数分でPoC完了。専門知識・コスト・期間の壁を打破する衛星データ解析API

広大なエリアの変化をもっと効率的に把握できないか——地図の更新、農地の管理、資源の在庫モニタリング、港湾の混雑把握。こうした業務に、コストや時間の限界を感じていませんか?衛星データ×AIによる解析はその解決策として注目されていますが、専門知識の不足や、多額のコスト・長期間の検証といったハードルから、導入に踏み切れない企業も少なくありません。

株式会社スペースシフトが提供する「SateAIs™(サテアイズ)」は、農地パトロールや地図更新などの業務最適化を実現する衛星データ解析サービスです。防災やインフラ管理など、規模を問わず幅広い業種で活用されています。

独自の深層学習モデルとAPI基盤を掛け合わせたことに加え、生成AIと連携し、自然言語のやり取りだけで解析からレポート作成までを自動化できる点が最大の特長です。

本記事では、開発の背景にあった衛星データ普及への課題意識、他サービスとの決定的な違い、そして導入企業がつまずきやすいポイントとその支援体制について、同社技術事業部 部長の竹内さんに伺いました。

“専門知識・コスト・期間”の壁を取り払い、衛星データを普及させたい

Q. まずは貴社の事業内容と、竹内さんの自己紹介をお願いします。

 竹内さん: 株式会社スペースシフトは、衛星データとAIを掛け合わせた解析ソリューションを提供する企業です。人工衛星が撮影した画像データを独自のAIアルゴリズムで解析し、建物の変化の検知、災害状況の把握、農地のモニタリングなど、様々な業務課題の解決を支援しています。直近では解析ブランドとして「SateAIs™(サテアイズ)」を立ち上げ、用途別に体系化した解析メニューを自治体や企業、研究機関などに提供しています。

 私自身は、技術事業部という部署でプロダクトマネジメントとプロジェクトマネジメント両方のミッションを持った組織を統括しています。お客様に直接プロダクトを提供する業務だけでなく、個別の課題に対するコンサルティングや、要件に応じた解析結果をご提供するサービスのマネジメントも行っています。そこで得られた知見をプロダクトに生かしていく、橋渡しのような役割も担っています。

Q. SateAIsの開発・提供チームはどのような体制になっているのでしょうか?

 竹内さん: SateAIsのチーム自体は5名前後で運営しています。SateAIsは、都市系の衛星解析サービス「SateAIs 都 -City-」、農業系の解析サービス「SateAIs 農 -Agriculture-」など領域ごとにサブブランドを複数有しているのですが、そのサブブランドごとに担当者を設けています。

 ただ、SateAIsの開発・提供はこのチームだけで完結するものではなく、事業開発、AI開発、システム開発など各部署と連携しながら、全社一丸となって進めています。

Q, SateAIsを開発した背景には、どのような課題意識があったのでしょうか?

 竹内さん: 衛星データ解析はこれまで、専門家以外にはハードルが非常に高い領域でした。衛星やセンサーの選定、観測条件の設計、タスキング(衛星への撮影指示)、実際の解析処理まで、あらゆる工程に専門知識が求められます。

SateAIsは、このハードルを乗り越えて衛星データのビジネス活用を推進するための「座組」として生まれました。用途別のAI解析メニューを体系化し、提供手段としてもパッケージ提供、BI連携、データ販売、API、生成AI連携、CLI/SDKなど多面的に展開することで、業務への組み込みのハードルをさらに下げています。

この中で最新の取り組みが、2025年に公開した生成AIサービス向け連携ツール(MCPサーバー)と、2026年4月にリリースしたSateAIs APIのβ版です。「依頼するもの」から「自分で使うもの」へ、衛星データ解析のあり方を根本から変えるプロダクトとして開発を進めています。

Q. SateAIsというサービスを一言で表すと、どのようなものになりますか?

 竹内さん: 「誰でも使える衛星データ解析サービス」です。多様な業種の解析アルゴリズムと、受託解析からAPI・生成AI連携まで幅広い提供手段を揃えており、お客様のバックグラウンドやニーズに合わせて最適な形でご利用いただけます。

