システム開発の属人化を解消。2030年の「自律型AI」を見据えた次世代基盤の全貌

システム開発にAIツールを導入したものの、「現場が使いこなせない」「ExcelやWordのファイル文化が壁になり情報をうまく渡せない」と悩んでいませんか?

株式会社ラキールが提供する「LaKeel Blu」や「LaKeel Agentic Assistant」は、独自の標準化とMCP対応により、AIが自律的に開発・運用を行い「即時実行」できる環境を実現しました。本記事では、上流工程の属人化を解消する同社の設計思想や、人間がAIをマネジメントする2030年の開発の未来像について、同社の基盤開発本部の執行役員 李さんと、同本部のパートナー雄谷さんにお話を伺いました。

機械可読性の低いExcelやWord文化から脱却し、AIと親和性の高い開発基盤を構築

Q. まずは、貴社の事業内容の紹介をお願いします。

 李さん: 弊社は、DXをコアとしたプラットフォーム企業です。AIが自律的にシステムを開発・運用できる基盤を提供することで、企業のDXを加速させています。業務要件の整理から基本設計までをサポートする「LaKeel Blu」や、UI上でAIに業務を実行させる「LaKeel Agentic Assistant」といった製品を展開しており、MCP対応により自社のマイクロサービスやツール、APIとの連携も可能です。弊社の強みは、単なるAIツールの提供ではなく、開発基盤・運用基盤とAIのシナジー効果を生み出し、開発したものが即座に実行環境で動作する仕組みを実現していることです。

Q. プロダクトを開発しようと考えた背景や、解決したかった課題について教えてください。

李さん: 一番の理由は、これが単なる流行りではなく、IT業界にとって「避けて通れない、根本的な変化」だと確信しているからです。SaaSが流行り始めたという社会現象よりもはるかに大きな波が来ており、AIを語らずに生き残るという選択肢はそもそもありませんでした。AIなしでは今後のIT業界は存在し得ないと考えていたため、開発者として当然取り組むべきテーマでした。

その中で特に目を向けたのが、「AIをうまく活用するための基盤作り」です。今の大きな企業でそのままAIを使おうとしても、「AIに渡す情報がそもそも整理されていない」という壁にぶつかります。日本の企業はExcelやWordといったファイルで業務を行っていることが多く、機械可読性が極めて低いため、AIとの親和性が非常に悪いのが現状です。

この障壁は開発現場でも一般業務の現場でも同じです。だからこそ、その障壁を取り除き、AIと仲良く仕事をするための基盤を作らなければならないと考えました。それが現在、ラキールの開発基盤・運用基盤へと繋がっています。

属人化を排除し「AIを迷わせない」。標準化とMCP対応で外部ツールとの連携を強化

Q. ユーザーが利用する際のUI・UXや、システム設計において特に力を入れている工夫を教えてください。

李さん: 私たちが開発基盤を提供する企業だからこそ、やはり「基盤作り」を最も重視しています。具体的には「標準化」によって、AIを迷わせない仕組みを作ることです。

先ほどの話とも繋がりますが、まずはExcelやWordから脱却し、AIと親和性が高いテキストベースで情報を残すところから始めています。AIの使い方が不得意な人でも、私たちが定めている一定の品質のまま必ず結果が出力されるような仕掛けやテンプレートを取り入れています。

また、業界の標準仕様を徹底的にサポートすることにもこだわっています。AI界隈では毎週のように新しいサービスが発表されており、特定のサービスに依存しすぎると変化に対応できませんが、どこかに『軸』を置いて突き詰めないと、プロダクトとしての深みが出ません。そこで私たちは、「標準化」という考え方を徹底することに決めました。情報の再利用性を高めるためのテキスト化に加え、昨年話題になったMCP(Model Context Protocol)にもいち早く対応し、AIが外部ツールと連携しやすい標準化の仕組みを採用しています。

「AIが作ったものが即時実行できる」。独自基盤がもたらす他社ツールとの決定的な違い

Q. 類似サービスと比較した際の、貴社のプロダクトならではの強みや独自性は何でしょうか。

李さん: このような開発運用基盤製品を持っている日本企業はまず他にいないはずなので、独自の立ち位置を築けていると自負しています。私たちが目指しているのは、「ITをゼロから作る時代を終わらせる」ことです。

AIツールを単体のサービスとして売るのではなく、自社の運用基盤・開発基盤とAIがシナジーを生み出す構造になっているのが最大の強みです。これにより、AIが作ったものが即時に実行環境で動き、ITの即時実行が可能になります。これは他のAIツールには真似できない独自性です。

