「紙の書類を手入力でデータ化するのは時間がかかりすぎる…」
「画像内の文字をすぐにテキスト化して編集したいけれど、どのツールを使えばいいかわからない」
「無料のOCRソフトを使ってみたけど、日本語の認識精度が低くて結局手直しが必要だった」
こういった悩みを持っている方も多いのではないでしょうか?
経費精算のレシートや会議のホワイトボード、過去の紙資料など、ビジネスや日常生活でアナログな文字情報をデジタル化したいシーンは頻繁に訪れます。
技術の進歩により、現在では有料ソフトに匹敵する高精度なAI OCRが無料で利用できるようになってきました。
本記事では、手書き文字にも対応した高性能なツールや、インストール不要ですぐに使えるブラウザ型ツール、セキュリティに優れたオフライン対応ソフトなど、目的別に厳選した18選をご紹介します。
長年ITツールの導入支援を行ってきた筆者が、実際に検証して「本当に使える」と判断したものだけをピックアップしました。
この記事を読めば、あなたの用途に最適なAI OCRフリーソフトが見つかり、面倒な文字入力作業から解放されるはずです。ぜひ最後までご覧ください。
失敗しないAI OCRフリーソフトの選び方
ここからは、数あるAI OCRフリーソフトの中から、自分に最適なツールを選ぶための4つの基準を解説します。
- 日本語の「手書き文字」の認識精度で選ぶ
- 対応デバイス(PCソフト・ブラウザ・スマホアプリ)で選ぶ
- セキュリティ(ローカル処理かクラウドか)で選ぶ
- 出力形式(Excel・Word・テキスト)の互換性で選ぶ
単に「無料だから」という理由だけで選んでしまうと、後から文字化けの修正に時間を取られたり、重要なデータを危険に晒してしまったりするリスクがあります。
それぞれのポイントを詳しく見ていきましょう。
日本語の「手書き文字」の認識精度で選ぶ
AI OCRフリーソフトを選ぶ上で最も重要なのが、日本語特有の「手書き文字」をどれだけ正確に認識できるかという点です。
英語などのアルファベットと異なり、日本語には漢字、ひらがな、カタカナが混在しており、さらに縦書きや独特の崩し字が存在するため、海外製の汎用的なOCRツールでは誤認識が多発することがあります。
特に、画数の多い漢字や、行書体のような崩れた文字を読み取る場合、従来のパターンマッチング方式のOCRでは限界がありました。
しかし、近年のディープラーニング技術を活用したAI OCRであれば、文脈を解析しながら文字を推測するため、人間が読んでも判別しにくい文字さえも高精度にデータ化できるケースが増えています。
例えば、請求書やアンケート用紙など、定型フォーマットの中に手書き文字が記入されている書類を扱う場合は、AIが罫線を無視して文字だけを抽出できる機能があるかどうかもチェックポイントになります。
また、縦書きの古文書や手紙などをデータ化したい場合は、縦書き対応を明記している日本国産のエンジンを搭載したツールを選ぶのが賢明です。
精度が低いツールを選んでしまうと、結果的に目視確認と手入力による修正作業が発生し、業務効率化の本末転倒になってしまいます。
まずは無料トライアルやデモ版で、実際に自分が読み取りたい手書き書類をテストし、実用レベルの精度があるかを確認することをおすすめします。
長年OCR技術のスタンダードとして利用されてきたオープンソースエンジンについては、こちらのリポジトリで詳細を確認できます。 https://github.com/tesseract-ocr/tesseract
対応デバイス(PCソフト・ブラウザ・スマホアプリ)で選ぶ
利用するシチュエーションに合わせて、どのデバイスでOCR機能を使うかを決めることも非常に大切です。
オフィスで大量の書類をスキャンして一括処理したい場合と、外出先で名刺やメモをサッとデータ化したい場合では、最適なツールが全く異なります。
PCにインストールして使うデスクトップアプリ型は、動作が安定しており、大量のPDFファイルなどを一括でドラッグアンドドロップして処理するのに向いています。
インターネット環境が不安定な場所でも作業ができるものや、スキャナーと直接連携できるものも多く、事務作業の効率化をメインに考えるならPCソフト型が第一候補になるでしょう。
一方で、ブラウザ完結型のWebツールは、ソフトのインストールが不要なため、会社のセキュリティポリシーで勝手なソフト導入が禁止されている場合や、急ぎで1枚だけ画像をテキスト化したい場合に非常に便利です。
OSを選ばずにMacでもWindowsでも使える点や、Chromebookなどのタブレット端末でも利用できる点が大きなメリットです。
ただし、毎回ファイルをアップロードする手間がかかるため、頻繁な利用には不向きな場合もあります。
スマホアプリ型は、カメラ機能と連動しているため、手元の書類を撮影してその場ですぐにテキスト変換できる即時性が魅力です。
Googleレンズなどが代表的ですが、会議後のホワイトボードや、出張先でのレシート処理など、モバイルワーク中心の方にはスマホアプリ型が最も適しています。
自分のワークスタイルを振り返り、どのデバイスで作業することが多いかを考えてツールを選定しましょう。
セキュリティ(ローカル処理かクラウドか)で選ぶ
AI OCRフリーソフトを利用する際、見落としがちですが極めて重要なのがセキュリティの観点です。
OCR処理を行う仕組みには、大きく分けて「クラウド型」と「ローカル(インストール)型」の2種類があり、扱う情報の機密レベルによって使い分ける必要があります。
クラウド型は、アップロードされた画像をサーバー上でAIが解析するため、最新の高性能なエンジンを利用でき、認識精度が非常に高いのが特徴です。
しかし、その反面、データがいったん外部のサーバーに送信されることになるため、情報漏洩のリスクがゼロではありません。
多くの無料Webサービスでは、利用規約において「アップロードされたデータはAIの学習目的で利用される場合がある」と明記されていることがあります。