自社開発のAIモデルとAPI基盤が融合。自然言語で完結する生成AI連携も

Q. SateAIs APIや生成AI連携について、主要な機能を教えてください。

 竹内さん: 大きく3つの機能があります。1つ目は、「ワンリクエスト完結の衛星データ解析」です。データ調達・前処理・AI推論・結果配信まで、すべてAPIリクエスト1つで完結。衛星データの専門知識がなくても、解析結果をそのまま業務に活用いただけます。
2つ目は「生成AI連携機能」です。MCPという技術を活用し、ChatGPTやClaudeなどお客様がご利用になっている生成AIサービスと接続して、自然言語で衛星データ解析を呼び出すことができます。さらに、その解析結果の分析やレポート作成まで自動で生成AIが行います。
3つ目は「セルフサーブ環境」です。APIキーの発行、解析の実行、ジョブの管理、利用可能量の確認などを、ブラウザ上からセルフサーブで管理できる環境を提供しています。

Q. SateAIs APIや生成AI機能を使う際、具体的にどのようなフローで実行されるのでしょうか?

 竹内さん: API機能の場合は、アカウント登録とAPIキー発行を済ませたら、あとは対象エリアと期間を指定してリクエストを送るだけです。解析は非同期ジョブとして処理され、完了後に結果を取得する流れです。 

生成AI連携の場合は、MCP対応の生成AIサービスにSateAIsのMCPサーバーを接続していただきます。例えば「大阪府のこの場所の変化を調べてほしい」と日本語で指示すると、AI側から「直近の何年から何年にされますか?」と質問が来ます。期間や範囲を設定して「どういう変化を見ますか?」と対話しながら解析モデルを選定・実行させます。結果が出たあとに「これってどういうことか解説して」と依頼すると、レポートや考察結果が返ってくるという形になります。

Q. 解析に活用されているAIモデルや技術について教えてください。

 竹内さん: 基本的に衛星データ解析のAIモデルはすべて自社開発しており、衛星やセンサーの特徴に応じた深層学習モデルの開発と運用を行っています。汎用的な画像認識とは異なり、衛星特有の特徴を鑑みた前処理やモデル設計が不可欠です。ここは汎用的なAIサービスでは対応できない専門領域であり、それが自社開発モデルのコアコンピタンスだと思っています。

Q. 学習データに顧客の固有データが使われることはあるのでしょうか?

 竹内さん: お客様固有のデータを学習に使うことは一切ありません。学習には、主に蓄積された衛星データや教師データを用いています。例えばESA(欧州宇宙機関)等が無償公開しているオープンデータを使って大量の学習データを入手することもありますし、有償のデータを弊社単独、あるいはお客様と共同で購入して蓄積し、モデルの精度向上に取り組むこともあります。

Q. 既存のシステムと連携させる場合、どのような環境が用意されていますか?

 竹内さん: API機能を通じて、お客様の既存システムやプラットフォーム、BIツールなどと連携していただくことが可能です。接続に必要なドキュメントを公開しており、お客様がセルフサーブで進められる状態になっています。また、直近の取り組みとして、お客様が自ら開発環境を構築しやすいようにCLIやSDKの提供も開始しました

Q. 他社の類似サービスと比較した際、どのような部分が決定的な強みになるのでしょうか?

 竹内さん: 解析モデルとAPI基盤の両方を自社で持ち、ワンストップで提供できる点です。お客様から見ると、データの調達から解析、システム連携まで一つの窓口で完結します。さらに、生成AIとの連携によって専門知識がなくても衛星データを扱えるようにしている点は、他社にはない独自の価値だと考えています。

現地調査のコストを大幅削減。地図更新や農地パトロールでの導入事例

Q. 具体的にどのような業種や規模の企業をターゲットとしているのでしょうか?

 竹内さん: API機能については、企業内のエンジニア部門や情報システム部門、DX推進部門などを想定しています。一方、生成AI連携については、直接話しかけるだけでデータ解析や考察ができるため、より現場に近い部署も含めた幅広いお客様をターゲットにしています。

