが、AIアプリ開発の分野で急速に注目を集めています。

GitHubのスター数やDiscordコミュニティは急速に成長しています。

日本語の情報も増えつつありますが、n8nに比べるとまだ発展途上な面もあります。ただし、AI分野のトレンドの中心にあるため、情報の増加スピードは非常に速いのが特徴です。

こちらはDifyの公式GitHubリポジトリです。コミュニティの活発度や最新の開発状況(ロードマップ)を確認できます。 合わせてご覧ください。 https://github.com/langgenius/dify

開発ロードマップと将来性

n8nは、ワークフロー自動化(iPaaS)市場において、特にセルフホスト可能なオープンソースツールとして確固たる地位を築いています。

継続的に連携先サービスの追加、UI/UXの改善、エンタープライズ向けの機能(権限管理など)強化が進められており、安定した将来性が見込まれます。

Difyは、LLMOps(LLMアプリの運用・開発)プラットフォームとして、現在最も注目されている分野の一つに位置しています。

OpenAIの最新モデル(GPT-5など)への迅速な対応、エージェント機能の強化、RAGの精度向上など、開発ロードマップはAI技術の最先端の進化と直結しています。

AIアプリ開発のデファクトスタンダードの一つになる可能性を秘めており、将来性は非常に高いと言えます。

【結論】あなたに合うのはどっち?n8nとDify目的別の選び方

これまでの比較を踏まえ、結局あなたの目的に合うのはn8nなのか、それともDifyなのか、選び方の結論をまとめます。

  • Difyをおすすめする人・目的
  • n8nをおすすめする人・目的
  • 両方の「併用」が最適なケースは?

自分自身の課題と照らし合わせて確認してみてください。

それでは、順に解説します。

Difyをおすすめする人・目的

以下のような人や目的には、Difyがおすすめです。

  • 「自社マニュアルやドキュメントを学習させたAIチャットボットを開発したい」人。
  • 「ChatGPT(GPT-5)やClaudeを使ったWebサービスや社内ツールを素早く作りたい」人。
  • 「RAGやAIエージェントといった最新のAI技術を手軽に試したい、またはビジネスに活用したい」人。
  • 「プロンプトのバージョン管理やABテストを効率的に行いたい」AIアプリ開発者。

結論として、あなたの目的が「AI(LLM)を中核に据えたアプリケーション開発」であるならば、Difyが最適です。

n8nをおすすめする人・目的

以下のような人や目的には、n8nがおすすめです。

  • 「複数のSaaS(Gmail, Slack, スプレッドシート, CRMなど)間でのデータ連携を自動化したい」人。
  • 「手動で行っている日次・週次のレポート作成やデータ入力といった定型作業をなくしたい」人。
  • 「APIを組み合わせて複雑なデータ処理パイプラインを構築したい」エンジニア。
  • 「セルフホストで、できるだけコストをかけずに社内の業務自動化を実現したい」人。

結論として、あなたの目的が「既存の業務プロセス(ワークフロー)の自動化と効率化」であるならば、n8nが最適です。

両方の「併用」が最適なケースは?

最も強力なのは、両方を併用するケースです。

例えば、「AIチャットボット(Dify)が受け付けた複雑な問い合わせやクレームを、n8nを使って基幹システム(CRMやERP)に自動で連携・起票したい」場合です。

また、「n8nで収集・加工した最新の市場データ(外部API)を、DifyのAIに渡して分析レポートをリアルタイムで生成させたい」場合も同様です。

「AI(Dify)による高度な判断」と「定型業務の確実な実行(n8n)」の両方が必要となる、高度な業務自動化を目指す場合には、両方の「併用」が最適解となります。

n8nとDifyに関するよくある質問(FAQ)

最後に、n8nとDifyに関してよく寄せられる質問とその回答をまとめました。

  • 両方とも無料で使い始められますか?
  • プログラミングの知識はどれくらい必要ですか?
  • Make (Integromat) やZapierとn8nはどう違いますか?
  • BubbleやVoiceflowとDifyはどう違いますか?

導入前の最後の疑問解消にお役立てください。

それでは、順に解説します。

両方とも無料で使い始められますか?

はい、どちらのツールも無料で使い始めることが可能です。

Difyは、機能制限のあるクラウド版のFreeプラン、またはオープンソースのセルフホスト版を利用することで無料で開始できます。

ただし、セルフホスト版であっても、Difyが呼び出すLLM(GPT-5など)のAPI利用料は、OpenAIなどのプロバイダー側に別途発生します。

n8nも、機能制限のあるクラウド版のStarterプラン(無料枠が提供されている場合)、またはセルフホスト版を利用することで無料で開始できます。

n8nのセルフホスト版は、ライセンス(Sustainable Use License)上、社内利用であれば実質無料で利用可能です。

プログラミングの知識はどれくらい必要ですか?

どちらも「ローコード」ツールであり、基本的なことはプログラミング不要(ノーコード)で行えます。

Difyは、基本的なAIチャットボットやRAGアプリの構築は、プログラミング知識はほぼ不要です。

ただし、エージェント機能で複雑な外部API(ツール)と連携させる場合は、APIの仕様(HTTP, JSON)を理解する知識が必要になります。

n8nも、基本的なSaaS間の連携(Aが起きたらBを実行)は、プログラミング知識は不要です。

ただし、複雑なデータの加工(JSONの操作)や、標準ノードにない処理を行う場合は、JavaScript(Codeノード)や式(Expressions)の知識があると、できることの幅が格段に広がります。

Make (Integromat) やZapierとn8nはどう違いますか?