そのため、個人情報が含まれる顧客リストや、企業の機密情報が記載された契約書などを安易に無料のクラウドOCRにアップロードするのは避けるべきです。
一方で、ローカル型(オフライン型)は、PC内部で処理が完結するため、データが外部に流出する心配がありません。
インターネット接続が不要なため、セキュリティポリシーが厳しい企業や自治体などでも安心して利用できます。
ただし、PCのスペックに依存するため処理速度が遅くなったり、クラウド型に比べて最新のAIモデルの恩恵を受けにくく精度がやや劣ったりする傾向があります。
機密情報を扱う場合はローカル型を選び、一般的な公開情報や社内資料程度であれば利便性の高いクラウド型を選ぶなど、データの重要度に応じて使い分けるリテラシーが求められます。
特に機密情報を扱う際のAI利用リスクについては、生成AIの企業利用リスクとは?対策や注意点を徹底解説の記事で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
出力形式(Excel・Word・テキスト)の互換性で選ぶ
読み取ったデータをその後どのように活用するかによって、必要な出力形式も変わってきます。
単にメモとしてテキストが残れば良いのであれば、プレーンテキスト形式(.txt)で出力できれば十分ですが、多くのビジネスシーンでは、読み取った後の「編集」や「再利用」が前提となります。
例えば、紙の表組みデータをExcelで集計し直したい場合、文字だけが羅列されたテキストデータでは、セルごとに値を貼り付け直す膨大な手間が発生します。
このような場合は、表の構造(罫線やセル配置)を維持したままExcel形式(.xlsx)で出力できるOCRツールが必要です。
高性能なAI OCRであれば、複雑な表組みでもセルの位置関係を認識し、再現性の高いExcelファイルを生成してくれます。
また、契約書やマニュアルなどの文書を再編集したい場合は、Word形式(.docx)への変換機能が必須です。
段落や見出し、フォントサイズなどのレイアウト情報を保持したままWordファイルに変換できれば、一から書類を作り直す手間を大幅に削減できます。
さらに、透明テキスト付きPDF(サーチャブルPDF)として出力できる機能があれば、スキャンした画像データ上の文字を検索可能にできるため、文書管理の効率が劇的に向上します。
無料ツールの中には、出力形式がテキストのみに限定されていたり、Excel変換時のレイアウト崩れが激しかったりするものもあります。
導入後の修正作業を減らすためにも、自分の目的に合ったファイル形式で、かつレイアウトを維持して出力できるツールを選びましょう。
最新の技術では、文書のレイアウト解析や読み順の特定に特化した高性能なモデルも開発されています。 https://github.com/VikParuchuri/surya
【基本無料】期間制限なしで使えるおすすめAI OCRフリーソフト・ツール
ここでは、期間制限を気にすることなく、基本機能を無料で使い続けられるおすすめのAI OCRツールを紹介します。
- Googleドライブ(Googleドキュメント)
- Googleレンズ
- Microsoft OneNote
- User Local 無料手書きOCR
- Light PDF
- Renee PDF Aide
これらは個人のちょっとした作業から、コストをかけられないプロジェクトまで幅広く活用できる優秀なツールばかりです。
それぞれの特徴や使い方のコツを解説します。
Googleドライブ(Googleドキュメント)【定番・高精度】
Googleドライブに搭載されているOCR機能は、世界中のユーザーデータを学習しているGoogleのAIエンジンを利用しているため、無料とは思えないほど極めて高い認識精度を誇ります。
特別なソフトをインストールする必要はなく、Googleアカウントさえあれば誰でもすぐに利用できる手軽さが最大の魅力です。
使い方は非常にシンプルで、Googleドライブに画像ファイル(JPEG、PNG)やPDFファイルをアップロードし、そのファイルを右クリックして「アプリで開く」から「Googleドキュメント」を選択するだけです。
数秒から数十秒程度の処理時間の後、元の画像が貼り付けられたドキュメントの下に、抽出されたテキストデータが表示されます。
日本語の認識はもちろん、英語や多言語が混ざった文書でも高い精度でテキスト化してくれるため、翻訳作業の前段階としても重宝します。
特に優れている点は、縦書きの日本語文章でも自動的に認識し、横書きのテキストとして出力してくれることです。
ただし、複雑なレイアウトや表組みの再現性はそこまで高くなく、あくまで「文字情報の抽出」に特化していると考えた方が良いでしょう。
画像内のフォントサイズや色などの情報は失われ、標準的なテキストスタイルに変換されるため、デザインをそのまま保持したい場合には向きません。
また、一度に処理できるファイルサイズやページ数には上限があるため、数百ページに及ぶ書籍などを一気に変換するのには適していませんが、日常的な書類のデータ化には十分すぎる性能を持っています。
GoogleのAI技術を活用した業務効率化については、Geminiで業務効率化!明日から使える活用事例30選とプロンプト集も合わせてご覧ください。
Googleレンズ【スマホ・即時テキスト化】
スマートフォンで手軽にOCRを利用したい場合、Googleレンズの右に出るツールは今のところ存在しないと言っても過言ではありません。
Android端末には標準搭載されていることが多く、iPhoneでもGoogleアプリやGoogleフォトアプリを通じて利用可能です。
カメラを起動して書類や文字にかざすだけで、リアルタイムに文字を認識し、テキストとしてコピーしたり、翻訳したり、PCに送信したりすることができます。
このツールの最大の強みは、その圧倒的なスピードと「現実世界とのリンク」です。
例えば、手書きのメモを撮影して「パソコンにコピー」機能を使えば、スマホで読み取ったテキストが、同じGoogleアカウントでログインしているPCのクリップボードに即座に転送され、そのままWordなどに貼り付けることが可能です。