初期は特定の工程に特化したAIツールをベンチマークしていた時期もありましたが、今では領域が全く異なると考えています。私たちは点での効率化ではなく、上流から運用までを一気通貫でつなぐ『基盤』そのものを作っているからです。2027年までには開発の形自体をAIで固め、2030年までにはシステムが自律的に改修を行い、ビジネスのリードタイムに合わせてリアルタイムに反応できる世界を実現できると確信しています。

上流工程のドキュメント作業をAIが代替し、少ないインプットで要件定義や基本設計を効率化

Q. 現在、プロダクトはどのような企業で活用されているのでしょうか。代表的な導入事例や、そこで得られている具体的な成果について教えてください。

雄谷さん: 現在、システム開発の上流工程をサポートする「LaKeel Blu」という製品を、いくつかの企業様にお使いいただいています。基本的には、既存システムの置き換えを検討しているお客様が、その上流工程において業務要件の整理と基本設計を進めるために導入するケースが多いです。

最大の成果は、ドキュメント作成作業をすべてAIが担ってくれるため、人間側のインプット情報が非常に少なくて済む点です。今まで企業内に散在して整理されていなかった情報をAIに読み込ませてアウトプットさせるだけで、情報が綺麗に生まれ変わって出力されます。今まで人間が間に入って情報をまとめ、理解しようとしていたサイクルが圧倒的なスピードで回るようになるため、業務効率の面で非常に大きな貢献ができていると感じています。

技術サポートによる伴走支援で属人化を防ぎ、企業の情報資産としてAIを育成・蓄積する

Q. ツール導入後、現場に定着させるためにどのような伴走支援を行っているのでしょうか。

雄谷さん: 導入初期は私たちが伴走支援を行いますが、システム会社として私たちが直接業務整理を代行するのではなく、「その作業をAIにさせるための技術サポート」に重きを置いています。

この業界には、有識者が一生懸命ドキュメントを書いて残しても、その人がいなくなるとシステムの仕様が分からなくなってしまうという属人化の文化が根強くあります。AIを使う最大のメリットは、その企業の情報をAIの中にしっかりと落とし込んでいけることです。AIに情報をインプットし続けることで、企業の情報資産が永続的に蓄積されていく状態を作れるようサポートしています。

また、ツール選定の観点でお話しすると、現在システム開発にAIを使っている企業は多いものの、実態としては「使いこなせていない」「一部の利用にとどまっている」というケースが散見されます。私たちは自社でプラットフォームを持っているため、上流工程から下流工程までを体系立てて一気通貫でサポートできます。最初は半信半疑のお客様でも、実際に一気通貫で出力されたアウトプットを見ていただくと、皆様一様に驚かれますね。

人間は承認作業に専念。テストから運用まで「AIチーム」が自律的に回す次世代の開発体験

Q. 今後の機能拡充の展望や直近のリリース予定、そしてプロダクトを通じて実現していきたい顧客価値について教えてください。

李さん: まず、先ほど話題に上がった「LaKeel Blu」ですが、これは課題発見、要件定義、基本設計といった工程を、AIと対話しながら進めたり、AIに設計書を書いてもらったりする製品です。これは特定のシステム構築に限らず、自分の頭の中を整理したり、タスクや課題を見つけたりする用途でも幅広く使っていただけます。今後は、そのアイデアを具体化し、実際にAIを使って物を作り、運用まで持っていける機能群を順次拡充していく予定です。これら全ての要素を繋ぎ、オーケストレーションする基盤として、すでに「LaKeel AI Platform」の提供を開始しています。

これにより、人間の役割は大きく変わります。全員がプロジェクトマネージャーとなり、実際の作業は「AI社員」に指示を出し、人間はその結果を確認・承認する高度なディレクション業務へと移行するでしょう。一般的なAIツールでは「最終的な責任は人間が取るが、どうやってチェックすればいいのか分からない」という問題が起こりがちです。しかし私たちの仕組みでは、AIが自ら「こういう観点でチェックし、こういうテストも通ったので問題ありません」という詳細なレポートを上げてきます。「ただコードを3000行書きました、レビューしてください」と丸投げするのではなく、人間が承認しやすい形で報告してくるため、AIを安全に信頼して使うことができます。

また、3月には「LaKeel Agentic Assistant」という新製品をリリースしました。これはUI上でプロンプトを定義し、「この仕事をする時はこのツールを使いなさい」と指示を出すだけで、MCPサーバーを経由して基幹業務システムなどにアクセスしながら自律的に作業を行うAIを生み出せる機能です。来年、再来年になれば、AIが賄える業務量はさらに増えていきます。最終的には、企画から課題提起、要件定義、設計、開発、運用に至るまで、すべてを「AIチーム」が安全に回せる基盤へと成長させていきたいと考えています。

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