ゲスト
AI活用をたった数ヶ月で成功導いた!
株式会社営業ハック 代表取締役社長 笹田さん
大手人材会社に新卒入社後、1年目で社員数1000名の中で営業成績トップとなり、3年目からは社内ベンチャー立ち上げに従事。その後、株式会社ネオキャリアに転職。
2018年に株式会社営業ハックを設立し、「代行事業」「研修事業」「コンサルティング事業」の3事業を展開。
2026年1月から本格的なAIの業務活用を開始し、僅か数ヶ月で様々な活用効果を達成

この事例のポイント
- 4,000件の架電記録をその日のうちに全件分析する方法: CSVで吐き出してAIに読み込ませるだけ。以前は件数に偏りが出ていた抜き取りチェックから脱却した
- スクリプト作成時間を約50%削減する方法:NotebookLMに資料を入れ、Geminiで叩き台を自動生成するフローを確立した
- AIの一般論と自社ノウハウのズレという課題を解決する方法:AIの回答をそのまま使ってしまい現場が混乱。自社の基本をAIに覚え込ませるカスタマイズで解消した
- 営業活動におけるAIと人間の役割分担の切り分け方:AIで事務作業を効率化しつつ、人間は感情を動かす会話に集中するという役割分担を明確化した
スクリプト作成時間50%削減。最大4,000件の通話記録分析も即日完了

Q. 御社ではAIを使ってどんなことを実現しているのか、活用の効果を聞かせてください。
A. 4,000件の架電記録の即日分析とスクリプト制作時間の50%削減を達成しました
笹田さん: 大きく分けて3つの成果が出ています。
1つ目は分析業務での成果です。
毎日2,000件から多い時で4,000件ほどの電話をかけていますが、以前は音声を聞きに行ったりツール上の文字起こしをチェックしたりしても限界があり、チェックできる件数に偏りがありました。限られた件数だけではイレギュラーか常時起きている問題かの判断が難しかったため、全件チェックできるようになったのは大きな変化です。
2つ目は構築面です。
スクリプトやリストの制作において作業時間を約50%程度まで削減できています。その会社用にカスタマイズした叩き台を出力することができるので、時間的な効率アップに繋がっています。
3つ目は、少し違った観点になりますが、我々はPR TIMESなどで多くの情報発信を行っています。最近、お客様からのお問い合わせの理由として「AIにおすすめされたから」と言っていただき、受注やアポイントに繋がるケースが出てきました。
AIの活用フローをどのように整備したのか
Q. 架電の全件分析と、スクリプト作成の効率化。それぞれどのように達成されたのか教えてください。
A. CSVで全データを吐き出し、AIに読み込ませる分析と、NotebookLM+Geminiによるスクリプト自動生成を実施しました
笹田さん: 分析については、架電データをCSVで全部吐き出して、AIに読み込ませています。以前は音声を聞きに行ったり、ツール上の文字起こしをチェックしたりしていましたが、それだと確認できる件数に偏りが出てしまう。今は全件をその日のうちに見られるので、問題の判断精度が全然違います。
スクリプト作成については、まずNotebookLMに各種資料やリサーチデータを入れます。それをGeminiに読み込ませて、スクリプトのフォーマットに合わせたサンプルテキストを渡すと、会社用にカスタマイズされた叩き台が出てきます。これで作業時間が半分程度になりました。
人や組織ではどのように推進をしたのか