この機能は、アナログなメモ書きをデジタル化して資料作成する際の時短テクニックとして非常に強力です。
また、認識した文字に含まれる電話番号から直接電話をかけたり、住所から地図を開いたり、日付からカレンダー登録を行ったりと、単なる文字認識を超えたアクションに繋げられるのもGoogleレンズならではの特徴です。
手書き文字の認識精度も年々向上しており、多少の癖字であっても文脈判断により正確に読み取ってくれます。
大量の文書を一括処理するのには向きませんが、手元の情報を「今すぐ」デジタル化したいシーンでは最強のツールと言えます。
Microsoft OneNote【Windows標準・画像貼り付け】
Windows PCを利用しているユーザーにとって、意外と知られていないものの非常に便利なのがMicrosoft OneNoteのOCR機能です。
OneNoteはデジタルノートアプリとして普及していますが、実は貼り付けた画像の文字情報をバックグラウンドで自動的に読み取る機能を備えています。
Officeスイートの一部としてインストールされている場合が多く、追加のソフト導入が不要な点がメリットです。
利用方法は、OneNoteのページ上に画像やPDFのプリントアウトを貼り付け、画像を右クリックして「画像からテキストをコピー」を選択するだけです。
これにより、クリップボードにテキストが保存されるため、あとは好きな場所に貼り付けるだけでデータ化が完了します。
特に、ホワイトボードを撮影した写真や、スクリーンショットなど、画像として保存してあるメモ書きをテキスト化して整理するのに適しています。
OneNoteの強みは、ノートアプリとしての検索機能とOCRが統合されている点です。
画像内の文字も検索対象になるため、「あの会議のホワイトボードの画像、どこに貼ったかな?」という時でも、画像内に書かれていたキーワードで検索すれば一発で該当ページを見つけ出すことができます。
ただし、Googleドライブなどに比べると認識精度に若干のばらつきがあり、特に画質の悪い画像や複雑な手書き文字の場合は誤認識することもあります。
それでも、オフライン環境でも動作する場合が多く(バージョンによる)、日常のメモ管理の中で自然にOCRを活用できるツールとして非常に優秀です。
User Local 無料手書きOCR【ブラウザ完結・登録不要】
ユーザーローカル社が提供する「手書きOCR」は、その名の通り手書き文字の認識に特化したブラウザ型の無料ツールです。
このツールの最大の特徴は、会員登録やログインが一切不要で、Webサイトにアクセスして画像をドラッグアンドドロップするだけですぐに結果が得られるという手軽さにあります。
多くの無料ツールがアカウント作成を求めてくる中で、完全に匿名ですぐに使える点は、急いでいる時や個人情報を登録したくないユーザーにとって大きなメリットです。
ディープラーニング技術を活用したAIが搭載されており、手書きのひらがな、カタカナ、漢字だけでなく、数字や記号も高い精度で読み取ることができます。
特に、アンケート用紙や申込書のような、枠内に手書きされた文字を読み取るシーンを想定して開発されているため、一般的な活字OCRソフトでは読み取りにくい癖のある文字でも認識してくれることが多いです。
読み取った結果はその場でテキストボックスに表示され、誤認識があった場合でも画面上で簡単に修正してからコピーすることができます。
ただし、一度にアップロードできるのは1ファイルのみで、大量のファイルをバッチ処理する機能はありません。
また、ブラウザ上で動作するため、インターネット接続が必須となります。
利用規約には、アップロードされたデータは解析後に削除される旨や、学習データとしての利用に関する記述がある場合があるため、利用前には必ず最新の規約を確認し、機密性の高い重要書類のアップロードは慎重に行う必要があります。
個人利用や、機密情報を含まない手書きメモのテキスト化には最適なツールです。
Light PDF【PDF変換に特化】
Light PDFは、PDFファイルの編集や変換に特化したオンラインツール群の一つで、その中に強力なOCR機能が含まれています。
ブラウザベースで動作し、PDFファイルをWord、Excel、PPT、TXTなどの編集可能な形式に変換することができます。
このツールの特徴は、単に文字を抽出するだけでなく、元のPDFのレイアウトを極力維持しようとする点にあります。
多くの無料OCRツールがテキストデータのみを抽出してレイアウトを崩してしまうのに対し、Light PDFは表組みや画像の配置などを解析し、WordやExcelに変換した後も元の見た目を保つように処理してくれます。
そのため、紙の資料をスキャンして作成されたPDFを、もう一度編集可能なWordファイルに戻したいといったニーズに最適です。
VIP会員(有料)向けの高精度モードもありますが、無料版でも日常的な用途には十分な精度を持っています。
また、多言語対応しており、日本語だけでなく英語や中国語などが混在したドキュメントでも言語を指定して認識させることが可能です。
サイトのインターフェースもシンプルで使いやすく、広告が過剰に表示されることもないため、ストレスなく作業できます。
ただし、無料版ではファイルサイズや1日に処理できる回数に制限がかかる場合があるため、大量の文書を処理したい場合は注意が必要です。
インストール版のソフトウェアも提供されていますが、まずは手軽なオンライン版でその変換精度を試してみることをおすすめします。
Renee PDF Aide【オフライン対応】
Renee PDF Aideは、PCにインストールして使用するタイプのPDF変換ソフトで、無料版(試用版・ページ数制限などあり)でも強力なOCR機能を利用することができます。
このソフトの最大の利点は、完全にオフラインで動作するため、インターネット環境がない場所でも使用でき、かつデータを外部サーバーに送信する必要がないというセキュリティ上の安心感です。