これらはすべて「ワークフロー自動化(iPaaS)」ツールであり、n8nの直接的な競合相手です。

最大の違いは「セルフホストの選択肢」です。

ZapierやMakeは基本的にクラウドサービスとしてのみ提供されていますが、n8nはセルフホストが可能です。

これにより、n8nはコストを抑えやすい、またはデータを自社環境内に留めやすい(連携先が内部システムの場合)という大きな利点があります。

機能面では、n8nはMakeと同様に複雑なロジック(分岐、ループ)を視覚的に組みやすい一方、ZapierはUIがシンプルで設定が簡単な点に強みがあります。

BubbleやVoiceflowとDifyはどう違いますか?

これらはDifyと目的が近い、または補完しあうツールです。

Bubbleは、ノーコードの「Webアプリケーション」開発プラットフォームです。

Difyが「AI機能(バックエンド)」の構築に特化しているのに対し、Bubbleはデータベース、UI、ロジック全体を含めたWebアプリそのものを構築できます。DifyでAIバックエンドを作り、Bubbleでフロントエンドを作るという組み合わせも有効です。

Voiceflowは、主に「会話型AI(音声・チャット)」の設計・開発に特化したプラットフォームです。

Difyと目的は似ていますが、Voiceflowはより複雑な対話フローの設計やマルチモーダル(音声、画像など)対応に強みを持つ場合があります。

Difyは、これらの中でも特に「LLM(大規模言語モデル)」の機能を活用したRAGやエージェント開発に焦点を当てた、LLMOpsプラットフォームとしての側面が強いツールです。

【警告】ChatGPTはあなたの「脳をサボらせる」かもしれない

「ChatGPTに任せれば、頭を使わなくて済む」——。もしそう思っていたら、少し危険なサインです。MITの研究によると、ChatGPTを使って文章を作った人は、自力で考えた人に比べて脳の活動が半分以下に低下することがわかりました。

これは、脳が考えることをAIに丸投げしてしまう「思考の外部委託」が起きている証拠です。この状態が続くと、次のようなリスクが考えられます。

  • 深く考える力が衰える: AIの答えを鵜呑みにし、「本当にそうかな?」と疑う力が鈍る。
  • 記憶が定着しなくなる: 楽して得た情報は、脳に残りづらい。
  • アイデアが湧かなくなる: 脳が「省エネモード」に慣れてしまい、自ら発想する力が弱まる。

便利なツールに頼るうち、気づかぬ間に、本来持っていたはずの「考える力」が失われていく可能性があるのです。

引用元:

MITの研究者たちは、大規模言語モデル(LLM)が人間の認知プロセスに与える影響について調査しました。その結果、LLM支援のライティングタスクでは、人間の脳内の認知活動が大幅に低下することが示されました。(Shmidman, A., Sciacca, B., et al. “Does the use of large language models affect human cognition?” 2024年)

【実践】AIを「脳のジム」に変える東大式の使い方

では、「賢くなる人」はChatGPTをどう使っているのでしょうか?答えはシンプルです。彼らはAIを「答えを出す機械」ではなく、「思考を鍛えるパートナー」として利用しています。ここでは、誰でも今日から真似できる3つの「賢い」使い方をご紹介します。

使い方①:最強の「壁打ち相手」にする

自分の考えを深めるには、反論や別の視点が不可欠です。そこで、ChatGPTをあえて「反対意見を言うパートナー」に設定しましょう。

魔法のプロンプト例:

「(あなたの意見や企画)について、あなたが優秀なコンサルタントだったら、どんな弱点を指摘しますか?最も鋭い反論を3つ挙げてください。」

これにより、一人では気づかできなかった思考の穴を発見し、より強固な論理を組み立てる力が鍛えられます。

使い方②:あえて「無知な生徒」として教える

自分が本当にテーマを理解しているか試したければ、誰かに説明してみるのが一番です。ChatGPTを「何も知らない生徒役」にして、あなたが先生になってみましょう。

魔法のプロンプト例:

「今から『(あなたが学びたいテーマ)』について説明します。あなたは専門知識のない高校生だと思って、私の説明で少しでも分かりにくい部分があったら、遠慮なく質問してください。」

AIからの素朴な質問に答えることで、自分の理解度の甘い部分が明確になり、知識が驚くほど整理されます。

使い方③:アイデアを無限に生み出す「触媒」にする

ゼロから「面白いアイデアを出して」と頼むのは、思考停止への第一歩です。そうではなく、自分のアイデアの“種”をAIに投げかけ、化学反応を起こさせるのです。

魔法のプロンプト例:

「『(テーマ)』について考えています。キーワードは『A』『B』『C』です。これらの要素を組み合わせて、今までにない斬新な企画の切り口を5つ提案してください。」

AIが提案した意外な組み合わせをヒントに、最終的なアイデアに磨きをかけるのはあなた自身です。これにより、発想力が刺激され、創造性が大きく向上します。

まとめ

企業は労働力不足や業務効率化の課題を抱える中で、n8nやDifyのようなツールの活用も含め、AI活用や業務自動化がDX推進や業務改善の切り札として注目されています。

しかし、実際には「どこから手を付ければいいかわからない」「社内にAIリテラシーを持つ人材がいない」といった理由で、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。

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