Q. 2026年1月に活用を開始され、今の状態に至るまでの推進の流れを教えてください。最初はどこから手をつけたのでしょうか。
A. 架電チームのリーダーを対象に日報作成時のAI活用をルール化
笹田さん: もともと弊社はアナログ人間の集まりという状態でしたが、そこからAIを使っていこうという形でスタートしました。組織の文化や風土はトップ層から決まっていくと考えています。そのため、まずは一番情報量に触れる「架電チームのリーダー」にAIを使ってもらうことから始めました。
AIにデータを入れたり、録音データやアウトプットのシート、数値データを入れたりして壁打ちを行い、明日や来週の動きを決めていくという取り組みです。LLMモデルは、ChatGPT、Gemini、Claude等を使用していました。
Q. 推進を進める中で、壁にぶつかった場面はありましたか。
A.「AIと壁打ちして満足」で終わり、具体的な行動に結びつかないという壁が最初に立ちはだかった
笹田さん: 最初の大きな壁は、壁打ちして満足してしまうことでした。数値を手入力で分析していたメンバーからすると、データを入れるだけで回答が出てくるのは本当に楽しい体験だったと思います。ただ、それで終わっても成果は伸びません。具体的なアクションをどこでどう変えるかを決めて実行しなければ、実利には反映されないのです。
Q. その壁をどうやって乗り越えたのでしょうか。
A. 日報の項目に「明日やること・来週やること」を追加し、壁打ちの目的を行動決定に限定した
笹田さん: 日報のフォーマットを変えました。具体的に明日やること、来週やることを必ず書く欄を追加したんです。会議でネクストアクションが決まらなければ意味がないのと同じで、AIと壁打ちする目的は「行動を決めるため」だという意識を持ってもらう。それがフォーマット変更だけで伝わるようになりました。これが一番クリティカルな改善でした。加えて、私が毎週行っているリーダー研修の中でも、AIの使い方と向き合い方を繰り返し伝えています。
Q. 他にも壁はありましたか。
A. AIの一般論と自社ノウハウのズレが現場の不満を招いてしまった
笹田さん: もう一つの壁は、AIの回答が自社のやり方とずれることでした。我々が大事にしているテレアポの基本と、世の中一般のテレアポの基本は違います。最初はAIの方が正しく見えてしまい、自分たちの正解を忘れてAIの回答をそのまま使ってしまう。マネジメントは自分の言葉に転換してメンバーの行動を決めることが重要なのに、そこが繋がらなくなっていました。「こんなことをやっているなら、メンバーと話していた方がいいんじゃないか」という声も出ました。
結局は使い方の問題で、我々が求める回答が出るようにAIフレンドリーな形にデータを整形し、自社の基本をAIに覚え込ませるカスタマイズを進めました。それで解消されています。
今後の展望:AIでも架電ができる時代だから、人間が対話で生み出す価値に集中する

Q. 今後のAI活用の戦略を教えてください。
笹田さん: 正直に言うと、AIはテレアポ代行の事業にとって敵になる可能性もあります。AIが架電の代わりをするケースも出てきていて、我々の業務を奪う可能性もある。だからこそ、使い分けが重要です。
人と人が会話して生まれる感情や気持ちは、人間同士のコミュニケーションにしか生み出せません。分析・リサーチ・スクリプト作成はAIに任せ、我々は直接の会話によって得られる感情を作ることにフォーカスする。分析結果をメンバーに落とし込む時も、リーダーが直接言葉で伝えた方が納得感やモチベーションが変わります。そういう人間ならではの価値に集中できる組織を作っていきたいです。
Q. 現在はリーダー層が中心とのことですが、今後は一般の社員までAIを浸透させていく予定ですか。
A. メンバークラスでは、まずは架電件数の担保を求めつつ、顧客リサーチ等のユースケースで少しずつ展開していく
笹田さん: どこまで求めるかによると思っています。現在、メンバーに基本として求めているのは、しっかりとした水準で電話をかけてもらうことです。分析がしやすくなったとはいえ、メンバーレベルにまでAI活用を求めるかはまだ考えていません。
ただ、別の使い方として、顧客の理解を深めたりリサーチをしたりする用途であれば、全営業マンにとって使えるツールになります。ポジションや役割によって使い方や用途は異なるため、リーダーと同じような使い方は求めないかもしれませんが、自分の学びや理解を深めるための展開は大いにあり得ると考えています。
Q. 最後に読者の方へのメッセージをお願いします。
笹田さん: 効率化できる部分はAIで効率化し、人の感情や気持ちを動かす部分は人間が担う。そのバランスを大事にしながら、我々は人を介した会話に価値を生み出し続けていきたいと思っています。同じような悩みをお持ちの方は、ぜひお声がけいただければと思います。