企業の内部文書や顧客情報など、クラウドにアップロードすることが憚られる機密情報を扱う場合には、このようなローカル型のツールが必須となります。
OCR機能は、スキャンされたPDFや画像ファイルを、編集可能なテキスト、Word、Excel、PowerPoint、HTMLなどの形式に変換することができます。
複数のファイルをリストに追加して一括で変換処理を行うバッチ処理機能も備えており、大量の資料をまとめてデータ化したい場合に非常に効率的です。
また、特定のページだけを指定して変換することも可能で、必要な部分だけを素早く抽出したい時にも便利です。
無料版では、変換できるページ数や機能の一部に制限がある場合がありますが、基本的なOCR性能を確認するには十分です。
認識エンジンは多言語に対応しており、設定で読み取り言語を選択することで精度を高めることができます。
インストール型ソフトならではの安定した動作と処理速度も魅力で、重いPDFファイルでもブラウザ型のようにアップロードやダウンロードの待ち時間が発生せず、サクサクと処理を進めることができます。
セキュリティと作業効率の両立を求めるユーザーにおすすめのツールです。
また、オープンソースで開発されている無料かつ高機能なオフラインOCRツールも存在します。興味のある方はチェックしてみてください。 https://github.com/hiroi-sora/Umi-OCR
【無料体験・制限あり】法人レベルの高精度なAI OCRフリープラン
ここからは、本来は有料の法人向けサービスでありながら、無料トライアルや機能制限付きのフリープランを提供している高機能AI OCRを紹介します。
ビジネスで本格的に導入を検討している場合や、フリーソフトでは満足できない高い精度を求める場合におすすめです。
- LINE WORKS OCR(旧CLOVA OCR)
- SmartRead
- AI JIMY Paperbot
- DX Suite
- AIRead
- Azure AI Vision
これらのツールは、特に「手書き文字」や「複雑な帳票」の読み取りにおいて圧倒的なパフォーマンスを発揮します。
それぞれの特徴と無料枠の範囲について解説します。
LINE WORKS OCR(旧CLOVA OCR)【世界最高レベルの認識率】
LINE WORKS OCR(旧称:CLOVA OCR)は、LINEのAI技術を結集して開発された、世界最高レベルの認識精度を誇るAI OCRです。
国際的な文書解析認識のコンペティションでも数々の部門で1位を獲得した実績があり、特に日本語の手書き文字認識においては他を圧倒する性能を持っています。
丸文字や斜体に加え、訂正印が押された文字や、枠からはみ出した文字でさえも、文脈を理解して正しく読み取ることができる点は驚異的です。
このサービスは主にAPIとして提供されており、開発者向けの色合いが強いですが、デモページやLINE WORKSの機能の一部として体験することが可能です。
特に、「定型帳票」だけでなく、請求書やレシートのように発行元によってレイアウトが異なる「非定型帳票」でも、どこに日付があり、どこに合計金額があるかをAIが自動で判断して抽出してくれます。
これにより、経理業務などの自動化において絶大な威力を発揮します。
無料での利用に関しては、LINE WORKSのフリープラン内での利用や、APIの無料トライアル枠などが用意されています。
APIを利用すれば、自社のシステムやアプリにこの高性能なOCR機能を組み込むことも可能です。
設定や導入には多少のIT知識が必要になる場合がありますが、精度の低さに悩んでいるなら、まず最初に試すべき最高峰のエンジンです。
手書きの日本語をここまで正確にデジタル化できる技術は、業務効率を劇的に改善する可能性を秘めています。
ChatGPTなど他の生成AIツールの導入については、ChatGPT企業向け導入ガイド!料金、セキュリティ、活用事例、サービス14選を網羅解説の記事も参考にしてください。
SmartRead【仕訳データ作成まで自動化】
SmartReadは、単なる文字認識にとどまらず、読み取った後のデータ活用までを見据えた高機能なAI OCRサービスです。
特にバックオフィス業務の効率化に特化しており、請求書や領収書などをスキャンするだけで、会計ソフトにそのまま取り込める形式の仕訳データを作成してくれる機能が強力です。
AIが書類の種類(請求書、納品書、領収書など)を自動で判別し、適切な項目(取引先名、日付、金額、税区分など)を抽出してくれます。
このツールの特徴は、事前定義(テンプレート設定)が不要な「非定型読み取り」の精度の高さです。
従来のOCRでは、取引先ごとに異なるフォーマットの請求書を読み取るために、一つひとつ読み取り箇所を指定する設定作業が必要でしたが、SmartReadのAIはその手間を不要にします。
初めて見るレイアウトの書類でも、AIが「ここが金額だろう」「これが日付だろう」と推論してデータを構造化してくれます。
無料トライアル期間が設けられており、実際の業務フローの中でどれだけ工数を削減できるかを検証することができます。
確認・修正画面のUIも優れており、AIが自信なさげに読み取った箇所はアラート表示されるため、人間は怪しい部分だけをチェックすれば良く、目視確認の時間を最小限に抑えられます。
経理担当者や事務作業の負担を減らしたい企業にとって、非常に実践的な選択肢となるでしょう。
AI JIMY Paperbot【書類ごとの仕分けも可能】
AI JIMY Paperbotは、中小企業でも導入しやすい価格帯と使いやすさを重視したAI OCRソフトです。
デスクトップアプリとして動作するため、スキャナーと連携して複合機から取り込んだデータをフォルダに保存するだけで、自動的にOCR処理を開始させることができます。
このツールのユニークな点は、文字認識だけでなく「書類の自動仕分け」機能を持っていることです。