 規模感は特に問いません。生成AIの進歩により、規模の大小に関わらず低コストで導入いただけるようになっています。

 業種についても非常に幅広いです。既存でGISや衛星データを扱っているお客様は親和性が高いですが、他にも海洋、港湾、不動産、保険、インフラ管理、農業、防災、安全保障など、かなり多岐にわたる領域でご活用いただけます。防災などの領域では、業界に特化したプラットフォーマーのシステムに解析機能を組み込んでいただくような連携も想定しています。

Q. 導入企業は、SateAIsを利用する前はどのような手段で業務課題を解決していたのでしょうか?

 竹内さん: よくあるのは、航空写真の撮影や現地調査に多額の費用と時間をかけていたケースです。

また、衛星データを使って受託解析を行う場合でも、従来は個別の解析企業に依頼し、1〜3ヶ月、長ければ半年から1年という期間をかけ、案件によっては数百万から数千万円という多額のコストをかけて結果を得るパターンが一般的でした。

 SateAIsのAPIや生成AI連携を導入することで、専門家がいなくても解析が可能になり、多額のコストと長い期間を大幅に削減できるという点で効率化を図っていただいています。

Q. 実際にSateAIsを導入して、具体的な効果が出ている事例を教えてください。

 竹内さん: API経由の導入事例はこれからですが、SateAIsシリーズ全体では複数の実績があります。例えば地図の更新業務です。従来は航空機を使って高解像度の画像を撮影したり、現地調査をしたりしながら毎年全国の地図を更新していました。そこに衛星データを用いて「日本全国のどこがどのくらい変化しているか」を示す変化マップを作成し、重点的に調査すべき場所を特定することで、地図の更新効率を上げる取り組みをしていただいています。その結果、地図の建物更新率が約1.8倍に向上しました。

 もう一つは、農地のパトロール業務です。従来は自治体の担当者が現地に赴いて、農地が耕作放棄されていないかを一筆ずつチェックしていました。これに対して、衛星データのAPI解析を用いて遊休農地の候補を事前に絞り込むことで、現地確認の工数を半分以下に削減できた事例が出ており、現在多くのお問い合わせをいただいています。

“漠然とした目的”は失敗の元。コンサルとAPIの二段構えで導入の壁を突破

Q. 幅広い企業に導入可能とのことですが、逆にSateAIsが合わないのはどのような企業でしょうか?

 竹内さん: API機能に関しては、自社に技術リソースを持たない企業様には導入のハードルが高くなります。ただ、そういったお客様には、生成AI連携や受託解析という別の提供形態があるので、SateAIs全体としてカバーできる範囲は広いと考えています。

 一方で、解決したい業務課題がまだ明確でない段階のお客様は、どの提供形態であっても成果に結びつきにくい傾向があります。衛星データは「何となく使ってみたい」だけでは活用が進みにくいので、まずは具体的な業務課題を特定するところからご一緒するようにしています。

Q. 導入にあたって、顧客がつまずきやすいポイントや、うまく使いこなせなかったケースはありますか?

 竹内さん: よくあるのは、解析結果に対する期待値のずれです。衛星データは広域のスクリーニングに強みがある一方で万能ではないので、「何でも見えるはず」という前提でスタートすると「思っていたのと違う」となりがちです。最初に、向いている用途とそうでない用途の線引きを共有することが重要です。

 もう一つは、解析結果を「見て終わり」にしてしまうケースです。結果を既存の業務フローにどう組み込むかまで設計しておかないと、データだけ手元にあって活用が進まない状態になります。

Q. 導入後のサポート体制や、顧客側に求められる運用工数について教えてください。

 竹内さん: ドキュメントを公開しているほか、メールや電話でのお問い合わせにも対応しています。運用工数については、API連携済みであればすべて自動化でき、生成AI連携なら自然言語で指示するだけなので、お客様側の負荷はほとんどかかりません。

 コンサルティングから入る場合も、最終的にはAPI活用へシフトしていくご提案をしています。

アカウント登録から数分でPoCが可能。月500クレジットの無償枠を提供

Q. SateAIs APIの料金体系について教えてください。

 竹内さん: API機能は現在ベータ版として、月額0円・月500クレジットの無償提供を行っています。毎月リセットされるクレジット制になっており、管理画面上から消費量を確認しながら活用していただけます。正式提供の段階では、定常利用向けの有償プランやエンタープライズ向けのプランを展開する予定です。

コンサルティングなどの受託解析は要望に応じた都度見積もりのオーダーメイド形式、パッケージ提供のサービスはホームページ上で公開している定額料金、もしくはご相談いただければ柔軟にお見積りをさせていただいてのご案内となります。

Q. 導入前の無料トライアルやPoCの実施は可能ですか?

 竹内さん: はい、SateAIs APIに関しては、Freeプランにアカウント登録いただければ、すべての解析機能をすぐにお試しいただけます。お問い合わせ不要で、即日PoCを始められるのが特徴です。加えて、個別のご要望や条件に応じたPoCの実施も行っており、弊社として注力すべき領域の案件であれば、無償でご提供して検証を進めることもあります。

Q. お問い合わせから本契約・利用開始まで、平均的な期間はどのくらいでしょうか?

 竹内さん: セルフサーブ型のAPI等に関しては、ご自身でアカウント登録をしていただければすぐにご利用を開始できます。コンサルティングサービスの場合は、一度お打ち合わせをして課題感や適切なサービス内容を詰めた上でお見積もりを差し上げるため、契約までに数週間程度かかるのが一般的です。

今後は解析メニューや対応衛星を拡充し、よりシームレスな体験を提供へ

Q. SateAIsの今後の展望や、追加予定の機能についてのロードマップを教えてください。

 竹内さん: まず、対応する解析メニューの拡充を図ります。災害検知系など、現在まだ対応していないサービスを順次拡大していきます。

 次に、対応衛星の拡大です。現時点では無償提供可能な衛星データによる解析が多いですが、今後は商用の有償衛星にも対応し、データ調達の部分も含めてAPI対応することで、よりシームレスに価値提供できる形に進めていきます。

 さらに、先ほども少し触れましたが、開発者が使い慣れた環境でより手軽に活用できるようにSDKやCLIの提供を進めるほか、大規模運用や柔軟な活用に向けた有料プランの展開も順次整備している状況です。

Q. どのような読者に、このサービスを届けたいとお考えですか?

 竹内さん: 「興味はあるけれど専門知識がなくて手が出せない」「コストや期間が見合わない」と悩まれている企業様の、技術担当者やDX推進担当者の方々に届けたいです。

 衛星データ解析に関わるには専門的な知識が必要になりますが、SateAIsはその壁を乗り越えるための枠組みです。APIや生成AI連携といった幅広い方に使っていただける機能を通じて、衛星データの利活用が世の中に進んでいってほしいと願っています。

Q. 最後に、衛星データの導入を検討されている方々へのメッセージをお願いします。

 竹内さん: 衛星データの解析には、これまで「専門知識・コスト・スピード感」という3つのハードルがありました。SateAIsは、そのハードルを下げるために用途別のAI解析メニューと多面的な提供手段を整えたブランドです。

 その中でもAPI機能は、衛星データ解析を「外部に依頼するもの」から「自分で使うもの」に変えるプロダクトだと思っています。フリー枠もご用意しており、アカウントを作っていただければ数分で最初の解析結果を得てPoCを始めることができます。

 また、生成AIとの連携によって「この地域の変化を調べて」と自然言語で入力するだけで解析からレポートまでが完了する体験は、すでに動き始めています。今触っていただくと「こんなに手軽にできるのか」と驚きを感じていただけるはずですので、ぜひ一度お試しいただければと思います。

衛星データ×AIの解析サービス「SateAIs」についてはこちら
https://sateais.com

APIでシームレスに業務へ衛星データ解析を繋ぐ「SateAIs API」についてはこちら
https://console.spcsft.com/
https://docs.spcsft.com/

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