例えば、スキャナーで請求書、注文書、アンケートなどが混ざった束を一括スキャンしたとしても、AI JIMYがファイルの内容を解析し、「これはA社の請求書」「これはB社の注文書」といった具合に、指定したフォルダへ自動的に振り分けて保存してくれます。
ファイル名のリネームも自動化できるため、「20251201_株式会社〇〇御中_請求書.pdf」のような規則的なファイル名を自動で付与することも可能です。
これにより、データ入力作業だけでなく、ファイリングや文書管理の手間も同時に削減できます。
無料体験版では、機能の一部や処理枚数に制限はありますが、実際の操作感や認識精度を十分に確認することができます。
操作画面が直感的でわかりやすく、IT専門の担当者がいないオフィスでも現場のスタッフだけで運用を開始できるハードルの低さが魅力です。
RPA(ロボットによる業務自動化)ツールとも相性が良く、業務自動化の入り口として最適なツールの一つです。
DX Suite【シェアNo.1の実力】
DX Suiteは、日本国内のAI OCR市場において圧倒的なシェアを誇る、まさに業界のスタンダードとも言えるサービスです。
AI inside社が開発した文字認識エンジン「NX」を搭載しており、手書き文字の認識率は96%以上とも言われています。
大量の帳票処理を行う大企業や自治体での導入実績が豊富で、その信頼性と安定性は折り紙付きです。
DX Suiteの強みは、ユーザーが直感的に使えるインターフェースと、継続的なAIの学習による精度向上です。
「Intelligent OCR」と呼ばれる機能では、読み取りたい帳票の画像をアップロードし、読み取りたい箇所をマウスで囲むだけで設定が完了します。
チェックボックスや丸囲み文字、訂正印による修正など、日本の書類特有の複雑な記述ルールにも細かく対応しています。
また、読み取ったデータが正しいかどうかを確認するベリファイ画面も使いやすく設計されており、誰でも簡単に補正作業が行えます。
基本的には有料の法人向けサービスですが、期間限定の無料トライアルキャンペーン(DX Suite Liteなど)を実施していることがあります。
導入コストは他のツールに比べて高めになる場合がありますが、大量の紙書類を処理する必要がある現場では、その費用対効果は計り知れません。
「Elastic Sorter」という機能を使えば、異なるフォーマットの書類をまとめてスキャンしても自動で仕分けしてくれるため、事前の準備作業も大幅に短縮できます。
本気でペーパーレス化を進めたい組織にとって、検討から外すことのできない最有力候補です。
AIRead【オンプレミス対応も可能】
AIReadは、クラウド版だけでなく、自社サーバー内に構築する「オンプレミス版」も提供している点が大きな特徴のAI OCRソリューションです。
金融機関や医療機関、官公庁など、極めて機密性の高い個人情報を扱う組織では、データを外部クラウドに送信することが許されないケースがあります。
AIReadはそのような厳しいセキュリティ要件に対応できる数少ないAI OCRの一つです。
機能面では、定型・非定型・全文読み取りのすべてに対応しており、活字と手書き文字が混在した書類でも高精度にデジタル化できます。
特に、手書き文字の認識には、CNN(畳み込みニューラルネットワーク)やLSTM(Long Short-Term Memory)などの最新のディープラーニング技術を採用しており、学習機能によって使えば使うほど精度が向上していく仕組みを持っています。
また、OCRで読み取ったデータをRPAや基幹システムと連携させるための機能も充実しており、業務フロー全体の自動化を支援します。
無料トライアル版(クラウド版)が用意されており、手書き文字の認識精度や操作性を確認することができます。
スタンドアロン型(PC1台で完結するタイプ)のプランもあるため、まずは特定の部署や担当者だけで小さく導入し、効果を確認してから全社展開するといったスモールスタートもしやすい製品です。
セキュリティポリシー上、クラウドサービスの利用が難しい企業にとっては、救世主のような存在になるでしょう。
AI OCRにも使われる生成AIの導入手順について、生成AI導入の完全ガイド|手順・メリット・成功事例まで徹底解説で詳しく解説しています。合わせてご覧ください。
Azure AI Vision【開発者・エンジニア向け】
Azure AI Vision(旧 Computer Vision)は、Microsoftが提供するクラウドプラットフォーム「Azure」の一部として利用できるAIサービスです。
これはエンドユーザー向けの完成されたソフトというよりは、システム開発者やエンジニアが自社のアプリやサービスにOCR機能を組み込むためのAPIとして提供されています。
しかし、その実力は凄まじく、最新のGPT-4Vや将来的にはGPT-5といったOpenAIの技術とも連携可能な、最先端の画像認識能力を利用できます。
Azure AI VisionのOCR機能は「Read API」と呼ばれ、日本語を含む多言語の手書き・活字テキストを高精度に抽出します。
特に、画像内のテキストの位置関係や行の構造を正確に把握する能力に長けており、写真の中に写り込んだ看板の文字や、斜めに撮影された書類など、悪条件下での認識に強いのが特徴です。
また、単なる文字認識だけでなく、画像の内容説明(キャプション生成)や物体検出など、他のAI機能と組み合わせて利用できる拡張性も魅力です。
Azureの無料アカウントを作成することで、毎月一定量(例えば月5000トランザクションなど、プランによる)まで無料でAPIを呼び出すことができるため、個人開発者や小規模なプロジェクトであれば実質無料で使い続けることも可能です。
プログラミングの知識が必要となるため、一般の事務担当者にはハードルが高いですが、社内エンジニアがいる場合や、自作のツールで自動化を行いたい場合には、コストパフォーマンス最強の選択肢となります。
世界最高峰のMicrosoft AI技術を、従量課金の安価な設定(または無料枠)で利用できる点は大きなメリットです。
Microsoftは、Hugging FaceなどのプラットフォームでもTransformerベースの高性能なOCRモデルを公開しています。 https://huggingface.co/microsoft/trocr-base-printed
【用途別】こんなシーンにはこの無料AI OCRがおすすめ
ここまで多くのツールを紹介してきましたが、「結局どれを使えばいいの?」と迷ってしまう方もいるかもしれません。
そこで、具体的な利用シーン別に、最もおすすめできる無料AI OCRツールを提案します。
- レシート・領収書を読み取りたい場合
- 名刺を大量にデータ化したい場合(Eight / myBridge)
- 海外の論文や文献を翻訳しながら読み取りたい場合
- スクリーンショットの一部を即座にテキスト化したい場合
自分の目的にピンポイントで合うツールを選ぶことで、作業効率は格段に上がります。
レシート・領収書を読み取りたい場合
経費精算のためにレシートや領収書をデータ化したいなら、「LINE WORKS OCR(のレシート特化機能)」や、家計簿アプリ系のOCR機能、または「SmartRead」のトライアルがおすすめです。
レシートは紙が薄く、印字がかすれていたり、丸まっていたりすることが多いため、汎用的なOCRでは誤認識しやすい対象です。
しかし、レシート特化型のエンジンを持つツールであれば、「日付」「合計金額」「店名」「品目」などを項目ごとに自動で認識してくれます。
個人利用であれば、無料の家計簿アプリ(Zaimやマネーフォワードなど)に搭載されているレシート撮影機能を使うのが最も手軽で高精度です。
これらは数百万枚のレシートデータを学習しているため、驚くほどの精度で内容を読み取ってくれます。
業務利用でCSV出力などが必要な場合は、SmartReadのような会計特化型AI OCRの無料枠を活用すると、Excelへの転記作業がほぼゼロになります。
名刺を大量にデータ化したい場合(Eight / myBridge)
溜まってしまった名刺を整理したいなら、汎用のOCRソフトを使うよりも、名刺管理に特化した無料アプリ「Eight」や「myBridge」を使うのが正解です。
これらのアプリは、AIによる文字認識に加え、オペレーターによる手入力補正(無料版でも枚数制限付きなどで提供される場合あり)を組み合わせていることが多く、ほぼ100%に近い精度でデータ化されます。
スマホで名刺を撮影するだけで、会社名、氏名、電話番号、メールアドレスなどが自動で連絡先データとして登録されます。
特に「myBridge」は、LINEの親会社が提供しており、すべての機能を無料で使える(広告なし、枚数制限なしなどのキャンペーン時)ことが多く、CSV出力機能も無料で利用できる場合があるため、ビジネスパーソンに強くおすすめできます。
汎用OCRで名刺を読み取ると、ロゴマークを文字として誤認識したり、レイアウト崩れが起きたりして修正が大変ですが、専用アプリならその心配はありません。
海外の論文や文献を翻訳しながら読み取りたい場合
英語や中国語などの海外文献を読み取り、同時に日本語に翻訳して理解したい場合は、「Googleドライブ(Googleドキュメント)」または「Googleレンズ」が最適です。
GoogleのOCRは多言語対応において他を圧倒しており、100以上の言語を認識可能です。
PCでPDFの論文を読むなら、Googleドライブにアップロードしてドキュメントで開けば、一瞬でテキスト化され、そのままGoogle翻訳機能を使って全文翻訳にかけることができます。
図書館などで紙の本をその場で読みたいなら、スマホのGoogleレンズをかざして「翻訳」フィルターを使えば、紙面の上の外国語が、AR(拡張現実)のように日本語に書き換わって表示されます。
この体験は魔法のようであり、学習や研究の効率を飛躍的に高めてくれます。
また、「DeepL」のデスクトップアプリにも画像内の文字を認識して翻訳する機能があり、より自然な翻訳を求める場合はそちらとの併用もおすすめです。
少し特殊な用途ですが、日本のマンガ翻訳などのために開発された、縦書きや吹き出し文字に強いOCRプロジェクトもあります。 https://github.com/kha-white/manga-ocr
スクリーンショットの一部を即座にテキスト化したい場合
Web会議中の画面共有や、コピーできないWebサイトの文字、動画の中のテロップなど、PC画面上の「画像」として表示されている文字をテキスト化したい場合は、「PowerToys Text Extractor」や「LINE」のPC版機能が便利です。
Windowsユーザーであれば、Microsoft公式のユーティリティツール「PowerToys」に含まれる「Text Extractor」をインストールしておくと、「Windowsキー + Shift + T」のショートカット一発で、画面の指定範囲をOCRし、クリップボードにコピーできます。
まるでスクリーンショットを撮るような感覚でテキストを抜き出せるため、作業の流れを止めません。
また、PC版LINEの「画面キャプチャ」機能にもOCRボタンがついており、キャプチャした画像の文字を解析してコピーや翻訳ができます。
常駐させておくと、ふとした瞬間の「文字起こし」に役立つツールです。
AI OCRの「無料版」と「有料版」の決定的な違い
無料ソフトと有料ソフト(または有料プラン)の間には、単なる機能の有無だけでなく、ビジネス利用における決定的な違いが存在します。
「とりあえず無料版でいいや」と安易に導入する前に、以下のリスクや制限を理解しておくことが大切です。
- 読み取り枚数とファイルサイズの上限
- セキュリティ保証とデータ利用の規約
- 表組みや複雑なレイアウトの再現性
- サポート体制の有無
これらを理解した上で、無料版で十分なのか、有料版を検討すべきかを判断しましょう。
読み取り枚数とファイルサイズの上限
最も分かりやすい違いは、処理できる「量」の制限です。
多くの無料Webサービスやフリープランでは、「1日〇枚まで」「1ファイル〇MBまで」「月間〇ページまで」といった厳しい制限が設けられています。
数枚の書類を処理するだけであれば問題ありませんが、過去数年分の書類を電子化するようなプロジェクトでは、無料版の制限にすぐに引っかかってしまい、作業がストップしてしまいます。
有料版では、これらの制限が撤廃されるか、実務に支障がないレベルまで大幅に緩和されます。
また、APIを利用する場合の呼び出し回数制限(レートリミット)も、無料版では厳しく設定されており、システムに組み込んだ際に動作が遅延する原因になることがあります。
業務で日常的に使うのであれば、この「量」の壁は必ず意識する必要があります。
セキュリティ保証とデータ利用の規約
ビジネス利用において最も注意すべき点がここです。
無料のオンラインOCRサービスの多くは、運営コストを賄うために、ユーザーがアップロードしたデータをAIの学習データとして利用したり、広告配信に利用したりする権利を利用規約に含めています。
つまり、あなたの会社の請求書や契約書が、AIを賢くするための教材として使われてしまう可能性があるのです。
有料版(特にエンタープライズ向けプラン)では、明確に「データは学習に利用しない」「処理完了後にデータは即時削除される」といったデータプライバシー保護の条項が含まれています。
また、SLA(サービス品質保証)やISO認証などのセキュリティ基準を満たしていることが保証されるのも有料版の特権です。
コンプライアンス遵守が求められる企業活動においては、無料版のリスクは許容できない場合が多いでしょう。
表組みや複雑なレイアウトの再現性
無料の簡易的なOCRツールは、あくまで「文字をテキストとして抽出する」ことに主眼を置いています。
そのため、複雑な表組みや段組み、画像と文字が入り組んだレイアウトを読み取ると、文字の順番がバラバラになったり、表が崩れてしまったりすることが頻繁に起きます。
結果として、人間が手作業でレイアウトを修正する時間が発生します。
一方、有料の高機能AI OCRは、「文書構造解析」の機能が優れています。
表のセル構造を理解してExcelに再現したり、見出しと本文の関係を理解してWordに出力したりする能力が高いため、読み取り後の修正作業が劇的に少なくなります。
「データ入力作業」だけでなく、「文書作成作業」まで含めたトータルコストで考えると、有料版の方が安上がりになるケースも少なくありません。
サポート体制の有無
無料ソフトには、基本的に個別のサポート窓口はありません。
エラーが発生したり、使い方が分からなかったりしても、自力でネットで調べるか、あきらめるしかありません。
業務システムとしてOCRを導入する場合、トラブル時に誰にも相談できないというのは大きなリスクです。
有料版であれば、メールや電話によるサポート、導入時の設定支援、精度のチューニング相談などが受けられます。
特にAPI連携などで技術的なトラブルが起きた際、ベンダーのエンジニアによるサポートがあるかどうかは、プロジェクトの成否に関わる重要なポイントです。
止まってはいけない業務にOCRを使うなら、サポートという「保険」が含まれている有料版を選ぶのが賢明です。
無料AI OCRを利用する際の注意点とセキュリティ対策
最後に、無料のAI OCRソフトを安全かつ効果的に利用するために、必ず守ってほしい注意点とセキュリティ対策をまとめます。
便利なツールも使い方を誤れば、大きな事故につながる可能性があります。
- 機密情報・個人情報を含む書類はアップロードしない
- 利用規約の「学習データへの利用」条項を確認する
- 重要書類はクラウド型ではなくインストール型を検討する
これらは、自分自身と会社の信頼を守るための最低限のルールです。
機密情報・個人情報を含む書類はアップロードしない
インターネット上の無料OCRサイトを利用する場合、そのサイトがどれほど「安全」を謳っていても、マイナンバー、クレジットカード番号、パスワード、顧客名簿、未公開の社内極秘資料などをアップロードするのは絶対にやめましょう。
通信が暗号化(SSL)されていたとしても、サーバー側でデータがどのように扱われているかは外部からは見えません。
万が一、そのサービスがサイバー攻撃を受けてデータが流出した場合、アップロードしたユーザーの責任も問われることになります。
「無料サービスにはアップロードしてはいけないデータがある」という境界線を明確に引いておくことが重要です。
利用規約の「学習データへの利用」条項を確認する
ツールを使い始める前に、面倒でも利用規約(Terms of Service)やプライバシーポリシーに目を通してください。
特にチェックすべきは、「入力データの取り扱い(Data Usage)」に関する項目です。
「サービス向上のためにデータを利用する」「サードパーティと共有する場合がある」といった記述がある場合は、機密情報の入力は避けるべきです。
逆に、「ユーザーのデータはユーザーに帰属し、学習には利用しない」と明記されているサービス(Google Cloud Vision APIのオプトアウト設定など)であれば、比較的安心して利用できます。
英語の規約であっても、翻訳ツールを使って内容を確認する習慣をつけましょう。
重要書類はクラウド型ではなくインストール型を検討する
どうしても機密書類をOCR処理しなければならない場合は、インターネットを介さない「インストール型(ローカル型)」のフリーソフトを使用しましょう。
今回紹介した「Renee PDF Aide」や「OneNote」のOCR機能などがこれに該当します。
さらに、PCをネットワークから切断した状態で作業を行えば、物理的にデータが流出する経路を遮断できるため、より安全です。
利便性よりも安全性を最優先すべきシーンでは、あえてアナログに近い環境を作る工夫も必要です。
AI OCRフリーソフトに関するよくある質問
Macでも使える無料のAI OCRソフトはありますか?
はい、Macでも使えるツールはたくさんあります。
最も手軽なのは、Mac標準搭載の「テキスト認識表示(Live Text)」機能です。最新のmacOSやiOSであれば、写真アプリやプレビュー、Safariなどで画像内の文字を選択・コピーできます。
また、本記事で紹介した「Googleドライブ」や「Googleレンズ(Chromeブラウザ経由)」などのWeb完結型ツールはOSを問わず利用可能です。
縦書きの日本語でも正確に認識されますか?
ツールによりますが、日本国内で開発されたツールや、GoogleのOCRエンジンは縦書きに対応しています。
特に「Googleドライブ」や「LINE WORKS OCR」は縦書きの認識精度が高く、自動で行の方向を判別してくれます。
海外製の簡易的なフリーソフトでは、縦書きを横書きとして無理やり認識して文字化けすることがあるため、試用時に必ず確認してください。
画像認識できない文字(癖字など)はどうなりますか?
AI OCRであっても、人間が読めないレベルの文字は認識できません。
また、極端な崩し字や重なり合った文字は誤認識される可能性があります。
その場合、多くのツールでは類似した文字(「ソ」と「ン」、「シ」と「ツ」など)に置き換わって出力されます。
出力結果は必ず目視で確認し、間違っている箇所を手動で修正するプロセスを業務フローに組み込むことが前提となります。
画像の解像度を上げる(撮影時にピントを合わせる、スキャン解像度を300dpi以上にする)だけでも、認識率は大幅に改善します。
【警告】「とりあえずOCR」は危険?DXを阻む「デジタイゼーションの罠」
「紙の書類をデータ化すれば、業務は効率化する」——。そう信じてOCRツールを導入したものの、期待したほどの成果が出ない、あるいは逆に確認作業が増えてしまったという企業が後を絶ちません。
実は、多くの企業が、紙を単にデジタルデータに置き換えるだけの「デジタイゼーション」で満足してしまい、その後の活用プロセスを見落としているのです。
世界的な市場調査会社IDCの分析によると、企業が保有するデータの約90%は、文書や画像、メールなどの「非構造化データ」であるとされています。
無料のOCRツールを使って手書き文字をテキスト化することには成功しても、そのデータが活用しやすい形に整理されていなければ、結局は人間が目視で確認し、基幹システムへ手入力するという「新たな単純作業」を生むだけに終わります。
これが、目的不明確なツール導入が招く「業務の迷宮」です。
真に生産性を上げるためには、「文字を読み取る」だけでなく、読み取ったデータを自動で要約する、翻訳する、あるいはレポートとして整形するといった「次のアクション」までを一気通貫で自動化する視点が不可欠です。
「データ化」を目的にするのではなく、「データを使って何をするか」という出口戦略こそが、賢い組織とそうでない組織の決定的な違いとなります。
引用元:
IDCの調査によると、企業が生成・保有するデータの90%以上は非構造化データであり、その活用がビジネスの成長における重要な課題となっています。(IDC, “Structured vs. Unstructured Data: The Balance of Power”, 2023年 / Box Japan, “企業が持つ情報の90%は非構造化データ”, 2023年)
まとめ
企業は労働力不足や業務効率化の課題を抱える中で、生成AIやOCR技術の活用がDX推進や業務改善の切り札として注目されています。
しかし、実際には「無料ツールでは機能が足りない」「セキュリティ面に不安がある」「社内にITリテラシーを持つ人材がいない」といった理由で、導入のハードルが高いと感じる企業も少なくありません。
そこでおすすめしたいのが、Taskhub です。
Taskhubは日本初のアプリ型インターフェースを採用し、高精度なOCR機能を含む200種類以上の実用的なAIタスクをパッケージ化した生成AI活用プラットフォームです。
たとえば、手書き帳票の読み取りからシステムへのデータ入力、読み取った内容の要約や翻訳、さらには分析レポートの自動生成まで、さまざまな業務を「アプリ」として選ぶだけで、誰でも直感的にAIを活用できます。
しかも、Azure OpenAI Serviceを基盤にしているため、データセキュリティが万全で、機密情報を含む書類の処理でも情報漏えいの心配がありません。
さらに、AIコンサルタントによる手厚い導入サポートがあるため、「どの業務を自動化すれば効果的かわからない」という初心者企業でも安心してスタートできます。
導入後すぐに効果を実感できる設計なので、複雑なプログラミングや高度なAI知識がなくても、すぐに業務効率化が図れる点が大きな魅力です。
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